16 ・透視投影 ( 2 ) 有角透視投影 (Angu1ar perspective drawing) または 2 消点法 ( 3 ) 斜透視 (Oblique perspective) 3 消点法または鳥瞰透視図法 167 透視投影が対象とする物体は , 点より線へ , 線より面へ , そして面より立体へと進展するので , 立体を掲げて 3 種類の投影法を説明していく ( 図 16.2 参照 ). 図 (a) は平行透視投影で , 立体 ( 六 面体 ) のうち , ちょうど正投影図法における正面と背面図に当たる 2 つの面が , 画面に平行である . いいかえれば , 対象になる立体のある面が画面と平行であるときをいう . 図 (b) は有角透視投影で , 立体の投影図における立面が画面と平行にならない場合で , しかも 平行透視投影・有角透視投影は , その立体の底面が , 必ず基面に含まれることが条件となってい 図 (c) は斜透視投影で , 立体の 6 つの面がいずれもが , 画面に対して自由な角度を有している 場合である . この 3 種別は消点の数によってなされており , 平行透視では画面に垂直な直線の消点は視心とな り , 測点と距離点とは一致する . また他の 2 主軸の方向の直線は消点がない . したがって , 平行透 視は視心と距離点だけで求められる . すなわち消点の数は 1 つであるので , 1 消点法とも呼ばれる . 有角透視では , 基面に平行で画面と交わる 2 主軸の方向の直線は , それそれ地平線上に消点およ び測点があるが , 他の主軸の方向の直線は消点がない . すなわち消点の数は 2 つであるので , 2 消 占法とも呼ばれる . 斜透視では , いずれの主軸方向の直線も消点および測点があるので , 消点の数は 3 っとなるので 3 消点法とも呼ばれる . 以上 3 種の透視の詳細は後で述べるが , 一般には , 平行透視・有角透視が 多く用いられている . 16. 4 16.4.1 点および線の透視 直接法による透視投影 図 16.3 ( a ) において , 与えられた点を A , 視点を E , 画面を PP , 基面を GP とすると , A の 透視図は視線 EA と画面 PP との交点となる . ゆえに正投影における直線 EA の直立跡を求め PP VC A H aoAo VC ・ GP 図 16.3
/ 1 単曲辛泉 (SingIe curved line) ・・ ・・・線素の方向の変化が 1 平面内に限られた曲線・ ・・・線素の方向の変化が 1 平面内に限られない曲線 . 複曲辛泉 (Double curved line) ・・ 曲線 (Curved line) ・・・・・線素の方向が変わる線をいう . 直糸泉 (Straight line) ・・ ・・線素が同じ方向に連続する線をいう . 線素 ( E1ement ) ・・・・・・近接点を結ぶものをいう . 近接点 (Consecutive point) ・・ ・・・線上に限りなく接近する 2 点をいう . 線 ( Line ) ・・・・・・点が移動するときの軌跡をいう . 4. 1 曲線の接線および法線 ( 用語に関する定義 ) 接線 ( Tangent ) ・・・・・・曲線上の 1 点とその近接点を結ぶ直線である . 接点 (Point of contact ) ・・・・・・曲線上の 1 点をいう . 法線 ( N 。 rmal ) ・・・・・・接点における接線の垂直線 . 曲率円 (Circle of curvature ) ・・・・・・曲線上の 1 点における近接点を通る円を , 曲率半径 (Radius of curvature ) ・・・・・・曲率円の半径をいう・ 曲率中心 (Center of curvature ) ・・・・・・曲率円の中心をいう . 円という . 曲率 ( curvature ) ・・・・・・曲率半径の逆数をいう・ 図 4 1 OP を率半径 0 を曲率中心 QlPQ2 を率円 移動した点の艨跡を曲線 点 T2 から点 P に移動した点の跡を線・点 QI から Q2 声に PN を法線 P を接点 TIPT2 を接線 APQlQ2 を曲線 その点における曲率 0
4. 円錐曲線 解法 F より LM に垂線 CD をつくり , CF の中点に頂点 A が定まる . つぎに CD 上に任 意の 1 点 B で LM に平行 IJ をつくり , 一方 F を中心 , BC を半径とする円で IJ をき り , I, J 点を決めると I, J は求める放物線上の点でああ . B 点を移動して同様な作図を 繰り返す . 作図題 9 1 つの直線 AB と , 頂点 A における接線 AT および曲線上の点 P を与えて放物線を 書け ( 図 4. 13 参照 ). 解法 TP を AB に平行につくり , れ等分し , また AT も同じくれ等分する . 図 4.13 のよ ( 1 ) ( 2 ) ( 3 ) ( 4 ) ( 5 ) ( 6 ) うに頂点 A と AP 上の分点とを結んだ線と AT 上の分点から AB への平行線との諸交 点は求める放物線上の点である . 練習問題 長軸を知りかっ与直線に接する楕円を書け . 長軸または短軸と曲線上の 1 点を知って楕円を書け . 軸 , 頂点および曲線上の 1 点を知って放物線を書け . 準線または焦点を知り , かっ与点において与直線に接する放物線を書け . 2 頂点または 2 焦点を知って直角双曲線を書け . 2 頂点および曲線上の 1 点を知って双曲線を書け .
