不確定性原理 - みる会図書館


検索対象: 宇宙論がわかる
210件見つかりました。

1. 宇宙論がわかる

三分たった頃 温度は九億度あたりまて下がった。この頃になると、若干残っていた陽子や中性子が原 子核を構成し始め、それにともなって軽い元素の合成が始まった。つまり、「核の時代」の 始まりてある。およそ数分間続いたこの過程て、ビッグバン理論を支える根拠の一つにな っている、ヘリウムの合成が行われたわけてある。元素合成がすぎてその後三十万年くら いの間は、それほど重要なことは起こらなかった。 三十万年たった頃 三十万年たっと、宇宙の温度は三千近くまて下がり、プラスの電荷をもっ原子核とマ イナスの電荷をもっ電子とが、電気力によって引かれて結合し、中性な原子を形成し始め た。「原子の時代」への突入てある。原子といっても、水素とかへリウムのような軽い原子 だけてある この温度ては、光子のエネルギーは低く、もはや電子を原子から蹴りだすことはてきな くなっている。つまり、光子はこれらの中性な原子との相互作用をほとんど終えたのてあ さまた る。あとは自由の身となって、だれに妨げられることもなく、宇宙をどこまても飛び回る だけてある。 初期宇宙の様子 1 ろ 5

2. 宇宙論がわかる

にこれとは桁違いて、以上てあったと考えられるのてある。 このような超高エネルギー状態においては、物質は原子や分子のかたちては存在てきな 。温度の上昇とともに固体が液体になり、液体が気体になるのは見慣れた現象てあるが、 さらに高温になると、原子は電子を剥ぎとられ、やがては原子核さえばらばらになってし まう。つまり、宇宙初期というのは、陽子や中性子や電子などがばらばらに分かれた状態 て飛び回っていたのてある。しかも、さらにⅡ 0 に近づくと、もはや陽子や中性子の状 態ても存在しえず、構成要素のクオークが陽子や中性子という「拘置所」から解き放たれ おうか て、自由の身を謳歌していたことてあろう。 さて、今度は逆に、このような極限状態から時間の進む向きに従って経過をたどってみ ると、まずクオークが結合して陽子・中性子がてきる。つぎに宇宙の温度があるところま て下がった時点て、陽子・中性子が結合して原子核がてきる。さらに時間がたって、原子 核と電子の結合から原子がてきた。その原子同士の結合から、やがて複雑な高分子が誕生 つまり、 した。宇宙の歴史は、大ざっぱにいってこのようなものてあった。 加速器が高工 ネルギー化し、より細かい 構造がわかるようになるということは、宇宙の過去にさかのば っていることになる。これが、加速器がタイムマシンてあるといった理由なのてある。 そうはいっても、宇宙初期のような超高温・超高圧状態、 * は少なくとも数十 ) は、 111 初期宇宙の様子

3. 宇宙論がわかる

も軽いレプトンが電子てある。 ・反粒子 トナーが伴う。イギリスの物理学者デイラッ 素粒子には必ず「反粒子」と呼ばれるパ クが一九三一年に理論的に予言し、まもなくその第一号として、電子に対する反粒子てあ る「反電子」が発見された。陽子の反粒子てある「反陽子」が発見されたのは、一九五五 年てある。 反粒子は電荷の符号だけが粒子と反対てあるが、その他の性質は、質量も含めて粒子と まったく同じてある。たとえば、反電子はプラスの電荷をもち ( そのため「陽電子」と呼ばれる ことが多い ) 、反陽子はマイナスの電荷をもつ。中性子のような中生の粒子はそれ自身、粒子 と反粒子の一人二役てある。 水素原子の原子核の陽子を反陽子て、まわりの電子を陽電子て置き換えたものを、反水 素原子という。同様に反酸素原子や反炭素原子などが考えられ、これらの反原子や反分子 反物質ばかりからてきた世界を「反世界」という。 から作られた物質を「反物質」という。 これらの反物質は、通常の物質と同じ物理法則に従うことがわかっている。 ・対消減 反粒子が示す著しい性質に「対消滅」がある。これは、反粒子が粒子と衝突すると両者 116

