母親 - みる会図書館


検索対象: 色彩自由自在
36件見つかりました。

1. 色彩自由自在

なったとかいうと、その子は特殊な家庭の子どもではな いか、と思う人が多いかもしれない。 事実、家庭内暴力や子どもの自殺などのマスコミの報 道を見ていると、たまたま離婚家庭だったとか、父親が 失業中であったとかいう点が強調されがちな論調が少な ところが、僕が 253 年前から関わった思春期相談室 ェでのカウンセリングをふりかえってみても、 や、アトリ いわゆる″欠陥家庭〃のケースはほとんどない。一番多 い登校拒否のケースでも、両親が揃っていて、しかも中 流以上の裕福な家庭がほとんどなのだ。だから、僕のカ ウンセリングを受けるまでにも、さまざまな相談室や、 神経科を転々としていたりする。 国民総中流化の時代。少なくとも、そういう気分に満 ちた社会の中で、家庭の問題の質が変ってきているのだ。 登校拒否、拒食症 : : : 、彼らの絵は本当に色が少ない。 いってみれば感情が凍てついている。子どもたちは何か を拒否しようとしている。第三世界の子どもたちが求め て得られない学校や食べものを、日本の子どもたちは嫌 悪している。金満症といわれる日本の″豊かさ〃を、子 どもたちは拒否しているのだと僕は思う。 母親たちの多くが自嘲ぎみに語る、「うちは母子家庭 ですよ。お父さんは、寝に帰るだけだもの。家庭内離婚 だね」。 外国市場を荒しまくってのしあがった日本の経済。気 づいた時には、家庭関係はポロポロに崩れかけている。 心の寄りそうことのないホームの中に、飲食だけがは びこり、子どもの教育にしか人生の意味を見出せなくな った悲しい母親たちの姿がある。 その教育といっても、テストの点数や偏差値のために 子どもをこづきまわすだけのことだ。 経済成長とひきかえに荒廃しつづける家族関係。この 荒廃は家庭ではなく、人の心を侵蝕しはじめているので はなしか。そのことを・ほくがつくづくと感じたのは、た またま離婚家庭の子どもたちの絵をまとめて見る機会が あったからだ。 工 その子どもたちの絵が暗かった、というのではない。 アむしろ逆なのだ。 、も 「ニコニコ離婚講座」で知られる円より子さん。彼女が 子 主宰する「現代家族問題研究所」の集りに招かれたとき ◎

2. 色彩自由自在

たないし、君にとっても授業は役に立っていないよう だ。ただ、友だちが必要だからという理由で、母親は 君を登校させたいのである。 アト丿ェでの君は、絵具だけでなく、折紙を切り抜 いて次々に画用紙にはりつけて、面白いコラージュ作品 を作ることをお・ほえはじめた。 形にとらわれない分、色の組み合わせが、実にのびや かで気持ちがいし 。君の作業を見ていて、それをまね る子もいる。 君に一一一口葉は少ないけど、色というコミュニケーショ ンの手段が、他の子どもたちとの結びつきを自然に生み だしていく様子がまざまざとわかる。人間にとって、コ ミュニケーションのチャンネルはいくつもあるのだ。 「学校行ってても、何も憶えてこないし、このまま役立 たずの人間に育ったら心配で : : : 」という母親の不安。 でもこの不安を生み出しているのは、君の状態という よりは、言葉のチャンネルを中心にした思考様式のみし か採用しない学校教育という場なのだ。 言葉がなければ色があるさーーー僕はそう思う。 ◎巧 4 「お金がいくらかかっても、この子が学校に戻ってくれ れば : 。そう考えていろいろな相談室や病院の神経科 をまわってみたんですが」 そう言って泣きっかんばかりにして話しはじめた鬨代 後半の母親は、Ⅱ歳の娘のスケッチ・フックを見せてくれ た。娘が登校拒否を起こしはじめて半年になるという。 スケッチブックには少女マンガから抜けだしたような 妖精が描かれている。黒一色の細い線で描かれた妖精は、 今にもかき消えそうなタッチで描かれている。 だが、その子のスケッチブックの中に、一枚だけ色彩 が使われていた。黄色く塗られた家だった。 一流企業の重役だというその子の父親は、ほとんど家 にはいない。そして、神経科をひきずりまわす母親。黄 色い家のイメージは、その子が望んでも得られないあた たかみのある家庭の象徴だったのだろう。 子どもが登校拒否を起こしたとか、あるいは拒食症に

