ただし、この方法て距離が求められるのはせい。 せい一千万光年が限度て、それ以上にな ると、個々のセファイドを星雲中に見つけるのが困難になるため、この方法は使えなくな る。一千万光年から先の距離測定に用いられるのは、次に述べるハップルの法則てある。 ハップルの法則と膨張宇宙の発見 星雲からの光のスペクトル写真を分析して、ほとんどの星雲が赤方偏移を示すことに気 づいた最初の人物は、アメリカの天文学者、ヴェストー・スライファーてあった。彼はロ ーウエル天文台の二十四インチ望遠鏡を用いて、一九一二年から一五年にかけて四十一個 の銀河について調査し、ほとんどの銀河からのスペクトル線が、近くの星のそれに比べて 長波長側へシフトしているのを発見した。まだ先ほど述べた島宇宙論をめぐる大論争にけ りがつく以前のことてある。 星が出す光を分光器にかけると、輝線や暗線からなるスペクトルが得られる。星が観測 者から遠ざかる向きに動いているときには、これらのスペクトル線の波長が長波長側にシ フトし、星が近づくときは逆の方向にシフトすることはよく知られている。天文学ては、 スペクトル線の波長のシフトをⅡ ( えーも / て表す。この式は、本来という波長 のスペクトル線が、観測すると波長えになっているときの、波長がシフトした割合を表し 膨張宇宙の原理
パラドックスを解く四つの鍵 次に前提 5 を考えよう。これが成立しないことは現在てははっきりしている。次章てく わしく述べるが、宇宙は静止どころか膨張を続けており、しかもその膨張速度はその銀河 まての距離に比例することが、一九二九年にアメリカの天文学者エドウイン・ よって発見され、今日「ハップルの法則」として知られているからだ。 ハップルの法則どおりだとすれば、遠くの銀河ほどわれわれからの後退速度が大きく、 その後退速度に比例した大きさて、銀河が出す光のスペクトルが波長の長くなる向きにシ フトする ( すれる ) から ( これを「スペクトルの赤方偏移」という。赤方偏移についてはハップルの法則 。光のエネル のところて説明する ) 、光が運んてくるエネルギーがそれに伴って減少してい ギーは波長に反比例するからてある。やがてある距離以上の銀河からは、無限に波長が伸 びた光 ( エネルギーは無限に小さくなっている ) しか届かなくなるわけだから、どうやらこの辺 一、「夜が暗い」ことの理由を求めることがてきそ - フてある。 ( しかし、忘れてならないのは、ス べクトルのうちのふつうは波長が短すぎて見えない部分が、赤方偏移て波長が伸びるために可視域に入って くる点てある。つまり、可視域てあった部分が去っていくと同時に新しい部分が可視域に入ってくるのだ。 アメリカのある天文学者は、計算によって、赤方偏移によってはオルバ ースの。ハラドックスを十分には解決 てきないことを示している ) 。
△ 0 の場合を「青方偏移」という。波長 ている。 > 0 の場合を「赤方偏移」といし が長くなることは、色ていえば赤い方にずれることと同じだからてある。 このを銀河が動くことによるドップラー効果だと解釈すれば、銀河の速度はに比 例するのて、銀河の速度が求められる。 N>c のときは、 >>c 、すなわち銀河がわれわ れから遠ざかっており、 N △ 0 のときは△ 0 、つまりこちらに近づいているわけてある。 ドップラー効果というのは、一八四二年にオーストリアの物理学者ドップラーが発見し た法則て、発音体が運動状態にあるときの音のピッチの変化に関するものてある。音源が 接近しつつあるときは音のピッチが高くなって聞こえ ( 振動数ていえば高くなる、波長ていえば 短くなる ) 、後退しつつあるときは低くなって聞こえる。この効果をドップラー効果という。 この効果は音だけてなく、光についても生ずる。光源が観測者から後退する向きに移動し ているときは、光の波長が長くなって観測されるのてある。 ハップルは一九二九年、それまてにわかっていた四十六個の銀河に関する赤方偏移のデ ータと、距離の知れていた十八個の銀河の距離とをつき合わせた結果、赤方偏移から求め た銀河の後退速度と銀河まての距離の間に、明らかな相関関係があるのを発見したのてあ る ( 図 3 参照 ) 。 それは、銀河の後退速度 ( ) がその銀河まての距離 ( ) に比例するというものてあっ
