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検索対象: 集英社ギャラリー「世界の文学」09 -フランス4
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1. 集英社ギャラリー「世界の文学」09 -フランス4

「みんな、フェルディナン ! みんなよ ! わかる ? 私がわかるでしょ ! それがなんのためだと思って ? 私の柵の おまけににんじんを十 あいつじゃなくって , きれいな側を全部壊すためよ , 私が一人で , 植えたのよ : アーテイチョークを ただの十八列だって ! ええ ! とんでもない , もちろんよ ! 」・ 私はもっと ノ歹第も ' 力、 なにを作るためだと思う ? 納屋よ , 小さな蕪・ 小さななめく二十四列 , 見なくちゃならなかった : じ , それがどんな状態だか見てごらんなさい , かばちゃの受皿 : : : 彼女はあらゆるおおいを持ち ほんとのご って自分の卵が見つからないくらいだわ , 上げた : : : あらゆる枠を : : : 菊ぢさがたくさんあった , こえだめ なえどこ しまみバケッよ , 肥溜だわ ! そんなものを私の菜園の隅にこ われわれは苗床をひとつひとつ見て回った : さえたのよ , つぎつぎと、日昭 いには、彼女は我漫できなくなった : われわれはそちらの方に出かけた、彼女は明かりを持って りのときにどんなに苦労するかを物語った ! ポンプで水を 汲み、水差しを運ぶのも彼女だった : : : あちらの : : : 蛇口か案内した : ら : 地下に閉じこめられ それは実際、小さな小屋だった : 悲しみのあまり言葉が詰った 小道の端まで : ・ : 屋根だけが顔 私は雨たような形で : : : ほば完全に埋まっていた : 彼女は坐った、そしてまた立ち上がった : たる 内部に、覆いの下に私の見たものは : : : すべて 水用の大きな樽を見に行かなくちゃ : : : そして、それではまを出し : これ、がらくた ! : : : 分解した道具以外のなにものでもなか だ小さすぎることを知らなくちゃならなかった : こ : : : それから そいつがみんなものすごく乱雑し 「ああ ! そうだわー : 」と、彼女はまた飛び上がった さび ああ ! 完全に潰れて、錆ついた大きなダイナモ : : : 逆さにひっくり 「あなたは彼の仕掛を知らないわね , でも、そいつはちょっとしゃれてるの ! あのすてきな発明返った貯水タンク : : : ねじれた羽根 : : : それから一気筒の エンジンだ : それがクールシアルの発明だった : を ? まあ、じつに じゃあ、全然知らないのね ? 死 《電波発生装置》だー くだらないもんだけど , ほんと ! 彼があれ以上のものをはちょっとは知っていた : の ひとつのアイデ つくったことはないわ ! もちろん、私は反対したんだけそいつは植物を生長させるはずだった : ィアだ : 『ジェニトロン』のバックナンバー中に、この ど ! わかるでしよう ! ああ ! ほんとよね ! どんなに ーし でも、駄目問題に関して、《放射地電流による農業の将来》の完全な特 どんなに憤慨したか ! な私が反対したか , それからさらに三冊の入門書と、山のよ 集号があった : だったわ ! どうしても ! 彼は三万六千匹の騾馬みたいに うな記事 ( 二十四枚の挿絵入り ) が : : : その使用法に関して 頑固で ! 私をなぐったの ! 私は手を出さなかったのに ,

2. 集英社ギャラリー「世界の文学」09 -フランス4

