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検索対象: 集英社ギャラリー「世界の文学」09 -フランス4
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1. 集英社ギャラリー「世界の文学」09 -フランス4

355 泥棒日記 一九四上アルバイシングラナダのジプシー区画。 グアイオ 一一 0 五下ろくでなし仏語の violon という語は隠語で、ろくでなし、 ならす者、等の意もあった。 一一 0 九上「奇蹟の庭」中世紀パリの浮浪者や盗賊の巣窟だった場所をい なえ う。昼間、足萎や盲人等に偽装して乞食をしていた連中がタ方そこに戻 ると、そうした ( 本書中でも語られている ) 偽りのきずから奇蹟のよう に治って、荒くれ男に一変することからこの名称がある。ュゴーの有名 な月説『ノートル・ダム・ド・ ハリ』にはこの巣窟がその住人たちと共 に精彩をもって描かれており、浮浪者たちの根城である居酒屋等、暗い 夜の情景が描かれていることなどから、ジュネはここのは明るかったと 言っているのだろう。 一二 0 上「影たち」原語には、亡霊、の意もある。 めいふ 一一一 0 上外辺に原語には、冥府、の意もある。 一二 0 上テレーズ Thérese は女の名前 一二 0 下盗み原語 vol は飛翔を意味する語と同じ綴りの語。 一一一三下隊員ヒトラー治下のナチスの親衛隊員。 一一一四下彼の後退は上昇的なのだ ( フランスの刑法により極刑となれば やがて ) 断頭台に登る、ということ。また、真の犯罪者は刑において輝 くとするジュネの思想をも言い表わしているのか あら 一三 0 下自分の罪を告げ原語には、自分を顕わす、きわだたせる、の 意味も可能 一一一一四下ある高名な詩人ジャン・コクトーのこと。 はじめ 一一一一四下始源の不幸彼の出生のことか。 一一一一五上ジャノジャンの愛称。おもに年上の者が使う。 一一三四上曰いかれてる』原語には ( 雨風等に ) 打たれた、の意もある。 一一四一上根付きの植物周知のごとくヨーロッパ の都会では多くの者は アパートに住み、庭を所有していない 一一四四上春本「泥棒日記』以前の作品、特に『プレストの乱暴者』や 「葬儀』。 一一四四上おれは、だ、おれは : この男の性的顕示欲は現在ある程度 まで実現されているといえるかもしれない。 一六ページの訳注の後半参 きせき そうくっ 一一四四上ポーラ・ネグリ一九二〇年代の有名な映画女優。 プリンス・オグ・ウェールズ 世となり、 一一四四上英国の皇太子さん周知のごとく、後にエドワード八 ダンディ ついでシンプソン夫人事件で退位したウインザー公は、当時伊達男の典 型として世界の人気男だった。 一一四五上苦痛原語には、刑罰、の意もある。 一一四六上スュケマルセイユの小高い漁師街。 一一哭下影の種族亡霊、の意もある。 一一四九上対神三徳カトリックの教義では、信仰、希望、愛を、信者の 持つべき最高の徳として対神三徳とよぶ。 かいわ、 パッシー界隈富裕階級が多く住むパリの区域の一つ。 一一五一一下ダルナン第二次大戦中、一時ドイツ側に協力し、後に連合軍 側に走って暗殺されたフランスの海軍大将。 そうくっ 一一五九下「奇蹟の庭」〔乞食の巣窟〕二〇九ページ上の訳注参照 かわい こ、つした表現はフランス語で 一一六一上優しいとか、可愛いとか、 は頻繁に使われる。 一一六一一上ビドンヴィル特に北アフリカ諸国の急ごしらえの貧民街。 一一六四下「メスキーヌ」貧者、無一物者等の意を持つ。井筒俊彦教授の 御教示による。 一一六七上「監視者」ポリスは言うまでもなく警察の意をも持つ。 一一六九下その数年後に一九三六年にス。ヘイン内乱が勃発する。 一一七三下自分を飾ろう原語には、自分を守ろうと、の意もある。 リの場末町。 一一大上ミラ通り 天一下最後の語原語では、理性。 天三上ルドルフ・ヴァレンチノ不世出の美男といわれた一九二〇年 代のイタリア系ハリウッド映画俳優。 一一会下かっきり十二時を : ・ : ・性器が直立している、の意。 一一会下居留民タイプの男ベルナルディーニはイタリア系の名前であ り、イタリアかコルシカ生れの男だろう。 とされる。 一一瓮上〔性的〕曖昧さ天使は男性でも女性でもない、 オリヴァ・トウイスト』中の少年 一穴九下デイケンズの話の中の : 照。 ばつばっ カリタス

