図 8 583 系特急電車運用図 0 9 田 炻ロ 田 円 20 幻 22 23 24 ー 2 3 4 5 6 7 8 ( 750.3 ) 735.8 青森 青諟市 〇形式 583 系 0 配置青森運転所 0 編成 8 M 5 T 口にⅡ 9 8 7 6 5 4 3 2 ー 翫 TN M 〇車両数 使用ロ両 x Ⅱ = 予備 348.4 仙台 常東 碆北 図 3 両 37 両 田 0 両 0 30 . 8 東大宮 4 . 8 毛久 0 上野 日車キロⅡ 6.8 図 9 583 系電車の昼夜兼行運用 ( 青森連転所 583 系連用の一部 ) 0 2 4 6 8 田に慴 20 22 24 2 4 6 8 田に絽 20 22 24 2 4 6 8 に 14 田 20 22 24 2 6 8 に 20 22 24 2 4 6 8 卩図田卩 22 24 青森運転所 交番検査・ 00 0 ム イ山 久野 尾上 く参考 > 485 系電車の昼行運用 ( 南福岡区 " にちりん " グループ ) 門司港 南福岡電車区 翌日 5023M ( 0 ) 0 00 ) 、 ~ 〔 00 交番検査 宮崎 南宮崎 秋田区が唯一のものである . らこうして仮に呼んだわけである . だから , 他の運用に 折り返しのまったくないということは , 連用上のゆと 比べて別段変わっていないはずなのだが , 日頃ダイヤ混 りがあることになり , ちょっとのおくれぐらいでは全体 乱等があった場合 , なにかしら他とは異ることを体験的 に影響を及ばさないという点で安心していられるわけで に印象づけられているのでここに招介することとする . ある . しかも前記した帰区回帰についても , 1 日おきに その運用とは , 図 11 に示すもので , 青森運転所と向日 は必ず基地に戻るわけであるから理想的といえる . だが このような運用が良いからといって全国の特急をすべて 図 10 東北・奥羽線特急 " つばさ " 電車運用図 この方式にしたら , それこそ何本の編成があっても足り 9 田凵にロ 14 ロ円 20 幻 22 23 24 秋 田 ないということは明白であり , そもそも機動性をその特 長とする電車にとっては許されないことである . その意 味で , " つはさ ' ' の 485 系は例外的な運用を行なっても らえる幸せものである . ( 3 ) 大形 X 状の電車運用 運用用語集をひいても x 状連用という言葉があるわけで はない . たまたま運用図表上で X 状になっていることか 福島 0 尾 久 37
受けねばならないし , 故障車については , 別の車両と取 否かの判断を編成中の各車について行なわねばならない り替えることになる . したがって , 車両の検査計画に運 わけである . また , 検査能力は一定であるから , 検査該 用をマッチさせるためには , いったん所属基地を出区し 当車両が一度に入って来ても対応できない . このため帰 てから再び帰区するまでの日数は極力短い方が良いこと 区する回帰が長いと基地での検査計画の策定が頻雑とな になる . ところが , 交直流特急電車は前述したようにロ るわけである . ングラン運用が多く , しかも運用範囲が広いため所属 さらに , 運用途中で故障が発生した場合には , 応急処 基地へ至るはるか手前の駅で終着となる列車が多いこと 置は可能としても , 抜本的な修復は所属基地へ帰るまで は困難であることを考えあわせると , 編成をできるだけ や , まったく異線区へ乗り入れざるを得ないこと等によ 短かい回帰で所属基地へ帰してやることが望ましいので り , 編成が長い間所属基地へ戻れない , いわゆる大形運 ある . しかしながら , 青森運転所 485 系の最大帰区回帰 用となる傾向にある . このような条件のもとで , いかに 車両の検査計画と運用の整合をとるかが , 交直流特急電 は図に見るように , 7 日にも及ぶ典形的な大形運用とな っている . もとより , 車両や要員を無制限に使用し , 回 車の運用を策定するに当っての担当者の悩みであり , キ 送列車を運用に組み込む等の処置を講すれは , このよう ーポイントでもある . 一例を青森運転所の 485 系につい なことが解消できるのは明白であるが , 運用の効率化・ て考えてみよう . 