村上春樹 - みる会図書館


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1. 回転木馬のデッド・ヒート

アウン・サン・スー・チー 村上龍ビッグ・イベント 宮城谷昌光春の潮三上義一 〈囚われの孔雀〉 一三ロ 村上龍超電導ナイトクラブ 宮城谷昌光夏姫春秋水原秋櫻子俳句歳時 宮城谷昌光花の歳月宮部みゆきステップフアサ ! ステップ村上龍イ ビサ 宮城谷昌光重耳 ( 全 = 一冊 ) 宮部みゆき震える岩村上龍長崎オランダ村 宮城谷昌光春秋の色宮子あすさ看護婦泣き笑いの話村上龍フィジーの小人 宮原安春軽井沢物語村上元三水戸黄門全八冊村上龍 368Y 第 2 打 水木しげるコミック昭和史 1 村上元三田沼意次全三冊村上龍音楽の海岸 〈関東大震災ー満州事変〉 村上龍限りなく透明に近いプルー 村上龍 EV.. ca ま , ー・超進化論 録水木しげるコミック昭和史 2 坂本龍一 目 水木しげるコミック昭和史 3 村上龍海の向こうで戦争が始まる村上「超能力」から「能力」 ~ コイーンロッカ 村上龍ほかビートルズってなんだ ? 村上龍 庫水木しげるコミック昭和史 4 〈太平洋戦争前半〉 べイビーズ香月利一編〈人の " マイ・ビートルズ 0 村上龍アメリカン☆ドリ ーム向田邦子眠る盃 社水木しげるコミック昭和史 5 火火 水木しげるコミック昭和史 6 村上龍ポップアートのある部屋向田邦子夜中の薔薇 ^ 終戦から朝鮮戦争〉 講 水木しげるコミック昭和史 7 村上龍走れ / タカハシ向田保雄姉貴の尻尾 ^ 講和から復興〉 〈向田邦子の思い出〉 水木しげるコミック昭和史 8 村上龍愛と幻想のファシズム村上春樹風の歌を聴け ^ 高度成長以降〉 村上龍村上龍全ェッセイ 村上春樹 1973 年のピンポール 水木しげる総員玉砕せよー ^ 11 っー《 0 ーー 110 ) 811 〉 村上春樹羊をめぐる冒険 水木しげを蓚オフィス妖怪図鑑村上龍村上龍全ェッセイ 宮脇俊三古代史紀行村上龍村上龍全ェッセイ 村上春樹カンガルー日和 テニスポーイ・アラウンド・ 村上春樹回転木馬の 三浦暁子ラブレターの秘訣村上龍 ザ・ワールド ちょう

2. 回転木馬のデッド・ヒート

村上春樹ダンス・ダンスダンス森村誠一姦の 毒森村誠一人間の証明 村上春樹遠 太鼓森村誠一空洞の怨恨森村誠一夜の虹 村上春樹国境の南、太陽の西森村誠一終身不能囚森村誠一狙撃者の悲歌 村上春樹やがて哀しき外国語森村誠一完全犯罪の座標森村誠一忠臣蔵出 e 村上羊男のクリス「ス森村誠一解体死書森村誠一明日なき者 ~ の供花 糸井重里夢で会いましよう森村誠一太陽黒点森村誠一背徳の詩集 : ・ルグウイン 村上春樹訳空飛び猫森村誠一空洞星雲森村誠一暗黒凶像 ・・ルーグ . ウイン たった一人からの発想 録村上春樹訳帰ってきた空飛び猫森村誠一凄愴圏森村誠一 ^ 証明の原型〉 目 椋鳩十マヤの一生森村誠一東京空港殺人事件森村誠一殺人の祭壇 庫村松友視小説の如く奇なり森村誠一神より借りた砂漠森村誠一夜一丁 イ列車 社村松友視灰左様なら森村誠一垂直の死海森村誠一暗黒流砂 帝国ホテル料理長の 村上信夫 森村誠一青春の源流全四冊森村誠一殺人の花客 楽しいフランス料理 講 奴森村誠一ホームアウェイ 室伏哲郎稿 , 級官僚森村誠一社 室伏哲郎コンピ、ータ犯罪戦争森村誠一捜査線上のアリア森村誠一殺人の詩集 らせん 村山リウ説き語り「源氏物語」森村誠一螺旋状の垂訓森村誠一タ映えの殺意 錞まさトじごきげん消胡金「かみどり森村誠一口マンの象牙細工森政弘「非ましめ」のすすめ モリさんの釣魚三昧 森村誠一高層の死角森村誠一社 賊盛川宏 〈釣り・バカに捧げ・る〉 森村誠一鉄筋の畜舎森村誠一銀河鉄道殺人事件森毅ものぐさ数学のすすめ 森村誠一裂けた風雪森村誠一花 刑森瑤子夜ごとの揺り籠、 = ロ

