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検索対象: 放射性同位元素等取扱者必携
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1. 放射性同位元素等取扱者必携

8 ・ 5 測 定 の 義 務 177 8 ・ 5 測定の義務 所で行う . 表示付放射性同位元素装備機器は放射線の量を機器表面で測定する . ( 3 ) 測定の項目と場所を表 8 ・ 7 のように定めてあり , それぞれ最も適した箇 難な場合 , 計算で算出してよい . ( 2 ) 測定は放射線測定器を用いて行う . ただし , そのような測定が著しく困 当量率や 70 〃 m 線量当量率を測定しなければならない場合がある . ( 1 ) 放射線の量の測定は lcm 線量当量率について行う . ただし , 3mm 線量 各号に定められている . 〔 1 〕場所等について場所については障害防止法施行規則第 20 条第 1 項 条に定められている . の作成や保存等も義務づけられている . これらの詳細は障害防止法施行規則第 20 についても放射線の量および汚染の状況について測定しなければならない . 記録 場所と人を対象とする測定の義務は障害防止法 20 条に定められており , いすれ 表 8 ・ 7 測定すべき項目と場所 項目 場 所 放射線の量使用施設 , 詰替施設 , 廃棄物詰替施設 , 貯蔵施設 , 機器設置施設 , 廃棄物貯蔵施設 , 廃棄施設 , 管理区域の境界 , 事業所などのうちで 人が居住する区域 , 事業所などの境界 放射性同位作業室 , 廃棄作業室 , 汚染検査室 , 排気設備の排気ロ , 排水設備の 元素による排水口 , 排気監視設備のある場所 , 排水監視設備のある場所 , 管理 汚染の状況区域の境界 ( 4 ) 測定の時期については作業開始前に 1 回 , 作業開始後は次のようである . ( i ) 放射線の量の測定〔 ( ⅱ ) および ( ⅲ ) 以外〕と , 作業室 , 廃棄作業室 , 汚染検査室および管理区域境界における汚染の状況の測定は , 1 カ月を超えない 期間ごとに 1 回 . ただし , 排気・排水設備にある排気・排水口 , ならびに排気・ 排水の監視設備のある場所での汚染状況の測定は , 排気・排水するごとに行う . 排出が連続的な場合は連続的に行う . ( ⅱ ) 密封放射性同位元素や放射線発生装置を固定して取り扱う場合 : 放射 性同位元素や装置を固定して取り扱い , 取扱方法やしゃへい物の位置が一定して いるときの放射線の量の測定〔 ( ⅲ ) の測定を除く〕は 6 カ月を超えない期間ごと ・・・使用施設 , 貯蔵施設 , 管理区域の境界 , 事業所などの境界 . に 1 回 .

2. 放射性同位元素等取扱者必携

6 ・ 10 X 線を発生する装置の安全取扱い 137 留放射能がある場合は , 出入口にハンド・フット・クロスモニターを用意す からは開くことができない機構とする . できない機構とする . また , 非常口を設ける . ( 3 ) 出入口 : 通常作業者の出入口は 1 箇所とし , 扉が閉しられなければ運転が る . これは通常は閉じられ , 外部 する . 加速器停止後に発生器室で作業する場合は十分時間が経過した後 , 残留放 イッチにより加速器の運転を即時停止させるか , または出入口 , 非常ロより脱出 もとに戻す . 作業中に誤って運転が開始された場合や火災などの際には , 非常ス パーソナルキーを する際には汚染検査を行い , 作業の内容 , 時間などを記録し , 曝モニターとパーソナルキーを携行し , 扉は開いたままとする . 発生器室を退出 作業者が発生器室を出入りする場合は , 運転者に告げる . 作業中は必す個人被 常が発生した場合は直ちに運転を中止する . 場合も同様の予告を行う . 運転中は放射レベルや加速器の状況を常に注意し , 異 に警報装置により運転開始を予告し , 1 ~ 2 分後に運転を開始する . ビームを出す 運転者は運転に先立ち , 発生器室内に人のいないことを確かめる . 運転の直前 6 ・ 9 ・ 4 安全運転および発生器室内での作業 インターロック系が故障した場合は , 加速器は停止する機構とする . るインターロック系を組み , 加速器の起動および停止と連結する . もし万一 ⑧インターロック : 出入口の扉 , パーソナルキー , ェリアモニターなどによ 場所に設ける . ( 7 ) 非常スイッチ : 加速器の緊急運転停止のため発生器室内の目につきやすい 自動式のものを設ける . ( 6 ) 警告灯 : 発生器室および周辺に加速器の運転およびビーム出力を警告する ( 5 ) 警報装置およびインターホン : 発生器室と運転室間の警報および通話用 . るときにキーポックスに戻す . キーが揃わないと作動できないようにする . ( 4 ) バーソナルキー : 発生器室に入室する際には作業者は必す携行し , 退出す 射能について測定を行って安全を確かめた後立入る . 6 ・ 10 ・ 1 X 線は , 6 ・ 10 X 線を発生する装置の安全取扱い X 線と物質の相互作用 物質と相互作用して , 光電吸収 , トムソン散乱 , コンプトン散乱 , 電

