14. 1 いろいろな図法と絵画的図法 軸測投影がどんなものか知るまえに , 「図」と呼ばれるものを分類して , 軸測投影法で書いた図 がそのなかのどのへんの位置にあるか知ることによって , より理解がたやすくなると同時に , いま まで学んできた図の位置もわかると思うので表 14.1 に示したものを順を追って , いろいろな図法 の概説をしておく . 表 14. 1 14. 多面投影法が 3 つの垂直な面への投影であるが , 軸測投影は図 14.3 のように , 物体の斜め前方 軸 測 守殳 . 製図的手法 絵川ⅱ」手法 いろいろな図 数学的手法 14.1.1 第一角法と第三角法 多面投影法 単面投影法 コンピューク図法 第一角法 第三角法 写真的發法 象徴図 透視図法 れ : : , 】乂彡卩こ 軸測投影法 等角画法 等角投影法 キャビネット カノヾリエ 3 軸投影法 2 結投影 等角投影図法 グラフ・チャート 6 章の 6.2.1 項で述べてあるが , 第一角法は物体を図 14.1 のように , 平面 , 正面 , 側面をも った壁の前に置いて , 平行光線を各面に垂直な 3 方向から当てたときにできる影像について書く方 なかへ物体を入れ , 各方向から平行に見たとき , その面にできる影像を書いものである . 法であり , 図学および機械製図でも一部使用されている . 第三角法は図 14.2 のように , 透明箱の この手法 は , 図面とか製図といわれているものが , ほとんど第三角法にて書かれている . 14.1.2 軸測投影法 (Axometric projection)
7. , 直線 , 点 7. 1 の および平面 図 点は理論的に位置のみあって寸法がない . 図 7.1 (a) は点 A の平面 , 正面 , 側面の各図の見取 投影面に平行な直線は , その平行する投影面から名づける . 7.2.1 直線の基本位置 の投影は , 直立投影面から背後に等しい距離にとればよい ( 図 7.2 参照 ). ることにより書く . 正面図と側面図の端の点の投影は , 同じ高さにある . 平面図と側面図の端の点 である . 平面図と正面図が与えられ , 直線 AB の側面図を求めるには , 両端の点 A と B を設定す のであるが , 一般には一定の線分 (Segment) を意味する . たとえば , 線分 AB の投影は ab—a'b' 線 (Line) とは , とくに断わりがなければ一般に直線を意味する . 理論的には直線は無限長のも 7.2 直線の図 V P V P ら , 点 A と平面と側面投影は図のように直立投影面から後方に同じ距離 D にある . り図 , 図 (b) は正投影である . 任意の物体の平面と側面図は , 直立投影面に垂直な平面にあるか
56 Ⅱ編立 ささき 行 長高奥 図 6. 1 1 0 ( a ) 単一図 ( b ) 2 面図 ( d ) 3 面図 図 6. 12 必要な投影図だけ書く 図 1 つだけで十分理解できることもある・ 図 6.12 (a) のようなパッキンの図では , 側面は不要で正面図だけでよく , 板の厚さい ) は 文字で記入すると手数がはぶけ , 図を複雑にしなくてすむ . (c) のような場合では , 正面図だけでは理解できないので , 平面図は必ず必要となっ 図 ( b ) , てくるが , 側面図は , たとえ書いても , それ以上図を理解させるに役立たないので省略する . 図 (d) は 3 個の投影図を用いて示したものである . このような物体になると , これ以上図を減 らすと , 図面が理解できなくなってしまう . 側面図を書かなかったとすると , A 部分がどのような
Ⅱ編立 体 図 学 図 7.28 こと . そこで , 形状に関係なく , 平面はつねに端形かあるいは同類の外形線となって現われる・ 長方形 , または四辺形となって現われる . 三角形となっては現われないことを十分に理解しておく る . これらの図から , 正方形はつねに直線または四辺形となり , 四辺形となった場合は , 正方形 , (g) は傾斜平面であ ( d ) は直立平面 , 図 ( e ) , 図 (a) は水平平面で図 (b), 図 (g) は主投影に傾けたときで , どの図にも端形図は現われない ( 一般的な位置のものである ). 図 ( f ) は直立投影面に垂直で , 他の 2 主投影面に傾けたときの投影図である . 