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ロプ = グリエ 1096 soiement) と《君 ( あんた、お前 ) 》呼ばわり (tutoiement) の二種類の 二人称がある。 まきにしん 一 0 三六下ロールモップス、メルゲスロールモップスは巻鰊の白ぶど う酒漬。メルゲスは辛子入りの小さいソーセージ。 ヴェルサンジェト 一 0 一穴上《ヴェルサンジェトリックス三世街》 リにまウエル リックスはガリア時代の首長で、二世、三世はいな、 サンジェトリックス街だけが実在する。 一 0 四一一上ジン一〇三一下の注参照。 一 0 四四上黄楊の小枝死者に捧げる告別のしるし。 一 0 哭上クロック日ムッシュー ハム・サンドウィッチにチーズを乗せ てオープンで焼いたもの。 一 0 五 0 上フランスふうに : フランス語では《シアンスⅡフィクショ 一 0 五 0 上過去形フランス語には細か、 し過去時制の区別があり、《複合 過去》は主として口語で完了・経験を表わすのにたいして、《単純過去 ( Ⅱ歴史的過去 ) 》は文語的で、現在と関係なく過去に《点》として完結 した出来事を表わす。本書は最初フランス語の教科書として執筆された。 一 0 五 0 下プランシュ《白い》という形容詞の女性形。 一 0 五一上第十七次十字軍戦争十字軍遠征は第八次 ( 一二七〇 ) が最後 である。 一 0 五一下「主人公が落命した時、 : : : 」シモンはここで、会話では使わ ない《単純過去》形を使っている。 ろう 一 9 犬上グレヴァン美術館パリのモンマルトル大通りにある蝦人形館 で、歴史上の劇的な場面や現代史の大事件の場面を、迫真的な蝦人形を 配して再現している。 一 0 穴下普通の水ミネラル・ウォーターとの対比で、水道の水を指す。 一 0 九五上ケルンなんか : ・ ライン河畔のドイツの都市ケルンは、フラ ンスでは《コローニュ Cologne 》と呼ばれており、これとエデイプス ( オイデイプス ) 死没の地のフランス語読み《コローヌ Colone 》とを掛 しゃれ た洒落。

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ジュネ 356 ギャング 元一上悪党仲間マルセイユはギャングの街といわれたほど風紀が悪 、刀子 / 一一九四上紋章原語には、武器、の意もある。 ジュネはかって北アフリカや近東で兵役に 一一九四上アフリカ戦役 : 服していた。 ラ・グーリュ 一一九五下「貪婪女」ロートレックの有名なポスターなどに描かれた同名 の女芸人のことか。 一一究下緋の色緋の色は、赤面するの「赤」であると同時に、王や高 位の聖職者がまとう衣の色、高貴を表徴する色である。 三 00 下蝦の模像日本でもかって場末の見世物小屋等に梅毒におかさ れた人体の蝦製の模型が展示されていた。 三 0 三下ヴァンサン・ド・ポール聖列に加えられたヴァンサン・ド・ ポール ( 一五八一 ー一六六〇 ) は特に徒刑囚や捨子や淫売婦たちへの慈 悲、その救済によって有名であり、言い伝えによれば、彼はある罪人が 妻子を貧窮の中に残して服役することを嘆くのを聞いてその身代りにな ることを願い、聴許されたという。 三 0 七下コルシカ生れコルシカ系の男は一九三〇年後半からパリの暗 黒街を制圧したといわれるほど勢力がある。 三一三上花を奪ってきなよ原語には、刈り取ってきな、の意もある。 三一四上蘭が一輪入ることはあるが女衒を訪れる金持の婦人の胸につ いて、の意であろうか。 