演習問題解答例 今回のビジネスマナー研修では基本的なやり方を知ること , 理解することだけ でなく , ビジネスマナーが必要であるという意識をもっこと , できることが求められている。 そして実際に行動 したがって , 下の表の網掛けの部分を目標として考えなければならない。 6.0 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 評価 総合 分析 応用 理解 知識 認知的領域 個性化 組織化 価値づけ 反応 受け入れ 情意的領域 自然化 分節化 精密化 巧妙化 精神運動的領域 退社時刻が迫るオフィスで , 学習目標の詳細化に取り組むマナプに , 課長の木俣が声をかけ てきた。 「青山君 , 仕事は慣れたかい ? 」 「あ , 課長。おかけさまで」 工程で考えるべきことなの」 って , 合意をとっておくことが大切よ。制限のなかで , 最善を尽くすように工夫するのも設計 「となれば , どの部分を確実に扱い , どこを諦めるか。あらかじめクライアントとよく話し合 「確かに , そうですね」 に身につけられないものでもないわよね」 てもらわなきゃならないものは他にもたくさんあるし , ビジネスマナーは研修でなければ絶対 「それはもう会社というクライアントの要求なのよ。つまり , 現実的な制約事項なのね。覚え に詰めてもこの研修には丸 1 日はかかる。ミチコの答えは明快だった。 翌日 , マナプは木俣に言われたことをミチコに話した。実は , マナブの見立てでは , どんな ところで , 今君が手がけているその研修な , 3 時間にしてほしいんだ」 「ははは , 新人に研修しようっていうんだから , それは自分でも知っておかないと後で困るぞ。 ね。あ , ミチコ先輩に聞くという手があるか」 「学習目標を詳細化するには , 僕もビジネスマナーをちゃんと勉強しなおさなきゃなりません えてくれた。 はアメリカの大学院で教育工学を学んできたプロだから , おおいに彼女から学ぶとよい , と教 ミチコにいろいろ教えてもらいながら何とかやっているとマナプがいうと , 木俣はミチコ君 1 12 第 6 章設計フェーズ
分析では , ます課題分析を行い , 教育によって達成できる課題と教育以外の手段 によって達成できる課題を分けて , それぞれ列挙していくことになる。 例えば , 先のニーズ分析では , 「あるべき姿」が「社会人として身につけるべ きビジネスマナーを身につけ , 対人関係に自信をもって業務を遂行している」と 定められた。まず , この「あるべき姿」となるために , どのような要素が必要と なるかを書き出してみる。事前の対象者と指導担当者への調査から , 実際に必要 とされているビジネスマナーが「メールの書き方」 , 「電話対応のマナー」 , 「挨拶」 , 「敬語」であることがわかっている。この情報を基にすれば , それらを「自信を もって業務を遂行」できるようになるために必要なのは , 実践によって経験を積 むことであろう。これに加え , 職場の同僚の信頼を得ることができれば , 間違い を犯したときにすぐに注意してもらったり , 役に立つアドバイスを得たりするこ ともできる。そのような環境があれば , 学習者は間違いを恐れずに学んだ知識を 活用しようとし , より経験を積むことができるようになる。 さて , これまで挙げてきた要素を整理して書き出してみると , 次のようになる だろう。 ・メールの書き方 ・電話対応のマナー ・挨拶 ロロ ・経験 ・職場の信頼関係 次に , これらを教育すべき課題と , それ以外の課題に振り分けていく 表 5.3 課題分析 ( 表 5.3 ) 。 教育によって 達成できる課題 メールの書き方 電話対応のマナー 挨拶 ロロ 教育以外の手段によって 達成できる課題 経験 同僚との信頼関係の構築 5.4 学習目標分析 83