Ⅱ編立体図学 るから , al を通り基線に垂直な直線上に Oa ″に等しい長さを al から上にとれば , 所要の A ′が求められるが , 図の混雑を避けるため基線を任意に下方に平行移動し , 0a1 ″ = a2A ′として A' を求め , これを所要の透視図とする . 3 ) 同様に他の頂点を求め , それそれを B', C', D ′ , V' としておのおのを結べば求め る透視図が求まる . 16.6 消点 , 直線の全透視 図 16.11 において , 画面 P と A において交わる直線 AB 上の B, C などの点と視点 E とを結 ぶと , E と直線 AB となす角は B, C などの点が A から遠くなるほど小さくなり , 無限に遠い点 と E とを結ぶ直線は , この角度が 0 となる . ゆえに E を通り AB に平行な直線 EV となる . V を 直線 EV の画面への跡とすると , V は AB に直線の無限遠の点の透視になる . このような点 v を 直線 AB の消点 (Vanishing point) という . 図 16.11 直線 AB の透視は , A から始、まり AV 上に B', C' などを経て V 点に終わり , AV 線を直線 AB の全透視図 (TotaI perspective) といい , AB の透視は消点 V で消失 (Vanish) するという . ま た AB に平行な直線 DE は , AB に平行であるから EV にも平行となる . 直線 DE の消点も V となり , すなわち平行な直線は 1 つの消点を共有することになる . また画面に垂直な直線の消点は 視心 VC と一致し , 画面に平行な直線は消点がない . 基線に垂直な平面に含まれる直線の消点は , 視心を通り地平線に垂直な直線上にある . 基面に平行な直線の消点は地平線上にある . 作図題 5 直線 AB の消点と全透視図を求めよ ( 図 16.12 参照 ).