三二上セック・ゴルギジュネの処女作、小説『花のノートルダム』 中の人物。 三一一一一下ガニメードギリシア神話によれば、ジュピター ( ゼウス ) は わし 鷲に身をやっして美少年ガニメードを空中にさらってこれを犯したとい 、つ 三一三下ロージェロペールの名前がこれ以後ロージェに変ることがあ る。 ヘンゼルとグレーテルの童話。 三一一四上森の中に迷いこみ、 三三 0 下サン日トウーワンパリ の場末町。 たちか マクロー やどり 三一一五上寄生木の実フランスでは新年に寄生木を飾る習慣がある。 三一宅上汚辱のしるしが : フランスでは王朝時代に、囚人の右肩に らくいんお 焼けた鉄で百合の花の烙印を捺した。 チャンさん 三一一七上気むすかしい女 ( あるいは、支那 ) 原語ではどれも女性名詞。 サク一フメント 三三九下悔罪の聖礼〔告解礼〕聖礼 ( 秘蹟 ) には以下の七種がある。 すなわち、洗礼、堅信礼、聖体礼、叙階礼、婚姻礼、終油礼、そしてこ ぎんげ こにいう、懺悔の礼〔〔告解礼〕である。 三四 0 上信じがたい原語には、耐えがたい、の意もある。 三四 0 下丁寧原語には、磨かれた ( もの ) 、の意もある。 ガ

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ジュネ 354 一三九上彼に札入れを奪われ : ・ : ・葉あるいは紙を意味する語 feuille は 女性名詞で、定冠詞 la をとり、紙入れあるいは書類カバンを意味する をコ e ま u 三 e は男性名詞で、定冠詞 le をとる。この場合はこの後者の 「入れ」に当る porte を省略しながら冠詞はそのままにする隠語的表現 を紹介したのだろう。 すみれかお 一四一一上革の香りを : : : 菫は謙譲の表象とされている。 あなた 一四一一下「お慈悲を」本来の意味は、貴方の神への愛、信、いによってな にとぞ : : : という意味であるが、言われる語だけでは、神様のために、 となり、人はそう言っている乞食に何かを与えるわけである。 だんしよう 一四三上薬用ワセリン男娼など受動的男色者が性行為のとき肉体の一 部に塗布するもの。 ひせき 一四五上「不断の礼拝」聖体の秘蹟が昼夜を分たす信者の前に呈示され て不断の礼拝を受けるカトリックの一信仰形式で、スペインの一部だけ に残っているといわれる。 また 一四六上彼の水色の : 男はふつう性器をズボンの股の左側に収めて いた ( 現今のジーンズ類、特に身体にびったりしたものの場合はむしろ 中央に、際立たせて ) 。 一五五下「スリッパを丸める」舌を丸めて差入れながらキッスをするの 意味。 一五五下ベル・アベス当時の仏領アルジェリアにある外人部隊の師団 所在地。 一契上二スー 一スーは一フランの二十分の一の値。 一五七下ファンジャンのス。ヘイン名。 一六一上ギリシア的な : アンテイゴーヌは古代ギリシア悲劇中の女 めし 性人物。盲いた父オイデイプス王の手を引いて導いた。「ギリシア的 ( の ) 」とは男色を意味する形容詞として使われることもある。 一六三下ジル・ド・レー Gilles de Rais ( 一四〇四ー四〇 ) 二十五歳で 元帥に任ぜられ、ジャンヌ・ダルクらと共に英国駆逐戦を戦ったが、間 もなくこの居城にひきこもり、限りない欲望の充足を求めて魔術を信奉 するに至って数百人の人命をその犠牲にしたといわれ、処刑された。 一六三下ヴァシェフランス十九世紀末の実在した殺人鬼。 タビストリ 一六六上綴織掛錦この有名な中世末期の美術品はパリのクリュニー博 物館に展示されている。 一六六下地色原語には、畑、の意もある。 まひる 一六六下この正午の空には : かってのポーランドの国旗には白鷲が 描かれていた。 ひしよう 一六〈上飛翔させてこの原語 voler には、盗みをする、の意もある。 一六九上強大なカ原語には、強国、の意もある。 一七六上女衒この本書に頻出する女衒なる存在は日本ではあまり聞か ひも ないがフランスのやくざにはきわめて多く、女とくに淫売婦の情夫であ り護衛者であり搾取者である。