3. 回転木馬のデッド・ヒート

火火 一三ロ 回転木馬のデッド・ヒート 村上春樹 講談社

4. 回転木馬のデッド・ヒート

回転木馬のテッド・ヒート 村上春樹 見代の奇妙な空間ーー都会。そこで暮 工らす人々の人生をたとえるなら、そ れはメリー・コーラウンド。人はメリー・ ゴーラウンドに乗って、日々デッド・ヒ ートを繰りひろげる。人生に疲れた人、 何かに立ち向かっている人・ : : ・、さまざ まな人間群像を描いたスケッチ・ブック の中に、あなたに似た人はいませんか す れ ヒ中月 円 馬樹本 木春・ 一ム面 村定① 6 7 村上春樹① 6 回転木馬のデッド・ヒート 9 7 8 4 0 61 8 4 3 1 9 6 I S B N 4 ー 0 6 ー 1 8 4 5 1 9 - 2 C 0 1 9 5 \ 5 6 9 E ( 5 ) ノルウェイの森上下 風の歌を聴け ダンス・ダンス・ダンス上下 1973 年のビンホール 遠い太鼓 立作羊をめぐる冒険上下 火火 翻夢て会いましよう ( 糸井重里と共著 ) 国境の南、太陽の西 空飛び猫 ( 訳 ) 上カンガルー日和 一三ロ 村 帰ってきた空飛び猫 ( 訳 ) 回転木馬のデッド・ヒート やがて哀しき外国語 羊男のクリスマス 1 9 2 0 1 9 3 0 0 5 6 9 7 カバー装画岡本滋夫 冓談社立庫 社立庫 火火 む 6-7

5. 回転木馬のデッド・ヒート

かいてんもくば 回転木馬のデッド・ヒート 、かみはるき 符上春樹 ⑥ Haruki Murakami 1988 円 88 年月馬日第一刷発行 円 97 年Ⅱ月図日第 25 刷発行 発行者一一野間佐和子 発行所 - ーー株式会社講談社 東京都文京区音羽 2 ー 12 ー 21 〒 112 電話出版部 ( 03 ) 5395 ー 3510 販売部 ( 03 ) 5395 ー 3626 製作部 ( 03 ) 5395 ー 3615 Printed in Japan 製本 印刷 製版 デザイン ー 01 I S B N 4-0 6 ー 1 8 4 51 9 ー 2 ( 庫 ) 容についてのお問い合わせは文庫出版部あてにお願いい 送料は小社負担にてお取替えします。なお、この本の内 落丁本・乱丁本は小社書籍製作部あてにお送りください。 講談社立庫 定価はカバーに 表示してあります ー菊地信義 豊国印刷株式会社 凸版印刷株式会社 株式会社国宝社 本書の無断複写 ( コビー ) は著作権法上での例外を除き、禁じられています。

6. 回転木馬のデッド・ヒート

120 「嫌なことを言いますね」と彼はくすくす笑いながら言った。それから真顔にかえった。「しか し妙だな。あなたに言われるまで、それについて一度も考えてみたことがなかった。その : う一回あれが来るかもしれないってことをね。ねえ、ほんとうに来ると思います ? 「そんなことわかるわけないさ」と僕は言った。 彼はグラスをときどきぐるぐるとまわしながら、ウイスキーを少しすっすするように飲んだ。 そして空になったグラスをテープルに置いて、ティッシュ ーで何度か鼻をかんだ。 「あるいは」と彼は言った。「あるいは、それは今度はぜんぜん別の人の身に起こるのかもしれ ませんよ。たとえば村上さんとかね。村上さんだってまるつきりの潔白ってわけじゃないでしょ その後も、僕は彼と何度か顔をあわせ、前衛的とはいいがたい種類のレコードを交換したり洒 を飲んだりしている。年に一一回か三回というところだ。僕ー日 = = 口をつけるようなタイプではない ので、正確な回数まではわかりかねる。ありかたいことにいまのところ、彼の方にも僕の方に 嘔吐も電話もやってきてはいない。

