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検索対象: 絶対貧困 : 世界最貧民の目線
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1. 絶対貧困 : 世界最貧民の目線

219 ではないはずです。 ロ世界の売春事情 世界に売春業の存在しない国は、まずないと言えるでしよう。どれだけ厳しい国でも、何らか の形で存在します。宗教に厳格なイランにだって、政治的な締付けのある北朝鮮にだってありま す。 世界にどれだけの売春婦がいるかは統計の取りようがありませんが、推測はでていますので、 インドと中国のケースを人口比とともにご紹介しましよう。 インドと中国の売春婦人口 cuooo 万人 ( 中国総人口約億人 ) —ooo 万人 ( インド総人口約 2 億人 ) ※出典「 oc•-cc 」「 <I-LQ 」 どちらの国も人口の半分が女性だとしたら、中国で三十人に一人、インドで五十人に一人が売 春婦ということになります。これは赤子も老人もすべて含めた数ですから、貧しい年頃の女性に 限れば驚くほど高い割合になるかもしれません。 第三部売春編

2. 絶対貧困 : 世界最貧民の目線

1 18 生後から日以内の乳児の年間死亡者数 ( —ooo 人あたり ) 2 人 日本 5 人 米国 中国 シェラレオネ・ アフガニスタン 日本とアフガニスタンを比べると、実に三十倍の新生児死亡者数になるのです。単純計算すれ ば、日本で一人の死者に対して、アフガニスタンでは三十人が亡くなっているのです。 妊産婦死亡者数はどうでしよう。 妊産婦の年間死亡者数 ( 2 万人あたり ) 6 人 日本 材人 米国 中国 シェラレオネ : 210 0 人

3. 絶対貧困 : 世界最貧民の目線

220 ここまで売春婦の数が多いと、性産業が生み出す利益は相当なものになるはずです。こちらも 推測で考えていくしかないのですが、に占める性産業の割合として次のようなデータがあ ります。 における売春の占める割合 韓国 5 % 中国 6 % ※出典「中央日報」「 oc•-coJ 韓国や中国のような国での五パーセント程度だとすると、アフリカや東南アジアの途上 国における割合はさらに上がるはずです。事実、フィリピンで十パーセント以上と言われていま すから、国によっては十パーセント以上になることもあるでしよう。 国の中で売春がここまで大きな産業になってしまうと、政府はおいそれと規制を厳しくするわ しにはいかなくなってしまいます。特に途上国の場合、性産業がなくなれば膨大な数の失業者が でて国が立ち行かなくなってしまう危険すらあるのです。 こうしたことから、途上国の中には性産業を合法化して経済の発展に結びつけようとする動き もあります。性産業が認められれば、観光客が増加しますし、外資の誘致もしやすくなり、税収

4. 絶対貧困 : 世界最貧民の目線

269 ③は海外で外国人売春婦の需要が高まるために起きることです。 たとえば、ある国では、色白の女性が美しいという価値観があるせいで、その国の女性よりも 色白の外国人女性の方が人気があります。そんな時、その需要にあやかって隣国の色白の売春婦 たちが働きに来るようになるのです。 宗教や制度の問題もあります。イスラームの国の場合、宗教上の理由から自国民の売春婦は厳 しく取り締まられてしまいますが、宗教の異なる外国人売春婦であれば「必要悪」として見逃し てもらえることがあります。そのため、イスラーム以外の国の売春婦が大挙してやってくること になるのです。 その他に、移民の間題もあるでしよう。全世界には華僑だけで五千万人、印僑で一一千五百万人 いると言われ、世界の各都市に中華街やインド人街が存在します。彼らが現地の売春婦より、同 じ民族の売春婦を抱きたいと思うことも少なくないでしよう。そこで、中国やインド本国から、 外国にいる華僑や印僑を狙って売春婦がやってくるようになるのです。 これと同じことは、かっての日本でもありました。日本が貧しかった頃、多くの人々が移民と してアメリカや中国や東南アジアへ渡りました。その時、日本人売春婦もまたそこでの需要を期 待して海を渡ったのです。 面白いことに、一万円札の福沢諭吉はこうした売春婦移民論に賛成していました。彼のこんな 一一一口葉が残っています。 第三部売春編

5. 絶対貧困 : 世界最貧民の目線

、ハタバタと死んでいるのです。ある程度の年齢まで生き残っている人たちは、たまたま免疫力が つよく感染症にかからなかった、あるいは感染したことはあっても運良く悪化しなかったという 人ばかりなのです。つまり、スラムの中では、免疫力のある人が生き残るという「自然淘汰」が なされているのです。 嘘だと思うなら、スラムに暮らす母親に「これまで産んだ子のうち何人が亡くなりましたか」 と尋ねてみればいいでしよう。十人いれば、数人は幼い時に死んでいるはずです。 日本と途上国の乳児死亡率を比べて見ると、次のようになります。 5 歳未満児死亡率 ( —ooo 人あたり ) 4 人 日本 8 人 米国 中国 アフガニスタン・ ・ 2 5 7 人 シェラレオネ・ ・ 2 7 0 人 ※出典「世界子供白書 ouooo 」 (DZ—OULL) アフリカで最悪な国がシェラレオネ。アジアがアフガニスタンです。それらの国と日本を比べ 第一部スラム編

6. 絶対貧困 : 世界最貧民の目線

265 四の当 十性 第 あまり語られませんが、売春は世界でもっとも国際化した産業だと言えるでしよう。 日本にいる外国人売春婦を集めたら一体どれだけの数になるでしようか。またフィリピンやプ ラジルや中国からどれだけの売春婦が海外へ渡っているのでしようか おそらく世界に散らばる金融系サラリーマンや貿易商なんて物の数ではないほどの出稼ぎ売春 婦がいるはずです。みな、少しでも物価の高い国へ渡って、多くのお金を稼ごうとしているので す。 最終回は、国際化する売春や性の問題について話をしていきたいと思います。 ロ女性たちが海外へ渡る理由 貧しい国の売春婦が、豊かな国へ行こうとするのは自然なことでしよう。前に見たように途上 国と先進国の格差は三百倍ぐらいになります。母国で体を売って百円しか稼げないのに、国境を 第三部売春編