事があれば暴力に訴えるがふつう大きな 組織は形成せす、強盗のように自分では働かずに豪勢な生活をしている ので悪党仲間の貴族ともいわれる。 そうくっ 一七七上ピギャルバ リのモンマルトルの一角で、やくざの巣窟といわ れていた。 一大下猿原語には普通の意味のほかに、隠語的に使われる場合、主 人、親方、夫、等の意味もある。 天 0 上カロリーヌカロリーヌは女子の名前であり、特にヨーロッパ の諸王家等、貴族階級に多いが、他に何か意味があるかどうかは不詳。 だんしよう 天 0 上連中男娼。おもに女装していた連中と思われる。 天 0 下「汚辱の娘たち」仏語 ( に限らす一般にヨーロッパ語 ) では、 娘という語は抽象的象徴的な意味をも持ち、たとえば花のことを「春の 娘たち」、学芸女神たちのことを「記憶の娘たち」などとよぶ。特にこ の場合考えられることは、カトリック教会の一宗派に属する尼たちのこ とを「 >< x の娘たち」とい , つよび方をしてきたことで、たとえばフラン シス派の修道女は「キリスト受難 ( 情熱、の意もある ) の娘たち」とよ ばれる。なお、売笑婦のことを「歓楽の娘たち」ともいう。 一九一上アリカンテ明光、を意味する。 しゅろ 一九一上棕櫚の樹棕櫚の樹は徒刑場のある仏領ギュイヤーヌ地方にも 多く生えている。 一九一下ムルシェアリカンテの誤りかと思われる。 まち 一九一下この市とその : アリカンテの注参照 マクロー ン しろわし

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1247 文学作品キイノート スル R - G 〃 アラン・ロプ = グリエ 『迷路のなかで』 Da La こミ ~ 19 ⅵ 9 こわき 「いまは私は、ここに、ひとりで、まつので当惑しよう。 軍用外套を着たその男が小脇に抱えてい たく安全なところにいる。外は雨が降っ 《私》のいる「ここには、日の光もはい る靴の箱のイメージが生まれ ( だが、ど ている。外では雨のなかを、頭を前に傾ってこないし、風も、雨も、ほこりもはちらが先か ) 、ついでその箱が洋箪笥の け、片手を目の上にかざしながら、それ いってこない」ではじまる次の段落では、上に載っているが、その時にはすでに雪 でも自分の前を、自分の前数メートルの部屋自体から出たほこりが床や暖炉や洋はやんでしばらく経過している。 だんす ところ、濡れたアスファルトの数メート 簟笥にうっすらと積もっている様子や、 壁に木の額にはいった版画が掛かって ル先を見つめて歩いている」という書き テー・フルの上も、電気スタンドや灰皿のおり、居酒屋の内部を描いていて、客で 出しではじまるこの小説は、ばってりと跡以外は薄い層をつくっている様が描写ごった返しているが、隅にばつんと孤立 した、赤い厚いカーテンで閉ざされた部される。そして、「外では雪が降ってい したように、三人の兵士がテープルに向 屋に閉じ籠もっている《私》と、頭を前る」。相変わらず、頭をもうすこし余計かっている。なかでも、こちら向きにな に傾け、片手を目の上にかざしながら、 った兵士の顔が入念に描かれていて、下 に前に傾けて歩いている男のまわりで、 自分の前数メートルのところを見つめて雪がふぶき、それと呼応して部屋のなか に「ライへンフェルスの敗戦」と画題が 歩いているだれかとを、平行的に描いた、でも、「やっと目に見えるくらいの小さ書きつけてある。襟首までボタンをかけ まったくの描写だけでなりたっ作品であな粒子が、しずかに、垂直に、 いつもおた軍用外套を着た兵士は、上体をこわば る。 なじ速度で降ってきて、床の上、べッドらせたままで、とっくにグラスを飲みほ 個々の場面は、したがって、まことにカバーの上、家具の上に、灰色のこまか していて、客がだれもいなくなっても立 ちり ちあがろうとしない ( 画像から想像上の 明なのであるが、完全に意味 ( Ⅱ物い塵がつもり、一様な層をつくる」 語 ) が排除されているので、えてして意見知らぬ男のまわりで降りしきる雪と場面への転換 ) 。 