図 (e) は側投影面に垂直で , 他の 2 主投影面に傾けた場合である . にした水平投影面には端形を表わし , 他の 2 主投影面には縮小した長方形となって表わされる . 図 (d) は水平投影面に垂直とし , 辺 DC を zæ直立投影面から後退させたものであり , 垂直 図 (c ) は側投影面に平行のときで側面図は実形 , 平面および正面図は端形図 . 投影面に平行にした場合で , 正面図は実形 , 平面および側面図は端形図となる . 図 (a) は水平に置いたときで , 平面図では実形 , 正面および側面図は端形図 . 図 (b) は直立 図 7.29 において , 正方形の板を主投影面に対し各種の位置においた場合の投影図である . 7.6.2 平面の主図の見方 に一致する . 両跡線が基準線上 T で合致することが条件である . の交線である . t ′ ( 直立跡線 ) は平面 T との交線であって , t の正面図および t' の平面図は基準線 平面形で図 ( f) ほ平面が両投影面と交わる跡線によって表わすもので , t ( 水平跡線 ) は平面 T と
Ⅱ編立体図学 90 角が 3 つ以上の面からなり , その多面角の和が 38 。 ( 四直角 ) 以ードであるという条件による . 正多面体の投影図を書くには , 一面を水平投影面に倒し , それを稜を軸として再び起こして立体 を組立てるように作図すると便利である . 8.3 その他の多面体 多面体には正多面体のほかに角錐 (Pyramid) と角柱 (Prism) がある . 角錐はその底面が多角形 であり , 他の側面が角錐の頂点 (Vertex) と呼ばれる 3 つの共通の頂点をもっている三角形から構 成された多面体である . 軸 (Axis) は底面の中心を頂点に連ねる直線であり , 軸が底面に垂直であ るときは直角錐 (Right pyramid) といい , そうでないときは , 斜角錐 (Oblique pyramid) という . 角錐の高さは , 頂点から底面の平面までの垂直距離で表わす . 切頭角錐 ( 角錐台 ) は , 切断平面に よって角錐の頂点部分を切断してできた立体である ( 図 8 ・ 2 参照 ). 角柱 (Prism) とは , 2 つの合同の底面 (Base) と呼ばれる平行平面と , 平行四辺形で囲まれてい 構成多角形 外形図 頂点の数稜の数 とその数 正三角形 8 正方形 6 直四角錐 十四而体 24 斜五角錐 正三角形 8 正方形 ニ十六面体 48 24 切 正五角形 正六角形 20 三十二面体 90 60 窟 . 0 . 2 正 三十二面体 60 30 正三角形 20 正方形 30 正五角形 六十】一而体 120 60 アルキメデス立体 , 半正面体 , または 疑似正面体とも呼ばれる 図 8.2
55 6. 投 ( 2 ) 投射線 A に垂直で鉛直な投射線 B, E. ( 3 ) 投射線 A および投射線 A と同方向で逆向きの投射線 F の合計 6 つの投射線で書かれた図 を図 6.9 に示す . 投射線 A による図 A を正面図 (Frontal projection) または立面図 投射線 B による図 B を平面図 ( 上面図 ) (Top projection) 投射線 C による図 C を左側面図 (Left side projection) 投射線 D による図 D を右側面図 (Right side projection) 投射線 E による図 E を下面図 (Bottom side projection) 投射線 F による図 F を背面図 (Rear projection) といい , これらの 6 つの図を主投影 (Principal projection) という . 図 6.9 の 6 つの主投影のある面を , 1 平直に表わすと , 図 6.10 のようになる . 図 6.10 は図 学における表現方法で , 機械製図において GL を引かず , 図の間隔も自由なので機械製図による 表現をすると図 6.10 は図 6.11 のように書くことができる . [ 2 ] 機械製図における必要な主投影図の数 主投影図は , つねに正面図をもととして , 図 6.10 に示したように基準配線に従って平面図 , 側 面図 , 下面図などを書くのであるが , すべての場合に 6 つの図を必要とするわけでなく , その物体 の形状を理解させるのに必要かっ十分なものだけにとどめ , ほかは省略して製図の手数をできるだ が十分に理解できさえすれば , ときには正面 け減らすことが大切であ 、、かえれば , GLI 6q9 GL5 tE19 GL4 図図図図図図 面面 面面 面面 一正平左右下背 図 6. 10 第三角法
