位置 - みる会図書館


検索対象: 宇宙論がわかる
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1. 宇宙論がわかる

なぜなら、位置を正確に知るためには、当てる電磁波の波長をそれだけ豆いものにしなけ ればならないが、そうすれば電磁波のエネルギーが大きくなって電子を強くはね飛ばすか らてある。 逆に△を小さくすると、△が大きくなる。この意味も明らかてあろう。△を小さ くするには電磁波のエネルギーを小さくすればよい。つまり、波長を大きくすればよい。 しかし、波長が大きいと位置の〃ばけ / はそれだけ大きくなることは、すてに述べたとお りてある。 もちろん、式の上からは、位置か運動量のどちらか一方だけなら無限の精度て測定値が 求められそうだが、 その場合は、他方の物理量の値が完全にピンばけした写真のようにま ったくわからなくなる。結局、位置と速度の双方に適度の不確定さを許す方が、片方が無 限に大き′、 . なるより・は↓しし J い - フこ」に . なる。 一例て示そう。いま電子の位置を一ミクロン ( 千分の一ミリメートル ) の精度て測定したとす ると、不確定性関係から計算して、速度の不確定さ网 E / 秒を得る。つまり、電子は秒速 E 以上の速さて、どのような運動をしているのかまったくわからない。さらに、電子の サイズは『程度だから、このくらいの精度て位置を知ろうとすれば、速度の不確定さは 驚くなかれ、秒速川 E 以上にもなる。これては位置を測定した意味が完全に失われる。 161 量子力学と宇宙のゆらぎ

2. 宇宙論がわかる

たとえば電子の位置を知ろうとして電磁波を当てる場合には、その電磁波の波長は電子 のサイズより小さくなくてはならない。電子のサイズは程度だから、可視光 ( 波長は 程度 ) などては大きすぎて話にならないのだ。当然、当てる電磁波はガンマ線領域になる。 しかしガンマ線はたいへん大きなエネルギーをもっから、電子に当たると電子をはね飛ば これては、電子の位 してしまう。しかもはね飛ばす方向や速度はまったく予測てきない。 置を測定しようとした試みが無意味になってしまう。 電子にあまりインパクトを与えないような電磁波ては、波長が大きすぎて電子を見るこ とがてきないし、電子が見えるような波長の電磁波ては、エネルギーが大きくて位置測定 の目的をこわす。一種のジレンマてある。この事情を原理としたのが、ハイゼンベルクの 不確定性原理てある。 ハイゼンベルクは、電子の位置の不確定さと運動量の不確定さの積は、プランク定数 という次の関係式を導いた ( 運動量Ⅱ質量 x 速度 ) 。 より小さくすることはてきない、 ( △ *)x( △ =) >= ( △は位置の不確定さ、△は運動量の不確定さ ) この式は、△が小さいほど△が大きいことを表している。つまり、位置を正確に知 れば知るほど、運動量の不確定さはそれだけ大きくなるということて、当然の結果てある。 160

3. 宇宙論がわかる

によって記述される。相対生理論の場合もそうてあったが、量子力学も理解するには常識 との戦いが必要てある。 ニュートンの力学 ( つまりわれわれの常識 ) ては、粒子のいろいろな物理量 ( 位置、速度、エネ ルギーなど ) は確定値をとる。たとえば、ールの位置がある瞬間どこそこて、そのときの 運動方向はこの方向て速さはこれこれてある、という言い方が意味をもっことは、常識て は当然てある。もちろん、測定機器や測定技術の問題があるから、実際問題ては誤差は避 けられないが、これらは人為的な不確実さて、ここて問題にしている原理的な問題てはな 、。ールがともかくその瞬間その位置にあって、そういう速度をもっていたということ は、何ら疑問の余地がない事柄てある。もっといえば、ポールがそういう状態にあったこ とは、観測しようがしまいが、客観的な事実てある。それに何の問題があるだろうか ノイゼンベルクが唱 ところが、量子力学てはそうはならない。量子力学の基本原理は、、 えた「不確定生原理」というものにある。これは、「ミクロの世界の基本法則は、われわれ が測定によって得る知識に、ある制限を課すようなものてあるはずだ」というものてある。 つまり、ミクロの世界においては、測定によって対象の力学的状態に関する〃完璧な〃知 識を得よ - フとい , フ 希望は、放棄しなければならなくなるのてある。 1 5 8