図 7 は同所の 485 系の 12 両編成が青森 を出発してから , 再び基地へ帰ってくるまでの運用状況 合理化 , 検査能力の有効活用 , 基地滞泊設備の平均的使 用等さまざまな要素を考えると , 現行の運用は限られた を示したものである . すなわち , 第 1 日目に青森運転所 条件の中で , しかも多くの輸送要請に応えるための , べ を出区した編成は , 2044M ( いなほ 2 号 ) として上野へ 到着 , その日は尾久入区滞泊となる . そして , 翌 2 日目 ストのものであると思っている . このように交直流特急 は , 1301M ・ 1038M ( やまばと ) として上野ー山形間 1 電車は , その運用が半ば宿命的に大形とならざるを得な 往復して同じく尾久滞泊 , 3 日目は " ひばり " で仙台 1 い点にその特徴がある . 日常 , 各線で走る特急列車の一 往復半というように順次移り変わり , 5 日目に 23M ( は 本一本に , これらをふまえた合理的な運用があてはめら れていることを認識していただければ幸である . つかり ) として青森に帰ることになる . そして 6 日目に 22M として再び上野に向けて出区するまでは , 必要があ 4. 交直流特急電車の運用から れば車両交換や編成替えをすることになる . このことを ( 1 ) 583 系の運用はサインカープ ? 検査計画の面から見ると , 頻繁に帰区するような運用で 583 系電車は , 世界最初の寝台座席両用車両として , 昼 夜兼行運用による車両の使用効率向上と車両基地の夜間 あれば , 検査期限の来ている車両を随時運用から抜き取 ることができるが , この例のように何日間も戻ってこな 滞泊能力の救済をねらって登場した車両であることは , い場合には , 次の帰区まで運用を継続することが可能か いまさらいうまでもない . 昼は座席 , 夜は寝台と移り変 新潟 図 6 交直流特急電車運用系統図 秋 田 ( 昭引 . 7 現在 ) 金富 札 485 系 青森 いしかり し、なは 485 系 金沢 ( 運 489 系 金沢・ 485 系 青森 ( 485 系 青森 ( 583 系 いなほ はくたか 長野 き 4 山 あさま 盛岡 かリ 形 ・山やまばと ・は ( つる 会津若松 仙台 ちく・ゅ、つづる 系たち 佐世保 み 門司港 名古屋 大 阪 南福岡 485 系 、米 原 向日町国 485 系 彗・にちりん 明・なは・ に・りん 金 向日町国 583 系 ・なは 長崎 野 上 宮崎 鹿児 485 系 西鹿児島 -- 29
ー 1 円いト・一 583 系の " はくつる” 古河ー栗橋間にて円 74 ー 1 写真 : 諸河久 わりながら走るこの電車は他の仲間に比較してそうとう てこそ , このような高効率運用が可能となっていること の働き者である . 青森運転所の 583 系の電車運用は図 8 で を強調したい . この結果 , 同運転所の 583 系は使用日車 ある . しかしこの運用図表では 583 系の高効率運用とい キロ ( 1 日当りの平均走行キロ ) が 1000 キロを越え , 新幹 線の " こだま " 編成に肉薄するまでになっている . この っても , どこがそうなのかちょっとわかりにくいであろ う . そこで , この運用の一部を日別に順序で並べてみる ことを身をもって感じとっている我々にとっては , 雪だ と , 図 9 となる . 上野一青森間 750km を一気に走って来 るまになって上野に入ってくる彼等をみるとき , 心から た編成が青森で基地に入区し , 仕業検査を受けて再び上 ご苦労さんという気持にならざるを得ない . また厳しい 野へと向かって出区していく . この間わずか 4 ~ 5 時間で 吹雪のもとで , 特急列車の運用を確保すべく努力する多 ある . いつばう上野口でも同様な折り返しを行なってお くの人々に頭の下がる思いがするのである . り 2M → IM の折り返しのごときは , 尾久基地に入区す ②単純なことはいいことだ / " つばさ " 運用 ることもなく , 上野駅から直接青森へと向かっていく . かって赤い電気機関車をたすさえて , 板谷峠を上り下り このように両端の終着駅 ( 基地 ) で次々と運用が飛びつい していた 181 系気動車による " つばさ " も , 51 年 11 月か ていく形態こそ 583 系電車に課せられた永遠の任務なの らは秋田運転区に新たに配置された 485 系電車と置き替 である . 