②ビジネスマナー研修全体の目標の再確認 , また対面研修での学習目標の提示。 どのようなことを期待されているのかを認識させ , 学習の到達点を明確にする。 対面研修の最後に行う実践テストの評価条件や合格基準についても示唆する ( 学 習者に学習目標を知らせる ) 。 ③ e ラーニングで学習した内容の復習を行い , 電子掲示板で討論した点について 補足説明を行う ( 前提知識を思い出させる , 前提知識の活性化 ) 。 ④ e ラーニングで習得した知識を基本に , 状況に応じた言葉遣い , 態度 , ふるま いなど , e ラーニングで習得した基礎知識を活かして対面研修で習得すべき内 容を提示する ( 学習内容の提示 , 現実的な課題 , 習得すべき知識の明示 ) 。 ⑤習得すべき内容に関して , 学習者の疑問点を明確にする機会を与え , 必要に応 じて補足説明を行う。新入社員同士ペアになり , 状況に応じた言葉遣い , ふる まいで , 問題箇所を指摘しながら , 実践的な練習を行う ( 学習のガイダンスを 与える ) 。 ⑥新入社員の中から何人か代表者を選び , みんなの前で実演してもらう。また , 他の代表者に評価してもらう ( 習得知識の確認 , 習得した知識の応用 ) 。 ⑦実演した新入社員また新入社員の評価コメントに対し , 指導員がフィードバッ クを与える ( フィードバックを与える ) 。 ⑧対面研修のまとめとして , 評価基準に沿って実践テストを行う ( 学習の評価 ) 。 ⑨学習した内容を職場で日々実践してもらう。研修 1 ヶ月後に , 部署の上司や先 輩にコメントフォームなどを記載してもらい , より実践的な指導やアドバイス を得る ( 保持と転移を高める , 知識の統合 ) 。 7.7 ビジネスマナー研修の実施計画 こでは , 先に述べてきたビジネスマナー研修の実施計画として , e ラー グ教材の案を表 7.1 に , 対面研修のレッスンプランを表 72 にまとめる。また , 関連のある理論について記載する。 ン 7.7 ビジネスマナー研修の実施計画 133
し立ち止まって考えるようなものを使い , 学習者をひきつけるとよい。 次に , 関連性 (Relevance) を考えてみよう。まず , 研修の学習目標を明確に 新入社員に教えなければならない。それから , ビジネスマナーの重要性を教える には , 身近なことから説明したほうがよい。例えば , 株式会社工ルプコで , ビジ ネスマナーの欠如から起こってしまった失敗例あるいは , マナプの個人的な今ま での失敗例もいい題材になる。身近なトピックを題材にすることによりビジネス マナーの重要性を身近に感じることができる。 取り扱う内容は , 目標の再詳細化を行ってできあがった項目を中心に行えばよ いが , 詳細部分にもニーズ分析の結果や関係者に行ったヒアリングの結果を反映 させるようにする。例えば , ミチコ先輩が行ったヒアリングでは , 「最近の新入 社員のなかに , すごく派手なネイルをしてきた社員がいたので , 身だしなみでは , 服装だけではなく , ネイルまでしつかり指導してください」と言われたという。 それなら , やはり , ネイルなども研修でふれるようにしたほうがよいだろう。 次の自信 (Confidence) を考えてみよう。この部分は , 学習者に自信をもたせ ることが重要である。やはり主体的な学びを含め , 苦手な事柄を克服してもらう のは不可欠であろう。個々の苦手箇所を克服できるような主体的な学びを実施す るならば , e ラーニングを活用すると効果的である。しかしながら , このような 研修の場合 , 対面研修でマナーに関する実践的な研修も行ったほうがよいといえ る。それならば , 研修は e ラーニングの自己学習行動や態度を実演しながら研修 する対面研修とで構成するプレンディッドラーニング形式を計画すると効果的と 考えられる。学習形態があらかじめ決められているものもあるかもしれないが , ニングの特徴を考えたり , 対面研修の利点を考慮しながら , 考えるように e フー する。 e ラーニングでは , ビジネスマナーの基礎となる知識の習得を中心に取り 扱おう。特に尊敬語 , 丁寧語 , 謙譲語の使い方などは , ビジネスの場でよく使わ れる表現を中心に , 場面設定に沿って実践的に行っていくとわかりやすいだろう。 それから , それぞれの章で重要ポイントの小テストを用意し , 対面研修までに 納得いくまで各々の苦手な箇所を繰り返し学習してもらう。そうすることで , 苦 手な箇所も克服でき自信をつけられる。それから , 対面研修では , 実践を中心に 行い , 自分のふるまいが相手にどうとらえられるのかよくわかるように , ペアに なり場面設定に応じた実演練習を行うとよい。他人のふるまいを評価しようとす ることでより理解を深められる。よくできた場合は賞賛し合い , 成功体験から自 信をつけることを配慮する。 次に , 満足感 (Satisfaction) について考えてみよう。最後には , 研修教官に 7.1 ARCS モデル (John M. Kelle 「 ) 125