174 体 Ⅱ編立 図 学 ・ dh 図 16. 15 S から ab に平行に引いた直線上にある . したがってこれらの稜の全透視図は Vralbr, VlC1d1 Vlelf1, Vlglhl となる . BC およびこれに平行な稜の消点 V2 は , HL 線上に S から bc に平行な直線上にあり , これらの全透視図は , V2blCl, V2aldr, V2glfl, V2eI となり , よってこれらの全透視図の交点を結べば , 求める透視図が得られる . 16.7 距離点法 図 16.16 において , 基面に平行で画面と 45 。の傾きをもって交わる直線 ATI ・ AT2 の消点は , 視心 E を通り地平線 (HL) と 45 。で交わる DI または D2 となる . このような消点をとくに距離 点 (Distance point) という . また A 点を通り画面に垂直な直線 Aa' を垂直線 (Perpendicu1ar line) といい , その消点は視心 Vc と共有となる . また ATI のような基面と平行で画面と 45 。の傾きを なす直線を対角線 (Diagona1 line) という . ゆえに 1 点 A の透視図を求めるのに , A が垂直線上の 点であるとともに対角線上であるように書くことによって , 両直線の点全透視図を求め , その交点 45 。 図 16. 1 6
16. 透視投影 177 解法図 16.21 において基面上の直線の全透視図を TV とする . この直線の測点は HL 線上 に VS に等しく VM をとった M 点となり , 測線は GL 線上 TL となる . したがって TL 上に , 任意の長さ I に等しく I=TAFAIBI=BICI ・・ ・・となるよう AI, BI, CI, ・ をとり , これらの点と M を結ぶ直線と TV との交点 A', B', C ′ , ・ ・・・が求める等分点の 透視図である . 練習問題 図に与えられた直線 AB, CD の透視図を直接法によって求めよ ( 図 16.22 参照 ). ( 1 ) 図 16.23 の位置におかれた , 長方形 ABCD の透視図を直接法で求めよ . ( 2 ) 図 16.24 の位置におかれた , 階段の透視図を測点と測線によって求めよ . ( 3 ) 測点と 2 消点により二角柱の合体の透視図を求めよ ( 図 16.25 参照 ). ( 4 ) 図 16.26 の正方形 ABCD が水平面上におかれた場合 ( 左 ) と図示の高さに水平におかれた場合との透 ( 5 ) 視図を求めよ . ただし S は停点 , Vc は視心 . ( 6 ) 図 16.27 において , 底面を GP 上におく直円錐の透視図を距離点法によって求めよ . d ・ 図 16.22 図 16.23 6 S 図 16.24 図 16.25
Ⅱ編立体図学 母線との交点 KTIT が定まる . その正面図は IT, 2T の正面図 IF, 2F により VF1p, VF2F 上に KF, IF, K, L は P から円柱の底面への接線と VP を含む補助平面によ る特殊点 ( 限界点 ) である . 5 ) 円柱の平面図の外形線上の点 S, T は , 外形線と底面の交点を 5T とし VP5 補助 平而により求める . 6 ) 最高点 u は P から円錐の底面への接線 VP を含む補助平面による . なお , 正面図の 外形線上の点も , その外形線と底面の交点の平面図を求めて 4 ) , 5 ) と同様に描くこ とができる . ~ 18 10. 5 曲面体と曲面体の相貫体 曲面体と曲面体の相貫線は , 一般には曲線になる . これを求めるには , 立体の外形線上の点 , 曲 線の最高点と最低点と曲線上の途中の点を求 めて , これらの点をなめらかに結ぶと求まる . 作図題 7 同じ水平面上に底面をもっ斜円 柱と斜円柱の相貫 ( 図 10.9 参照 ). 方針 1 ) 斜円柱 mT-mT, mp-mp と斜 円柱 nT-nT, np-np とする . 2 ) 片方の円柱の軸上の 1 点から 他の円柱の軸に平行な直線と第 1 の円柱の軸で定まる平面に平 行な補助平面による . そのよう な補助平面の Ttr が互いに平 行である . 3 ) rnT-mT, mp-mp 上の点 PT PF, PFCIF 〃 np-np 底面を通る水 平面上に qp, その平面図を PTClT//nT-nT になるように qT, が PQM 平面の Ttr 図 10.9 4 ) Ttr に平行な直線と底円との交点 aT, IT, 2T, その正面図 aF, IF, 2F, PQM に平 行で A を通る補助平面による円柱面の跡線は , A, 1 , 2 を通る各円柱の母線になり , それらの交点として rT, rF, ST, SF, R, S は M 円柱の底円に Ttr が接する補助平 面による特殊点 , 同じように , Tu は N 円柱に接する補助平面による特殊点 . ② S :