3. 放射性同位元素等取扱者必携

170 8 章放射線障害の発生を防止するために制定された法令 8 ・ 4 ・ 1 使用の基準 放射性同位元素等を使用する場合の技術上の基準は , 障害防止法施行規則第 15 条において詳細に規定されている . これらの規定は法令のうえでは使用者と取扱 主任者に対するものであるが , 実際はそれぞれの取扱者が遵守すべきことである . その主要な点は次のとおりである ( 障害防止法第 15 条 , 同施行規則第 15 条 ). ( i ) 放射性同位元素等を使用する場所は , 使用施設に限定すること . この規 定が適用されないのは , 密封されていない放射性同位元素等を広範囲に分散移動 して一時的に使用する場合や , 届出使用者が密封された放射性同位元素を使用す る場合などに限られる . ( ⅱ ) 密封されていない放射性同位元素は , 作業室で使用すること . 作業室以 外で使用してはならない . ( ⅲ ) 密封された放射性同位元素は , 開封・破壊のおそれのない状態および漏 えい , 浸透などによって散逸して汚染するおそれのない状態で使用すること . ( ⅳ ) 密封された放射性同位元素を移動させて使用したときは , 使用後直ちに 異常の有無を点検すること . ( v ) 放射性同位元素等の取扱いに当たって , しゃへいを設けること , 距離を おくこと , 被曝時間を短くすること , などの措置を講じて線量が実効線量当量限 度および組織線量当量限度を超えないようにすること . ( ⅵ ) 作業室内の空気中の放射性同位元素濃度および室内の表面汚染密度を 濃度限度以下および表面密度限度以下にすること . ( ⅶ ) 作業室での飲食および喫煙を禁止すること . ( ⅷ ) 作業室から退出するときは , 放射性同位元素による汚染を検査し , 汚染 があればそれを除去すること . ( ⅸ ) 作業室または管理区域から , 表面密度限度またはその 1 / 10 を超えて汚 染された物を , みだりに持ち出さないこと . ( x ) 放射線業務従事者以外の者が管理区域に立ち入る場合には , 放射線業務 従事者の指示に従わせること . いすれの事項も , 各事業所ごとに取り決められた放射線障害予防規定や放射線 施設ごとに申し合わされた実施要領などに , 具体的に規定されていて , 施設内の 目につきやすい場所に掲示されているはすである .

