一九六二年一一月 中公新書刊行のことば いまからちょうど五世紀まえ、グーテンベルクが近代印刷術を発明したとき、書物の大量生産は 潜在的可能性を獲得し、いまからちょうど一世紀まえ、世界のおもな文明国で義務教育制度が採 用されたとき、書物の大量需要の潜在性が形成された。この二つの潜在性がはげしく現実化した のが現代である。 いまや、書物によって視野を拡大し、変りゆく世界に豊かに対応しようとする強い要求を私たち は抑えることができない。 この要求にこたえる義務を、今日の書物は背負っている。だが、その 義務は、たんに専門的知識の通俗化をはかることによって果たされるものでもなく、通俗的好奇 しにうったえて、いたずらに発行部数の巨大さを誇ることによって果たされるものでもない。現 代を真摯に生きようとする読者に、真に知るに価いする知識だけを選びだして提供すること、こ れが中公新書の最大の目標である。 私たちは、知識として錯覚しているものによってしばしば動かされ、裏切られる。私たちは、作 為によってあたえられた知識のうえに生きることがあまりに多く、ゆるぎない事実を通して思索 することがあまりにすくない。中公新書が、その一貫した特色として自らに課すものは、この事 実のみの持っ無条件の説得力を発揮させることである。現代にあらたな意味を投げかけるべく待 機している過去の歴史的事実もまた、中公新書によって数多く発掘されるであろう。 中公新書は、現代を自らの眼で見つめようとする、逞しい知的な読者の活力となることを欲して
東 II ⅢⅢ川ⅧⅧⅢ 9 7 8 41 2 1 0 0 2 4 4 0 上 東京裁判 ( 上 ) 中公新書 244 歴史上前例のない戦争犯罪人を裁く極東国際軍事裁判は、 ーー昭和一一十一年五 戦争に敗れた日本人に何を問うたか 上月三日の開廷以来二年半余、三百七十回に及ぶ公判で「平 、人道、戦争に対する罪」の名のもとに、満州事変か 判 裁 、七人の絞首 ら太平洋戦争に至る〃侵略〃の事実を問い 京 刑を含む一一十五人全員に有罪を宣した東京裁判の全容を、 東 厖大な公判速記録をはしめ、公刊資料はもちろん内外の 関係諸国、関係者につぶさに取材して解明する。 ・一一六事件増補改版 よ太平洋戦争 ( 上下 ) 既 ~ 南京事件 書一軍国日本の興亡 新 ~ 日本海軍の終戦工作 公Ⅷ 菊巣鴨プリズン 中皿 漢奸裁判 旧Ⅲ川川 IIII Ⅷ旧馴 島襄著 東京裁判 ( 上 ) 1 9 2 1 2 2 1 0 0 7 2 0 5 工 S B N 4 ー 1 2 ー 1 0 0 2 4 4 - X C 1 2 2 1 \ 7 2 0 E 定価ー 児島襄著 劉小纐猪秦児高 林纈木島橋 弘正郁正 傑忠厚道彦襄衛 著著著著著著著 中公新書 中公新書 244 中公新書 244
東京裁判 ( 上 ) 中公新書 244
島襄著 東京裁判 ( 上 ) 中公新書 244
/ 88 イし し 6 5 中公新書 244 児島襄著 東京裁判 ( 上 ) 中央公論新社刊
児島襄 ( こじま・のぼる ) 1927 年 ( 昭和 2 年 ) , 東京に生まれる . 東 京大学法学部政治学科卒 . 元共同通信社記 者 . 戦史に取材した作品が多く , 「児島襄 戦史著作集」 ( 全 12. 文藝春秋 ) がある . 2001 年 3 月 , 逝去 . 著書「太平洋戦争」 ( 上下 ) 中公新書 「史説山下奉文」文藝春秋 「第二次世界大戦・ヒトラーの戦い」 ( 全 15 ) 小学館 「日中戦争」 ( 全 3 ) 同上 「満州帝国」 ( 全 3 ) 同上 「天皇」 ( 全 5 ) 同上 「戦艦大和」 ( 上下 ) 同上 「史録日本国憲法」同上 「参謀」同上 「指揮官」同上 「大山巌」 ( 全 4 ) 同上 ほか とうきようさいばん 東京裁判 ( 上 ) 中公新書幻イ 01971 年 ◇定価はカ , ( ーに表示してあ ります . ◇落丁本・乱丁本はお手数で すが小社販売部宛にお送り くたさい . 送料小社負担に てお取り替えいたします . Printed in Japan 1971 年 3 月 25 日初版 2003 年 7 月 10 日 35 版 著者児島襄 発行者中村仁 本文印刷三晃印刷 カノく一印刷大熊整美堂 製本小泉製本 発行所中央公論新社 〒 104 ー 8320 東京都中央区京橋 2 一 8 -7 電話販売部 03 ー 3563 ー 1431 編集部 03 ー 3563 ー 3668 振替 00120-5-104508 URL http://www.chuko.co.jp/ ISBN4 ー 12 ー 100244 ー X C1221