4. 宇宙論がわかる

要性 ( 人類のサバイバル計画など ) もあるにはあるが、何よりも大きい理由は、人間の好奇むだ ろう。宇宙は無限か有限かとか、宇宙はどのようにして存在し始めたかなどの疑問は、誰 もがみな一度や二度は、子供心に抱いた覚えがあるのてはないだろうか。 実際、 いちばん不田 5 議に田 5 うのが宇宙だという。し 小学生の子供たちに聞いてみると、 かし大人になると、特別な機会てもないかぎり、あまり宇宙のことなど考えなくなるよう 解答が得られても、それて生活の豊かさが増すわけてはないし、地上から争いやその 他の諸悪が消え去るわけてもない。 そういう意味からすれば、宇宙論というのはぜいたく な当十間といえるかもしれない。、 少なくとも今世紀半ば頃まては、宇宙論は応用や実利とい う面を度外視したところて成り立っ学間てあった。先ほど名前を挙げた物理学者のラザフ オードが、哲学的というよりも実践的なキャラクターの持ち主てあったということも、あ のような発言を生む一つの原因てあったのかもしれない。 それては、われわれが宇宙に対して抱く好奇むとは、どのようなことについてだろうか それは次の四つに集約てきると思う。 ①宇宙には始まりや終わりがあるのか、それとも永遠の存在か。始まりや終わりがあ るとすれば、それはいっか。また、始まりと終わりの様子はどうか ②宇宙はどこまて続いているのか。空間的に有限か無限か。 はじめに

5. 宇宙論がわかる

の集合体だ ごということてある。つまり、電気量を細分化していくと、もうそれ以上分割て きない最少の電気量にぶつかる。いわば電気の「原子」てある。電子や陽子の電荷という のは、実はこの基本単位の電気量なのてある。 ・フェルミオンとポゾン あらゆる素粒子は、いろいろな種類の量がとる値の組によって識別される。人間ていえ ば、性、国籍、言語、皮膚の色、髪の色、身長、体重、胸囲などの「量」を考えれば、こ れらの量がとる「値」て、各人間をかなりの程度識別することがてきる。まだ足りなけれ ば、新しい量を考えだせばよい。素粒子の場合も同様て、 そして人間の場合との違いは、素粒子の場合は、それらの量がとる値が一般にとびとびの 値になることてある。人間の場合には、まさか身長の値がとびとびの数しか許されないと い - フよ , フた 6 こし J はた 6 い。 しかし素粒子の理論てある量子力学ては、多くの物理量がとびと びの不連続値しかとれなくなるのだ。このことを量子力学ては、その量が「量子化」され ているし」い - フ。 そのような量子化された量のなかて最も重要なものが、「スピン」と呼ばれる量てある。 これは素粒子の自転を表す量と思えばよいが、正確にいえば「自転角運動量」てある。 うなれば、フィギュアスケーターが自分の体を軸にくるくる回転する状態を記述する量て いくつかの物理量が用いられる。 119 初期宇宙の様子

6. 宇宙論がわかる

一般的には、超銀河団はアトランダムに分布していいは しい観測が得られていることだ。 ずてある。それがなぜ鎖状に並ぶのか。それは、大質量のストリングを仮定することて、 その重力効果 ( 引力 ) として説明てきるのてある。 またモノボールについては、宇宙初期に多数つくられたはずてあるが、現在のところ観 測されたという話は聞こえてこない。モノボールというのは、棒磁石の Z とのどちらか を単独にもっ粒子のことだから ( ふつうの磁石はどんなに細かく分割しても必ず z との両方をもっ ) 、 発見されれば画期的てある。 ストリングにせよモノボールにせよ、このようなェニグマ的な粒子や線がほんとうに宇 宙初期にてきたのてあろうか。もし発見されれば、現在はまだ仮説にすぎない「対称性の 破れ」の、一つの証拠が得られることになるのてある。 150

7. 宇宙論がわかる

量子論ー物質の粒子性と波動性 量子力学は相対性理論と並んて、二十世紀の理論物理学を支える巨大な柱ぞあるが、相 諞が時間・空間・宇宙を考えるための基礎的な理論としててきあがっているのに対して、 量子力学は物質を原子・分子のレベルて理解するために開発された理論てある。当殀、 クロの世界を対象とするわけて、直接われわれの生活には関わりがないと思えるかもしれ そうてはない。今日のハイテク産業に直結しているのてある。トランジスター一 つにしても、固体の中て電子がどう振る舞うかが量子力学によって正しく理解されていな カったならば、開発は可能だっただろうか。今世紀初頭の量子力学の創始者たちは、現在 の量子力学の知識を駆使した産業界の発展ぶりを、はたして想像しえたかどうか、聞いて みたいものてある。 オカその光が今 「光」はアインシュタインの相対性理論が構築されるきっかけをつくっ ' 驀、 度は、量子論構築のきっかけをも与えることとなった。われわれはすてに光に対して「光 子」という言葉を用い、簡単に「光の粒子」てあるという表現を使ってきたが、この光子 というのは量子論的な概念てある。 一九〇〇年、ドイツの物理学者マックス・プランクは、光は物質から波動のように連続 的に放出されるのてはなく、とびとびのエネルギーのかたまりとして放出されると考える 1 う 2