表 7.1 e ラー 研修内容の概要 ニング ( 自己学習 ) 教材案 動画や写真を使用し , ビジネスマナー ( 身だしなみ , 言葉遣い , ふるまい ) に関する簡単なクイズを行う。 これにより , 学習者の注意をひく。 ビジネスマナー研修の学習目標を提示する。研修の全 体像を説明し , e ラーニングの部分の学習目標を提示 したり , 対面研修での目標なども提示する。学習目標 を達成すると学習者がどのようなことができるように なるのかを明確にすることで , この学習が意味のある ことだと認識する。学習者自らがその学習の価値を見 出す。 成人学習者の学習スタイルを考慮し , 客の視点でビジ ネスマナーから得る印象などの経験を掲示板でディス カッションする。 会社で実際にあった失敗例の紹介をしながら , ビジネ スマナーの重要性を提示する。身近なテーマからビジ ネスマナーの重要性を認識する。 新入社員に必要な研修内容の詳細を含んだ学習内容を ニングによる自己学習で行う。自己学習の内容 e フー は , 次の 3 分野にする。 ①身だしなみ ( ネイルも含める ) ②言葉遣い ( 尊敬語 , 丁寧語 , 謙譲語 ) ③ふるまい ( マナーの基本 , 場面設定に応じた内容 ) ニングを使用した自己学習で研修を行うことに e フー より , 個人のペースで学習することができる。苦手な 箇所は , 時間をかけたり , 繰り返し学習したりするこ とができる。 掲示板などを使い , 学習者同士で疑問を解決する。自 分の疑問なども解決すべき問題として提案できる。 各部署の業務を紹介する。部署のエースを紹介し , 彼 らからビジネスマナーの重要性について説明してもら う。将来自分が行いたい業務に夢をもったり , あの人 のように活躍したいと思ったりするところから , 内発 的な動機付けをねらう。 まとめの小テストを行う。自己学習で扱った内容につ いての小テストを受験し , 学習の成果を実感すること により自信を得る。 背景となる理論 ARCS モデルの Attention 9 教授事象の注意の獲得 ARCS モデルの Relevance 9 教授事象の学習者に学習目標を知 らせる 成人学習理論の経験を活かした学習 欲求段階説の Level 3 : 所属と愛 ARCS モデルの Relevance 欲求段階説の LeveI 4 : 尊重 ARCS モデルの Relevance 9 教授事象の学習内容の提示 ID の第一原理の現実的な課題 ID の第一原理の習得すべき知識の明 小 成人学習理論の自己決定的な学習 ARCS モデルの Confidence 成人学習理論の問題解決形式の学習 成人学習理論の自己決定的な学習 欲求段階説のレベル 5 自己実現 成人学習理論の内発的動機付け ARCS モデルの Confidence 134 第 7 章教材設計と実施計画
のか ? それを考えて工夫するのが設計である。研修の体系を設計し , 個々の教 材を設計していく。 「設計」は「制作」への基本文書づくりの行程である。制作者が迷いなくつく ることに専念できるような情報を漏れなく含んでいることが必要である。 教材作成において , 設計が不十分なまま制作 ( 開発 ) の行程に進むことが現実 には存在する。その場合は , 開発者に設計作業も一任していることになり , 最終 的な成果物で , 出来不出来が判断されることになる。では , 設計の結果として何 が得られればよいのだろうか ? ひとつひとつの教材で工夫するといっても , 最 低限考えて決めておかなければならない事柄を挙げておく必要がある。これを設 計仕様書と呼んでいる。 6.2 設計仕様書の例 項目名に使われている「研修」は学校などでは「授業」もしくは「科目」 , 「課 目」と呼ばれる。「研修」は「コース」 , 「教育プログラム」などとも呼ばれ , 教 育体系と個別の研修 , 開催回別の個別の研修などが区別される。 e ラーニングの 場合は , 開催回別の区別がないことも多く , e ラーニングコンテンツ , または単 にコンテンツと呼ばれることも多い。