′一ばんじま 、こ浸りながら、上薬を には相変わらず、窒息するような臭しし、 くのあいだは、この町の街路と並木路の碁盤縞は、斜めにか からすめ すめる光で黒ぐろと刻みつけられているが、その光も港から塗った煉瓦の壁に背中をもたせかけて、烏の濡れ羽色の髪を 立ちのばって、深い、じとじとした石造建築の切り通しを満した、全身黒すくめの服装 ( シャツ、ズボン ) の靴磨きたち が、辛抱づよい、待ち構えるような、無気味でひもじそうな たしてゆく栗色の霧の前進とともに、一歩ずつ後退してゆき、 りようせん やがて太陽が突然、西の山々の稜線、いまは鮭肉色の空の顔をして並んでいて、その儀式めいた列の前の、鋲を打った 下に棄てられた遊園地の塔や大きな車輪の骨ばった残骸のか彼らの小さな箱は、古代の謎めいた小さな櫃、ちつばけでわ なたにかくれ、町そのものも打ち棄てられ、劇場のフットラびしい死児たちの柩とでもいったものに似ているのである。 イトみたいにつぎつぎに点燈されてゆく複雑な街燈の列の、 原題 LE PALACE 緑色がかった不変の電光の下で荒涼としていて、まるであの 陣痛に苦しむ女王たちのだれか、そんなときはだれも彼女た ちの姿を見てはならないというので、宮殿にひとりばっちに された女王のだれかみたいで、汗でびっしよりの腹のなかか ら、生みおとされ、排出されてしかるべきもの、生きる見込 みのない、退化した、巨頭の小怪物かなにかを ( とアメリカ 。しったが ) 生みおとし、排出しーーやがてすべてが動き をやめて静まりかえるのだが、彼女はそのまま精根っきはて、 息もたえだえになって、それがいっ終わるという希望ももて ずにその場に横たわり、微量の、間断のない、むなしい出血 によって生気を失ってゆくのだ。腹をえぐられ、短刀で切り ラ裂かれたというのですらなく、ただの少量の血が彼女のから だのまさしく中央の、ほそい、 目に見えない裂け目からにじ . レ み出、休みなしに流れだすだけなのだが、ただの血の滴りが、 川まもなく小さな血の海となり、地下公衆便所のタイル張りの 床の上にひろがり、ゆっくりと大きくなってゆき、その廊下 訳注 兊九下トリアノンヴェルサイユ宮殿の庭園内にある二つの館。大き いほうの〈〈グラン・トリアノン》は一六八七年、ルイ十四世の命でアル ドウアン日マンサールが建て、小さいほうの《プティ・トリアノン》は 一七六二年から六八年にかけて、ルイ十五世のためにガプリエルが建て アントワネットが・用し た。こちらはとりわけルイ十六世の妃マリ 九一一五上縁なし帽撃ちの銃猟師アルフォンス・ドーデの三部作「タル タラン・ド・タラスコン』 ( 一八七一 l) 『アルプスのタルタラン』 ( 一 八五 ) 「タラスコン港』 ( 一八九〇 ) の主人公。南仏の町タラスコンの名 物男タルタラン ( 《法螺吹き》の意 ) は、いつも奇妙な服装をした、冒 険好きで滑稽なドン・キホーテ型の人物であるが、射撃に巧みで、空中 に放りあげた帽子を撃つのを得意とした。 九三〈下船嘴敵船の船腹を突き破るために、船首につけられたくちば せんし ひつぎ なぞ ひっ

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声が聞こえないようにしろ ! ぶらぶら外へ出るんじゃなやりそうな薄汚いことだ , それからほかの食人種ども なら ? ・ 屋根裏部屋を探してみろー 馬小屋をちょっ 連中は充分怪しかったー 私は走りながら のぞ おやじ と覗いてみろ , まだ大箱の中を探してないそ , : 」そうしたことを思い浮べた , だけど親父はいったいこ 子供たちは憲兵に会うのを恐れていた : だからそう言の瞬間どこにいるんだ ? ・ われわれが走って頭も割れそ っておけば安心だった ! 彼らはまちがいなくあとを追ってうになっているあいだにー ・ : 彼の死骸のために 来ないだろう ! 彼らはきな臭さを感じていた : : : でもなんにいるんだ ? ・ たぶん《大球》にしかいないだろう ? 彼らはなんにも知らなかった : するトランプ遊と ) でもやってる真っ最中で ! またして 「特に扉をよくしめとけよ , ・ : 」と、私は注意した : そしてアニゼット酒をちびちびやりながら , そして窓からかみさんの姿を見ようとした : 彼女はもう もわれわれが犠牲者だ , 私は一瞬だって驚かないだろ はるかに遠くに一打っていた , 私は全速力で駆け出した 下劣で抜け目がないことについちゃ、彼はまった 追いつくのにものすごく苦労した : 彼女は森を越 くなんの疑いもない , 指先で軽くはじく ! それだけ やっとのこでみんなだまされる , え、耕地を越えて全力で突っ走っていた , とでびったりそばに追いついた ! 