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検索対象: 機能不全家族 : 「親」になりきれない親たち
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1. 機能不全家族 : 「親」になりきれない親たち

直接的な暴力でなくても、たとえば、子どもが大切にしていたペットの小鳥やウサギを殺した り、犬や猫を傷つけたり、子どもが大事にしていたものをこわしたりしても、結果は同じことで す。 あるいは、父親が子どもの前で母親に暴力をふるうのも同様に、子どもに恐布心を植えつけ、 それが大人になっても傷となって残ります。 そして、子どものときのそうした経験から、たとえ自分だけは絶対に親のようにはなるまいと る 心に誓ったとしても、自分の心の傷を癒すことなく、健全な親業を学ぶことがなければ、結局の てところ、自分の子どもに対して親と同じことをする羽目になるでしよう。 増このように、虐待は、一代だけでは終わらずに、世代間の連鎖となりやすいものなのです。 族 家 の親からの性的虐待ほど子どもを傷つけるものはない 全もっとも信頼できるはずの親から加えられた性的な虐待ほど、子どもの心を傷つけるものはあ 能りません。 大人同士、あるいは夫婦のあいだではごくふつうの性的な行為でも、子どもにとってはそれが そ力い 一非常に大きなダメージになります。性的な発育を阻害したりゆがめたりして、大人になっても、 第 異性とのつき合いがうまくいかなかったり、結婚に恐怖心を抱いたり、健全な性生活がもてなか

2. 機能不全家族 : 「親」になりきれない親たち

がありません。また、自分自身の立場を正しく認識していなければ、他人の立場を正しく思いや ることはできません。 そして、このことを子どもにも日々の生活の中で教えていく必要があります。そうしないと、 子どもが社会に出たときに人間関係が円滑にいきません。この力を子どもにつけさせてやるに は、子どもの立場を理解してやることがかんじんです。 前述のシェリーの場合、母親のカ 1 ラは娘を怒鳴りつけることをやめ、一人の人間として接す するようになりました。そこからシェリ 1 の言動に変化が起こり、責任ある人間として大きく成長 依することになりました。 、つ 私のところに相談に来る親たちに、私はよくこう言います。 A 」 「子どもと接触するときは、自分が一番大切にしている友人か先生と向かい合っていると思って めください。そして、子どもが言ったことを、友人や先生が言ったことと考えて、それに対応する のようにしてください」 もちろん、大人と子どもの違いはありますが、相手が大事な友人や先生だったら、尊敬の念を 子 忘れることはないでしよう。子どもに対しても、そのように接してほしいのです。 一一大人同士が平気で言ったりしたりしていることが、子どもの心に思わぬ深い傷を残す場合もあ ります。逆に、親が敬愛の念をもって自分に接してくれたという経験は、子どもに他人を愛する

3. 機能不全家族 : 「親」になりきれない親たち

全だとわかれば、それを改めていくことができます。 でも、気がっかなければ、不全もそのまま伝承されてしまいます。 不全な家族の中で成長し、不全な大人になると、独立して社会で生きていかなければならなく なったときに、周囲とのコミュニケーションがうまくできず、押しつぶされてしまうことがあり ます。私のところに相談に来る人の多くは、そうした人たちなのです。 こうした不全を大人になってから治そうとしても、容易ではありません。しかし、先ほども一言 ったように、子どものうちなら、適切な措置さえほどこしてやれば、修正もわりと簡単です。 人間だから、だれだって失敗はします。ときには、子どもが思いどおりにならないと、ついイ ライラして怒鳴りつけたりすることもあります。そのときに、ふと自分のしていることに気がっ けば、それは反省と改善のチャンスになります。 その意味では、失敗はむしろ好ましいことですが、ただ問題なのは、失敗を失敗と気づかない こと、それが絶対的に正しいと思い込んでしまっていることです。 まずは自分を愛し、大切にすることから 新しい親業を身につけるには、まず自分の心の傷を癒すことからはじめなければなりません。 自分が人間として幸せであり、自分を愛し、大切にすることができなくては、あるいは、確立