4. 放射性同位元素等取扱者必携

130 6 章放射性同位元素等の安全取扱い に放射性同位元素を静脈注射してその動態を調べる実験であり , バット内におい て , 麻酔をしてから 11.1 MBq(300 gCi) の 3H 化合物を注射器で局所に投与した . 兎が眠ったように思われたので , 実験者はその机から離れて別の仕事にかかった . ところがしばらくして兎は動き出し , 床に落ちた . そのとき放射性同位元素を含 む体液の 1 滴が床に付着した . 兎が床に落ちたのを大したことと考えずに , 単に 拾い上げるにとどめたのである . そしてついにはスリッパで汚染を広げてしまっ た . 実験者が 3 人もいながら , 放射性同位元素を投与した動物を汚染の起こり得 る状態で放置したのが根本原因であり , 次にいえることは動物を拾い上げた直後 に汚染検査をしなかったことである . 幸い床にはあらかしめビニルシートが敷い てあったので , その張り替えを行って比較的簡単に除染できた . スリッパは 5 足 全部を中性洗剤で洗い , 実験台 A 上のポリエチレンろ紙は張り替えた . 例 2 : 1 人でサンプルづくりをしていた A 氏は , 作業を終わって退出する前に ハンドフットクロスモニターで汚染検査を行った . 驚いたことに両手の汚染を知 らせる赤ランプが点灯した . 何かの間違いかと思い管理室の S 氏を呼んで確かめ ることにした . S 氏は大口径 GM サーベイメータでます A 氏の手足 , 衣服を入念 に調べた . 衣服などには汚染はなかったが , 手は表面で約 2000CPm を計数した . 手はすぐに中性洗剤で洗い , 指先は爪プラシを用いて入念に洗った . 洗浄後は幸 いバックグラウンド程度のカウントとなった . 実験室および A 氏の動いた所を詳 しく調べた結果 , 次のことがわかった . 作業室のフードの中 , フードの前の床 , また貯蔵室のカギも汚染されていた . その他の箇所は幸いにも汚染されていなか った . A 氏の取り扱っていた試料は , 2 日前に原子炉で植物種子に中性子を照射し て作成したもので , おもに 24Na ( 半減期約 15 時間 ) 約 37MBq(1mCi) と , 42K ( 半 減期約 12 時間 ) 約 370kBq ( 10 gCi) とが含まれていた . サンプルはいくっかに分 けて小さなビニル袋に入れ , その外へ 1 袋すつにティッシュペーパーをまいた状 態で中性子照射を行ったものである . A 氏は , この照射試料を測定サンプルとす るため新しい袋へ移し替える作業をしていた . 袋の中のサンプルは注意して取り 扱っていたが , サンプルを包んでいるティッシュペーノヾーは放射化されていると は思わす , したがってゴム手袋を使用せすに素手で作業を行っていた . ティッシ ーも中性子の照射によって , 放射化されしかも , は、ろは、ろになって散乱 しやすくなっていたのである . 除染はすぐに行われ , カキ、は入念に洗浄を行い , 作業室のフードに敷いてあっ