図 9 を一見すれば , サインカープ状に流れるよ わった . では , この電車運用を図 10 でごらんいただきた い . いままで述べてきた青森 ( 運 ) 等の運用に慣れてし うに回転して行く運用の移り変わりがよくわかる . 図の 下段に比較のため昼行特急のみに連用される 485 系につ まった我々にとっては , まことにせいたくな感じさえす いても掲げておくので , その差をよく見極めてほしい . る . しかし , これは列車設定の状態からしてやむを得ず このサインカープを描く運用は , 他の長距離特急には このような運用となっているわけで , 近い将来 , 秋田区 受け持ち列車が増加すれは変化していくはずである . ほとんどない . しかしながら , いったん車両故障等が発 生すると , 深夜時間帯に運転所での編成替え作業が必要 1 本の編成が 1 本の列車に充当されるのみで運用が終 になるわけで , 現場作業にたずさわる人々の協力によっ 了し所属編成全部がこの形態で組み立てられた区所は , 図 7 なかなか所属基地へもどれない交直流特急電車 ( 青森運転所 485 系 12 両グループ ) 一日目 7 第・しウぃ 4 8 4 9 6 5 形台 森田岡 青青秋盛山仙 交番検査 2829 323 252 27-28 29 30 ーー 30 引 一 026M ( 0 薩こ ) 4 一 006M ( 0 こ 3 ) 0 > 9N0 一 一 0 一 8M ( 0 こ ) 一 00 M Ⅳ貶 220M ( ) 6040M い ) ー ( 卩 0 ) > 〔〔 00 38M をい ) ( 卩 0 や > 一 8 4 26M O こ 22M O こ ) ( 37 ) 36 ぐ ( い ) 卩 0 や ) > 68 34M をい ・ 2042M ( - ( 罍コマ品 32M ( を O 、い リも > 98 7 東大宮 尾久 ( 客 ) 走行粁計 872.4 7 日回帰 4 日回帰 5 日回リヨ 30
・ 0 ておられる方も多いであろう . ・青森運転所 583 系 180 両 , 485 系 271 両配置 583 系は , 東北・常磐線の夜行寝台特急 " はくつる " ・ " ゆ うづる " に使用されるほか , 昼間は座席に早変わりして 同線の " はつかり " , 常磐線の日中見られる唯一の 583 " みちのく " に運用されている . また間合使用の形で 上野ー仙台間の " ひはり " にも 1 往復のみ充当されてい を一は第 交流電化の函館本線特急“いしかり " 電車は 485 系台 厚別ー大麻間にて 1975 ー 9 ー料写真 : 篠崎隆一 図 4 函館本線特急 " いしかり " 電車運用図 0 ー 2 3 4 5 6 7 8 9 田Ⅱにロロ田円 20 幻 22 23 24 いつばう , 485 系は 13 両と 12 両の 2 種類の編成がある . 13 両は日本海縦貫線を経由し , 青森ー大阪間を走る " 白 鳥 " の運用である . この編成は同区間 1059.5km を 13 時 間 35 分かけて走り抜くが , 世界でもっともロングランす る電車の記録をもっていた . 現在は新幹線電車の東京ー 博多間 1069. lkm にその座を譲っているが , 在来線とは 基本的に異なる運転方式であることを考えると , やはり 真の意味でのロングランはこちらであるかもしれない . また 12 両グループは 17 編成を要しての大形運用を構成 しており , 使用される列車もきわめてバラエティーに富 一 0 一 24 こ 0 一 一 204 き 600 、 一 006 き 00 、 一 0 っ 44 一つ 02M さ、 00 一 008 へ 00 、 札幌 手稲 道民のために足にふさわしい高効率の運用を行なって , 有効時間帯での列車本数を確保しているが , これは同区 間の距離が比較的短いこと等により行ない得るものであ る . 本州内のような長距離特急では , 折り返し間合を十 分にとり , 整備時間を確保するとともに , 遅れに対応でき る余裕を持っことが基本なっている . この点で , " いし かり " の運用は , 特急電車の中では特異なものである . また , この車両は渡道する前の一冬を , 青森運転所です ごし , 日本海縦貫線の " 白鳥 " に使用されたことを覚え △間合使用で " ひばり”に られる青森 ( 運 ) の 583 系 岩沼付近にて 1975-3 写真 : 羽賀美知雄 26 昼間の座席特急”はつかり " の 583 系 東北線金谷川一松川間にて 1975-12- 幻