赤方偏移から求めた後退速度 8 - ー -4 ・銀河までの距離 こ。ことえば、とい - フ銀河かとい - フ銀河 より一一倍遠い所にあれば、はの二倍の速 度てわれわれから遠ざかっているということ てある。式てⅡと表されるこのと 関 の関係は「ハップルの法則」と呼ばれ、宇 相 度宙の膨張を基礎づける、今日の宇宙論て最も 退重要な公式となった。 とは「ハップルの定数」と呼ばれる定数て、 距宇宙論の鍵を握る重要なパラメーター ( 量 ) て 河ある。現在てもいろいろな方法て測定が繰り 返されているが、一応受け入れられている 0 ー開 / / 少 - / / といったとこ 図の直は、Ⅱ 5 1 不 ろてある。メガバーセク ( å) は百万バーセク ーセクは三・二六光年てある のことて、一。 から、この意味は、およそ三百万光年遠くな るごし」に、 銀河の後退速度が秒速五十 5 百キ 膨張宇宙の原理
光が銀河に到着したとき、 < 銀河を出たときよりもは宇宙の膨張のために少し大きく なっているはずてある。宇宙は光が飛んている間もすっと膨張を続けているからてある。 光の波は空間の中を進んて行くわけだから、その空間が膨張すれば、光の波長もそれにと もなって引き伸ばされる。したがって、に到着したときの波長は、を出たときに比べ てが大きくなったのと同じ割合だけ長くなっている。これがハップルの法則における赤 方偏移の本当の意味てある。そのためこれは、「宇宙論的赤方偏移」ともいわれる。 以上のことを式て書いてみると、次のようになる。 B 三薇当 C 涬Ø薄滝 ( こ B 三 ~ い当 C 涬Øメー洋区 ( R ) A 三ま C 涬Ø滝 (RO) A 三ま C 涬Øメー区 ( R 。 ) ここて、先に述べたように ( ページ ) 、波長のずれによるスペクトル線のシフト ( ) は、 ( えー石 ) / 石て求められるのて、十 1 Ⅱえ / 石Ⅱ / Ⅱ〈到着時のスケール因 子〉 / 〈出発時のスケール因子〉となる。すなわち、波長のずれ方は光が出たときと届いたと きの宇宙のスケール因子だけて決まるわけて、仮に光が出た瞬間には宇宙の膨張が止まっ ていた ( その後また膨張を続ける ) としても、赤方偏移は起こるわけてある。しかしドップラ
すべきことがある。それは、銀河が距離に比例した速度て後退していくといっても、普通 静止した宇宙空間の中を連動体ぞある銀河が の意味て物体が空間内を動いていくように、 ′、、し J し J 、ら・んてはいけよいし J い - フ一」し J ・こ。 正しくは、銀河の間の空間が膨張し、 移動してい と考えるべきなのてある ( その意味て 銀河はただ膨張する空間にのって運ばれていオ。 は銀河は空間内を動いていない ) 。したがって、赤方偏移の原因は本当はドップラー効果てはな しナた便宜上そう言っているのてある。次にそのことを少し考えてみよう。 宇宙膨張効果による赤方偏移 前項て宇宙を物差しにたとえて、すなわち仮想的な一次元宇宙の例て、一様な膨張ては ハップルの法則が必然的に成り立っことを示した。もう一度物差しを取り出して、今度は 宇宙の赤方偏移が宇宙の膨張とどう結びつくかを示してみよう。 物差しの各目盛の上に「一次元銀河」があるとする。この一次元宇宙のスケールを表す 量として、任意に選んだ二つの銀河間の距離を用いる。このを宇宙の ( この場合物差し宇 宙の ) 「スケール因子」と呼ぶ。任意てあるから、隣り合った銀河の距離てもよいし、物差 しの端と端との距離てもよい いま < 銀河から CQ 銀河に向けて光が発せられたとする。 二つの銀河を、 CQ と名付け、 47 膨張宇宙の原理
ー効果だとすれば、その場合には赤方偏移は起こらないことになる。これがドップラー効 果と宇宙膨張効果による赤方偏移の違いてある。 宇宙の年齢 ハップルの発見によって宇宙が膨張していることがわかったが、当然ながら、時間の向 きを逆にすれば、つまり過去へさかのばれば、宇宙はある点に向けて収縮していくことに なる。宇宙の物質はすべて一点に凝縮され、その点は無限大の密度をもっことになる。そ のよ , フな状態は、どう頭に描けばよいのだろ - フか ハップルの法則はわれわれに、宇宙には始まりがあることを告げている。宇宙は永遠の 存在てはなく、ある時から存在し始めたのてある。しかし本当をいうと、この言い方は正 しくない。 いかにも時間が無限の過去から存在していたかのように聞こえるからだ。時間 はなかなか難しい概念てあるが、とにかく宇宙は「すべて」てあるから、時間もまた宇宙 の始まったその瞬間に創られたと考えるべきなのてある。 したがって、宇宙はどこて 空間についても同様てある。宇宙以前に空間は存在しない。 しいていえば、あらゆる場所て始まったと答える 始まったかという問は意味をなさない。 以外にはよいのご。 膨張宇宙の原理