骨がばらばらになりそう平たいところ : : : 柔らかい耕地を横切ってたつぶり走った 糞 ! : : : 彼女について行く程度のことでー そこに着く あと、今度は丘の中腹の急な登り坂だった : いだてん 私はそれでも考えを集中した : そうやって : : : 韋駄天のと、そのてつべんから、じつによく見渡せた , いわば景 よ , つに ~ 疋り、ながら ! 速駆けで熱くなって : : いやな疑色全体が , かみさんと私は牛よりもっと激しく息をし いが頭に、冫んてきた・ 《畜生 ! 》と、私はこの仕事につていた。われわれはちょっとのあいだ、もっとよく見下ろす いて自分に言った ! 《間抜け、おまえはまたすっかり ため土手の裏側に腰を下ろした : かわいそうなおしゃべ こんなのはでつかいチンボコだ , り女はそれほど視力がよくなかった : だが、私 . は尢大き刺 のだまされてるんだ , 。へテンだ , すようによく見えた : 直線距離で二十キロメートル先の : ドリューヴ川の小さな橋だって ? す そこから、 インチキだ ! でたらめだ , またしても薄汚ものだってなに一つ見えないものはなかった : 図々しい嘘だ , いまわしい罠だ、それだけのこその頂から、下りと、そして下を流れるドリューヴ川の先に とだ ! 》ああ , : : 小さな橋と、それから道の小さく曲ったところに・ 私は強く疑ってた , 郵便配達の あいつだったら 里郎が考え出したいやらしい計画か , 私はそこにはっきり見わけることができた : ・ : 車道の真中 わな

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愛好家どもが突堤の先端 ふたたびのなわないようにしなくっちゃ・ その頭上を一枚の厚板を下げた滑車が走る : 双眼鏡で事態を観察 仲仕たちが動索の、遭難合図の鐘のそばに集まる : のしり合いが始まる : 馬 - ぎが机く : にたかる : それ、氷山のする : : : 隣にいる一人の男が私たちに双眼鏡を貸してくれ ハッチの蓋が跳ね上がる : 荷馬る。突風がすごく強まってロもきけないほどだ。息が詰る 森のお次はー そら行けー 細切れだ ! 風は海をさらにふくらます : : : 海は灯台の上に高い水 これ以上見てたってしようがない、興 車の列が近づく : 柱となってほとばしる : : : 天までとどく。 奮する場面はよそに移った。 ひきし 私たちは夜まで帰ら 父は庇つき帽子を目深にかぶる : 私たちは信号所のところに戻る、石炭船入港の合図があっ ないつもりだ : 三隻の漁船がマストをなくして帰港して た。《指人形岩》を真横に見て、船は半旗を掲げて入ってくる。 水路の奥に彼らの声が響く : : : ののしり合ってる その周りを、ポートに乗った水先案内人が波から波へと踊来る : たがいに櫂をからませてしまって : って、跳ね飛んでいる。必死になって奮闘し : げんそく あちらでは母さんが心配して、魚の仲買人が集まる〈小さ く : : : よじ登る : : : 舷側に這い れ : : : ついに梯子にしがみつ な二十日鼠〉という飲み屋で私たちを待っている : : : 母さ 上がる。カーディフ ( ウ 国最大石炭出も以来、ばろ船は難航し、 だが父さんと私とはもう遠 船は激しく横揺れし、泡んはたいして売れなかった : 大波を食らってきたのだった : 潮流に怒り狂う洋航海にしか興味がなかった。 と波しぶきの山にたたきつけられる : と , っと , っ歩一 - ー」ばかり》潮 突堤の方に押し流される : 船は入っ が移動し、船を元気づけて、河口に押し込む : 父さんは泳ぎが上手で、海水浴が大好きだった。私はそう て来ながらかっとなって、全身で身震いし、甲板を洗う大波 がなおも船を追い回す。船はうなり、蒸気をいつばい吐き出でもなかった。ディエップの浜はひどい浜だ。でもまあ休暇 死 だし ! それにまた私は〈小路〉にいるときよりずっと不潔 してあえぐ。索具が疾風の中でピーピー鳴る。煙突の煙が波 の になっていた。 ず頭まで吹き降り、干潮が防波堤に突き当たる。 〈四十雀〉では、私たち三人に小さな洗面器が一つあるだけ ちょうどアンプルムーズの瀬戸の《鉄かぶと》が見えてく る : 。こっこ。私は足を洗うのを怠けた。すごく嫌な臭いが、ほと 引き潮に、もう小さな岩の群が姿を現す : んど流しとおなじくらい嫌な臭いがしはじめた。 難破しかけた二隻の一本マストの小帆船が通路を探ってい る : もうすぐ悲劇が起る。そいつをちょっとでも見損海水浴をするには勇気がいる。湯気の立っ波頭が突っ立ち、 ふた