0 崧妥み崧朝言気 近江長岡ー柏原間にて 1975 ー 2-8 写真 : 諸河久 東海道線で見られる数少ない電車特急”しらさぎ " 485 系 ( 金沢 ) の 583 系・ 485 系 , 仙台 ( 運 ) の 485 系と 3 種類の編成 んでいる . 青森運転所との足つけは , 東北線 " はつかり " が連用されていることがわかるであろう . 羽越・上越線 " いなほ " で行ない , 首都圏側に滞泊とな ・秋田運転区 485 系 72 両配置 る車両により , " ひばり ' ' ・ " やまびこ " ・ " やまはと " の 50 年 11 月の奥羽南線電化にさいして , 新たに特急電車の 運用を組み立てている . 基地の仲間入りをした基地であり , 新しく上越線の " と このように青森運転所の交直流特急電車は , その充当 き " に登場した耐寒耐雪形の 183 系 1000 台の交直流版とい 列車の種類 , 運転線町の多さ , 運用キロの長いこと等に える 485 系 1000 台が配置されている . 開業以来約半年は , その特色がある . このことについては後に述べることと 在来形 485 系で運用してきたが , この新製車の落成にと する . もない在来車は順次長崎・佐世保線へと転属させ , 置き ・仙台運転所 ( 483 ) 485 系 203 両配置 換えを完了して間もない . 充当列車は " つはさ " ( 上野 仙台連転所々属の 485 系には , 3 種類の編成がある . ま ー山形一秋田 ) の 2 往復のみである . ず , 磐越西線へ入り込む " あいづ " ( 上野ー会津若松 ) ・全沢運転所 489 系 168 両 , 485 系 93 両配置 のため 9 両編成 ( 一部 " ひたち ' ' にも使用 ) そして 12 両 489 系は 12 両編成で , 信越線経由 " 白山 " と北陸線 " 雷 編成は青森のものと同一で , " ひばり " ・ " やまばと " ・ " ひ 鳥”の共通連用としているが , 1 本のみが " しらさぎ " たち " に使用されている . さらに , " ひばり " のうちも ( 名古屋ー金沢一富山 ) の連用に人っている . っともグリーン車の需要の強い 3 往復に使用するための いつばう , 485 系には 12 両と 7 両のグループがあり , 13 両編成がある . ただし , この 13 両の組成内容は前述し 12 両は " しらさぎ " に , 7 両は湖西線開業による米原口 た青森の " 白鳥 " 編成が , サロ ( Ts ) 2 両であったのに対 の新幹線接続輸送カ確保のために新設された " 加越 " に し , こちらはクロ (Tsc) とサロを各 1 両組み込んであ る . 最近までは同運転所のグリーン車は , ポンネット形 運用されている . のクロ 481 (Tsc) が上野寄りに連結されるのが定位であ ・向日町運転所 583 系 254 両 , 485 系 156 両配置 新幹線博多開業と同時に山陽線の昼行特急は全廃され , ったが , 長崎・佐世保線電化にともない , " みどり ' ' の ここ向日町の様相も一変してしまった . しかし大部分の 編成としてクロを使用する必要が生じたため , 一部を九 夜行寝台特急は存置されたため , 583 系は従来どおり九 州へ転属させた結果 , 現在ではクロの見られるのは 9 両 州特急として " 明星 " ・ " 彗星 " ・ " 金星 " ・ " なは " として ・ 13 両グループの 5 編成のみとなっている . 運用されている . また九州島内では , 博多・小倉での新 以上の話の中でも , 例えば " ひばり " には , 青森 ( 運 ) しらささ 3 0 物、、第、を第 27
物お . 青森を目前にカ走する 583 系下り " はくつる " 耐寒・耐雪を施した 4851 は " つばさ”に活躍中 東北本線浅虫ー西平内間にて 奥羽本線 赤岩付近にて つはさ 寧 3 て気 1 9 76 - 5 - 3 1 9 76 - 5 - 5 写真 : 後藤文男 写真 . 太田正行