4. 機能不全家族 : 「親」になりきれない親たち

考えることにしたのです。 そうした中で、浮かび上がってきたのが、この父親業、母親業の「仕方ーなのです。 それ以後、私のところへやってくる親たち、これから親になる人たちに、この「親業ーの「仕 方ーを教えてきました。そして、こういう親業の考え方に沿って育った子どもたちが健全な大人 になっていくのを見て、私の確信は強いものとなりました。 もちろん、親業のやり方だけでなく、子どもの仲間や外からの圧力、子どもがもって生まれた 気質や能力などに左右されますが、おおむねこの方法で育った子どもたちが、思いやりに富ん だ、しかも自己主張がはっきりできる自尊心の高い大人へと成長していくのを見届けることがで きました。 問題が多く、不幸な家族が、つまり「機能不全家族」が、この親業の仕方を習得することで、 幸せな家族へと変化していくのを見て、ぜひとももっと幅広く知らせてあげたいと思う気持ちか ら生まれたのが、この本です。 一番大切なのは、子どもを尊敬し、子どもと健全な人間関係を築いていくことだと思います。 人間にとって、子どもと家族との関係がうまくいっているときほど大きな喜びを感じられること は、まずほかにないでしよう。 親自身も子どもを大切にしながら、一人の人間として成長しつづけることが重要です。そし しかた

5. 機能不全家族 : 「親」になりきれない親たち

逃れのウソとはとらないことがかんじんです。 「それじゃあ、しようがないよね」 と、中立的な質問を続けましよう。 「じゃあ、テストのときにおなかが痛くなったりしないようにするには、どうしたらいいかな」 「あんまり食べすぎないようにするとか : 「そうね。それから、朝食を食べてすぐ飛び出していかないようにすることも大切ね。そのため と田 5 一つフ・ れこはどうしたらいい 「少し早く起きるとか : : : 」 の このようにして、ここでは、テストの前に体調をととのえておくことも大切だということを教 っ えてあげればいいのです。こうすれば、子どもにプレッシャーをかけることなく、自分から考え ま てる機会を与えることができます。 ざ悪い点を責める必要はありません。それでなくても、子どもはすでに十分に反省しています。 それより、自分で考えるチャンスを与えてやることが大事です。 しつでも親に相談できるような雰囲気を、ふだんか そして、わからないことがあった場合に、 ) 四らっくっておく必要があります。 第 質問の仕方で気をつけなければいけないのは、質問のように見えて、じつは批判とか皮肉であ

6. 機能不全家族 : 「親」になりきれない親たち

むしろ、反抗期を経験しないで育った子どもは、一見、素直でいい子のような気がしますが、 大人になってから人間関係でつまずくことが多いものです。 仕事の尊さを教えることも大切 仕事をする尊さを教えることも、将来、子どもが独立して、自分と家族を支えていくうえで大 切なことです。家庭内の仕事は、年齢に応じて子どもにも分担させるべきです。 す子どもにやらせると、ものを壊したりするなど、最初はなかなかうまくいかず、親がやってし 依まったほうがよけいな手間がかからないことが多いものですが、子どもの幸せを願うなら、そこ はクリアしていかなければならない部分です。 ただ「やりなさいーとか「しなければならない」という押しつけではなく、仕事のコツをしつ めかり教えることで、それにおもしろみを感ずるよう仕向けていくこと、うまくできたらきちんと のほめてやることが大切です。 男だから、女だからと差別しないで、いろいろな仕事を交代でやらせるのがいいでしよう。 子 母親が風邪をひいたときなどは、高熱をおして台所に立っことはやめて、思いきって家事のす 二べてを子どもにまかせてしまうこともいいでしよう。 第 ご飯がポロポロだったり、おかずの味つけがおかしかったりするかもしれませんが、子どもに

7. 機能不全家族 : 「親」になりきれない親たち

その論争を親がうまく処理することで、それが子どもの手本となり、子どもが成長して家庭を もったときに、その処理法が生きてくるのです。 いくら論争やけんかがないからといって、家族同士に会話がないというのは、やはり子どもに は好ましくない影響を与えるものなのです。 子育てが大事といっても、なにからなにまで子ども中心というのもよくありません。ときには 夫婦だけで一緒に映画をみるとか、外食するとか、温泉旅行に行くなどしてください。 んそして、夫婦のあいだにはそういうことが必要なのだということを、子どもにもきちんと説明 まして、わかってもらうことが大切です。 あ日本では、子どもの数がどんどん減少していて、親の子育て期間も短くなってきています。子 でどもが十三歳ぐらいになったら、親の干渉はほとんど必要なくなるでしよう。 どその一方で、平均寿命はどんどん延びています。そうすると、子離れしたあとの長い人生をつ のき合っていくのは、配偶者だけということになります。 な したがって、この大切な人間関係をなおざりにしていると、子どもが家を離れていったあと あ は、家に赤の他人が二人だけということになりかねません。とくにサラリーマンの男生は、定年 から 六などで職場を離れたあと、なにもやることがなく、もぬけの殻のようになってしまう人も少なく 7 ないようです。

