ここて重要なのは「ウクライナの穀物」てすね。またしても出てきた。一九世紀か ・らヨーロツ。、こ、ナ ( お。る食糧の需給関係を握っていたのが、ウクライナだということが ハーヴェスター 分ります。前章に登場した農機具メーカーのインターナショナル・ そしてアーマンド・ハマーもウクライナの穀物と密接なつながりがある。 ハマーがチェルノブイリ原発の事故て見せた迅速な行動、つまりウクライナへの援 助、救援活動は、歴史的な関わりがあるから実行したのてす。ハマーの父親と祖父は ウクライナ出身てすしね。 牧場は政治権力をめざす アメリカの食品産業を調べてゆくと、 政冶権力にきわめて密着していることに驚く あのロックフェラーてさえ、マコーミック一族と縁戚関係を結んだことによって、 インターナショナル ・ハーヴェスターという歴史的な農機具会社を手に入れたのてす。 いよいよこれからが面白いのてす。ロックフェラーの根城てあるオハイオ州 ( ってジェームズ・コックスとい - フ知事がいました。コックスはフランクリン・ルーズ ヴェルトを副大統領候補として大統領選に出馬し、落選しました ( 1920 年 ) 。その ルーズヴェルトが後の大統領になるのてすが、コックスにはアン・コックス・チェン ーズという娘がいる。彼女は現在、東部て億万長者のトップクラスとしてランキン グされていますが、元ベルギー大使だったこともあり、政治的な力を持っています。 ジェームズ・コックス 11- 只いら / -0- 年生まれ。 191 3 年から年、ⅱ年から幻 年まてオハイオ州知事。 258
ソ連の穀物収穫量を追っていきましよう。年 7 月時点て前年比一〇〇〇万ト一減の 一億八〇〇〇万ト , という予想量がアメリカ農務省から発表されました。Ⅱ月にはソ連 政府の発表て一一億一〇〇〇万ト , に増えた。前年比二〇〇〇万ト , も増えている。アメリ カ農務省も同月、世界の小支生産高が史上最高に達し、その理由をソ連の小支生産予 ・ 7 月発表時より四〇〇万ト一増 ) としています。どうや 想の上方修正 ( 八一〇〇万ト一 らソ連は、おそるべきことに放射能再染によって壊滅したはずのウクライナの小麦を 全部収穫したらしい ところが、年Ⅱ月凵日付の朝日新聞によると、ソ連は三二年ぶ りにパンの直上げ をすると発表している。小麦の収穫が最高てあるのに、なぜ。ハンを値上げするのか。 ウクライナの小麦が食べられないからてしよう。 肥月Ⅱ日になると、これまてとはまったく正反対の情報が流れた。モスクワ発 電が、ウクライナの穀物生産は不安定だと報じたのてす。共産党中央はウクライナの 農業指導者たちが悪い、労働力や機材の使い方、開発が遅れているためだ、といって そんなことはない。ウクライナはこれまてソ連の全穀物生産高のうち三割を生産し てきた非常にすばらしい穀倉地帯てあるのに、突然、 リーダーが批判され始めたわけ てす。 そして、特に冬小支は著しい収穫の減少を記録していると書いてある。 ウクライナ ソ沖第一一の共和国ウクラ イナ社会主義共和国の人口 は約四八〇〇万人。首都は キエフ。鉱工業晟 ~ んだが、 いわゆる黒土に恵まれた肥 沃な上地、比較的温暖な気 候から、穀物などの多様な 農を生産している。