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った。興奮のあまり、顔色が真っ赤に変り、どこもかしこも そしてバビローヌ街中にもう一頭の馬が並足で歩い つじばしゃ ふくれあがって、目を竜のようにぐるぐる回した。見るも恐ているだけだった : ハカ ! 遅くなった辻馬車 ろしい光景だった。母と私は震えあがった。それから彼は皿が : ヌ をたたき割り、それからみんなは寝に行った : こっちを向くんじゃな セ「壁の方を向いてろ , 私は知っていた 父は私を育てるため、いろいろ余分な仕事をやった。上司 いそ ! 」向きたいとも思わなかった : はずか それは母さんの脚だ、小さい脚と大のランプラントはあらゆる仕方で父を辱しめた。私もそのラ 恥しかった : きい脚 : : : 彼女はまだ部屋から部屋へとびつこを引いて歩ンプラントという男を知ってるが、そいつは赤毛が薄い色に けんか ひげ 彼女は食変った男で、鬚のかわりに何本か、長い金色の毛が生えてい 父は喧嘩をしかけようとした : き机けた : 器を洗い終えなければと言い張った : : : そしてその場の空気た。父はといえば風格のある人間で、おのずと優雅なところ があり、ごく自然にそれが身についていた。ランプラントは を陽気にしようとして、ちょっとした歌を歌おうとした : 父のそうした持って生れたものが気に食わなかった。彼は三 ふくしゅう 十年間、父に復讐した。ほとんどすべての手紙をもう一度 そして屋根の穴から太陽が 書き直させた。 私たちのもとに降り注ぐ : 私がもっと小さかったころには、ピュトーの乳母のところ 、こ登って来た。そこはたつぶ 父のオーギュストは『祖国』紙を読んでいた。彼は私の折に、 両親は毎日曜日、私に会しし り空気があった。両親はいつも前払した。一スーだって借り 畳み式べッドのそばに坐っていた。母がそばに来て接吻した。 父の嵐は治まっていた : 彼は身を起して窓辺まで行った。を作らなかった。最悪の状態のときでも。ただクールプヴォ 中庭の奥のなにかを探しているふりをした。彼は大きな屁をワ ( ←のとでは心労が多く、いろいろな物の欠乏のため、 した。緊張がほぐれたのだ。 母は咳をし始めた。以後、母の咳は止まらなかった。母が助 かったのはナメクジのシロップと、ラスパイユ療法のお陰だ 彼女もまた共鳴して小さな屁をした、そしていたすらつば く台所の奥に逃げて行った。 ランプラント氏は、父の風格からして、父がとんでもない 私は食堂 それから二人は戸を閉めた : : : 寝室の戸を : ・ に寝ていた。伝道師たちの歌う聖歌が塀を越えて聞こえてき野心を抱いているのではないかと警戒していた。

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ちまう。好機を取り逃がせば腹痛しか残らないことになるだそれに雨がいつまでたってもやまなかった。十二月以後は本 ろう , もし私が彼らに向かって口を開いたら、きっと真の物の洪水だった。町も、港も、遠くの河も、もうなんにも見 《ビジネス : : : 》とはどんなものか語ってやったろう ! 人えなかった : 雨 いつも霧で、巨大な綿の塊だった : 生とは正確にはどんなものか、見習奉公とは : 私はこのがそれさえ溶かして、明かりが見えたが、また消え去った セ役立たすのろくでなし連中に、短期間にものを教えてやった あらゆるサイレン、船の合図が聞こえて来て、明け方 たろう ! からも , つやかましかった : このちびどもはなんにも知らなかった : : : 疑っ きしむウインチ、波止場に沿 てもいなかった : サッカーしか理解してなかった、それって走る小さな汽車 : : : それがあえぎ、びよびよ鳴く : じや足りない : そして自分のチンボコを眺めることだけ メリウインは着くとすぐ、われわれがソックスが見つかる ようガス灯の《火口》を大きくした。洗面所のあと、みんな はまだすっかり濡れたまま、地下室の貧弱な食い物の方へ飛 んで行った。