味を求めようとする読者は、書き出しの室内にしずかに降りつもるほこりとの相兵士は目を大きく見ひらき、自分の前 最初の段落が終わらないうちから、男の似が、やがて床の上の室内履きの足跡かの暗がりに立っている少年を見つめる。 歩いている場面が、次々に《雨のなか》ら、雪に埋もれた街路の上の男の足跡、少年が「寝ちゃったの ? 」と聞き、「そ しよくだい から《風の吹きぬける》場面、《まっこ壁紙の上の小さな燭台のような、短剣んなとこで寝ちゃだめだよ」と一一一一口う。っ うに日が照りつける》場面にすり替わるのような、懐中電灯のような図柄から、 いで、外ではまた雪が降っていて、案内 力いとう

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セリーヌ 888 五三三上リゴドン元来十七、十八世紀に流行した二拍子の陽気な舞曲 セリーヌの愛する一言葉で、最晩年の作品 ( 亡命三部作の最終巻、死後一 九六九年刊 ) の題名ともなっている。 吾一三下〈〈ミニストレルズ》正しくはミンストレルズ。十九世紀半ばア メリカで生れた黒人楽団。その後イギリスでも、黒人に似せてメーキャ ップした白人がバンジョーなどに合わせて黒人の歌を歌う道化芸人団が そう呼ばれた。 五四四下三つの町メドウェイ川の河口に近い、ロチェスター、チャタ ム、ストルードの町。 五七 0 下〈ポルダ号〉海軍練習船の意味。本来はフランスの数学者で船 乗りのシュヴァリエ・ド・ポルダ ( 一七三三ー九九 ) の名をとった、プ レスト港のフランス海軍兵学校練習船 ( 一八四三ー一九一一一 l) 。 五九六上《モダン・スタイル》今日ではアール・ヌーヴォーの名で呼ば れるのが普通になった、建築や装飾にも大きな影響を及ばした十九世紀 末から二十世紀初頭にかけての芸術運動。 五九六下『ミス・ヘリエット』エドモン・オードラン ( 一八四二ー一九 〇一 ) 作曲のオペレッタ。一八九〇年、プーフⅡバリジアン座で初演さ れて大成功を収めた。 五九六下テノール歌手のピタルーガ「ミス・ヘリエット』のポールの役 は、アルペール・ピカルーガによって演じられた。 六只下サンⅡルイ病院十七世紀の初めアンリ四世によって作られた リ最古の病院の一つで、近代においてはとりわけ皮膚病、性病の専門 病院として知られてきた。 六 0 九上〈〈ビュファロ競輪場》でのレース、予想される六日間レース、モ ランやお気に入りの美男のフア・ヘールが出ているポルト日マイヨのそ ばにあった競輪場。六日間レースはもっとも人気のあった、最初は一人、 つぎに二、三人組となって争われるレース。ルドヴィク・モランは世紀 末の名高いレーサー。フランソワ・ファベールはルクセンプルク人で、 外国選手として初のフランス一周自転車競走の優勝者 ( 一九〇九 ) 。 六 0 九上一番最初のバスパリ最初のバスが運行されたのは一九〇五年。 三十人ほどの乗客を連ペる二階付きバスだった。 六一七下〈ネーグル〉サン日ドゥニ大通りにあった有名なビャホール・ レストラン。 六一一四下「あなたはほんとにきれいな女 : : : 」プーポン作詞、クリスチ ネ作曲のシャンソン ( 一九一三 ) の題、そしてリフレインの出だしの一言 葉。ジャン・フロール他によって歌われた。 六三六上ポーランフランスの有名飛行家ルイ・ポーラン ( 一八八一 一九六三 ) 。一九一〇年、ロサンゼルスの第一回飛行大会で高度一二〇 九メートルの世界新記録を達成。同年、ロンドンーマンチェスター間の 飛行レースに優勝。 六三六上ルージェ自動車レーサー。一九一一年、第一回モンテⅡカル ロ・ラリーの優勝者。 六三六上プチⅡプルトン本名リュシアン・マザン。自転車レーサー 一九〇七年と八年の二回、フランス一周自転車競走に優勝。 六三六上ファルマンアンリ・ファルマン ( 一八七四ー一九五八 ) 。名高 い初期飛行家。初め自転車・自動車レーサー。