直通てかけられる電話も設置されていることが出てきます。 ハマーは年 7 月中旬、みずからチェルノブイリへ行っている。「ヘリコプターて原 子炉ヘアプローチしながら見た町には、建物はあるが生命を示すものはなにもなかっ これは二度とあってはならぬモニュメン た。まるて中性子爆弾が落とされたようだ。 トとして屹立しているのだ。そう思わざるをえなかった」と感想を述べています。 —が新年末月引日に配信したニュースによると、ハマーが派遣した骨髄移植 の専門家ロ。、 ・ゲイルは、年度に「千年至福協会」 ( ザ・ミレニアム・ソサエテ ィー ) が選んだふたりの「ヒーロー , のうちの一人になっています。千年至福協会と いう名称に不気味な因縁を感じませんか。 ウクライナ史の専門家、秋田大学の中井和夫助教授が、年 2 月間日の朝日新聞に こう書いている。「ウクライナは 986 年 , 「にキリスト教を導入したといわれている。」 「チェルノブイリはまさしくそれからちょうど千年てある。」「してみればウクライナ 人が経験したものは『この世のおわり』にほかならず、次の千年は彼らにとって至福 の千年となるはずてあるー 「至福の千年」をミレニアムという。 またヨハネ黙示録には、「この世の終わり」に 。るという記述がある 「苦よもぎ」をチェルノブイリという。 「苦よもぎ、という名の星が落ちてく
今後数十年間て、というところに注意して下さい。おとなてはなく子どもが危ない といったのは、被害が長期間に及ぶことに理由があるのてす。 年Ⅱ月 6 日の ( モスクワ発 ) は、最近、ソ連当局が乳幼児死亡率 ( 年 ) を 発表したというニュースを配信している。それによると、乳幼児死亡率は一〇〇〇人 中二六人。これはアメリカの一〇〇〇人中一二人に比べて非常に高い数字てある、と 突然このような統計を発表するなんて、おかしいと思いませんか。これから放射能 の影響て乳幼児死亡率が上昇していくはずてすから、そうしたときにチェルノブイリ のせいてはない、 、のてしよう。あらかじめ手を打っておいたような気がし ます。 このところ、ゴルバチョフのグラスノスチ ( 公開 ) 政策のため、大事故や事件がた て続けに報道されている。たとえば年 8 月日に起きた黒海のナヒーモフ号沈没事 故 ( 乗客一二三四人 ) 、 9 月のハイジャック事件 ( ウラル ) 、川月 4 日に発表された原 子力潜水艦の火災 ( 大西洋 ) 、Ⅱ月 6 日はウクライナて列車の正面衝突、Ⅱ月川日には ナホトカ沖て子どもたちを乗せた船が火災、月 6 日まての二カ月半て偽ウォッカ事 件のため約一〇〇人死亡、月日に起きたアェロフロート機の墜落事故 ( ベルリ ン ) 、肥月日のカザフ共和国の暴動、月日の炭鉱大爆発 ( ウクライナ共和国 ) 、 そして年 3 月日のダム決壊事故 ( タジク共和国 ) などといった事故・事件がソ連
チェルノブイリからは まだ放射性物質が吹き上げているのか ソ連はど - フい - フ状况か 穀物を大量に買いつけていることは第 2 章て述べました。しかし、情報は非常に少 ない。日本の新聞には、時々短い外電が載る程度てすね。年 4 月 4 日付毎日新聞に は、モスクワ発 ( ドイツ通信 ) の記事が出ています。モスクワ市内て売られて いる食品を西ドイツ大使館員が調査したところ、「たとえばアゼルバイジャン共和国産 の紅茶からは一キ。等当たり二六〇〇べクレルのセシウム一三四と同八三〇〇べクレル のセシウム一三七が、またウクライナ産のヘーゼルナツツからは一キ。当たり一六〇 〇べクレルのセシウム一三四と四五〇〇べクレルのセシウム一三七が検出された」 ここてもヘーゼルナツツが出てきました。チェルノブイリ現地のウクライナからも ヘーゼルナツツが出荷されているのてすね。 市中に流通している食品の汚染は私たちの想像を超えています。西ヨーロツ。、に比 べても汚染度は一ヶタ上てす。 1 年 6 月 1 日付東京新聞は、モスクワ放送を伝えるラジオ・プレスのニュースを載 1 ・ 1 せている。レオニード・イリイン・ソ連科学アカデミー 副総裁は「チェルノブイリ地 1 区に隣接する白ロシア共和国の各地区て分析された二七万個の食品サンプルのうち、 一一 % が放射能に汚染されていた、と述べた」 「し アゼルバイジャン共和国 ソ連南部、黒海とカスビ海 のあいだにある年 2 月、同国のアルメニア人が、 隣接するアルメニア共和国 へ帰属させるよう要求して 一一〇万人規模のデモを行な 、死者一一一名を出した。 ソ連の民族間題の一つてあ る。ゴルバチョフ書記長が 釜処を約束して収束したと