図 12 210kVA 電源 MG の改良 町運転所の 485 系にみられる . たとえば , 向日町運転所の 485 系についてみると , 同 電動発電機 MG の送電区分 在 所の 485 系が上野口へ入りこむのは , 3001M ・ 3002M の 平 常 1 往復しかないために , " 雷鳥 " と組み合わせているの である . いまこれを一般の自然な形の運用として , 3001 8 M を金沢で 3002 に折り返し , 4019M を 4026M に折り返し Tc M M' M M' TD M M' M M ・ Ts Ts Tc とすれは , 東大宮滞泊車両はいつまでも向日町へ帰るこ 鳥側 ◎ とができなくなる . すなわち , このような運用は必然的 ( 各車電燈・冷暖房半減 ) g 障 MG 故障 に生まれたものなのである . また , 青森運転所の 485 系 耐 秋平 についても , 上野ー秋田間 " いなほ " が 1 往復しかない 雪田常 ために , 同様な運用となっているわけである . 強 毎年冬期になると , 上越国境付近は豪雪に見舞われ , 形 4 " はくたか " のダイヤは大混乱となる . この場合は運用 を途中の金沢で分離し , " 雷鳥 " の方は金沢折り返しで 系ば G 田 00 ′片 代 3 側 所定運用を確保する . 青森運用の方も同様で , " いなほ " Tc の片 MG 故障の場合 , 運転台からの指令により が混乱したときには , 上野で 32M から 37M へ折り返し変 M 障 自動的に TG の予備 MG が故障側へ送電する . G MG 故障これにより正常運転を継続する . 更を行なうことになる . こうして見ると , これら X 状の 運用は , 異常時に対応し得る運用となっているわけであ ◎印は 210kVA 電動発電機・印 70kVA る . ところが , 電車は 1 日おきに仕業検査を受けること 用なのである . そこでクイズめくが問題を一つ . " はく になっており , いま述べたような運用変更を行なうと , たか " は現在向日町連転所 485 系で運用されているが , 仕業検査を受けた編成が再び仕業検査指定の運用にの 仮にこれを金沢運転所の 489 系の運用に移管して , " 白 る . 逆にその日終着した場所で仕業検査を受けるべく予 山 " とのからみ運用にすれば , これらの問題点は解消す 定した車両が仕業検査指定のない運用で戻っていくこと るわけであるが , 実際は実行できないのである . 熱心な になり , この編成は終着した基地で検査切れとなり , 予 ファンの方はその理由を考えてみて下さい . 定外の検査をする必要が生ずる . 各基地では毎日決めら 5. ガンバレ / 交直流特急電車 れた作業ダイヤにより検査が行なわれているから , この 今日 , 全国各線に大活躍をする交直流特急電車の運用に ように予定外の仕業検査を行なおうとしても , たとえは ついて , きわめて概略の話をしたが , まとまりのない記 臨時列車の運転時期には検査スケジュールがぎっしりで 述となったことをお許し願いたい . 検査線にとり入れることさえ困難なケースも起り得るわ すべてのシステムは大規模になるほど , そのコントロ ールが困難になる . かって特急電車が登場したころは , けである . それも特定の一日ぐらいのことであればともかく , こ 初期故障等に悩まされたが , しかし , それはパイオニア こに述べた 2 組の運用は , いずれも上越線という名にし としての悩みであった . 我々が現在持つ悩みは , 成長し おう豪雪地帯を通過しているため , 連日このような運用 きった大規模システムを動かすためのそれである . 限ら 変更もすることになると , 担当者にとっては頭の痛い運 れた条件の中で , より良い輸送を目指し , 今後も運用改 善を進めて行かねばならないと思っている . この意味で 図 11 大形 X 状運用の例 冬期に弱いといわれる電車の汚名を返上すべく行なった 青森 ( 運 ) 485 系 485 系 1000 台車での 210kVA 電源 MG 3 台とう載方式 ( 図 盛岡 12 参照 ) や , 予備車の増強等車両面からの改善 , 仙台 運転所 485 系帰区回帰改善のために行なった , 奥羽線へ の青森編成乗り入れ等運用面からの改善というように , 一歩一歩着実に手を打ってきているわけである . 近い将来 , 東北・上越新幹線が開業すれば , 交直流特 急電車の運用形態もまったく別のものとなっていくであ ろう . その中で少くとも大形運用等については , 現在よ り改善されるであろうことは期待できる . 願わくば , 新 幹線開業の日まで彼等が基幹輸送力としてりつはに使命 を果してもらいたい . 全力投球でがんばる交直流特急電 車達を暖かい目で見やってほしいと願いつつ筆をおく . 「 , 0000 00 ロ 0 ■ ) T's の 210kVA MG は常時は - 独給電 0 ( き ) さ ~ 00 〔 , 日 上野 東大宮 上野 上野 金 沢 ( 80 ) 、 0 、 向日町 大阪 ダイヤ混乱時には点線のように折り返し変更をするのだが・・ 秋田 32