とみなし、日本人自身がみずからを " 侵略者〃と規定したり、こと国家意識と軍事問題にかんし ては極度の萎縮作用を示す姿勢がうかがわれるだけである。 過去の日本の政治体制が一種の無責任体制であり、戦争を含めた政治行為の多くが、その無責 任体制の産物であったとは、しばしば指摘されるところである。東京裁判は、その点についても 深刻かっ明確な検討の機会を与えたはずである。 だが、そういった東京裁判の建設的な効果は、 いまほとんど見当らない。東京裁判で吹鳴され た理想の響きが高らかであっただけに、当時と現在との " 落差〃を感得せざるをえない。 さらにいえば、戦後の日本と国際社会にたいして、東京裁判はかえってゆがんだ方向づけをし たのではないか、とさえ感しられる。 東京裁判は、その意味で、太平洋戦争とともに、あらためて日本を考え直し、その進路を検討 するためにふりかえるべき原点とみなされるわけたが、では、 いったい東京裁判とはどのような ものであったのか それを具体的事実に即してさぐろうとするのが、前著『太平洋戦争』 ( 中公新書 ) および本書執 筆の動機である。 一九七一年三月 児島襄 111
がんを病む人、癒す人比企寿美子 人と仕事・体験 新聞記者で死にたい 野上浩太郎 アーロン収容所 会田雄次政治記者 ・ノートン 能楽師になった 可児弘明 外交官大内侯子・栩木泰訳 山びとの記 ( 増補版 ) 宇江敏勝 そばや今昔 堀田平七郎編 シリコン・ヴァレー物語枝川公一 阿川尚之 海の友情 ウィーン愛憎 中島義道 都市ョコハマをつくる田村明 キルギス大統領顧問日記田中哲二 わがアリランの歌金達寿 山本俊一 浮浪者収容所記 イヌ・ネコ・ネズ、 戸川幸夫 片山智行 魯迅 ( ろじん ) ケンプリッジの 安部悦生 カレッジ・ライフ 新・本とっきあう法津野海太郎 ー中公新書既刊 E 1 ー
中国革命の 諸星清佳 夢が潰えたとき 現代史Ⅱ 歴史・社会・ 中国ー 中嶋嶺雄 国際関係 小島朋之 林健太郎中国現代史 ワイマル共和国 ナチズム 賀来弓月 村瀬興雄インド現代史 松岡完 アドルフ・ヒトラー村瀬興雄ベトナム戦争 矢野暢 ゲッペルス 平井正「南進」の系譜 ヒトラ ・ユーゲント平井正アメリカの世紀 ( 上下 ) 有賀夏紀 ナチ・エリ 野中郁次郎 山口定アメリカ海兵隊 ユダヤ・エリ 鈴木輝二 米国初代フォレスタル村田晃嗣 国防長官 チャーチル ( 増補版 ) 河合秀和韓国の族閥・軍閥・財閥池東旭 アラビアのロレンス 池東旭 牟田口義郎韓国大統領列伝 を求めて イスラム過激原理主義藤原和彦 渡邊啓貴 フランス現代史 藤村久雄 革命家孫文 横山宏章 中華民国 劉傑 漢奸裁判 中国革命を駆け抜けた福本勝清 アウトローたち ー中公新書既刊 C 4 ー
鄭和の南海大遠征宮崎正勝 世界史— 両班 ( ャン・ ( ン ) 宮嶋博史 よみがえる 大航海時代と 平勢隆郎 生田滋 モルッカ諸島 文字と呪術の帝国 貝塚茂樹台湾 伊藤潔 史記 金両基 宦官 ( かんがん ) 三田村泰助物語韓国史 寺田隆信 則天武后 外山軍治物語中国の歴史 寺田隆信 楊貴妃 ( ようきひ ) 村山吉廣紫禁城史話 科挙 ( かきょ ) 宮崎市定物語ヴェトナムの歴史小倉貞男 元朝秘史 岩村忍物語フィリピンの歴史鈴木静夫 宮崎正勝 中国列女伝 村松暎ジパング伝説 梁山泊 ( りようざんはく ) 佐竹靖彦 陳舜臣 実録アヘン戦争 アジアの世紀′ 林浩 客家の原像 の鍵を握る 藤村久雄訳 杉本憲司 中国古代を掘る 冨谷至 古代中国の刑罰 鳥越憲三郎 古代中国と倭族 漢帝国と辺境社会仭山明 ー中公新書既刊 C 1 ー