3. 色彩自由自在

はふえるし、つい叱ってしまうんだけど」 「オネショという信号が出てるっていうのは、むしろよ かったですね。どこの子もそうだけど、下の子が生まれ てからは、それまで恋人同然の母親を奪われたわけだか ら、不安ややきもちで一時的に退行することがあるんで すよ。自分も同じように抱いてほしいのに、お兄ちゃん だから、ということでそれが言いだせないでしよう。す ると、体の訴えという形で、不満を表現するんですね。 もっと内向的になる子どもだと、言語障害やチック症 みたいになる場合もあるくらいだから。オネショは、夜 眠っている間に、昼間がまんしている気持ちを発散して いると考えてもいいんです。そうやってバランスをとっ てるんだから、人間の体つてうまくできてるでしよう」 Z 君のお母さんは、ちょっとばかり、ぐっと気持ちを のみこんだような表情になって、ロを開いた。 「でも、どうしたらいいのかしら。私も昼間はたらいて いるから、夜はどうしても赤ん坊中心になってしまうし。 お兄ちゃんには気の毒だなと思うこともあるけど、あん まり甘やかすと、いつまでも自立しないんじゃないかと も思うし」 ◎ 146 そう、多くの母親たちが孤軍奮闘している。夫がサラ ーマンの場合、父親として子どもに接するのは休日に 限られる。 僕の体験からいえば、子育ては毎日が″事件〃の連続 だ。熱を出した、怪我をした、いじめたのいじめられた ので、幼稚園の先生に呼び出されたり。もちろん感動も ある。立った、喋った、縄とびができた、友だちがふえ た、おもしろい絵を描いた : 1 日がおとなの間年分くらいの密度をもった子育ての 日々を、週に 1 度顔を合わせる夫に伝えるのはもどかし しさという時も出張でいなかったりする。といって、 核家族の暮しじや相談相手のおばあちゃんもいない。お まけに都会のまん中では「隣は何する人そ」のマンショ ン生活。 多分、現代のこんな状況もあって、・ほくの「子どもの アト丿ェ」はいつの間にか子育て相談室の場所になって きたらしい Z 君のお母さんが訴えるように、母親 1 人じや上の子 をのんびり甘やかせるような余裕がない。 でも Z 君は、お母さんにべったり甘えていた頃の方が、

4. 色彩自由自在

のことだ。 離婚した母親たちが、自分の子どもの絵を持ち寄って いた。子どもたちの絵は、予想外にのびのびとしていた し、色づかいも明るい。そして何よりも、母親たちの表 情が何といきいとしていたことか。 これは、僕のカウンセリングにやってくる母親たちの 重苦しい雰囲気とあまりに対照的だった。もちろん、離 婚にいたるまでに母親たちの心は揺れる。その一番の悩 みは子どものことと経済的自立のこと。それでも、精神 的絆がない形だけの夫婦関係をとりつくろうことに耐え られなかった母親たちは、子どもと一緒に修羅場をくぐ り抜けて、離婚を決意し、一歩を踏み出す。そんな人々 の集りなのだが、そこにはこたわりをふつきったあとの、 清々しい空気すら漂っていた。 子どもたちにも不安はあるだろう。しかし、親たちの サ・ハサバとした再出発の意気ごみが、子どもの絵の中に、 くつきりとした迷いのない原色を使わせていたのだと思 小学高学年の男の子の絵で、乗りもの や動物など、何を描いても真黒な輪郭でとり囲んである ◎巧 6 のが目についた。物と物のつながりが遮断されている感 しだ。 母親に聞いてみると、今はまだ自分だけが離婚を考え ていて、カウンセリングを受けている段階だという。で ももう長い間夫婦の対話がなく、家の中が冷やかで、一 番つらい時期だと語ってくれた。 ◎ 子どもたちには、家族の形や経済のこと以上に、何よ りも親の気分が敏感に″伝染〃してしまう。 子どもとは親にとって何なのか。カウンセリングの現 場で僕が感じるのは、子どもは、いわば親の潜在意識に 手足が生えたものということだ。 親自身が、自分の奥に閉じこめて封印したつもりのあ りのままの生。ところがどんなに隠してみても、その生 の姿は不思議と子どもに乗りうつって、親の前に立ち現 れる。 登校拒否の子どもが描いた寂しい妖精の絵。あるいは、 親が自立したときに