一九〇八年〈飛行大賞〉 を獲得後、初の同乗者を乗せての飛行や、都市間飛行に成功。その後、 重要な飛行機製造者となる。弟モーリスも飛行家で、飛行機製造者。 六三六上サントスⅡデュモンアルベルト・サントス日デュモン ( 一八 七三ー一九三一 l) プラジル出身の軽航空機操縦者、飛行家。一八九七 年初めて気球に搭乗して以後、幾種もの飛行船を製作して改良を重ねた。 その後、飛行家としても活躍。 六一一一六上ランペール子爵シャルル・ド・ラン・ヘール ( 一八六五ー一九 四四 ) 。フランス生れのロシア貴族。アメリカの飛行機発明家ウイルバ ー・ライトの最初の弟子。一九〇九年十月、エッフェル塔上を飛行して 大センセーションを巻き起こした。それがバリ市民が町の上空に見た初 めての飛行機。 六三六上ラタンユベール・ラタン ( 一八、 ノ三ー一九一一 I)O 飛行家。英 仏海峡横断に二度挑戦して失敗したが ( 一九〇九、一九一〇 ) 、フラン ス人として最高の滞空時間、高度記録を達成した。 六三六上マク・ナマラレジナルド・マク・ナマラ。オーストラリア人 自転車レーサー。一九一二年以後、〈六日間レース〉で優勝した。

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997 ル・パラス くらいにかがみこんで、灰をふうっと吹き ( といってもそのという最初の三語の上を、何度も行ったり来たりし、それか 灰も目にはいらず ) 、それから上体を起こし、立ちあがろうら彼はからだをゆさぶり、立ちあがり終わって、いまはおす としてしやがみこむのだったが、そのときになってそれがやおすと用心ぶかい、慎重な緩慢さでからだを動かしたが、そ はり床石の上の、彼のすこし左手に落ちていて、上になったれもなんらかの危惧とか不安とかから由来したものではなく きゅうしゃ 一枚がまるで自分のカで動きだしたみたいに ( 死体だってとていまでは ( 柩車のうしろを歩いていた大統領や政府首脳 たちの顔のことを考え ) ただの疲労からきたものにすぎす、 きには、ゆっくりと手脚を、腕をもちあげたり、あくびした りすることがあるとい , っことだが、 それとおなじで ) 折り目金属製の灰皿をまるでほば百キロほどの重さでもあるみたい ちょうつがい にのろのろテープルの上にもどし、それからふたたび身をか を蝶番にしてゆっくりもちあがり、まるでなにかふざけた、 まひ いやみたつぶりな意志の作用でひろげられてゆきでもするみがめて ( からだ全体が麻痺して痛く、まるでみしみし音を立 たしたったが、上に開いた紙がおよそ四十五度ぐらいの角度てるみたいで、ちょうどある種の老人たちが、ほんのちょっ とした運動を企てる前にもながいあいだかかって注意を集中 に達すると、それも停止し、大見出しの最初の部分がすっか りこちらから見え、そこで彼も相変わらずしやがみこんだ姿し、それからいざ決意したとなると、いわばその運動を分解 勢で、顔を床に平行に横に向けたまま動きをやめ、といってし、そのそれそれの段階ごとに息をつくために一休みするの あぎけ とおなじで ) 新聞を拾いあげてふたたびテーブルの上、今度 もそれも読むためというよりはその嘲るような敵の動きをう かがうためで、いまは彼の顔にはあの閉まったドアの前で彼は灰皿のわきへ置き、機械的に蝶番みたいな折り目を上から あきら 押え、それから辛抱づよく待って、上の一枚がまたしてもも を襲いはじめた、おだやかな絶望というか、諦めとでもいっ う一度もちあがりそうな気配を見せると、もう一度それをと たものが刻みつけられていて、視線があの悲しげな不満、ま たしてもおなじたちのわるいいたすらをしかけてくる古い友りあげ、おなじおちつきはらった、念入りな手つきで今度は 人にたいして見せるような、苦しげな無一言の非難を意味するそれを正常な折り方にたたみなおし、大見出しがいまでは全 立口外仰になったものの、彼はもうそれには目をくれなかった。 やるせない表情で、黒ぐろとした大文字で印刷された、 港からのばってくる並木路のプラタナスの木蔭では、露天 商人たちがふたたび彼らの安物商品の店をひろげていて、花 CQUIEN 工 A MUERTO? 売りの店や新聞売り場のポックスと交互に並び、新聞売り場 〔だれが殺したのか ? 〕 には毎日おきまりの量の、ぎようぎようしくて、威丈高で、

