249 1500 円 ・ IOOO 円 売春宿の売春婦 食事 支払安全 住居 売春宿 客 払 婦↓ - ・ 人支 個ー立・ ← 官 警官ヒモ 第三部売春編 こう見てみると、どちらが儲かるかは その女生次第だということがわかるでし よう。ただし危険に巻き込まれる度合い は個人売春の方が高いため、業界全体で は「立ちんぼうをするのは、なんらかの 事情によって売春宿で働けない人たち」 という傾向があります。少なくとも、売 春宿の女性たちはそういう目で見ていま すね。 る ロ女装男性の売春 儲 ち 売春は女性が体を売るだけではありま 宿せん。男性が男性に対して体を売ること も売春の一つです。特に、途上国では物 売乞いの章で見たようにオカマは非常に貧 個 しい生活を強いられており、生活苦から 春をひさぐようになる人も少なくないの
144 「ホステスへのプレゼントとして花束を買ってください」と近づいていきます。お客さんは本気 で安っぽい花東をプレゼント用として買うのではなく、子供が真夜中に歓楽街で花束を売ってい るという事実に胸を痛めて買うことがほとんどです。そういう意味では、ティッシュ売りと同じ く、同情によって成り立っている物乞いに近い物売りだと言えるのです。 花売りの中には、売春宿の売春婦とのチームワークで商売をしている子たちもいます。花をつ くるオバちゃん、花を売る子供、花を買ってもらう売春婦、この三人が見事な連携プレーをして 稼いでいることがあるのです。〔 8 ーに〕のような構図です。 ①オバちゃんは花束をつくって近所の子供に三十円で渡します。 ②子供はナイトクラブや売春宿へ行ってそれを売り歩きます。売春婦は男性客に「ねえ、花東 買ってよう」と甘えます。悲しいかな、発情している客はその甘えた声に負けて言い値の 六十円で買ってあげます。 ③子供は商売に協力してくれた売春婦のお姉ちゃんに十円を手数料として渡します。 ④売春婦は客が帰った後、もらった花東をオバちゃんの所へもっていって十円で引き取っても らいます。 こうすることで、全員が平等に二十円ずつの儲けをだすことができるのです。なかなかうまく
245 か。正直、物乞いやマフィアの取材の方が何倍も楽でした。 〇売春宿 ( 悪徳 ) たち 売春宿の中には、犯罪組織が経営しているような性質の悪い所もあります。 先ほど売春宿は女性社会だと申し上げましたが、悪質な売春宿は犯罪組織が経営権を握ってい るために、管理者が男性なのです。組織構造をイラストにしますと〔ー 4 〕のようになりま す。 女性社会としての売春宿と比べると、違いは一目瞭然ですよね。 犯罪組織と結びつきのある男性が経営者として君臨し、その下に女将や売春婦たちがいるので す。すべての権力は男性が握っており、女将はその補佐にすぎず、ただ利益のためだけに若い売 春婦たちが働かされるのです。 悪質な売春宿には、人身売買で集められた女性が多いのも特色です。悪質な売春宿の場合、売 春婦が働きたいと一一口う友達を紹介してくることはありませんから、お店側がお金を出してでも売 春婦をかき集めなければならないのです。それが、こうした宿で人身売買が横行している理由な のです。 ここで少し人身売買の構造についてお話しましよう。〔 ー 5 〕の図をご覧下さい プローカーは、田舎の貧しい家族から娘を買ったり、「町にウェイトレスの仕事がある」と騙 第三部売春編