5. 色彩自由自在

いくのがわかる。 実はこの間、君にとっても家族にとっても大きな変 化が起きていたのだ。それは、第二子の誕生だった。ま わりの大人たちの関心が、産院からもどって来た母親の 腕に抱かれた赤ん坊に集中していく。それまで両親の愛 を一身に受けていた君は、突如、主役の座からひきず りおろされたような気分を味わった。 君の自由画帖を見ると、母親が産院に入院する頃か ら青が増えはじめ、退院してからはさらに濃い濁った青 や黒が画面を埋めつくしている。 この時期君は、はじめて要求の抑制ということを体 験した。孤独や嫉妬、それに諦めを味わった日々であっ たたろう。その心が青という色を求めたのだと思う。 多くの児童画を心理的な面から研究した最初の研究者、 アルシュウラとハトウィックの 2 人は、青の意味を「外 部の規制を受け入れる順応性」と報告している。またユ ング派のセラビスト、クリスティアーネ・ルツツは「冷 静、自足ーの象徴としてとらえている。 僕自身の調査では、君のようにきようだいが生まれ青 ◎ て、孤独を知りはじめる子どもや、小学校や中学校の入 学時期など、新しい集団に適応せざるをえないときの子 どもが、いつも以上に青を好むのが目立つ。 そして、この青も、自発的な順応であれば透明感があ るし、いやいやであればくすんだ青になって現われるこ と。か・多一い あるとき、 2 人の中学生の男の子の絵を見る機会があ った。どちらも歳で、中学に入学したばかり。一方は、 明るく透明な青い空と緑色の大地という風景画、もう一 方は、空想的な宇宙戦争の絵で、宇宙が濃い紺色で塗ら れていた。 風景画を描いた子は、新しい中学校の生活に積極的に 順応しようとするタイプ。宇宙戦争を描いた子は、学校 の厳しい規則に強い反発感を抱いている子で、一時期制 服を脱いで登校拒否をしていた。戦争という題材からも、 心理的な葛藤が感じられる。 このように同じ青でも、暗く濃い青は、強い抑制状態 を感じさせる。 学生に限らず、警察や軍隊など公的な職業の制服の色 に濃い青が多く使われているのも、規制や制限といった