祈りをひとくさり、そしてブレックファース 授業時間は長くはなかった、朝のうちしかやらなかった ト ! そこはわずかばかりの石炭、脂じみて、つるつるし、 火山のように爆発し、アスファルトの臭いがする石炭が燃や メリウイン氏は教育から、宗教から、いろいろなスポーツ される唯一の場所だった。そいつは臭いとしてはよかったが、 まで牛耳っていて、なんでも一手に引き受け、ほかに教師は ただ硫黄の臭気がちょっとばかり強すぎた ! よゝっこ。 食卓には、トーストの上にソーセージを乗せたのがあった、 夜明けから、サンダルに部屋着姿で、自分でわれわれを起けどとてつもなく小さなやつだ , たしかにうまい ! 御馳 しにやって来た。もう陶製の小さなパイプを吸ってした。。 、「へ走だ、でも一度として充分にはなかった。私は全部だって一 ッドの周りで長いステッキを振り回し、あちこちたたいて歩人で食べちゃったろう。煙を通して、炎が壁の上に、ヨプと けっしてそんなに強くはたたかなかった。「ハロ〈箱舟〉の上に反射して踊っていた : : : そいつは幻想的な蜃 きろう ・ポーイズ , ・ポーイズ ! 」と、 小さな婆さんの気楼のようだった。 たの ような声で。われわれは彼のあとについて洗面所へ行った 英語を話さないので、私はたつぶり目を愉しませる時間が 蛇ロの列が並んでいたが、われわれはできるだけ少しあった : : : 爺さんはゆっくり噛んでいた。メリウイン夫人 せつけん しか水を使わなかった。石をつけて洗うには寒すぎたのだ。 はみんなより後でやって来た。ジョンキンドに服を着せて来 そう しん

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どうだね ? そいつが一番ふさわしいと思うが : : : 気に入ら 体操場の隠れ場は、ともかくほかよりもいくぶん場所があ : はっキ、りしてし それに連中に見られないにちがいない : : : 店の訪 んかね ? もったいぶってもいないし ? ・ るし ? ・ 問客たちに : いっか、それはわれわれの正式の約束に含まれていること なんでも結構だった 私はそれでまったく結構だった : そだったが、私は自分も気球に乗って、高度三百メートルに上 けれども、資材係の職は名誉職じゃなかった : いっかある日曜日 : 私は飛 彼は一挙にそれをがらねばならなかった : いつは仕事として実際に存在した ! そうすれば肩書がかわるだ 行の《副官》になるだろう : 私に押しつけてきた : : : 手押車で配達の荷物を運ばなきや 印刷屋とのあらゆる往復をろう : ・ : ・彼は、私がもっと一生懸命仕事を続けるようにそ ならないのは私だった : まゆげ かギ一ギ、 う言っていたのだと思う : 彼はその眉毛の下で、ものす 大軽気球の鉤裂きにたいして責任があるのも私だった うかっ 抜け目のない小さな目 : 気圧計やロープなど、散らばっているあらゆる道具、あごく狡猾だった。泥棒野郎は , 私のほうでも、彼がやって来るのを見 らゆる小さなくだらないもの、あらゆる金物を見つけなきやで私を見ていた : きの・つ ならないのも私だった : 鉤裂きや気嚢を修繕するのも私ていた : : : 彼はまたとないくらいだますのが上手だった , ふとなわ けれど 私を前もって《うまく踊らせて》いた ! 麻縄やのりを使って応急修理するのも私だ。太索や 私はそん も、店の奥の部屋での食事はかなりよかった : 細紐の結び目 : : : 空中で破裂した操縦装置を直すのも私だ : もちろん、彼は私をだまさなくち なに不幸じゃなかった : 《熱狂号》はものすごく年をとった軽気球で、すっか ゃならなかった , さもなければ、主人とはいえなかっただ り老いさらばえていて、そんなふうに地下室の奥でナフタリ うじ、びし ひだ ンをまぶされていても : : : 何千という蛆虫がその襞の中に御ろう ! ねずみ ちそう そんなふうに私がごそごそ針仕事に没頭していると、彼は 馳走を食べにやって来る : : : 幸いにも、鼠はゴムが嫌いだ たしたい四時頃に、ムに様子を知らせにやって来た。 : 横糸を食べるのは、ほんの小さな二十日鼠だけだっ の 「フェルディナン ! 店を閉じるから : もし誰か来たら た。私は《熱狂号》のあらゆる鉤裂き、ほんの小さな穴をも 私に用だと言ったら : : : 私は五分はど前に出かけたと 探して、《かがり縫い》《へり縫い》《折り返し》《襞取り》な じきに「師って どをやってそれを修繕したが、そいつは割れ目しだいだった言ってくれたまえ、急いで行って来るから , 気球はいたるところがほぐれていて、私は何時間もそ来るよ ! 」 ムはいろいろと考えてみたあげく、彼がどこに行くかを知 れを繕い、しまいにはそれに熱中した : ほそひも ごろ