233 っていても、それが百パーセントであるという保証はないのです。 ロ非公認売春 売春を合法化している国の中にも、非公認の売春宿がたくさんあります。 売春宿が無許可で不法に営業をする理由はいくつもあります。 これまで見てきたように本当に貧しい人は海外からの移民だったり、戦争難民だったりします よね。彼らは法的には不法滞在者になるため、合法的な売春宿で働くことができませんので、危 険だとわかっていても生活のために非合法の売春宿で働かざるを得ないのです。店側からすれば わざわざ営業許可をもらって高い税金を納めるより、無許可で人件費の安い外国人売春婦を雇っ た方が実人りはいいのです。 また、街のストリートチルドレンは若くして自らの手で稼いでいかなくてはなりません。十歳 だろうと、十二歳だろうと、売春でも何でもやって生き抜かなければならないのです。そんな幼 い少女たちが働けるのは非合法の売春宿だけです。 それに、やむをえない人身売買というのもあるでしよう。貧しい家族の中には食いつないでい くために娘を売春宿へ売ることがありますが、合法店では人身売買は禁じられているので、非合 法の売春宿に頼る他ありません。 このように売春が合法であっても、特定の人々にとって非合法の売春宿はなくてはならない存 第三部売春編
230 ロ公認と非公認 どこの国の政府も、本音では売春を完全に取り締まることはできないとわかっており、「目立 たないようにやってくれれよ ) 。しい」と考えています しかし、国の見解として、売春を公式に認めるかとなると話はまったく異なってきます。宗教 的な理山でそれができない国もあれば、の流行を阻止するためになりふりかまわずに合法 化するような国もあります。 政府公認の売春と、非公認の売春について見ていきましよう。 ロ公認売春 売春が合法化されているのは、欧米の先進国がほとんどです。オランダ、ドイツ、オーストラ リア、ニュージーランドなど多数に上ります。アメリカでも一部の州では合法とされ公認の売春 宿が存在します。先日も女子大生が自分の処女を公認の売春宿で売るといってネットオークショ ンにかけたところ数千万円の値がついたのだとか。そこまで堂々とやられるとさすがにいやらし さが吹っ飛んでしまいますね。 一方、途上国では売春合法化の動きはほとんどありません。現在合法化されているのは、タイ やインドなどごく一部の国だけです。イスラーム諸国は宗教上の理由から基本的にすべて禁じら
246 ロロロロ ロロロ ヤ・个 宿 春 ロロロロ ロロロロの ロロロロ ロロロロ 町にウェイトレスの 仕事があるんです。 1 万 ~ 3 万円 ( 手数料 ) プローカー 〔 13 ー 5 〕人身売買の構造 して女性を都会へ連れて行って売ったり するのです。 プローカーというと女性を売って荒稼 ぎしているような印象があるでしよう。 しかしバングラデシュやインドあたりで すと、女性一人を売って得られる利益は 一万円から三万円ぐらいです。田舎の 村々をさまよって家族と危険な交渉して もせいぜい一カ月に二、三人ぐらいしか さばけないでしようから、決して実りの 多い仕事ではないのです。そのため、人 身売買行為は、田舎のチンピラが一万円 とか二万円ぐらいの借金に困って、知り 合いの貧しい娘を騙して売春宿へ売り飛 ばすぐらいの規模で行われているのが大 半なのです。 時々日本のメディアは、途上国の売春
241 基本給は数百円ぐらいで、あとは客に一ドリンク奢ってもらったら一杯につき数十円のマージン をもらう程度です。これだけなら物乞いが一日で稼ぐ額と大して変わりません。そのため、女性 は体を売って稼がなければやっていけないのです。 ただ、発展途上国のナイトクラブはどこも供給過多です。以前、出版社の方がナイトクラプ内 の写真を見て「こんなに女性がいたら商売にならないですよね」と驚いていましたが、まったく その通りなのです。男性一人に対して女性が十人ぐらいいるために、客がついて売春代を稼げる のは週に一、二回なんて子がざらにいるのです。なので、高級ナイトクラブに勤める女性でも、 スラムのバラックでルームシェアして暮らすのがやっとという状態なのです。 日本の場合は「豊かになるために売春をする」のですが、途上国では「なんとか一日二、三食 たべていくために売春をする」といった意味合いがつよいのです。 ②売春宿 ( 一般 ) 売春宿や置屋は、ナイトクラブよりもずっと安価な商売です。男性客は労働者や商売人など一 般庶民がほとんどで、一回で客が支払う料金も千円から四千円ぐらいでしよう。 ここで働いている売春婦の大部分は地方の出身者です。 若い売春婦の場合は、仕送り目的で出稼ぎにやってきた女性か、家のロ減らしとして都会に送 られてきた女性が大半を占めます。単純に、都会に憧れてやってきたものの仕事がなくて売春婦 第三部売春編