4. 宇宙論がわかる

すなわち彼は、無、つまり何も物質が存在しないところにも量子的ゆらぎによって物質が 一時的に存在しうるというアイデアを、宇宙の発生に使おうをしたのだ 、宇宙のごれだけの量の物質やエネルギーを考えると、真空のゆらぎぐらいてどう してまかなえるか、という気がするのも当然てある。 ところが、実は宇宙の全エネルギーはほとんどゼロかもしれないのだ。彼はその点に気 ついたのてある。それはこういうことご。 宇宙のエネルギーというときすぐ頭に浮かぶのは、光や、銀河などの物質に宿っている エネルギーてある。ビッグバンの猛烈なエネルギーが、光や、物質の質量として貯えられ ているのてある。宇宙の物質量は莫大だから、これらがもっエネルギーも莫大てある。 ところが、宇宙にはもう一つの形態のエネルギーがある。それは「重力場における物質 のポテンシャルエネルギー」と呼ばれるエネルギーてある ( 位置のエネルギーと考えてよい ) 。 しかも、このエネルギーは、物質のエネルギー ( E ) がプラスてあるのに対して、マイ ナスてある。そのわけを説明しよう。 物体は互いに引力を及ばし合っている。ということは、各物体は重力の場てその位置に 応じたあるエネルギーをもっているわけてある。これを重力場のポテンシャルエネルギー という。引力て引き合うのは、そのエネルギーを少しても減らし ' : 、 オしカらてある。なぜな 170

5. 宇宙論がわかる

のが正当てはないだろうか。 ゼロ点運動とゼロ点エネルギー こういう事情のため、量子の世界てはマクロの世界には見られない面白い現象がある。 それは、絶対温度がゼロになっても量子的粒子の運動は完全には停止しないということだ。 絶対温度 ( ) というのは、あらゆる熱運動が消失する温度をゼロとしててきた体系てある から、Ⅱ 0 てはすべてが静止するはずてある。てはなぜ完全に静止しないかといえば、 もし粒子が静止したとすれば、その位置と運動量 ( 静止したからゼロ ) を両方とも燗 % の精度 て知ったことになり、不確定性原理に反するからてある。 一」の H - フに、 絶対零度においてもなにがしかの運動が残るのて、エネルギーも完全には ゼロとならない。 この絶対零度ての運動のことを「ゼロ点運動」、またそのエネルギーを「ゼ ロ点エネルキー」という。このゼロ点エネルギーというのは、いろいろなところてきわめ て重要なはたらきをする概念なのてある。 「量子的ゆらぎ」が生むエネルギー ハイゼンベルクの不確定性の関係は、位置と運動量のほかに、エネルギーと時間の間に 16 ろ量子力学と宇宙のゆらぎ

6. 宇宙論がわかる

磁力を統一しようという努力をしているが、そのときは成功しなかった。その当時存在が知られていたのは、 重力と電磁力の二つだけぞあった ) 。 現在ては四つの力が知られている ( 本章ページに前述 ) 。そのうち「強い力」と「弱い力」 は、原子核の中だけてはたらき、作用が及ぶ範囲がそれぞれ 7 と小さく、「重力」 や「電気力」のように日常的にわれわれの感覚に訴えることはない。 それ以外の性質にお いても、これら四つの力はいろいろに異なっている。そのような力が統一されるとは、ど ういうことなのだろうか。それについて少し説明してみたい。 大域的対称性と局所的対称性 一見異なって見える物事を統一的にとらえるというのは、それらの背後に「一つの実体」 があって、この実体が異なった現れ方をしたのが現実のさまざまな姿だと認識することて ある。 いくつかのものが同じに見えるという状態は、それらの間にある対称性 ( 類似性 ) が 存在するからてある。たとえば、奥深い密林の中に入って自分の位置を見失うのは、まわ りの樹木の様子が同じように見えるから、つまり、空間的に移動してもまわりの情景が少 しも変わらないからてある。 われわれは、自然法則が絶対位置や絶対時刻にはよらないことを知っている。たとえば、 14 ろ初期宇宙の様子

7. 宇宙論がわかる

これが今日、宇宙の「ビッグバン・モデル」と呼ばれているものてあるが、ビッグバン 以来今日まてどれくらい時間が経過したか、それがここての議論てある。 その時間の上限は、ハップルの定数から得られる。われわれからという距離にある 銀河の後退速度をとすると、この銀河がビッグバンの瞬間から現在の位置に達するまて / 時間がかかったことになる。これはハップルの法則Ⅱから、 等しい ( ただし、は ( ップル定数の現在いおる値てある ) 。この 1 / のことを「ハップル時 ハップル時間とは、もし宇宙が過去からずっと現在と同じ割合て膨張し続けたとしたら 経過したてあろう時間、つまり宇宙の年齢のことてある。しかし実際には、膨張の割合は 一定てはなかった。次項て述べるように、宇宙は減速しながら膨張を続けていると考える こい / 、ほ J 大、さかったし J い - フこし J ほ - フが一止し、 ということは、ハップル定数の値が過去 ( になる。したがって、現在の値て計算した 1 / は、実際の宇宙年齢よりも大きいのだ。 つまり、 ハップル時間は宇宙年齢の上限を与えているのてある。 一 ) のしょ - フに、 ハップル定数の値は時間によって変わると考えなければならない。 し、ある時刻て切って考えたときには、宇宙空間のどの位置にいる観測者にとっても同じ 値をとる。