6. 色彩自由自在

どもがふえている。 母親 1 人が背負える範囲を越えて、子育ての場面に社 会の矛盾が集約されている観さえある。相談に来て、椅 子に座ったとたん、母親たちがつく深い溜息。今の時代 の親子関係の生きがたさを感じさせずにはおかない。 しかし、僕のカウンセリングは、子どもたちの 題〃を治療したり矯正したりするようなものではない。 拒食症を治す、あるいは登校拒否を治すためのカウンセ リングではないから、目先の解決を望んでやってくる人 にとっては当てがはずれるかも知れない。 というのも、拒食症や登校拒否を単に病気と決めつけ ることが僕にはできない。ものを食べたくないその子だ けの理由があるはずたし、学校を嫌がるその子だけの原 因があるはずたからだ。 ◎ 拒食傾向をみせて、細くやせてしまった高校三年生の 0 子。母親が見せてくれた 0 子の絵には、白と黒だけで、 拒食症の心に色がもどった ◎ 148 夜叉のような恐しい妖怪が若い娘を食い殺そうとするイ メージが表現されていた。まさに鬼々せまる実にみごと な絵だった。 色がないということは、感情を押し殺しているともい えるし、闇のような暗さの中に心を閉している感じもす る。何が恐くて心を閉じたのか。夜叉のイメージはどこ から来たのだろうか。 母親と話しているうちに、実は娘の症状を心配してい るはずの母親自身が、無自覚のうちに、娘の O 子の心に 喰いこんでいることが感じられてきた。母親は何として も、有名な大学に O 子を合格させたくて必死になってい ードになった頃から、 高校三年になり、受験勉強がハ 0 子の拒食傾向がはじまっている。 一人娘で、親の期待を拒否しにくかったのだろう。 0 子の拒絶反応は、食欲にその症状が出てしまった。この 、と医者に注意された ままでは健康さえ保てそうもない とい一つ。 「お母さん、この O 子さんの絵には、言葉に出せない心 の葛藤を僕は感じるんです。お母さんの期待を呑みこめ

7. 色彩自由自在

この数年、若い人たちの間に演劇に対する関心が再び 高まり、。フームといっていいほどどこの劇場も満員らし その中でも、女性ばかりの劇団「青い鳥」から出た木 野花さんの演出は人気が高い。最近も現代の性をテーマ にした『クラウド 9 』の再演を、江波杏子、戸川純など、 異色の役者陣をそろえて演出し、話題を呼んだばかり。 ・ほくが木野花さんにカウンセリング・インタヴューを ◎ 分の刺激のためにも安定したくないの。 テレビや雑誌ではロぐせの「日本の若い女の子の服の センスってひどい よ、この日は などという毒舌批評。 あまり聞かれなかった。 むしろ、とても礼儀正しい会話の中、色を通して自分 の心を語ってくれたその表情は、かわいさがにじんでい て、僕は印象をあらたにした。 木野花さん「無彩色からピンクへ」 ◎ 170 したのは、まだ彼女が劇団「青い鳥」に所属していた頃 だったので、彼女は劇団名の由来から話しはじめてくれ た。芝居をやる前は、高校の美術の先生だったという木 野花さんと色の話がはずんだ。 木野「青い鳥」というのは、養成所時代に、メーテル リンクの『青い鳥』を再構成して作った即興劇からとっ たんです。それがたまたま女の子だけで、けっこう面白 くできてね。ここまでやれちゃったんだから、既成の演 劇の概念にとらわれないで、自分たちで劇団作っちゃお 、つと : 。それで始めたの。 私、青が好きでね。舞台の美術にも、青い空に白い雲 という背景をよく使ってます。 末永青は自己抑制の状態を表わす色でもあるし、外か らのプレッシャーをはねのけ、″自ら立っ〃という意味 もあるんですよ。 木野うちは、 5 歳の時に両親が離婚してるんです。そ れまでは、私、一人娘だったからおじいちゃんやおばあ ちゃんにすごく甘やかされて、わがまま放題に育ったの。 ところが、両親の離婚で環境が激変。母親にひきとら

8. 色彩自由自在

「絵を描くのは嫌いじゃないんです。あまり集中はしま せんけど。でも自分を表現する体験をどんどんやらせた いんです」 やがて君は「子どものアト丿 エーに通って来るよう こよっこ。 第 1 日目、彼は白い画用紙に向かって、ポスターカラ ーで描いた。色をたっぷりつけたハケが、勢いよく躍っ ている。赤、黄、緑、青 : : : 。意味のない模様にも見え る線が、しかしのびのびと走っていく。まわりの他の子 どもたちが、「すごい色だー と言いながら見とれてい る。 君はほとんど喋らない。喋っても、母親にしか伝わ らないことの方が多い。しかし、彼が表現した色は、 つ。ほうで他の子どもたちの関心をひきつけてしまった。 とまどいのない 色で見る限り、君は自閉症ではない。 その色使いは雄弁ですらある。 母親の話によれば、学校での授業にはついて行けず、 授業中も、廊下に出てウロウロしていることもあるとい 教師の方も、 co 君のことはおいて、仕方なくカリキ ュラムを進めていく。クラスの中で、 co 君の存在は目立 1 ラ 3 ◎「子どものアトリエ」 1 第 △「子どものアトリエ」は、ます楽しいおしゃべりからはじまる