8. 宇宙論がわかる

の力学をローレンツ変換に対して不変にするように修正することが必要になってくる。そ のように修正を受けた力学を、「相封論的力学」というのてある。 本文論的力学ては、いろいろな力学量が修正を受けることになるが、最も中心的な修正 が、質量に対するものてある。質量の修正は、運動量やエネルギーにも及ぶからてある。 ニュートンカ学ては、質量は運動状態には関係のない、物体固有の定数てあった。実際、 物体が静止しているか動いているかによって質量が変わるとは、常識ては考えられない。 ところが相対論的力学ては、質量が速度によって増加することになる。もっとも、増加す 2 るといってもやはり / o のオーダーてあるから、われわれが走ったからといって体重が 増したように観測されるとい , フようなことはない。 しかし、素粒子などが光速度に近い速 度まて加速されると、質量は明らかに増加する。そして、極限として光速度になると、質 量は無限大になるのてある。このような効果が力学効果てある。 そしてこの効果は、光速度以上て運動するものはないという、相対性理論の前提と符合 する。つまり、光速度に接近すると質量が無限大に近づくのて、いかなる力もそれ以上に は加速てきないからだ。なぜなら質量は、一般相対論のところて述べるように、外力に対 する抵抗という意味をもっているからてある。もしニュートンカ学に従い、質量が一定な ものだとするならば、外力に対する抵抗も増えないから、力を加え続けるうちに物体の速 相対性理論の描く時空間

9. 宇宙論がわかる

した時代は、過去にはなかった。その意味て、二十世紀末の今日のこの宇宙への関心の高 まりは、過去のそれと同日に論ずべきてはもはやない ラザフォードといえば、原子の中心部に原子核が存在することを発見して、今日の物質 の構造論や原子核物理学の礎を築いた物理学者てある。その彼がかって研究室の若い弟子 たちを前にして、もし君たちのうちの誰かが宇宙のことをしゃべり始めたら、その人はこ と語ったことが伝えられている。彼がカナダに滞在中の話て こから出て行った方かいし あるから、今世紀初頭のことてあろう。このエピソードによってわれわれは、当時、宇宙 の研究が物理学の対象てあると考える人は、物理学者にもほとんどいなかったことを知る のてある。 筆者の経験ても、今から約三十年前、ある高名な物理学の先生が、「宇宙論は定年近く なってからやればよい」と言われたのをよく覚えている。研究室などて宇宙論が話題とな ることはほとんどなかったし、アインシュタインの一般相対性理論てさえ、多くの研究者 が関心をもっていたとはいえないだろう。宇宙論が科学の最先端に躍り出るようになった ナカオカこの三十年以内の出来事なのだ。 ったいわれわれはなぜそれほどまてに宇宙 学間としての宇宙論について述べる前に、 生活上の必要性とか、政治・軍事上の重 に対して深い関心を寄せるのかを考えてみたい。 いしずえ おど

10. 宇宙論がわかる

図を見ればわかるように、車両の外の観測者が見ると、光は斜め上に進み、反射後は斜 め下に進むように見えるはず ( ある。当然彼にとっては、光が往復の際にたどる道のりは、 車両内の人に対する万 Ⅱ万よりも長い。そこて、われわれがガリレイやニュ ートンから受け継いだ常識的な時間の観念によって、時間は誰にとっても同じだという考 えに立てば、車両外の人にとっての光の速さは、車両内の人にとっての光の速さよりも大 きいことになる。なぜなら、光が同じ時間内に飛ぶ道のりが大きいのだから。 ところがアインシュタインはそうは考えない。むしろ光速度の普遍性 ( 立場の違いを超えて 一定だということ ) を主張するのてある。その立場に立てば、光が飛ぶ道のりが長ければそれ だけ余計に時間がかかる。つまり、車両外の観測者は、光が往復に要した時間は 1 秒より 多かったと結論することになる。そこて、自分の時計ては 1 秒より多く時間がかかったの 車両内の人は同じ現象が 1 秒だったといえば、車両外の人は相手の時計は遅れている と結せざるをえない。 もちろん車両内の人は、自分の時計は正確に 1 秒ごとにチックタックと時を刻んている というだろう。それはそのとおりなのだ。一一人の時計はどちらも正確に時を刻む正しい時 オオカ車両外の人から見れば、「あなたの時計のチックタックは間延びしています よ」し J い , フこし」に . なるの′し↓のる 相対性理論の描く時空間