2. " おき " の 181 系化 第 2 ・第 3 ひだ登場遅延理由がひそんでいるのかも知れ 昭和 50 年 11 月奥羽南線の電化完成により " つはさ " は , ない . 余談はさておき , 。おき " でねん出された 80 系気動車 485 系電車に衣替えが行なわれた . この " つばさ " は本 を名古屋へ移管して今回 3 往復の " ひだ”が実現するこ 年 5 月に , 耐寒・耐雪用電車にその毛並みもようやく生 え揃ったが , 気動車にあっては 33 両を小郡に転属し , な ととなった . 編成は 6 両から 7 両へと増強され , うち 1 往復は 91 系 がらく夏をしりめに冬眠ならぬ夏眠をしていた . これは 気動車急行 " のりくら " の格上げを行ない改善されるが 小郡機関区の検査設備・運転線区の訓練など待って , よ 他に名鉄ー ( 高山線経由 ) ー富山地鉄直通の気動車急行 うやく再登場することとなり , ここに新特急基地の誕生 " 北アルプス " も今回特急列車に格上げされて , 一躍 4 となった . 往復の特急線区へと脚光を浴びることとなった . 昭和 50 年 3 月までは特急 " かもめ " として京都ー長崎 ・佐世保間を , 新幹線博多開業後は特急 " おき " として 小郡ー米子・鳥取間を走った . 何の因果か " おき ( の ) かもめ”との関係が生じたのも当時の楽しい工ビソード であった . " おき " の運用は , 現在向日町で担当し今日まで運転 を続けた . 長距離運用はファンにとって楽しいものでは あるが , 広域連用は時により短所となりやすく , 山陰特 急 " まっかぜ・はまかせ " がクシャミをすると " おき " に伝染しやすいこともあって , 今回運用の分離が計られ ることになった . これに関連して , " はまかぜ " 下り 1 号・上り 2 号は 4. 日本海縦貫線 倉吉ー米子間を 烏取 ( 大阪 ) ー富山一糸魚川間季節急行 " 立山 " 1 往復を , 廃止することと 米子 大阪ー糸魚川間の定期急行に格上げし , 利便を計ること なった . 益田 とした . ( 注 ) ”おき”の 181 系化は 9 5. 東北・常磐線 月四日より順 益田 東北・常磐線は通年混雑が昼行・夜行特急とも旺盛であ ホ郡 次実施の予定 である . る . このため今回は , 夜行特急 " ゆうづる " の 24 系化を 行ないサービス向上を計ることとした . すなわち東海道 3. 高山線 線 " はやぶさ・富士・出雲 " からねん出した客車を品川 高山線特急 " ひだ " は昭和 43 年 10 月 1 日に登場以来ひさ から青森へ転属し , 客車 " ゆうづる " 4 往復の置替えを しく孤軍奮闘した特急でもあった . 当時 , 基地を金沢に 行なうこととした . 求めてスタートして以来 , それは " しらさぎ・雷鳥 " な 現在 , 上野口夜行特急は 583 系電車寝台と 20 系客車寝 ど北陸線特急の触媒的役割にウェイトをかけたことに , 台をくらべると寝台幅の点で格差が生じ , このため電車 寝台への人気が集中している . この置き替えにより乗車 率もやっと平均化され , 北帰行ムードも倍加されること となった . この改善で青森受持ちの 20 系 " あけほの " 運用は , 2 往復とも秋田へ移管となり , 24 系客車は青森に , 20 系客 車は秋田に , それぞれ集中配置されることとなった . ( 注 ) 北星・北陸は従来通り尾久配置 ( 20 系 ) である . さて , 本年 2 月に東海道線 " 銀河 " に 20 系客車が充当 されたように , 今回 " ゆうづる " からねん出された 20 系 客車を東北線の寝台急行 " 新星 " と羽越線の急行 " 天の 川 " に充当することとなった . これは質的改善を図るた め計画されることとなったが , 上野口夜行急行に登場す る両列車は , スター・シリーズに一段と花ならぬ星をそ えることとなった . 