8. 機能不全家族 : 「親」になりきれない親たち

ヒーリング・スペースをとるときに、間違ってもアルコールに手を出したりはしないこと。こ れでは、火に油を注ぐようなものです。車を乱暴に運転することも禁物です。気持ちがどんどん 高ぶって逆効果です。怒りが出ているときは、衝動的、破壊的な行動が出やすいので、ナイフな ど危険なものに触らないようにしましよう。 心を休ませるには、散歩、ジョギング、ストレッチ、エアロビクスなど、身体を適度に動かし めいそう たりするのが有効です。そのほかにも、瞑想する、お風呂に入る、友人に電話をする、気持ちを 紙に書きつける、大声で笑う、犬や猫などのペットに触るなど、いろいろな方法があります。こ のときにもっとも大切なことは、ネガテイプな独り言やセルフトーク ( 頭の中で自分に語りかける こと ) をしないよう気をつけることです。 「子どもなんか苦労ばっかりー「あいつのおかげで、おれの生活はむちゃくちゃだ」「あの生意気 なャローめ」などと、子どもの悪いことばかりが頭にこびりついて、堂々めぐりをしていること があります。これでは、心は休まりません。これを、意識してできるだけポジテイプなものに変 えることが大切です。 「あんな生意気なことを言いやがって、あいつも大人になったものだ」「あの強情なところは、 私に似たのかな。やつばり私の子ね」 こうして一時間ほどヒーリング・スペースをとったら、子どもとの会話を再開する。タイムア 186

9. 機能不全家族 : 「親」になりきれない親たち

いう複雑な状況に追い込まれて、なにをする気もしなくなってしまったという例もあります。 また、親の言っていることとやっていることが違うというダブルメッセージの場合も、子ども が不信感を募らせる原因になります。 抱きしめる、撫でる、やさしい言葉、表情の大切さ 抱きしめる、撫でる、やさしい言葉をかける、愛情にあふれた表情 : : こ一つしたことは、子ど もの健全な発達には欠かすことのできない要素です。 子どものころに親からそうした愛情表現を受けられなかった人は、大人になっても感情の表現 かうまくできないことが多一いようです。 そして、自分が親になっても、子どもを冷たくあしらったり、邪魔者あっかいしたり、そのう ちに折檻したり虐待したりするようになるケースも少なくありません。 した 幼い子どもが親を慕うのは、当然の行為です。親に自分の存在を認めてもらいたいというの そ力い は、普遍的な衝動です。それが阻害された場合の寂しさ、悲しさの記憶は、大人になるまでずつ と残って、精神的な影響をおよばします。 親の家出、自殺などは、子どもに対する究極的な拒絶ともいえます。それが、どれほどひどく 子どもの心を傷つけるかは、改めて一一一一口うまでもないでしよう。 せつかん つの

10. 機能不全家族 : 「親」になりきれない親たち

親に否定的なことを言っても、それだけで理不尽に攻撃されることはないんだとわかれば、子 どもも心の扉を開いて、親の意見に耳をすますようになるでしよう。 ときに、子どもから罵声を浴びせられることもあるでしよう。子どもが怒りで興奮状態にある ときは、どんなに理屈にかなったことを言っても、効果はありません。体内にアドレナリンなど のホルモンが大量に分泌されていて、冷静に考えることなどできない状態になっているのです。 相手を攻撃するか、脱兎のごとく逃げ出すか、防御態勢に入って貝のごとく黙ってしまうか、 め た行動範囲はその程度に限定されてしまっています。 すそんなときに、こちらも同じように怒鳴り返せば、関係はますます険悪になるばかりです。 よ 子どもから怒鳴られてカッとなったら、自分が子どもを怒鳴ったときには、相手もそういう気 を 邸持ちになっているんだということに気づいてください。 邸そして、そういうときこそ、大人は理生で処理するんだというお手本を子どもに示してほしい とのです。一緒になって怒鳴り合っていたのでは、人生経験の多い大人として情けないではありま どせんか。その場は力関係が相手を黙らせても、そのしこりはずっと子どもの心に残ります。 子 そこで、子どもが極度の興奮状態で冷静な話し合いは困難だと判断したら、冷却のための時間 三を確保することが大切になります。 「いまは冷静に話をするのは無理のようだから、もう少し落ち着いてから、じっくりと話を聞こ だっと 129