8. 宇宙論がわかる

いて幾枚もの写真をとって、銀河の分布状態や銀河の形などを比較してみる。そうした結 果、大きなスケールて見たとき、宇宙は見る方角による違いはないという結論が得られる それては一様性に関してはどうだろうか。確実にいえることは、われわれにはその真実 せいその近傍に限 生を実証する方法がないということだ。われわれは地球、あるいはせい。 られた存在域しか与えられておらず、宇宙的規模ていえば、広大無辺な宇宙の中のほんの したがって、一様性 一点に居住して、あれこれ宇宙のことを論じている存在にすぎない。 ふえん というときにも、それは近隣の様子から敷衍して宇宙全体もそうてあろうといっているに すぎないのてある。 てはなぜ一様性を主張するかといえば、もしそうてなくて宇宙が場所場所ていろいろに 異なっていたなら、宇宙を数学的に扱うことがほとんど不可能となるからてある。つまり 一つの簡単化の原理てある。 しかしもう一つ理由がある。それは、仮に等方的てあっても一様性は成り立っていない とすると、等方的に見えるこの地球の位置が、宇宙てなにか特別な場所のようになってし まうからてある。しかし、コペルニクス革命て地球は太陽系の中心の位置を明け渡し、シ ャプレーによってその太陽系まてが銀河の中心てはないことが判明した経緯から考えてみ

9. 宇宙論がわかる

位置と運動量の不確定性関係 もちろんハイゼンベルクは、ただ 観念的にこのことを言い出したのはない。発表した 一九二七年の時点ての、量子力学の発展を踏まえた主張てある。彼は測定という行為を改 めて考え直してみた。 たとえば電子が一個あるとして、その位置を正確に知りたいと思う。そのためには、頁 徴鏡て物を見る場合のように電子に電磁波を当てて、はね返ってくる電磁波を観測すれば よい。われわれが物を観測するときは、いつもそのような手段をとるわけてある。レーダ ーて飛行機を発見するときもそうだ。このとき、観測することによって、観測対象の状態 を多かれ少なかれ乱すことになる。電磁波はエネルギーのかたまりてあるから、電子を観 測しようとして電磁波を当てると、必然的にかなりのインハクトを電子に与えてしまい 電子はそのためよろめく。もちろん、暗やみて懐中電灯の光を向けたら、人が見えたけれ ど、そのことて人がよろめいたとい - フことはない。 それは、光の運動量が人に影響を与え るほど大きくはないからてある。だが相手が電子なら、話は別てある。 ここて、物を見るために当てる電磁波には一つ条件がある。それは、当てる電磁波の波 長が、見ようとする対象のサイズより小さくなくては意味がないということだ。当てた電 磁波の波長の大きさより細かい精度て、情報を得ることは不可能なのてある。 い 9 量子力学と宇宙のゆらぎ

10. 宇宙論がわかる

ように切り離された別個の概念としては通用しなくなったからなのだ。図 7 の例の場合て も、の電車内、またはの電車内だ ごけに限れば、車掌と運転士の間の純粋な時間の間題 として片づけられるが、相手側の電車内の問題となると、時間だけ切り離して論じること がてきなくなり、二人の空間的位置もこの間題に入り込んてくるのてある。ちなみに、同 じ場所て起こった事象の同時性は、どの慣性系から見ても同時てある。 このように、相対論は空間とか時間に対するこれまての「個別的」な考え方を改め、両 者を融合して改めて四次元的「時空」としてとらえ直すことを要求する。その結果、従来 の常識的な空間的長さとか時間間隔というのは、この統合された四次元時空内の二点間の 「時空間隔」という一つの概念の二つの側面、という意味をもつようになるのだ。 同時性の概念が相対的なものになれば、物の長さも相対的な意味しかもたなくなる。な せかといえば、「長さ」には同時性がからむからだ。物の長さを測定するためには、両端の 位置を同時に読みとらなくてはならない。その同時性が性系ごとに違ってくるのだから、 長さも当然性系ごとに違ってくるわけてある。結論をいえば、「自分に対して動いている 物の長さは、静止の状態て測定した値よりも短く観測される」のてある。 以上をまとめると、相対論ては、自分に対して等速直線運動をしている系を観測すると、 次の三つの効果が表れる。 相対性理論の描く時空間 フ′