9. 色彩自由自在

◎ 広々としたチューリッヒ美術館の中、世紀初頭の絵 ュトリロの油彩作品があっ 画が並ぶ部屋に、モー た。「トリ口に特有の、白い壁が立ち並ぶ。ハリの風景。 ュトリロはモンマルトルで生まれ、生産この界隈を愛 トリロといえば「白の時 着をもって描きつづけた。ュ 代」と言われるほど、彼の絵は白い建物で埋っている。 ュトリ口が愛したモンマルトル一帯には、たしかに丘 の上のサクレ・クール寺院をはしめ、白い建物が多い。 しかしュトリロは壁だけでなく、白い絵具を石畳の道へ、 さらに空へまでもあふれるように塗り広げた。 この豊かな白の表現に、ユ トリロの心、彼の人生その ュトリロの「白の時代」 ◎ 58 ものを感しずにはいられない。 ュトリロの 5 歳の頃の写真が残っている。こんなに陰 りのある子どもの表情を僕は見たことがない。 6 年後、Ⅱ歳頃の写真。こちらは、母親と手を握りあ っていて、気のせいか少し明るい 若い母親の名はシュザンヌ・ヴァラドン。母と共にパ リに出たシュザンヌは、 18 8 3 年、歳の時に、モン ーリスを生んだ。自分と同じ マルトル、。ホトー通りでモ リスを認知したのはスペイン人のジ 私生児だった。モー ャーナリスト、ミゲル・ユ トリロだったが、シュザンヌ はミゲルの子であることを認めていない。 間代から職を転々としていたシュザンヌは、やがて絵 のモデルとして人気者になる。彼女をモデルとしたルノ ワールの『町の踊り』や「フージバルの踊り』、ロート

10. 色彩自由自在

のだ。直接受容すると危険のある赤外線や紫外線は、人 間の視覚の目盛りの外にあり、色として感じることはで きない そこで、ある特定の色を「美しい」とか「好きーと感 じるのは、わたしたちの心身が、その時まさにその色の 波長を必要とし、同調していることだといえる。当然、 わたしたちの心身が常に変化し続けているように、美し 7 色と人間の関係 赤 ( 700nm ) オレンジ 当 400nm ) ゎ◎紫 いと感じる色も、時間の移ろいのなかで変わっていく。 ある保育園で話をした時のこと。僕は 1 人の母親から 5 歳の男の子の絵を見せてもらった。 ロポットの絵だ。輪郭と頭部に紫色が使われている。 「前の日までは青で描いていたのに、今日は紫でしよう。 じつは朝から風邪ぎみで、熱があって保育園も休んでる んです。やつばり病気と関係あるんですね」 僕が説明するまでもなく母親はひとりで納得している。 子供の絵を注意深く見ていくと、紫色を好んで使う時に は、その前後に気分や体調がすぐれない状態があること : こしかに多し 子供においてすでに完成している色彩感覚のこの同調 機能は、おとなの場合もむろん発揮される。 僕のカウンセリングルームに訪ねてきた代の女性 さんは、離婚前後の不安定な状態から脱しかけていた。 そこで僕は、彼女の精神的苦痛の跡をいっしょにたどり ながら、彼女の服装の色の変化について尋ねてみた。 「夫婦仲がうまくいかなくて苦しんでいた時は、青や紫 が多かったですね。離婚の話しあいの頃なんて、何もか