教育の見直しによって、大幅に時間が削減され価するー U)< と大きく異なる。 &—0')< 型の 学力と k- ー型の学力のどちらをより重視 ている。 すべきか、国によっても考え方が異なっている。 【詰め込み教育】 知識を増やすことに重点を置き、生徒にでき【特別支援学校】 るたけ多くのことを学習させ、画一的に知識を従来、障害児教育を行う学校は、盲学校・ろ う学校・養護学校のように、障害の種類ことに 暗記させる教育。 1980 年代以降、校内暴力や落ちこほれな区別されていた。それが特別支援教育が始まっ どの問題の原因として批判されることが多く、て、「特別支援学校ーに統一された。 そのためにゆとり教育に移行した。しかし、近 年、脱ゆとり教育の動きに伴って、基礎学力の【特別支援教育】 現在行われている障害児教育の考え方。かっ 充実こそ重要として見直されている面もある。 てのように、限られた障害児を特別な場で指導 するのではなく、子どもたち一人ひとりの一一ー —u-J< ( 国際教育到達度評価学会 ) が行ってスに応じて、学校ぐるみ、地域ぐるみで継続的 に支援していこ一つというもの。 いる国際数学・理科教育調査。 そのため、通常学校に通う発達障害の子ども 学校で習う知識や技能の習得度を評価する占 で、従来型の学力観に近く、知識の応用力を評も支援の対象にし、また地域と学校の連携を強 付 2 1 3
えているわけだ。 こうした状況が好ましいかどうかを問題提起するといい。 イエスの立場であれば、「特別支援教育の理念がどうであれ、現実には通常学校では差 別されることが多い。したがって、特別支援学校で差別もなく安心して学習できるのなら、 そのほうが子どものためこ、、 ーー ( などのように、現実を踏まえたうえで、子どもたちに とってどちらが好ましいかという方向で論じることができる 逆に、ノーの立場なら、やはりこうした状況が、本来の特別支援教育の考え方に反して ーることをしつかりと論じるべきだろ一つ 健常児と障害児の区別をなくして、一人ひとりの子どものニーズに応じた教育を実現す るのが特別支援教育の理念だ。 にもかかわらず、通常学校に通えるはずの発達障害の子ど もまで特別支援学校に通うというのでは、かえって差別を助長する恐れがある。そうした ことを論じると、説得力がある いずれにせよ、特別支援教育の考え方をきちんと理解し、それを踏まえたうえで、イエ ス・ノーを論じることが大切だ 特別支援教育 1 1 7
解答例 2 【反対】特別支援教育の理念を尊重すべき 近年、知的障害のない発達障害の子どもが、特別支援学校への進学を希望するケースが 増えている。この傾向は、はたして好ましいのだろうか。 確かに、軽度ではあっても、障害をもっ子どもが通常学校に通学する場合、差別された り、いじめを受けるといった問題は少なくない。そうした問題を避けるためにも、支援の 行き届いている特別支援学校への通学を希望する親が多いのは理解できる。しかし、特別 支援教育の理念を考えると、こうした傾向は好ましいとは = = ロえない。 特別支援教育の理念は、障害の有無にかかわらす、子どもたち一人ひとりの一一ーズに応 じて必要な支援をするというものた。そのためには、とくに軽度の障害児であれは、でき るたけ通常学校に通って、必要な場合のみ支援を受けるという形が望ましい。それなの に、従来は通常学校に通っていたようなの隱害児引で特別支援学校に通う・ことになる し 1 か・つ・で以上に障害児の隔離が進んでしプ。そうなると、障害児への差別がますます 助長されていく恐れもあるのだ。 したがって、私は、軽度の障害児が特別支援学校を選ぶという最近の傾向は、好ましい ものではないと考える。 特別支援教育 1 1 9
解答例 1 【賛成】現状を踏まえて考えるべき 近年、知的障害のない発達障害の子どもが、特別支援学校に通うケースが増えていると いう。こうした傾向は、はたして好ましいと = = ロえるのたろうか。 確かに、特別支援教育の理念においては、障害児も健常児と同し学級で、同しような教 育を受けるのが望ましい。とくに、これまでも通常学校に通っていたような軽度の障害児 であれば、できるたけ通常学校に通って、その中で必要な支援を受けるというのが、本来 の理想たろう。しかし、現実を踏まえて考えると、こうした傾向は必すしも否定できない。 特別支援教育はまた始まったばかりで、通常学校での障害児への支援体制は、まだまだ 十分とは一一 = ロえない。これまで、発達障害などの子どもは、障害児教育の対象に含まれす、 通常学校に通わせられて、必要な支援を受けられなかった。となれは、これまで学校の無 策に苦しんできた親が、必要な支援を受けられる特別支援学校のほうを選ぶのも無理はな 。それに、特別支援学校であれは、差別やいじめの問題も考えすにすむ。特別支援教育 の理念は尊重すべきだが、それが十分に定着して通常学校の支援体制が整うまでは、健常 児と障害児が席を並べて勉強するという理想の実現は難しいたろう。 したがって、軽度の障害児が特別支援学校を選ぶ傾向は、一概には否定できないと私は 考える。 118
かる こえ こ使 だ遠いと言われる 特別支援の対象となる子どもの割合は、以前より大きく増えたとはいえ、諸外国に比べ ると、まだかなり少ないそれに、日本では特別支援の対象が障害児に限定されているが、 社会的・文化的な理由で学習困難な状態に陥っている子どもも特別支援の対象と考えるの が、本来のインクルージョン教育の考え方だ。 一方で、インクルージョン教育の理念そのものに対する疑問の声もある たとえば、インクルージョン教育では、重度の障害のある子どもたちも、いずれは通常 学級で健常児と席を並べるのが理想とされている しかし、それが本当に子どもたちにとって望ましいことかどうか同じ障害をもつ者同 士で、その障害に応じた専門的な教育を受けるほうが差別もなく、将来の就職にもつなが るので好ましい、という考え方もあるはずだ。その点については、盲学校やろう学校など を特別支援学校に一本化したことに対する批判も、依然として残っている このように、特別支援学校や特別支援学級の役割をどう考えるかは、「特別支援教育、 を進めていくにあたって、議論の的でありつづけるだろう 124