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セリーヌ 500 帰れば、と彼は言った、「私はヨーロッパ風の服装をしてる。分の一に縮めた : 小さな雛型を準備した : : : みんなもの 裁判長なんでね ! 」 すごく巧くいった。私はロべールとフランクール街の〈ユダ たしかにこれはいい思いっきだ : : : 彼は全面的に信頼をヤ・スイス商会〉に飛んで行って、一度に百フランの《十 おいていた。貴金属を買うよう、私に二百フランじかに手渡八》金と、五十フランのはんだを買った : その小さな金 そのほうが都合がよい。そうすればおたがいに エルゼヴ 時塊をしつかりしまい、金庫に堅く鍵をかけた : 間を無駄にしなくてすむ : ィール街で地金をしまって夜を越すなんてことは、もう四年 ぶつだ 二枚の札を手にしたとたん、まちがいなく私は自分が仏陀 もないことだった : ・ : ・原型ができると、そいつを鋳型に出 のような顔になった : こんな変ったやり方にどぎもを抜した : : : 連中は三回も続けて失敗した ! また初めから ひ かれた : 大通りを戻りながらふらふらして、危うく轢かやり直さなくちゃならなかった : ・ : ・鋳造工ってものはすご れそうになった、それほどばうっとなっていたのだ : くわかりが悪いもんだ , 時がたっていった : : : われわ とうとうエルゼヴィール街に着いた : : : 事件の一部始終れはとうとう苛々しはじめた : でも、とにかく連中は理 を語った : 、、。ゝナよ、幸運 彫金術の復興解した。そいつは全体としちゃ悪くなかった : ・ : 神は形を帯 ゴルロージュの予一言は正しかった , われわれはびはじめた : それを仕上げ、磨き、品物を直接彫らなき ゃならなかった : 順ぐりに乾杯して飲んだ ! みんなが私に接吻した , みんな仲直りした ! 二百フランを両替しに行く , ちょうどそのとき、思いがけない災難が起った : ・ : 憲兵が う百五十フランしかなかった : ゴルロージュを探しにやって来たのだ : ・ : ・家じゅう大騒ぎ えき っ ) 、よっこ 彼はただちに四週間の予備役の訓練を受けに 行かねばならないのだった : もう猶予は不可能だった 私はゴルロージュといっしょに美術館に問題の像をスケッ 彼はもう猶予をみんな取ってしまっていた : 大演 チしに出かけた。それは小さなガラスケースの中にたった一習を免れることはできないだろう : 作りかけの《幸福の す すわ つ、ばつんと静かに小さな折り畳み椅子の上に坐っていてた神》を放棄しなきゃならなかった : : しい加減にできる仕事 しやくじよう いへんおもしろく、自分一人で笑って、傍らに錫杖を持つじゃなかった : 念入りにやらなくちゃ : ていた : もう妥協は不可能だったので、ゴルロージュはつぎのよう われわれはたつぶり時間をかけて模写して、スケッチを百 に決めた : アントワーヌが仕上げる : じっくり落ち せつぶん ひな

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そし ~ めと・も , っ 四、五日たってもう一度手を加えるほうが : 着いて完成させる : 私がそれを引き渡す : もらえるのは百フランだった : そいつはゴルロージュが たら洗練された仕事になるだろう : ゴルロージュはついに决意した、飛んで行かなきゃならな 自分で取りに行く , 彼はそのことをはっきり言った , 訓練期間から戻ったら : 彼はものすごい不信を抱かった。憲兵がまた来た : いていた。 