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シモン 1024 し状の突出部。 九四 0 上センターボラテン・アメリカ各国の貨幣単位 ( ペソ、アウス トラル、スクレ、コロン、ケツアル、レンヒラ、コルドバ、・、 ホリビアー ノ ) の百分の一。 九四九上 パトロクレスギリシャ神話中の人物。フティア王ペレウスの 王子アキレウスと共に育てられてその無二の友となる。彼の武具を借り てトロイアで戦い、華々しい戦果を挙げるが最後にヘクトルに殺され、 アキレウスが報復する。ホメーロスの『イーリアス』の末尾で、アキレ ウスがパトロクレスの遺骸を戦車につけて引き回し、その死を悼む盛大 な葬儀の模様が描かれている。 九会上 FLOR DE TABACO 以下は、ごく標準的なキューバ産の葉 巻《パルタガス》のケースの描写である。 九会下柏の木の : 以下十八行目の《 : : : 風景画》までは、キュー バの国章の描写。 ろう 一 0 一五下グレヴァン博物館パリのモンマルトル大通りにある蝦人形館 で、実物そっくりの蝦人形を使って再現した、さまざまの歴史上有名な 場面を並べているが、通路やペンチにも生きた人間そっくりの守衛や見 物客の人形が陳列されている。

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ふともも 方形の左の側辺でかくされてさえいて、その側辺が右の太腿れたからだは、ふたつのゆれ動く影と光との区域に分割され、 へり を正確に縦に二等分し、腿のつけ根の上、それから腹部の縁明るい栗色の陰影はほとんど全部、そのからだの表面上で、 と右の乳房 ( かなり大きい褐色の円盤 ) の先端のすこし左をうねうねとしたおばろな線で区切られている左のひろびろと した平面に凝集され、そのうねうねとした線の向こう側の明 通過しており、からだのこの部分は全体として、このからだ を窓際まで運んできた歩みの最後の段階のまま完全に直立しるく照らしだされた部分では ( 乳房の右の部分、腿のつけ根、 ていたが、左の太腿はまだうしろに、わずかに拡げられたま左の太腿の片側に ) 、影の断片というか、漂う小島みたいな ま、いくらか引きすられていて、そのため両方の太腿のあい 影が浮きだしているかに見え、その一方ではもっとくろすん しみ やり だの隙間が細い槍の穂先のかたちを描き、その先端が恥骨のでいて輪郭のはっきりした、タールみたいな色の汚点が、恥 くろぐろとした草むら状の三角形を支え ( 双方の先端同士が骨、腿、乳房の先端、もちあげた腕があばきだした毛の密生 : しかーしほ′んと , つは : っ第に 相対して ) 、まるで下から上へと、左右二本の鉛直線 ( 窓枠した腋の下の所在を示していた : の左の辺とカーテンの縁 ) を支柱として、なにか構築物、建ったかな、ほんとはどうだったのだろう ? ほんの一瞬、一 築物みたいなもの、つぎつぎに積み重ねたちぐはぐな物体秒の何分の一あるかなしかの短い時間にすぎなかったのだ。 じよう」 ( ステッキ、漏斗、お盆、そっくり葉をつけたままの草花をそれから女はカーテンを引いて、自分で自分の姿を抹殺し、 かき消し、消滅させ、消えさった幻が、きっと網膜上の残像 植えた植木鉢、ふたつの大きなポールなど ) から成り、重さ がないみたいに軽業師の指の先にのつかっているあの異様な作用のためにちがいないのだがそのまま残り、時間的短さそ 足場組みとでもいったものが、そこに建っているかのようなのもののおかげで ( カーテンさえなければ運動がそれとすり 、、ほかのどんなイメージにもとって代わ のだった。