これから作成するものがどの位置づけなの かを明確にしておく必要がある。例えば , 次のようになる。 ・新入社員のためのビジネスマナー ( 教育体系全体の名称 ) ・ビジネス文書におけるマナー ( 個別の研修 ) ・来客対応のマナー ( 個別の研修 ) ・電話応対のマナー ( 個別の研修 ) これらの体系が妥当かどうかは , 後述の学習目標の詳細化の部分の考え方を使 って , 学習後検証してほしい。 設計仕様書の項目を挙げるが , 今の段階で記述を埋めようとしなくてよい。こ こでは , 個別の学習単位を研修と呼ぶことにする。 このように表にできる項目はそれほど多くはない。実際に作成する教材 , e ラ ニングコンテンツの内容は , これらの記述からは出てこないためである ( 表 104 第 6 章設計フェーズ
表 5.2 「今の姿」に関する情報収集の結果 学習対象者調査結果 対人業務のときはまだ緊張が解けない。どの ように話してよいかわからない。 メールを書くとき , 書き方で悩んでしまう。 正直 , まだ学生気分が抜けていないと思う。 指導担当社員への調査結果 適切なメールの書き方ができていない。外部 との連絡はひやひやさせられる ( 顧客にはま だコンタクトさせない ) 。 内線電話でもすぐに新入社員とわかるほど電 話応対がぎこちない。 退社時に「お疲れ様でした」と言って帰る新 人が目につく。 メールの書き方 , 対人コミュニケーション , 電話の応対などができていないとい 社会人としての礼儀が身についていないというこ とも指摘されている。 うコメントをもらった。また , する。ーーズ分析後には , コースの入口 , 出口 , 不足している要素 , つまりギャ 報を整理し結果としてまとめる。そして , 今の姿とあるべき姿のギャップを整理 以上 , 今の姿に関する結果を整理してきたが , あるべき姿についても同様に情 ップが明確になっているはずである。 演習問題解答例 どこか落ち着きがなく , いつもおっ かなびつくりしている。電話をなか なか取らなかったり , 取っても取り 次ぎや伝言に失敗したりする。メー ルも書き方や内容に物足りなさを感 じる。同期生とは自然に接するが , 上司や先輩社員とのコミュニケーシ ョンは固さがある。 今の姿 社会人として身につけるべ きビジネスマナーを身につ け , 対人関係に自信をもっ て業務を遂行している。 あるべき姿 最低限のビジネスマナー として必要なこと ・メールの書き方 ・電話対応のマナー ・挨拶 ロロ ・経験 ・同僚との信頼関係 ギャップ 5.2 ーズ分析 77
タを取りたいのか , 実際に取れるのか検討しておいたほうがよい。 テストをする目的については , 評価の部分を参照してほしいが , テストの目的 と , 何をテストするのかという種類 , 判定レベルを明確にしなければ適切な問題 はつくれない。 別の見方をすると , 学習目標が具体的に記述されているとテストは作成しやす い。「ビジネスマナーを身につけさせる」 , ではどのようなテストをすればよいか 決められない。「きちんとした敬語で話ができる」でも , どのような場面で誰に 対して話せるのか , 言葉遣いが正しければ , 内容はどうでもよいのか , など決め ておかなければならない。 先の演習問題解答例のように書かれていると , どのようなことを確認すればよ いかわかりやすい。 例えば , 「知識」を問う問題として , 次のようなものが考えられる。 ・ 3 種類の敬語と , その定義を関係づけなさい ・次の言葉を尊敬語の表現にしなさい ・次の文章中の敬語の使い方として間違っている点を指摘し , 正しい表現に改 めなさい 上記の例は「知識」を問う問題である。「理解」のレベルを問う問題としては より応用的なものとしたい。例えば , 場面設定をしたうえで , 「このようなとき , あなたはどのようにふるまうか」を聞くことが考えられる。「自部門近くで担当 者がわからなくて迷っているような人を見かけた。どのように声をかけ , 用件を 聞き出すか , 想定問答を書き上げなさい」などである。この場合は , 同じ会社の 中の他部門の人に対するマナーを問うていることになる。ビジネスマナーの対象 はお客様とは限らない。 情意的な「受け入れ」 , 運動領域の「模倣」についても , それぞれテストの仕 方を考えなければならない。 例えば , 「これまでの自分の生活を振り返り , 学習した敬語の使い方が今後ど のような影響を与えそうか , xx 文字以内で記述しなさい」という問題で表現さ せることも考えられる。また , 実際に活用されるべき場面を観察することもテス トといえるだろう。新入社員研修時の服装 , 学習態度 , 出退勤時の挨拶 , オフィ 6.6 テストの作成 119