7. 絶対貧困 : 世界最貧民の目線

的に銃を所持する権利をもっていること があります。パキスタンやイエメンなど の部族がその典型ですね。こうした所で は自分たちで銃器をつくっていたりしま . 現す。〔 3 ー 4 〕では子供が当たり前のよ て うに交じってつくっていますが、行く所 へ行けばこんなものです。 銃 銃の価格が一番安いのがアフリカでし よう。九〇年代に冷戦が終結した直後の 旧共産圏から内戦をしていたアフリカ諸 国に大量に流れてきたのです。通称カラシニコフと呼ばれる自動小銃がその代表格で す。〔 3 ー 5 〕がそれですね。 この銃は供給過多になるぐらいアフリカ社会に出回り、一説によれば世界に一億丁以上あると もいわれています。そのため、一兀々は百ドルから百五十ドルぐらいだったものがどんどん値が下 落していき、ついには三千円とか四千円で取引されるようになってしまったのです。私がスラム で聞いた時は、千円にまで価格が落ち込んでいました。信じられないかもしれませんが、中国製 の携帯電話の方がずっと高いのです。ただ、スラムとはいえ、自動小銃を買う人なんてそうそう 3

8. 絶対貧困 : 世界最貧民の目線

225 けしか抱えておらず、寝室を所有していません。そのため、売春婦たちは同じ建物や別の敷地内 にある寝室を別の人から借りることで売春をします。むろん、その寝室をつかう時は一定の使用 料を払いますが、掃除や管理はすべて所有者が行うことになります。〔粍ー 5 〕は、そうした寝 室専門の業者です。 私は取材でこうした寝室に住み込んでいたことがありますが、一番つらかったのが虫でした。 売春婦も客も使い終わったコンドームやティッシュをそこらへんに投げ捨てるのですが、蟻が乾 いた精液を食べに集まってくるのです。そのため、部屋で寝ていると客の乾いた精液をくわえた 蟻の大群が私の体によじのぼってきて、 股や耳や鼻に人り込んでくるのです。た まったものじゃありませんよね。オチオ チ眠っていたら、男の私まで妊娠してし まいそうです。 その他の売春形態としては、マッサー ジ店やカラオケ店や美容院などがありま 物轆夘す。この中でちょっと変わっているのが レ 美容院ですよね。中国本上には風俗店が カモフラージュのために美容院の看板を 第三部売春編

9. 絶対貧困 : 世界最貧民の目線

141 級な精力剤として密輸しているのでしようか 実は、ここにゲリラ組織の影があるのです。たとえば、アフリカには様々なゲリラ組織があり ます。ソマリア、チャド、ウガンダ、ルワンダ、スーダンなどの国に潜むゲリラ組織です。彼ら は軍資金を手に人れるために、機関銃をかついでアフリカの国立公園へ赴き、天然記念物とされ ている動物の密猟を行い、密輸業者を通してそれらを中国などへ海外輸出しているのです。その 収人が戦争をするための銃の購人費や傭兵の給料になっ て、アフリカの内戦を支えているという考え方もできる のです。精力剤一つとっても世界の裏が見えてくるとい うのは、なかなか興味深いことではないでしようか。 る 余談ですが、途上国の繁華街を歩いていると、〔 8 ー て れ 9 〕のような怪しい物売りがバイアグラを一錠数十円で で 売っていることがあります。日本で買えば一錠千円以上 円 数するので安いと思って買いまくり、買春に励むオヤジの 錠 」姿も目にします。 グ 断っておきますが、路上で売られるバイアグラのほと んどすべてが密造されたものと考えていいでしよう。中 国を初めとした国々には薬の密造工場というのがあり、 第二部路上生活編 よ・つへ

10. 絶対貧困 : 世界最貧民の目線

226 出していることがあるので、それが華僑を通じて東南アジアに広がったのでしよう。ベトナムや インドネシアなど華僑の多い国には、大抵美容院を装った売春施設があります。 これを知らないで人ると仰天しますよね。今でこそ私はハゲの名をほしいままにしています が、学生の頃は頭皮一面に原生林のような髪が生い繁っていました。なので、中国や東南アジア を長く旅している時は、どの美容院が「本物」なのかわからず、ほとほと参りましたね。ここな ら大丈夫だろう、と人ってみたら、カーテンの奥から全裸のオバちゃんが三人現れて「ニー ひっくりした拍子に髪まで抜けてしまったのかもし オ」と声をそろえられたこともありました。、 れません。 次に、②の中東に話を移しましよう。 中東はイスラーム教の厳しい地域として知られています。表向き、中東諸国では宗教の教えに もとづいて、売春ばかりでなくボルノ全般を厳重に取り締まっています。 したがって、売春宿はできるだけ目立たぬように、雑居ビルの一室でひっそりと経営されてい るのが普通です。売春婦たちは部屋から一歩も出ずにテレビを見ており、ロコミで客がやってき た時だけ面倒臭そうに奥の寝室へ移って仕事をするのです。東南アジアのように公然とネオンが 光って、路上で呼び込みをしているなんてことはありません。地元の警察もある程度把握してい るのでしようが、裏でこっそりと営んでいる分には必要悪として見逃してもらえるようです。 中東らしいといえば、洋服屋をつかった奇妙な売春があります。アフガニスタンやイランなど