当局によって発表されている。 膨大な死者が出ているはずてすが、その後の続報がない。私はチェルノブイリ事故 < モスクワ支局のアリソ の死者隠しだと思うのてすが、確証はありません。 ン・スメイル記者も、私と同様の推理をしていることを付け加えておきましよう。 ソ連の現状を類推させる報道はほかにもあります。 同じが年Ⅱ月 3 日にロンドンから送っている情報は次のとおりてす。イキリ ス当局は、六週間以上の西ウクライナと白ロシアへの旅行を中止するように警告した。 ここて当局は、六週間滞在しても、イギリスの原子力プラントて働く労働者の被曝 量よりは高くならないといっている。裏読みすると、約六週間ウクライナにいるごけ て、イギリスの原子力プラントの労働者並みに被曝するということてす。 イギリスの原子力プラントは、チェルノブイリ事故が起こるまて世界最悪といわれ ていた。たとえば、ウインズケール再処理工場は世界中て最も汚染度が高く大量のガ ン患者を出していることて有名て、のヨーロッパ議会も強く非難していました。 てすからの記者はそれらを踏まえて記事を書いているわけてす。 それからわずか三カ月後の年 1 月四日、アメリカ国務省はキエフ地方への旅行禁 1 止措置を解除した。しかし短期間に放射能が消えるはすはないのてす。これは米ソ間 のニューヨーク・キエフ領事館相互開設交渉をにらんだ政治的な判断て、科学的な判 断てはありません。 ソ連の大事故 本文摯以降の事故。① 年 5 月の炭鉱爆発事故。詳 細不明。② 8 月 7 日、貨物 列車が客車に衝突、死者数 一〇人 ( ロシア共和国 ) 。③ Ⅱ月四日、②・こ同様、貨物 列車が客車に衝死者三 〇人 ( グルジア共和国 ) 。死 者数は発表のママ。
い世界が見えなくなり、頭脳が狭くなってしまう。てきることなら、知らない世界て の驚きを、著者と共に味わっていただければ幸いてある。 ては、 19 8 6 年の暮に立ち返ってみよう。そこから今日の物語がはじまっていた 〈第 1 部を「チェルノブイリ・ミレニアム」、第 2 部を「シャドー・ ネットワーク」と 題した。第 1 部。チェルノブイリ原発が所在するウクライナは、西暦 986 年にキリ スト教を導入した。原発事故が起こったのはちょうど千年後である。聖書には、千年 目の地獄のあと、至福千年がおとずれると書かれている。至福千年をミレニアムと呼 ・、 0 第 1 部の表題はこれに由来する ( ハー参照 ) 。第 2 部。 1986 年に発覚したイラ ンゲート事件をめぐる武器取引網について、欧米のジャーナリズムは「シャドー・ネ ットワーク」すなわち影の取引網と名づけた。第 2 部の表題はそれを引用したもので ある。 ( 00>< 編集部 ) 〉