5. 放射性同位元素等取扱者必携

201 黒化濃度・・・ ・・・ 137 ・・・ 78 コッククロフトーワルトン (Cockcroft-Walton) ・・・ 157 加速器・・・ ・・・ 156 骨髄幹細胞・ ・・・ 157 ・・・ 156 骨髄死・・・ ・・・ 185 ・・・ 39 ゴム手袋・ ・・・ 147 ・・・ 118 コリメータ・ ・・・ 155 , 182 ・・・ 138 コリメート (collimate) ・ ・・・ 183 ・・・ 11 コールドラン (cold run) ・・ ・・・ 182 ・・・ 100 , 107 コンフ。トンエ . ッジ・・ ・・・ 182 ・・・ 64 コンプトン効果 (Compton effect) ・ ・・・ 182 ・・・ 11 , 62 , 64 ・・・ 183 サ行 ・・ 18 サイクロトロン (cyclotron) ・ ・・・ 38 , 53 ・・・ 83 再結合・・ ・・・ 33 再生係数 (build-up factor) ・ ・・・ 13 最大飛程・・・ ・・・ 12 最適化 ( 叩 timization) 作業室・ ・・・ 37 , 149 作業室内・ 錯化剤・・ ・・・ 138 ータ ( survey meter ) ・・・ 58 サーベイメ ・・・ 42 サムピーク・ ・・・ 32 酸素・・・ 酸素効果・・・ 3mm 線量当量 (f13mm) ・ ・・・ 68 ・・・ 66 散乱 X 線・ ・・・ 96 散乱線・・ ・・・ 82 残留放射能・ ・・・ 90 (genera tO r , COW) ジェネレータ ・・・ 135 ・・・ 17 紫外線・・・ しきい値・ ・・・ 10 , 62 , 64 ・・・ 17 事業所外運搬・ ・・・ 63 事業所内運搬・ 自己吸収・・・ ・・・ 64 ・・・ 64 地震・火災・ 示性 X 線・・・ ・・・ 2 , 88 , 150 自然環境・・・ ・・・ 45 自然計数率・・・ ・・・ 174 自然放電・・・ ・・・ 147 警報装置・ 血管壁・ 血球・ 血色素・ ケノトロン 健康障害・ 健康診断・ の結果に関する措置・ の時期・ の方法・ を省略・ 検査または検診・ 原子核乾板・・・ 原子爆弾・ 検出感度・・・ 減衰・・ 減衰曲線・・・ 減衰係数・・・ 原爆被爆者・・・ 高圧電流電源・ 高エネルキ、一粒子・・・ 高感受性・・ 交換反応・・ 光子 (photon) ・ 光子クエンチング・・・ 高純度 Ge 真性半導体検出器・ 合成・・ 較正定数・・・ 校正用標準線源・・ 高速中性子・・ 光電管・・ 光電効果・・・ 光電子・・・ 光電子増倍管・・・ 光電ピーク・・・ 後方散乱ピーク・・ 国際放射線防護委員会・・・ 国連科学委員会 (UNSCEAR) ・ 固形化・・ 個人管理・ ・・・ 20 ・・・ 60 ・・・ 13 ・・・ 10 ・・・ 88 , 151 ・・・ 109 ・・・ 170 ・・・ 93 ・・・ 81 , 107 ・・・ 64 , 67 ・・・ 53 ・・・ 77 , 167 ・・ 143 , 186 ・・・ 141 ・・・ 136 ・・・ 25 ・・・ 50 ・・・ 152 ・・・ 172 ・・・ 171 ・・・ 75 ・・・ 184 1 亠 -4 ・ 1 人

6. 放射性同位元素等取扱者必携

176 8 章放射線障害の発生を防止するために制定された法令 告示の定義によると , このような比の合計が 1 になるときの各放射性同位元素 の濃度が排水中の濃度限度であるから , 上記の値は 1 より低く , 障害防止法施行 規則第 19 条の基準を満たしていることになる . 排気についても同様に計算でき る . このはか障害防止法施行規則第 19 条には , 排気や排水の設備に付着した放射性 同位元素汚染物等を除去したり , 排水を浄化する作業などでは , 汚染の広がりを 防止するための施設または器具および保護具を用いることを定めている . 液体状 放射性同位元素をそのままあるいは固形化して保管する場合 , その容器の基準と して液体がこは、れにくいことや浸透しにくいことをあげている . その容器にきれ つや破損等の生するおそれのあるときの , 汚染の広がりを防止する方法について も定めてある . 液体状放射性同位元素の , 容器に固形化する作業 , 焼却後の残渣 を搬出する作業 , 固形化する作業は廃棄作業室において行うことも定められてい る . このほか , 廃棄の技術上の基準のうち業務従事者の線量当量については使用 の基準 ( 障害防止法施行規則第 15 条 , 第 3 号 ) を準用している . 届出使用者については廃棄施設の設置が義務づけられていないため , 障害防止 法施行規則第 19 条第 2 項に廃棄の方法などが簡単に記され , それと並んで , 行為 面で使用の基準 ( 障害防止法施行規則第 15 条 , 第 3 号および第 10 号から第 12 号 まで ) の準用を定めている . 保管廃棄については , 障害防止法施行規則第 14 条の 11 第 8 号に , その設備に ついて規定されている . 外部と区画された構造 , 閉鎖のための設備または器具 , 耐火性の構造その他の基準に適合する容器を備えることなどが定められている . 管理区域の境界にさくなどを設けることは同じく第 9 号に , 標識については同 しく第 10 号に記されていて , 排水設備・排気設備・廃棄作業室・汚染検査室 ( 焼 却作業を行う場合に必要 ) ・保管廃棄設備・保管廃棄用の耐火性の容器および管 理区域境界などに対して規定されている .

