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検索対象: 絶対貧困 : 世界最貧民の目線
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1. 絶対貧困 : 世界最貧民の目線

これを日本に当てはめて考えてみればわかりやすいでしよう。 もし、あなたが暮らしている町に何百万人という外国人がなだれ込んできて、時給五十円で働 きだしたらどうでしよう。お店や企業は安い外国人を雇うことで人件費を削減しようとしますよ ね。こうなれば、それまで高給をとっていた日本人が失業してしまいます。もし日本人が仕事に 就きたければ外国人と同じ時給五十円で働かざるを得なくなるのです。 ところが、時給五十円では生活が成り立ちません。正規の仕事の他にアルバイトもしてやっと 一日一食ありつける程度でしよう。当然、日本人としては「こうなったのはすべて外国人のせい だ」と考え、艮みをつのらせ、いっか追い出してやろうと思うようになりますよね。そして何か の拍子に鬱憤が爆発し、外国人への暴力や排除運動が起きても不思議ではありません。実は海外 で起きている移民や難民への暴力にはこのような背景があるのです。 私が〇八年に南アフリカに滞在していた時もそうでした。ヨハネスプルクやケープタウンとい った大都市の黒人居住区で、地元住民たちが不満の矛先を外国人に向けて、外国人を撲殺した り、家や店に火を放ったり、追い出したりしたのです。貧しい地域では一気に火の手がひろが り、多数の死傷者がでました。 私もこの場にいたのですが、まさしく群集心理による暴力でしたね。長年つもりにつもった怒 りが些細なことをきっかけにして人々の心の導火線に飛び火し、「この機会に外国人を殺せ、追 い出せ」という機運が生まれたのです。そうして貧しい地一兀住民たちがあらゆる責任を外国人に