7. 回転木馬のデッド・ヒート

に畿かしくもないし、べつに不決でもない ただ何年か前ー一 ことした偶然で、彼女の夫とい、つ人物にムムって話をしたことがある。彼は僕と 同い年で、あるレコード会社のディレクターの仕事をしていた。背が高く、物静かで、なかなか 感じの良い人物だった。髪のはえぎわが、まるで競技場の芝生みたいにきれいな直線に揃ってい た。僕は仕事の都合で彼と会ったのだが、必要な話が終ると彼は「女房が以前村上さんのことを 存じあげていたそうですよ」と僕に言った。そして彼女の旧姓を言った。その名前と彼女の存在 とがしばらく頭の中で結びつかなかったが、大学の名前とピアノのことを聞いて、僕はやっとそ れが彼女であることに田 5 い至った。 「覚えています」と僕は言った。 そのようにして、僕は彼女のその後の軌跡を知ることになったのだ。 の 「村上さんのことは雑誌のグラビアか何かで見かけて、それですぐにわかったんだそうです。な め つかしがっていましたよ」 女「僕もなっかしいですね」と僕は言った。しかし僕は彼女が僕のことを覚えているとは思わな きかったので、実のところなっかしいというよりはいささか不思議な気持がした。考えてみれば僕 はと彼女が顔をあわせていた時期は本当に短いものだったし、直接口をきいたことさえ殆んどな かったのだ。田 5 いもよらないところに自分の古い影かとどまっているというのは考えてみればな んだか不思議なものだった。僕はコーヒーを飲みながら、彼女のやわらかい乳房と髪の匂いと僕

8. 回転木馬のデッド・ヒート

140 「そうなったら村上さんにも連絡します」と彼女は言った。 僕は手帳のメモ欄に住所を書き、それを破って彼女に渡した。彼女は礼を言った。 「ところで、その時にいろんな男の人と寝てもらったお金は結局どうしたの ? と僕は質問し 彼女は目を閉してウイスキーを飲み、それからクスクス笑った。「どうしたと思います ? 」 「わからないな」と僕は言った。 「全部そっくり三年定期にしちゃったの」と彼女は言った。 業は笑い、彼女も笑った。 「その頃はもう結婚や何やかや、 いくらお金があっても足りないってことになってるかもね。そ う思いません ? 」 「そうだね」と僕は言った。 中央のテープルのグループが大きな声で彼女の名前を呼んだ。彼女はうしろを向いて、手を 「もう行かなくちゃ」と彼女は言った。「長話につきあわせちゃって、どうもすみません」と彼 女は言った。 「こんな風に言っていいものかどうかよくわからないけど、面白い話だったよ」と僕は言った。 彼女は椅子から立ちあがり、につこりと笑った。とても素敵な笑顔だった。

9. 回転木馬のデッド・ヒート

は同しものでいいと言った。それで僕はシーヴァスのオン・ザ・ロックをダブルでふたっ注文し 「あちらにはいなくていいの ? と僕は中央のテープルの方をちらりと見てから言った。 「いいんです」と彼女はすぐに言った。「仕事のつきあいで飲んでるだけだし、それに仕事じた いはもう終っちゃったようなものだから」 ウイスキーが運ばれてきて、我々はグラスに口をつけた。いつものシーヴァスの香りがした。 「ねえ村上さん、あの雑誌つぶれちゃったの御存じでしよう」と彼女は言った。 そういえばその話は聞いたことがあった。雑誌としての評判は悪くなかったのだが売れゆきが 悪かったので、一一年はど前に会社がスクラップにしてしまったのだ。 「それでその時に私も配属がえになったんですけど、行き先が総務課だったんです。そんなのつ てありえないことなんで、すいぶん抵抗したんですけど、結局は会社の方に押しきられちゃいま して、そんなこんなでなんだか面倒臭くなって退社したんです」と彼女は言った。 「なかなか良い雑誌だったのにね」と僕は言った。 彼女が会社を辞めたのは二年前の春で、それと前後して彼女は三年間つきあっていた恋人とも 別れることになった。訳を一言うと長い話になるが、このふたつの出来事は密接に関係しあってい

10. 回転木馬のデッド・ヒート

115 嘔吐 1979 くらいだし、仕事だって一人ばっちで集中しなきやできない種類のものだし、友だちはいるけ みんなこの歳になればにしくてそんなにしよっちゅ、つムエえるわけじゃなし : : : そ、つい、つ生活っ わかるでしよ、つ ? ・ 「うん、まあね」と僕は同意した。 彼は氷の上にウイスキーを注いで、指先で氷をぐるぐるとまわしてかき混せてから一口飲 , だ。「それでちゃんと腰を据えて考えてみたんです。俺はこれからどうすりやいいんだろうつ ね。このまま一人でいたすら電話と嘔吐にすっと悩まされることになるのかってね」 「まともな恋人をみつければよかったんだ。自前のやつをさ」 「もちろんそれも考えましたよ。僕もそのときだったし、まあこのへんで身を固めても悪く・ いなってね。でもやはり結局はダメです。僕はそういうタイプの人間じゃないんです。僕はな , ていうか、そういう風な負け方に我慢ならないんです。吐き気とかいたすら電話といったよ、丿 わけのわからない理不尽なものに降参して、それで自分の生き方を簡単に変更しちゃうとい、 2 とに対してね。それで僕はとにかく体力と精神力の最後の一滴がしばりとられちまうまでとに , く闘ってやろうと決心したんです」 「ふうん」と僕は言った。 「村上さんならどうしますか ? 」 「さあどうするかな、見当もっかないな」と僕は言った。本当に見当がっかなかったのだ。