7. 放射性同位元素等取扱者必携

158 RD3 区分 RAI RBI RB2 RC 1 RC2 RD2 7 章保健管理 表 7 ・ 8 指導区分と事後措置の一例 内容 事後措置検診について 勤務を休む必要があり , かっ医師による 主治医に適宜 医療行為を必要とするもの 受診のこと 要休養 放射線作業を禁止し , かっ医師による直 要軽業 放射線作業を制限し , かっ医師による直 接の医療行為を必要としないもの 放射線作業を禁止するが , 医師による直 接の医療行為を必要とするもの 要注意 師の観察を要するもの 業務は平常に行ってよいが , 定期的に医 接の医療行為を必要としないもの 放射線作業を制限するが , 医師による直 接の医療行為を必要とするもの 1 カ月ごと 3 または 6 ヵ 全く平常の生活でよいもの 月ごと 指導区分を決め , 同時に健康保持のため必要な措置を指示し , その指示内容が実 線業務従事者の一般健康状態のチェックを行うと同時に , 万一の事故や障害発生 ることを否定できないからでもあろう . むしろ , 健康診断の主要な目的は , 放射 その一つは , 環境管理や個人管理には , 技術的制約を含め , 現実的な制約があ 務づけられている理由は , あえて次のように理解される . うことができる . にもかかわらず , 検査項目や検査期間を指定して健康診断が義 いいかえれば , 健康診断は決して個人被曝のモニターの代用にはならないとい である . 敏とされる血液所見が影響を受ける線量からは , 問題にならないほどに低いから 被曝線量に関する現在の目標になっている管理レベルは , 検査項目の中で最も鋭 の発見を目的とした健康診断の意義は , ほとんどないと考えるのが妥当である . 環境の管理が十分であり , 個人の被曝管理が適正に行われていれば , 放射線障害 人の保健といえば , すぐ健康診断を思い浮かべるかもしれない . しかし , 作業 7 ・ 9 保健管理の意義 第 24 条 , 別表第 4 に準拠した表を示す ( 表 7 ・ 8 ) 則に定められている ( 8 章参照 ). ーっの参考例として , 人事院規則 10-4 , 第 23 条 , 行されていることを確認することが保健管理の実務であり , この措置は法令 , 規

8. 放射性同位元素等取扱者必携

8 ・ 11 X 線装置の安全取扱いに関する法令 187 たときとその後毎年 1 回の定期検査を要求している ( 第 9 条の 2 ). 検査項目は「人 事院規則の運用について」に示されているように , 装置や部屋 , 管理区域等の状 態の再確認とサーベイメータなどによる漏えい線量率分布の測定である . 漏えい 線量率の測定結果は保存するだけでなく , 目につくような所に掲示して , 装置使 用者の注意をうながさなければならない . また , 回折装置でのカメラ交換のよう な使用条件の変更に際しては随時漏えい線量率を測定しなおすべきである . 検査 記録は 3 年間保存しなければならない . これに対して作業記録のように人間が関 係する記録の保存期間は 5 年間である . 定期検査の検査員の資格については , 十分な知識と技能を有すると認められる 者としか規定されていないから , 取扱者を含めその機関で知識と経験が最も多い 者を検査員に指名すればよい . X 線関係の資格としては , 放射線取扱主任者以外 に X 線作業主任者があるが , これは人事院規則でなく電離放射線障害防止規則で 定められている . 多数の X 線装置をもっている機関であって放射線取扱主任者が いない場合 , この X 線作業主任者に相当する者〔たとえば放射線 ( ェックス線 ) 取扱主任者〕を選任しておくことか望ましい .