0 ー 2 3 4 5 6 7 8 9 Ⅱにロ丐市ロ圏円 20 れ 22 お 24 飛弾古川 高山 0 名古屋 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ キ キ キ キ キ キ キ 82 80 80 80 80 80 82 ~ 3 4 5 6 1 8 9 国口にロ丐け円 20 23 24 ー / 0 、学 0 ンを 0 ルの 0 は ゆうつる。 20 系から 24 系に置替わる”ゆうづる " 写真 : 河井秀夫 目時一金田一間にて 円 74 ー川一 田 69
ー流特急電車の活躍 特急時代の電車運用 過日 , それは 5 月上旬の快晴の日であった . その日私は 長崎・佐世保線の電化完成監査のための試運転列車に乗 っていた . 肥前山口で 4 両を開放するリハーサルも無事 に終り , 有明海に沿って快走する 8 両編成の 485 系電車 は淡々として , 終着駅へ向かっていた . この時ふと運転 台の助士側に置かれている小さな箱に , 「秋田運転区」 の標記があるのが眼にとまった . ここにいる大勢の人々 は , この車両が秋田からの転属車であることに別段の感 情はないであろう . しかし , 長崎・佐世保線の電化にむ けて , 青森・秋田・仙台・向日町・南福岡と , 日本を縦 断する大規模かっ複雑な車両転配属を計画し , 見守って きた我々運用担当者にとっては , この 5 つの文字が , い ろいろな意味で感激と充足感を与えて余りある . 豪雪の 板谷峠にいどみ , " つばさ " のヘッドマークも吹雪にか くされるような東北の冬を体験した車両達は , 正反対に 明るい南国の太陽を受けながらエキゾチックな長崎の街 を実に心地良さそうに走り抜けていった . そして , 並い る気動車にわけ入るように長崎駅ホームに滑り込むと き , 高らかに吹き鳴らしたタイフォンの音が架線とは無 縁であったこの地の電車時代の開幕を告げているかのよ うであった . つい先日まで , D 51 が C 60 がプラストの音 をふるわせていた長崎にも 485 系の姿が見られるように なり , 亜幹線への交直流特急電車の進出が著しくなって 来ている . L 特急全盛時代 , 上野で , 大阪で , 博多で , 次々と主 要幹線へ向かって発車して行く特急列車の多くは , 交直 流電車で占められており , 今日の国鉄の中で最も重要な 車種となっているといえる . 今日も全国各線で大活躍する交直流特急電車につい て , その運用を中心に , 現状とともに運用的に興味のあ る話をしてみたいとわう . 私達は日常の電車運用に慣れすぎてしまったためか , 別に気にもとめないことが , 読者の皆様には耳新しく聞 こえることもあると思うので , これ等についても気の付 くままに述べることとしたい . 専門的な話は極力避ける つもりであるが , 一部触れざるを得ない部分については お許し願いたい . 1. 交直流特急電車 , その驚くべき急成長 早期の東大宮車両基地 , 朝もやをついて出区準備をする 車両群 , 今日一日 , 多くの乗客の泣き笑いを乗せて , 各 線に旅立つ前の静けさの中にも張りつめた時間である . ここ東大宮基地は , 東北・上信越を経由して , 首都圏へ 22 大熊孝夫 国鉄運転局車務課 入り込んでくる長距離列車の中枢であり , 尾久と並び , かなめ 北ロの輸送の要となっている . 見渡す限りの群線に勢ぞ ろいした車両は , そのほとんどが特急電車であり , ここ が客車区の派出 ( 正式名称は , 尾久客車区東大宮操派出 ) であることを考え併すと , まさに電車時代の感を深くせ ざるを得ない . 日によって多少の変更はあるが , 東大宮 基地の基本在線計画では , 今朝もまた , 図 1 のように , 豪華な日本の特急電車オンノヾレードが見られたはずであ る . " あさま " ・ " とき " ・ " ひばり " 等代表的な L 特急の ヘッドマークの中に , 日本海縦貫線を巡り , 長駆大阪か らやって来た向日町運転所 485 系による " はくたか ' ' や 北の青森に向かう流麗な 583 系の " はつかり " 等もまじ り , 特急電車の広域な活躍を目のあたりに見る思いであ る . そして , 上野へむけて次々と出区して行く編成を眺 めていると , 屋根上に特徴のある高圧がい子をのせた交 直流特急電車が , 圧倒的に多いことに気がつく . 事実 , 東大宮基地出区となる定期の特急電車 14 編成中 , 実に 10 本までが交直流電車である . 思えば昭和 39 年 12 月わずか 41 両の 481 系電車により , 図 2 のような " 雷鳥 " 朝の東大宮車両基地には特急電車がズラリ を ミ " しら な :