265 四の当 十性 第 あまり語られませんが、売春は世界でもっとも国際化した産業だと言えるでしよう。 日本にいる外国人売春婦を集めたら一体どれだけの数になるでしようか。またフィリピンやプ ラジルや中国からどれだけの売春婦が海外へ渡っているのでしようか おそらく世界に散らばる金融系サラリーマンや貿易商なんて物の数ではないほどの出稼ぎ売春 婦がいるはずです。みな、少しでも物価の高い国へ渡って、多くのお金を稼ごうとしているので す。 最終回は、国際化する売春や性の問題について話をしていきたいと思います。 ロ女性たちが海外へ渡る理由 貧しい国の売春婦が、豊かな国へ行こうとするのは自然なことでしよう。前に見たように途上 国と先進国の格差は三百倍ぐらいになります。母国で体を売って百円しか稼げないのに、国境を 第三部売春編
267 明日をも知れぬ身に陥れます。そんな時、人身売買のプローカーが集まってきて、「〇〇県にい けば仕事があるからついてこい」と勧誘し、売春宿で働かせるのです。また、一家を支えるため に若い女性たちが被害を受けていない都市へ行って、そこで自ら売春をしてお金を稼ぎ、被災地 の家族に届けたりすることもあります。 そういえば、スマトラ沖地震が起きた後に被災地に近い都市を訪れたら、安宿がすべて満室だ ったことがありました。不思議に思って調べてみると、被災者の女性たちが大勢でやってきて安 宿を借りきって売春をしていたのです。三、四人で一室を借り、外でお客さんをつかまえては代 わる代わる部屋に招いていたのです。もちろん、稼いだお金はすべて故郷に残した子供への仕送 りにあてられていました。 このように戦争や災害の裏では、被災者本人たちが家族を救うために隣町や隣国へ赴き、体を 売っているという現実があるのです。これで外国からの募金や支援の不足分が補われているので す。 次に②を見ていきましよう。この場合のイベントとは、ワールドカップや五輪といった国際的 なものです。ここで発生する特需に売春婦が集まってくるのです。 たとえば、ドイツワールドカップの経済効果は一兆三千億円、北京五輪の経済効果は九兆円と 言われています。膨大な人々が一つの都市や国にやってくることで、それだけ地一兀経済が活性化 するのです。 第三部売春編
247 婦を「人身売買によって売られてきて、狭い一室に閉じ込められて日夜売春を強要されている少 女」という固定観念でとらえることがありますが、売春婦全体の中でそうした女性が占める割合 は決して高くありません。取材をしてみると、お金に困って自分から働きに来たり、出稼ぎと割 り切って一時的に働いている人が大多数で、人身売買による強制売春の被害者は見つけることが 難しいぐらい少ないのです。だからといって売春がいいというつもりは毛頭ありませんが、その 部分を単なる正義感だけで一面的に考えても逆に事実を見失ってしまうと思い、あえて申し上げ ました。 ④ 個人売春婦 個人売春婦というのは、店や組織に属さずにフリーで売春をしている女性で、主に「立ちんぼ う」と呼ばれて道端で客を見つけます。 個人売春婦はすべて己の裁量だけでやっているようですが、実際は仕事の手伝いをしてくれる 男仲間がいます。男仲間たちは、彼女たちが路上で客引きをしている際にトラブルに巻き込まれ た時に駆けつけたり、仕返しにいったりします。また、彼ら自身が客を見つけてくることも多い ですね。 ご想像つくかと思いますが、こうした男仲間は立ちんぼうの愛人であることが多く、いわば 「ヒモ」のような存在なのです。どこからどう見ても、うさんくさいダメ男みたいな輩ですね。 第三部売春編