演習問題解答例 前提知識 モチベー ション 学習のスタイル PC の操作はほば問題なくできる。 3G 携帯電話でウエプアクセスし , アプリで遊んだこともある。 Office は , 凝ったことをしなければトラ プルなく利用できる。 メールの書き方は , 先輩社員のメール文面を見てテンプレート的な法 則性があることは気づいているが , 自分ではまだうまく活用できない。 丁寧語は使えるが , 尊敬語と謙譲語の正確な使い分けは自信がない。 新人なので学習意欲は高い。課題を課されたらやらなければならない とは思っている。ビジネスマナー修得の必要性も感じている (Rele- vance あり ) 。 自宅で学習するときは , 1 時間程度はできる。だが , 空き時間をうま く使って学習できるならそれにこしたことはない。 携帯電話を使ったモバイルラーニングなら少しすつできるかもしれな い。しかし仕事に関することならきちんとした指導者に教えてもら 初年次研修を終えた新入社員が配属された部署をいくつもまわり , 教育係やマネージャの話 を聞いてきた。 2 年目の社員にも話を聞いたり , アンケートをとったりした。おかげで , マナ プは新入社員の「今の姿」がだいぶ見えてきたような気がしていた。 研修についてわかったことは , 結局 , 社会人としての基本的なマナーは研修を受けただけで は完全には身についていないということだった。でも , 新入社員たちは真面目に日々の仕事に 取り組みながら , ビジネスマナーも含めて仕事を覚えようとしている。それに調査活動で話を 聞いているうち , いろいろ面白いことがわかってきた。家にいて PC でネットを見るより , 移 動中に携帯電話で見ることが多い。隙間時間を有効に使いたいという気持ちがあるのだろう。 彼らの好みや生活サイクルも何となくつかめてきた。マナプは自分と新入社員とを比べながら , 似ているところや異なるところをみつけては , 不思議に思ったり感心したりを繰り返す。そう こうしているうちに , 対象者分析はみるみる仕上がっていった。たくさんのアンケートとイン タビューは手間がかかったが , やらなければわからなかったことがたくさんあったことに , マ ナプは気づいていた。 5.3 対象者分析 81
横の関係を考えてみよう。 下位目標の 1 ~ 4 はレベル感が異なる。 1 と 2 は同じレベルだが , の TPO に合わせた挨拶は , メールや電話対応の際にも必要なので , なる目標になっている。下位目標 4 は , 1 , 2 の両方の基礎である。 切に詳細化できているとはいえない。 下位目標 3 部分的に重 これでは適 次に , 縦の関係を考えてみよう。下位目標の 1 ~ 4 ができるようになれば , 上 位目標ができるようになるといえるだろうか。明らかに不足しているのは , 直接 会って対応しているときの , 挨拶とお辞儀以外の部分である。これでは , マナー に則って用件を済ませることができないであろう。 演習問題解答例 学習目標を 2 っ取り上げて , その間の関係を考えることが大切である。一度に 多くを考えないようにしなければならない。漏れなく , ダブりなく書き上げられ ているだろうか。 く再詳細化〉 ビジネスマナーに則った行動ができる ( 新入社員が , かしくないレベルで ) 姿勢 , 視線 , 表情を適切に保てる 清潔感のある身だしなみを整えられる TPO にあった服装を選べる 見た目を整えられる 会社の内外で , 当社の社員として恥す 1 1 4 ビジネス相手に好感をもたれるような言葉遣い ( 挨拶を含む ) ができる 敬語 , 丁寧語 , 謙譲語の使い方を指摘できる 尊敬語を正しく使える 丁寧語を正しく使える 謙譲語を正しく使える 組み合わせた形を正しく使える 相手と , 状況に合わせた行動ができる 第 6 章設計フェーズ 別できる 相手が目の前にいるとき , いないとき , 公式の場 , 非公式の場などを区 相手の状況を推測できる ( 忙しい , 応対不可能など )