イスとフランスの境のバーゼル ( 交流異サイクル ) , 連国内などで見られる . この地上切換式では一部の架線に流れる電気は交流 20 kV と直流 158V の場合 , 電圧がケタ違いに違うので車 両や電気設備が電気的に破損しないよう特別の保護装置 をいろいろ設けている . 〇普通 , 駅や構内にある信号機や標識の信号は列車や車 両を線路の条件によって進入させてよいか否かを示すも のであるが , 黒磯駅の場合この他に進入する線路の架線 が機関車と同種類の電源となるよう信号と電源切換を連 動させている . たとえば上野から黒磯駅にはいる手前に 建ててある下り場内信号機は構内の下り線の架線が直流 になっている時のみ進行信号が出るようになっている . その位置を表示するとともに , 切換操作テコの鎖錠を行 〇駅構内で入換運転をする時に使う入換標識には , 標識 なって大電流を切ったり , 間違って異電源に切換えない が示す進路の架線が直流か交流かを入換操車を担当する ようにしている . 検知は機関車がパンタグラフを上げて いれば , 架線には機関車の MG など補助回転機の運転電 運転係に知らせるために , 図 1 のように入換標識の下に 流が数アンペアのレベルで流れているのでこの電流の有 架線電源を示す「進路電源識別標識」を付けている . こ れには = および ~ 形の表示があり , = は架線が直流で入 無と大きさでなされる . 換標識が進行を表示する時に紫色に点燈する . 黒磯駅構内の配線略図は図 3 に示すが , これで下り列 ~ は架線 が交流で進路がとれている時に橙黄色に点燈する . 車の機関車付替えの様子を説明してみよう . 〇駅構内の交直両用の留置線に停っている機関車がバン 到着線である 1 番線の架線には直流を送っておき , 列 タグラフを上げ下げする時 , 機関士は架線の電源がどち 車は場内信号機の現示にしたがって到着する . 直流機関 車は進路電源識別標識付入換標識の直流進行現示で操車 らであるかを確かめる必要がある . このため , 必要な個 所に「架線電源識別標識」を設けている . 直流電源の時 係の誘導によって亘り線を通って X 地点まで進み , ここ には垂直 2 個の紫色燈が , 交流電源の時には水平 2 個の でしばらく待機する . これから 1 番線の架線は交流に切 換えられ , 青森方の交流機待線にいる交流機は W 地点か 橙黄色燈が点燈する . ら交流電源を確認の上誘導で亘り線をわたって 1 番線の 〇架線を交直切換する場合 , その架線の区間に機関車 列車に連結され , 発車時刻になれば列車は交流機にひか がいない時か , またはパンタグラフを下げている時か , れて発車していく . あるいはこの区間に向かって進んでくる機関車などがな さて , X 点で待機中の直流機は進路電源識別標識付入 い時でなけれはならない . このために検知装置を設け , 換信号機の直流・進行信号で 3 番線あるいは機回り線を 切換操作テコを扱う係員に機関車の有無 , 交直別および 図 3 黒磯駅構内電源配線略図 図 1 進路電源識別 標識付入換標識 0 0 ソ 架線電源識別標識 図 2 紫色 橙黄色 ◎ 0 紫色 橙黄色 本屋 ( 下りホーム ) - ゾーい番線 ) - ー ( 2 番線 ) - フ、 ( 交り ( 電車ホーム ) ーノ ( 交 3 ) - ( 交い ( 3 番線 ) - ( 機回り線 ) ー ( 上りホーム ) ( 6 番線 ) ( 7 番線 ) ー ( 8 番線 ) ( 東京方 ) ( 青森方 ) 0 0 ( 9 番線 ) + ー 0 直流区間 - 交流区間 交直流共用区問 ー -- ー壯ーーセクション / ・・・・・ / ←テッドセクション 無架線区問 ・進路電源識別標識付入換信号機および入換標識 0 架線電源識別標識 ( 信号扱所 ) 56