取り出し - みる会図書館


検索対象: 魚の祭
27件見つかりました。

1. 魚の祭

ろ取りそろえてございます。 孝、ポケットからハイライトを取り出し、しわしわの煙草を逆さにくわえる。手探 りでライターを捜すが見つからない。 佐藤、ポケットからライターを取り出して、孝の煙草に火をつける。 佐藤あっ、すいません、煙草逆でした。 貞子、台所から灰皿を持ってきて孝のまえに置く。 孝、逆さに火をつけてしまった煙草を揉み消す。いまの煙草が最後の一本だったよ 佐藤、自分のマイルドセブンを孝のまえに置く。 孝、一本だけ取り出して佐藤に返す。 孝 ( 煙草の煙を吸い込んで、鼻から吐き出し ) 最高のランクでお願いします。 けむり さカ

2. 魚の祭

孝ひとつだけ訊きたいことがある。冬逢はなぜ死んだのか 2 ちんもく 一同、沈黙する。 貞子仕事中にビルから落ちたんです。 孝事故か。 貞子事故です。 孝そうか。 孝のポケットのなかでポケットベルが鳴る。 孝はポケットベルを取り出し、立ちあがる。 孝電話は。 貞子 ( 電話の場所を指し示し ) そこです。 孝は店に電話する。 き

3. 魚の祭

果物屋の親父これは千五百円。 孝は財布から千五百円取り出して支払い、もうひとつ、西瓜を受け取る。 果物屋の親父お近くなら、あとで配達しますよ。 孝雨 : ・・ : 降らないねえ : 果物屋の親父はあ : 孝暑いなあ。 果物屋の親父はあ : : : 日照りつづきで : 孝暑いなあ。 果物屋の親父暑いですねえ。 孝あなた、奥さんはいるんですか ? 果物屋の親父はフ によ、つ」うつま 孝女房、妻、ツマはいるんですか ? 果物屋の親父え、そりゃあ、まあ。 おく

4. 魚の祭

う顔をする。 貞子は。ハス停からの道順を社長にわかりやすく説明して受話器を置く。 結里そうだ、。、。、、 葬儀社の佐藤さんてひとが至急電話をくださいって。 めいし 貞子はポケットのなかから名刺を取り出して孝に渡す。 孝、電話する。 孝佐藤さんいらっしゃいますか ? 波山孝というものです : : : はい もしゅ しが喪主ですが : : ではお待ちしております。 孝、受話器を置く。 ひぐらしが鳴いている。 結里佐藤さん、くるって ? まにあうのかなあ。 孝りつばな葬式にしないと。 ・ : ああ : : : わた

5. 魚の祭

166 窓の外をシスターたちがひそひそ何か囁き合いながら小走りに通り過ぎる。 女生徒たちも窓の外に目をやりながら囁き合う。 夏子ねえなにかしようよ。 千春じゃああたし、聖書の授業でもしようか ? 夏子いまは休み時間。 >ZO がやりたいなあ。 香持ってるわ。 かばん 香、鞄のなかから DZO のカードを取り出す。 ぼっしゅう 千春見つかったら没収よ。 魚子 ( 教科書を机の上に立てて ) 教科書を机のまえに立ててその陰でやればわからない わよ。 香、器用に Z O のカードを切りはじめる。 ささや

6. 魚の祭

65 魚の祭 留里うん、ひりひりするの。 結里サンオイル塗らなかったんでしよう ? 留里塗ってもらったよ。 結里だれに ? 留里は結里だけにわかるようにペロっと舌を出す。 とが 結里は咎めるような視線を妹に投げつける。 留里は。ハッグから手鏡を取り出して、自分の真っ赤な顔を映す。 結里今晩、痛くて眠れないわよ。 冬樹 ( 貞子に ) ここ日本酒置いてあるフ 貞子あるわよ・ : : ・冬樹・ : : ・呑むのフ 貞子、台所に日本酒を取りに行く。 留里 ( 背中の皮を剥きながら ) お兄ちゃんはお酒強いのよ。 ぬ

7. 魚の祭

夏子床にインクをこ・ほしたのはだれだ ! 秋葉か ? 香知りません。 夏子 ( 冬美の側により ) きみだな。きみみたいな不器用な生徒は先生はじめてだそ。な に、・ほけっとしてるんだー インクをふけ ! 冬美は無一言で立ちあがり、インクを自分のハンカチで拭く。 かばん まんが 千春、鞄のなかからこっそり漫画を取り出して読みはじめる。 たいばっきら 夏子岩尾、先生は体罰は嫌いだ。しかし、罰は与えなければならない。岩尾、黒板のま えで踊れー 画冬美えフ 物夏子踊れ ! 静 冬美、赤面しながら踊りはじめる。 おど あた

8. 魚の祭

116 結里 : そうですか : : : あの : : : あの赤ちゃんは、弟さん ? むすこ 香子 しいえ。わたしの息子です。 けっこん 結里失礼なことおうかがいしますけど結婚していらっしゃいます ? 香子 ちんもく 結里は沈黙する。 ふうとう 香子はバッグのなかから封筒を取り出す。 香子これ、冬逢くんの手紙なんですけれど、お姉さんに読んでいただきたいんです。 結里は封筒から紙を抜き出す。 結里これ、冬逢の日記の最後の部分じゃない : 冬逢のサングラスがふたりの女を見下ろしている。 結里、封筒のなかに入っている冬逢の日記を読む。 0

9. 魚の祭

140 ろ、つか 千春驚かせないでよー なんでそんなにこっそり廊下を通ってきたのよ。 香 ( 髪を指で梳きながら ) だって、なんか・ほそぼそ深刻そうな話してたでしょ ? 魔しちゃ悪いと思ったの。 千春ねえ、香はどう思う ? 香、自分の席につき鞄のなかから櫛を取り出す。 香どう思うって ? 香、櫛で髪を梳かしはじめる。 まゆ 千春 ( 眉をしかめる ) 廊下で聞いてたんでしょ ? 香。ほそぼそ声は聞こえたけど、なに話してたのかまではわからなかったわ。 千春だったら、どうして深刻な話だってわかるのよ。 香 ( 三つ編みをしながら興味なさそうに ) あら、深刻な話じゃなかった ? 千春うちの猫がいなくなったのよ。 かばん じゃ

10. 魚の祭

冬樹 ( 囁き声で ) 三十一一。 孝 とうございます : : : お花を ? とんでもございません : : : はい ・ : 今日が通夜、明 そ、つしき 日が ( 貞子の顔を見て確認して ) 葬式ですので : : : はい ・ : 申し訳ありま せん : : : 場所ですか ? 場所は : : : えーっと、黄金町から三十三系統に、 いえ、三十二、三十二系統のバスに乗って : : : 久保山で下りていただいて、 ポケットからメモを取り出すが、道順をうまく説明できない。 孝ちょっと、お待ちください、家内に代わります。 孝、受話器を貞子に渡す。 貞子、孝に家内といわれてどぎまぎするが、まんざらでもなさそうである。 貞子代わりました。家内の貞子です。ごぶさたしております。 孝、自分が貞子のことを思わず家内といってしまったことに気づき、しまったとい