I 編緒論および平面図学 解法 AB の延長上に任意の 1 点 C をとり CB を半径とし , 増または F2 を中心とする円と , AC を半径とし FI または F2 を中心とする円との交点 DI, D2, D3, D4 は求める双曲線 上の点である . つぎに AB 上の E 点について同様の作図を繰り返せば G 点が求まる . 作図題 6 1 組の双曲線と焦点が与えられたときの双曲線を書け ( 図 4.10 参照 ). 解法 F 田 2 の延長上の任意の点を 1 として , を中心として AI の長さを , F2 を中心として BI の長さをそれそれ半径として , 円弧 を書き , その交点を PI , P ′とすれば , これは求める双曲線上の点となる . なお両焦点を直径とする円と , 頂点 から立てた垂直線との交点 K , L と 中心 O を結ぶ直線は慚近線である . 作図題 7 漸近線と双曲線上の 1 点を与え て双曲線を書け ( 図 4.11 参照 ). 解法漸近線を XIYI, X2Y2 双曲線上 の 1 点を Q とする . Q を通り漸近線 に平行な直線を以 EI , D2E2 とす る . 中心 O から任意の直線を引き , DIEI, D2E2 との交点をそれぞれ , M, N とする . M, N を通り漸近線に平行に引いた線の交点を P とすれば , P は双曲線 上の点である . このように繰り返して点を結べば双曲線となる . 40 D2 図 4. 1 1 4.3.3 放物線 作図題 8 準線 LM と焦点 F を与えて放物線を書け ( 図 4.12 参照 ). 2 3 P' 2 ' 3 ・ 図 4. 1 2 図 4. 1 3
Ⅱ編立体図学 この曲面は , 三角ねじのねじれ面である . リード I のつるまき線を書け ( 図 8.10 参照 ) . 98 作図題 5 半径乙 作図題 6 軸 VA の主投影 va, v'a ′ , および頂角を知って円錐を書け、 8. 11 参照 ) . がつるまき線で , 定直線を軸が 1 回転する間に軸方向に移動する離をリードという . 回転しながら , 同時にその定直線の方向に一定の速さで移動するとき , この点の書く軌跡 方針 1 点が定直線のまわりに , その定直線から一定の距離け ) を保ちつつ , 一定の速さで 0 / 0 ・ 4 方針 8.5.1 図 8. 1 1 3 ) この内接球をもとの v'a', va 上に戻し頂点から接線を引く . 意の内接球 OI' を求める . 2 ) VAI は VP に平行であるから v ′ al' を軸としてを頂角とする円錐を書いて , 任 1 ) val//XY, vm=va なる点 at, さら一一一 a'al'//XY, a1a1′亠 XY より at' を求める . 8. 5 面の 曲面の接平面 接触 その平面をその点における曲面を接平面 曲面上の 1 点を通る任意の 2 平面で曲面を切断し , 交線の曲線にその点においてそれぞれ接線を 引き , この相交わる 2 接線の定める平面を作るとき , (Tangent plane) という . 平面という ( 図 8.12 参照 ) . いて接線新 t2 を引く . 点 p において相交わる 2 直線新 t2 の定める平面を曲面 s の点 p における接 曲面 s 上の点 p を含む任意の 2 平面 T 2 で曲面を切断し , 切断図 sr, にそれぞれ点 P にお
13. 投 空間における点の位置は , 水平面への投影すなわち平面図と , その投射線の長さすなわち高さに よって決めることができる . この高さを示す数字を標高 (lndex) といい , 平面図と標高によって 点 , 線 , 平面ならびに立体などを示す投影を標高投影 (lndexed projection) といい . またそしてそ の図を標高平面図 (lndexed plane) という . 直線の標高投影は , その直線の平面図上に 2 点の標高を記入すれば定まる . また曲線においては その曲線上に適当な点を若干とり , 曲線の平面図上にそれらの標高を記入すればよい . 投影面から 上方を十 , 下方一とする . 標高投影では , 投影面は水平投影面のみの単数面でこれを単面投影 * さをかりに 6 およびー 3 とするとき , これらの点の標高投影は図 ( b ) 図 13.1 ( a ) において , 点 P, Q などの水平投影位置をそれそれ p, q とし , それらの点の高 13. 1 点・直線の標高投影 (Single plane projection) とし、う . 平投影の記号の右下にそれらの高さを記して表わす . 。 Q 図 13.1 * 単面投影にはつぎの投影も含まれる軸測投影 , 斜投影 , (DoubIe PIane Projection) という . の P6, q-8 のように , 水 。 q-3 透視投影 . C 3 これに対して , 正投影を複面投影