汚染されている」 ハスタや ~ 果子類の輸入が増えていることを考えあわせると、汚染食糧が相当出回っ ていることは間、いな、 輸入食品はこのところの円高もあって、全体に増加している。たとえば年 6 月に 厚生省がミネラルウォーターの基準を緩和したため、ヨーロッパ各国産ミネラルウォ ーターの輸入が増えています。以前からサントリーが輸入している「ペリエ」 ( フラン ス ) や宝酒造の「ラムローザ」 ( スウェーデン ) のほか、「ヴィッテルし ( フランス・丸 紅食料 ) 、「エビアン」 ( フランス・伊藤忠 ) などが市場に出ている。ミネラルウォータ ーは検査品目てはない。 ヨハネ黙示録の暗示。 ウクライナの「千年」 チェル / プイリ事故直後、モスクワへ医師を派遣したアーマンド・ハマー 最後に触れておきましよう。 マーは年 3 月に『ハマー』というタイトルの自伝をニューヨークて出版しまし た。その巻頭てチェルノブイリについて語っています。それによると、原子力と保健 ・センター」を、キエフに に関する将来研究のための個人財団「アーマンド・ハマー 設立することになったらし、 また、モスクワにハマーのオフィスがあり、タイヤル 第 6 章参昭
の数字は私がずっと追っていた数字とびったり合うから間違いないてしよう。しかし、 そのウクライナの住民は一体どこへ消えたのか。 アウトブットした九件のデータのうち、重要と思われるものを、時間を追って見て き」↓まーしレよ - フ 0 まず年 8 月日のデータ。 キエフ近くのマカロフスキーという町 避難民五〇〇世帯の新居をつくり始めた。 ソ連当局、タスの発表をが転信している記事てす。 よく読むと、新居にいろいろな設備があると強調しているのてすね。つまり、この 人たちはもう大丈夫てすよとソ連の国民に対して宣言している。庭があり、家具がそ ろっていて、台所も完備していると、くわしい説明を述べたてている。 データのウラを解釈すると、避難した人たちの悲しみが強く感じられませんか。新 しい家をあてがわれ、設備がそろっているから、と言われても、それが人生てはない てすよね、自分の家がなくなってしまったら。電はコメントとして、「当局は彼ら が実際に帰宅てきるかどうか」については明一言していない、 , 第。カ・んている 8 月幻日。これもソ連側の発表 ( タス ) て避難の様子をかなりくわしく書いている。 九万二〇〇〇人が一週間以内に危険地帯から脱出した。住民は被曝量のチェックを 受け、当局は検査を継続する、という書き出してす。次に被害者のランク分けをして います。第四級とか三級とかいう言い方をしているのてす。特に二〇三人がひどいら
ヨーロッパのフランス語圏て活動していた一族は、ちょうどロシア革命直後の 19 2 2 年、シカゴに店を開き、これがコンチ、不ンタル・グレインという今日の会社にな っているわけてす。 もう一度整理しておきましよう ( 数字はフリプール家の相続順 ) 。 ール。アーロンて穀物問屋を開業 ( 1813 年 ①シモン・フリプ ール。シモンの息子。ウクライナの穀物を扱い始める。 ( ② ) ミシェル・フリフ ル。ミシェルの息子。ベルキーとルクセンプルクに四カ所の製 ③アーサー・フリプー 粉工場を建設。 ル。アーサーの長男。ルネの兄。弟と共に 1914 年、会社を ④ジュール・フリフー ・コンチネンタル・ダン ロンドンへ移したが五年後アントワープへ戻し、社名をシー ポルタシオン ( コンチネンタル輸入会社 ) とする。年、シカゴ店開設。ここて現在 のコンチ、不ンタル・グレインとなる。 ール。アーサーの次男。ジュールの弟。「美食騎十連盟」会員。美術工 ⑤ルネ・フリフ 芸品の収集は三五〇万誌にのばる。「クロ・ヴェージェット」ぶどう園の株主。 ・以⑥マイケル・フライ、ハーグ ( ミシェル・フリブール ) 。ジュールの息子。現コンチネン タル・グレイン会長。妻、メアリー・アン・フライ、ハーグは、同社副社長バーナード・ : スタインウエグの姉。 ルⅡフライ、ハーグ一族のプロフィールてす。 以上がフリプー 257