宇宙の一様性と等方性ー宇宙原理 前項て、銀河がすべてハップルの法則にしたがって後退していることを述べたが、実は この銀河の「後退速度ー距離」の関係は、宇宙が次の条件を満たしていれば当然成り立つは ずの関係てある。その条件というのは、宇宙の一様性と等方性てある。 宇宙の一様性というのは、一言ていえば、宇宙には空間的な特別の点というものはない オししカえれば、宇宙空間のどの点もみな同じだということて、どこに行っ てもそこから眺める宇宙の様子は同じてあり、生物のような時間的に変化する現象もすべ て同様に起こる。もちろん、宇宙の中心というものも意味を失う。 一方、等方性というのは、一つの空間点から眺めた場合、あらゆる事象に方向による違 いがないということてある。どの方向を眺めても、まったく同じ宇宙の姿が見られるとい しかし、たとえば天の川の方角を眺めれば星々は群がっているが、他の方角ては星はま ばらにしか見えない。 この一例だけても、方向による違いは歴然としている。それにもか かわらず、等方的というのはなせたろうか 宇宙が等方的てあるというとき、それは「平均して」の意味てある。あらゆる方向につ 45 膨張宇宙の原理
科学的宇宙論の起こり : : : 変光星「セファイド」による距離の測定 : ルの法則と膨張宇宙の発見 : : : 宇宙の一様性と等方性ー宇宙原理 : : : 一次元 モデルでみるハップルの法則 : : : 宇宙膨張効果による赤方偏移 : : : 宇宙の年齢 : 宇宙は減速しながら膨張する : : : 宇宙は開いているか、閉じているか : クマタ 銀河系の回転曲線 : : : 宇宙の見えない物質 : : : 見える宇宙の範囲ー宇宙の地 平 : : : 宇宙の地平より遠い「ハップル球」 第一一章相対性理論の描く時空間 特殊相対性原理と慣性系 : : : 「光速度普遍の原理」の不思議 : : : 時間は慣性系 ごとに異なる : : : 相対論による三つの運動学的効果 : : : マクスウエルの方程式 とローレンツ変換 : : : 相対論的力学効果ー質量の増加 : : : 質量とエネルギー の等価性 : : : 重力と加速度の等価性 : : : 重力質量と慣性質量の等価原理 : : : 一 般相対性理論による重力理論 : : : 時空の曲率とリーマン幾何学 : : : アインシュ タインの勝利ー膨張宇宙とビッグバンの発見
いて幾枚もの写真をとって、銀河の分布状態や銀河の形などを比較してみる。そうした結 果、大きなスケールて見たとき、宇宙は見る方角による違いはないという結論が得られる それては一様性に関してはどうだろうか。確実にいえることは、われわれにはその真実 せいその近傍に限 生を実証する方法がないということだ。われわれは地球、あるいはせい。 られた存在域しか与えられておらず、宇宙的規模ていえば、広大無辺な宇宙の中のほんの したがって、一様性 一点に居住して、あれこれ宇宙のことを論じている存在にすぎない。 ふえん というときにも、それは近隣の様子から敷衍して宇宙全体もそうてあろうといっているに すぎないのてある。 てはなぜ一様性を主張するかといえば、もしそうてなくて宇宙が場所場所ていろいろに 異なっていたなら、宇宙を数学的に扱うことがほとんど不可能となるからてある。つまり 一つの簡単化の原理てある。 しかしもう一つ理由がある。それは、仮に等方的てあっても一様性は成り立っていない とすると、等方的に見えるこの地球の位置が、宇宙てなにか特別な場所のようになってし まうからてある。しかし、コペルニクス革命て地球は太陽系の中心の位置を明け渡し、シ ャプレーによってその太陽系まてが銀河の中心てはないことが判明した経緯から考えてみ