9. 放射性同位元素等取扱者必携

早 保 健 管 理 7 ・ 1 安全と保健のための原則 今日の我々の生活は , 科学技術の目覚ましい進歩によって , いろいろの面では かり知れない恩恵を受けているが , その反面では , 健康障害を起こし得る多くの リスク ( risk ) 要因が不可避的に新しく生じていることを忘れてはならない . 放射 線に関しても事情は全く同様である . これによる健康障害はすでに職業病として のにがい経験があり , 公害としての議論の余地も残されている . 放射線被曝による健康障害には , かなり特異な点がある . 放射性同位元素等を 取り扱う者は , いくら細心の注意を払っても個人被曝が 0 であるとは考えられな . にもかかわらず , どんな微量の被曝であっても , 「人体には悪い影響こそあれ , 決して好ましい効果はない . 」と考えるのが今日の常識である . しかも , 一生涯の 集積線量として問題にすべきこともまた常識とされている . さらに , 個人の健康 障害としては無視できるほどの被曝であっても , 集団としてあるいは全国民とし てのスケールで被曝を評価する必要がある . 遺伝的影響に関しては , 被曝した個 人の枠を越えて疫学的に無視できないからである . 放射性同位元素等の取扱いはこのように , 「個人と集団に対するリスク因子の積 み重ね」と考えられるので , 正味のプラスの利益を生むものに限定されるべきも のであり , 法令により安全と保健のために厳しい規制を設けている . 安全と保健のための実務は , 環境管理と個人管理とに分かれるが , 前者は被曝 を常に最少限に維持できる環境作りであり , 後者は個人被曝の測定と健康診断で ある . 放射線管理の不十分な環境と知りつつ , そこで作業する人はいないはすで ある . ところが放射性同位元素等の取扱いは , そのまま環境汚染に直結している ことを考えると , 環境管理が担当責任者だけに課せられた仕事と考える取扱者の 身勝手は許されないことになる .

10. 放射性同位元素等取扱者必携

8 ・ 4 取扱いの基準 175 これらは事業所においての廃棄であり , 事業所の外での廃棄については別に定 められており , 「廃棄施設に保管廃棄」と「海洋投棄」の条項がある . しかし れらは通常の事業所が行うことではないのでここでは説明を省略する . 上記の廃棄の方法をみると , 排気や排水のようにほは、そのままの形態で放出し その途中で浄化するという方法 , 有機廃液の焼却のような作業を伴う方法 , さら にそのままあるいは処理したのち保管廃棄する方法に大別されることがわかる . 排気や排水をそれぞれ該当する設備で浄化し , または放出するという方法に関 して大切な数値がある . 濃度限度である . この値の基礎となる数値は昭和 63 年科 学技術庁告示第 15 号の別表にある . ます , 廃棄施設の基準として排気設備または 排水設備は排気や排水を , この濃度限度以下にする能力を有することと定められ ている ( 障害防止法施行規則第 14 条の 11 ). 排気設備の排気ロ , 排水設備の排水口において , 汚染空気や汚染水の放射性同 位元素濃度を , 科学技術庁長官が定める濃度限度以下とするという廃棄の基準も 施行規則第 19 条に定められており , これらの濃度限度は 3 月間の平均濃度が告示 第 15 号別表第 1 および第 2 に記された値であるとされている . これら別表の一部 は本書末尾の付表に引用してある . 別表第 2 は空気中や水中の放射性同位元素の 種類が明らかで , 別表第 1 にその種類が掲げられていない場合に対応している . 種類が明らかでない場合には , 別表第 1 の対応する欄の数値のうち , 最も低い値 を濃度限度とする . 放射性同位元素が 2 種類以上含まれている場合の濃度限度は告示第 7 条と第 14 条に記されている . それぞれの放射性同位元素について実際の濃度と表の濃度 との比をとり , その比の和について定 表 8 ・ 6 められている . 例をあげてみよう . 3H 排水中濃度限度排水中濃度の例 6 x 1 ( トリチウム水 ) , 14C ( 標識有機化合 2X 10 。 物 ) , 57C0 , 1251 を排水中に見い出した場 6X 100 1X10 ー 1 合 , それが排水中の濃度限度を超えて いないかどうかを計算するという例をみる . 表 8 ・ 6 を見ていただきたい . 濃度は Bq/cm3 で表してあり , 左欄は告示別表の排水中の濃度限度の値である . 比をとっ て合計すると次のようになる . 2.5 0.5 0.5 0.05 十一一十一一一十 60 3 H 57 CO 1251 = 0.88