すなわち槍の穂先形、黒くて末広がりの恥骨、そ替えたにちがいなし られなかったという事実のおかげで、といってもつぎのよう してその上に、三角形の恥毛の水平の生え際に支えられて、 なイメージ、その幻の軽微な修正にすぎないこんなイメージ ばつんとひとつだけある果物みたいな、果物入れの上にたっ へそかさいし スたひとっ残った桜んばみたいな臍の笠石の役をつとめる、白はべつで、すなわち左の肩と乳房とをつなぐ筋肉が ( その皮 めじり くて盛りあがった三日月形の肉で、それからその臍から発し膚には目尻の小皺のような何本かの細い皺が水平にはいって したが ) いきなり収縮して、とびあがりゆれ動く腕の所作に ているあのかすかな影の溝、細かい枝をつけた軸が上のほう へゆくにつれておばろにかすみ、その両側に、対称的なふたつれて、乳房が上のはうへ引っぱられ、カーテンがすばやく つの重そうな球があるといったぐあいで、横から照らしださその前を、右から左へとすべりすぎ ) あの寿命の延長みたい わき

10. 集英社ギャラリー「世界の文学」09 -フランス4

: でも : : : 君はガス灯の火口がちらちら舞っていた : 君が : : : 来てくれて : : : うれしい だんだん目が馴れてくると、大時計が見分けられた : : : す : すいぶん遅れたね : : : どうしたんだね ? ・ ごくでつかい飾り枠つきの掛時計で : : : じつに見事なやつだ 「知りません : ・・ : 」と、私は答えた。 : そして全部銅でできた文字盤の上で、ごく小さなフリゲ そして私の先に 彼はそれ以上くどくは言わなかった : タ ト艦がたえまなく秒を刻んで踊っていた : : : チック , とうとう扉を開けた 立って歩いた。ちょこちょこと : かギじ。よ、つ タック , : チック , 船はそうやって航海し 鍵を錠に突っ込んだままがたがた震えた。鍵が抜き出ック , それを見ているとしまいには疲れてきて目が回 そうやって玄ていた : せなかった、それほどひどく震えていた : 関に入ると、私に待つように合図した。箱の上に坐っているった : たくら : 品物の中でも よう : : : 自分は上に行って準備をしてくるからと。階段の真老人は依然としてなにかを企んでいた : 女と話をしていた 水を流していた : 中で、彼はもう一度思い直して、ランプの上に身をかがめるがいていた : 大苦労をしてきたの とうとうまた降りて来た : ようにして、私を指差して見せた、 ひげそ すっかり顔を洗い、髭を剃り、ものすごくおめかし もう君に英語しか 「明日、フェル一丁イナン ! 明日は : 弁護士に似た : 」をして : : : それもなかなか風格がある , しゃべらないからね ! き、あ ? ウォット : ひらひらする黒いケープ : : : そいつが肩から垂れている 彼はそのことを考えて今から笑いさえした : ひだ ・ : 襞が : : : アコーデオンみたいに : : : そして頭のてつべん 「ちょっと待ってたまえ ! ウェイト ! モーメント ! あ 、も , つおに , には、大きな房のついたすてきなお椀帽を乗せている : あ ! わかるね ! もう ! 敬意を表するためだな、と私は考えた。私をびつくりさせよ 私は立ち上 うってのだ : 彼はちょいと合図をした : 彼はふざけていた : 死 がる : 正直なところもう立 と、ふらふらっとした : の 彼はまたなにかを述べよ っていられないくらいだった : ここがた ・ : 私の旅行に関して適切な一一一一口葉を : 彼はいつまでたっても上で引出しをひっかき回し、ドアをうとした : ーし また閉じ、食器戸棚を持ち運んでいた。私は考えた、《こりやすく見つかったか ? 私は相変らずなにも返事しなかった まず最初、客間を通っ : 》。そして 彼のあとについて行った : このまま寝ちゃうそ , ゃあんまりだ , それから洗濯場 : : : 洗面所 : て : : : ピアノの周りを : なおも待ち続けた。廊下の突き当たりで、常夜灯のように、 フェルディナン , わん