67 7. 点 , 直線 , および平面 7.4.1 直線の交わり 図 7.10 , 7.11 のように , 両直線の交点を結ぶ投影対応線が基準線に正しく垂直でなければなら ない . 図 7.10 において , 2 交差線の側面図は重なって表わされるが , 平面 , 正面の 2 隣接図と , ト一 V P V P 図 7. 1 0 図 7. 1 1 交点を結ぶ対応線によって 0 が交点である . 図 7.12 において , 平面図の交差点は正面の点が合 致しないから 2 つの点を表わし , したがってこれ らの直線は交差していない . このことは側面図を 見るとわかる . 7.4.2 平行直線 2 直線が無限遠距離点で出会うとき , これらの 直線は平行であるという . 2 直線が空間において互いに平行ならば , それ らはすべての正投影図において平行に現われる . 2 直線が 1 つの図で互いに平行に現われても , 空間において必ずしも互いに平行ではない、現わ れた平行線が側面線でも平行ならば 2 直線は空間で 互いに平行である。 , 図 7 コ 3 において , XIYI は ab 図 7. 12 に平行 , ・ Y2 は al'bi' に垂直 , X3Yg は a'b' に垂直 , X4Y4 は XY に垂直なる基線の副投影を 示す .
立 , 体 の切断 9 、 1 立体の切断 構造物は外観図たけではその内部形状や構造を表わすことができない . たとえは目動車工ンジン の内部構造は , 外観 ( 外側 ) では知ることができない . そこで , 立体の内部を示すため , 仮想平面 でこれを切った断面をつくる . 平面が立体を切ったとき生ずる切ロの面を断面 (Section) といい 切断する平面を切断平面 (Cutting plane) という . 図 9.1 は 三角錐の切断で , T が切断平面 , 三角形イロハが断面であ る . 断面図としては切断平面 T から手前の部分を取り除いた 残りの部分 ABC イロハ全部を書くことになり , 断面の輪郭 を示す線を断面線 * またはハッチング * * とよぶ . 断面線は立 体と切断平面との交線である . 一般に断面を作図するにはつぎの方法がある . ( 1 ) 副投影法による方法 . ( 2 ) 立体の稜または面を含む補助平面を用いる方法 . 9.2 多面体の切断 多面体の切断を求めるには , 稜と切断平面の交点を求め , これを直線で結ぶか , または多面体の 側面と切断平面との交線を順を追って求めてゆくか , どちらかの方法をとるが , ときには両方を併 用する場合もある . 作図題 1 三角錐 V-ABC を VP に垂直な平面 T で切断したときの断面の実形を求めよ ( 図 9.2 参照 ) . 方針 I) 切断平面 T は VP に垂直であるから , t't ′と v'a', v'b', v'c' との交点 1 ′ , 2 ′ , 3 ′ が T と各辺 VA, VB, VC との交点の立面図で , これより平面図 1 , 2 , 3 を求め れば断面図が書ける . 2 ) t't' に平行に XI ′ YI ′を引いて副投影を書けば断面の実形 I ⅡⅢが求まる . * , * * ハッチングは特別の理由がなければ 45 。の右上がり線とする . ただし異なる断面が隣接する場合は , その方向を変えて区分するが , 断面外形線に平行にすることは避ける . 図の大きさによるが , 大体 2 ~ 3 mm 間の平行線を書き , 線の太さは 0.3 mm 以下に書く . イ 図 9. 1
( 1 ) ( 2 ) ( 3 ) 133 4 ) 円錐の立面図を円板の底平面まで延長し e ′を求め , 円 e を求め Vh より円 e に接 線を引くと円錐の底平面上の影となる . 5 ) 円板の上面の底平面上の影は Oh を中心とする同一半径の円である . 6 ) 円筒部分の影は , 5 ) の影と底円の共通接線で , C, D は円筒の陰線 VA, VB は円 錐の陰線となる・ 練習問題 図 12.9 に示す立体の陰影を求めよ . 直線 AB の標準平行光線による基準面への影を求めよ . 図 12.10 に示す 影を求めよ . 図 12.9 図 12.10 い一 0 ・
6 ・ 、 (a) 平面図 図 6.24 ( b ) 正面図 図 6. 25 図 6.26 ( c ) 側面図