な考え方があったことは否定できない 「特別支援教育」になって何が変わった ? ・従来の「特殊教育」が、限られた障害児を特別な場において指導するという発想にとど まっていたのに対し、「特別支援教育」では、「支援を必要とする子どもたちに対して、一 人ひとりのニースに応じた教育を継続的に行う」という考え方に変わった。 具体的には、これまで健常児といっしょに扱われていた発達障害などの子どもたちも、 特別支援の対象となる。そのために、通常学校・通常学級においても「特別支援教育」が 実施される。つまり、学校全体で「特別支援教育」を行うということだ。 また、盲学校・ろう学校・養護学校というように、障害の種類別に学校が分けられてい たのを、特別支援学校に統一する。そして、特別支援学校が、地域の特別支援教育のセン ター的役割を担い、通常学校や地域の医療・保健機関、福祉ボランティアなどと連携をと りつつ、地域社会全体で障害児教育を支えるという仕組みになる。また、特別支援学校は、 地域の学校の特別支援教育をサポートする役割も与えられる このように、障害をもっ子どもたちを、特別支援学校などの特別な場たけでなく、学校 かる こえ こ使 特別支援教育 1 2 1
特別付録 これたけは押さえておきたい 教育系小論文の基本用語集 1 いじめ問題 2 学級崩壊 3 モンスター・ペアレント 4 指導力不足教員 5 脱ゆとり教育 6 L—Ø< 型学力 7 教育格差 8 高校教育の無償化 9 ボランティアと学校 特別支援教育 もくじ 115 105 095 085 075 065 055 045 035 025 小学校の英語教育 中学校での武道の必修化 歴史教育の問題 1 理数離れの問題 幼児教育の問題 大学全入時代 生涯学習 絽大災害時の学校の役割 防災教育 208 197 0 0 5
かる こえ こ使 かる こえ こ使 かる こえ こ使 切な支援を受けるというのが、インクルージョン教育の理想的な形だ。 もちろん、特別支援学校・学級を一気になくすことはできない。そこまでする必要があ るのか議論の余地もある。しかし、発達障害の子どもたちを「特別な教育的ニースをもっ 子どもたち」と捉えて、通常学級でも必要な支援が行えるようになったのは大きな前進と 言えるだろう。 このように、普通教育と障害児教育を完全に分けるのではなく、健常児も障害児も、そ の子のニースに応じてきめ細かい教育上の支援を可能にするのがインクルージョン教育だ。 「特別支援教育」の問題点ー支援体制の不備など もちろん、「特別支援教育」への移行には問題点も少なくはない。 まず、通常学校での障害児への支援体制は、またまた十分とは = = ロえない。障害児教育の 理解も経験も乏しい教師が多いことも問題だが、そもそも通常の授業や生徒指導のほかに、 障害児の支援という仕事まで教師に負わせるのは無理があるという意見もある インクル】ジョン教育の理念という観点からは、次の 2 つのことが一一口えそうだ。 まず、日本の「特別支援教育」は、インクルージョン教育の本来の考え方からはまだま 特別支援教育 123
かる こえ こ使 かる こえ こ使 かる こえ こ使 ぐるみ、地域ぐるみで支援していこうというように、方向転換をしたわけだ。 さらに、一人ひとりの障害児に対しても、生涯にわたっての個別の教育支援計画を立て、 関係諸機関が連携しながらサポートしていくことになる また、特別支援教育コーディネ】タ】を校内に置いて、関係諸機関の調整役とするなど、 きめ細かい 支援体制をつくることが求められている 根底にある「インクルージョン教育」とは ? 「特殊教育」から「特別支援教育」への転換は、「インクルージョン教育」 ( インクルー シブ教育、包括教育 ) の考え方が根底にある。 インクルージョン教育とは、障害の有無にかかわらす、子どもには違いがあって当然と いう前提に立ち、一人ひとりの教育的ニースに応じた教育をしようという考え方だ ノ】マライゼーションの概念が一般化し、「障害は欠落ではなくて個性」という考え方も 浸透してきた。そのため、学校教育においても、障害児を特別扱いするのではなく、健常 児と同じように、個性あるひとりの子どもとして扱うべきだとする考え方が生まれてきた。 したがって、障害のある子どももできるたけ通常の学級で授業を受け、必要に応じて適 1 2 2
かる こえ こ使 ここか 使える 理解のポイント 「特殊教育」から「特別支援教育」へ 2007 年度から、これまで「特殊教育」と呼ばれていた障害児教育が、「特別支援教 育」へと移行した。 従来の「特殊教育」は、限られた数の障害児を対象に、盲学校・ろう学校・養護学校と いう障害児向けの学校や殊学級などの特別な場で行われてきた。 1979 年までは、重い 障害だと就学を拒否されるなど、障害児は教育を受ける権利が保障されていなかった。 その一方で、発達障害などの軽度の障害の子どもは特殊教育の対象からはずされて、通 常の学級で、ほかの生徒と同じように授業を受けさせられた。そのため、ほかの生徒にい じめられたり、不登校になったりするケースも少なくなかった。 このように、これまでの「特殊教育」の考え方の背景には、障害のある子どもとない子 どもを分け、障害をもっ子どもを、通常の教育になじまない「特殊」な存在と見なすよう 特別支援教育 1 2 0