その翌日、私が行ってみると、彼は足の先から頭のてつべ もし中国人の気に入ったら別のやっ、金無垢のサキア・ムんまで兵隊の服装をしていた : : : 大きな上着、ボタンが二 えんすいけい これつばかしのことでやめる法つついていて、隅をフライドボテトを入れる円錐形の紙袋の ニをたくさん作るまでだ , ポンポン 彫金術のようにまくり上げられるケープを着ていた : : : 緑色の玉房の 未来はバラ色だと考えてよいだろう : そうい ああ ! われわっいた軍帽、それとよく似合う真っ赤なズボン : 復興は、おそらく極東から来るだろう : ぎつのう ちびのロべールが雑嚢を れ階段の住人全体は、われわれの話で騒々しく、上下の階うかっこうで彼は下に降りた : の雑多な手仕事をしてる連中はみんな兵隊のことでびつくり持っていた。そいつはぎっしり物が詰っていて、ます第一に し、われわれが連がいいのにあきれていた , こんな天から三個のカマンべール・チーズ、それも《生きた》やつだった ぶどうしゅ ベキン それから白葡萄酒が もう連中はわれわれが北京から小切手をので、みんなそのことに気づいた : の授かりものにー そろ いたるところで一言っていた。 一リットルと、さらにビールの小瓶が何本か、短靴下が一揃 受け取ってると、 ・ : 戸外で寝るための毛糸の寝巻き : ゴルロージュは最後の瞬間になってまだぐすついていた。 皮まアントワーヌと 隣人たちはみんな各階からどっと、デニムの作業衣やばろ しろいろ面倒なことがありそうだった。彳。 たん 彼らはたつぶり痰を吐き、 交替で小さな像の仕事をやった。途方もなく小さな個所、ちのスリッパ姿で降りて来た : そして頑張れよと言っ つばけな細かい点があったので、天眼鏡を使っても完全には戸口のマットをいつばいにした : 死見えないくらいだった。小さな椅子 : : : 錫杖・ : ・ : そして特に た。私はマジャンタ大通りの交差点を越えて、〈東駅〉のす ・皮まち一よ , つどこ , っし 小さな顔について : ごく些細なほほえみ : : : そいつを表ぐ前までゴルロージュを送って行った。彳。 現するのがむずかしかった ! 二人はさらに爪のように先のた注文を受けてる時に行かなきゃならないことで、大いに脳 ーし かんし もうほとんど欠けているんでいた。繰り返し私に指一小を与えた。自分で仕上げられな 尖った鉗子で粒を削り落した : かんべき と , っと , つ日取・〉友に「六、よ , っ だが、それでい ことをすごく気にしていた : 弸ものはなかった : 《完璧な》模写だ ! そして私におとなしくしてるように一 = ロ なら」と言った : もなおアントワーヌがも , っちょっと考えるほうがよかった が つめ

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いたからでもあった。すなわち、おなじひとつの同期化されって刷毛でかいたみたいにはりついていたが、 さっきの声、 た運動で、両方の前腕が、肘のところで肘掛け椅子の腕木としやがれていて気持のわるくなるような、一種の猿の鳴き声 連結されているみたいに、左右いっしょに下がって、新聞をみたいな声がふたたび、まるでげつぶでもだすみたいに出て ン モ下へおろし、それと同時にまぶたがめくれあがるのも、太鼓きて、「知るもんかね。ここには外国人がいやというほど大 をたたくチン。ハンジーのまぶたとまったくおなじで、つまり勢いるからね。アメリカ人も。ドイツ人も。イタリア人も。 ほかのどこの部分も ( 小さな両足が黄色いびかびか光る靴をあらゆる国のがいるからね。なかには、ここへくるまで、お はいて平行に歩道の上に並べられ、すっと上のほう、ほとんそらく一度だってべッドやシーツにお目にかかったことのな ど乳の下でベルトをしめたズボンが、まるで固いコルセットさそうなやつだっている。そいつらがやってきて、わしに宿 みたいに巨大な腹を包み、シャツはゴムで袖をめくりあげ、 泊券を見せるんだが、そんなやっときたら : : 」、そこで中 おくびよう ネクタイは茄子色の錦織りの絹のネクタイで、糊のきいたカ断し、なにか陰険で臆病な気配がかすめ過ぎて、炭みたい ラーの上に猿の垂れ頬がはみだし ) 、というわけでほかのどに黒いその小さな目の輝きを曇らせ、そのあいだも学生の顔 まゆげ の部分も動かす、ただ密生した眉毛だけが例外で、まぶたとを見つめ、様子をうかがい、探りを入れながら、声が非常な っしょにもちあがって、深くくばんだ、きびしい小さな黒早ロでまた、「わしの役目はそういう連中に部屋を提供する いらだ 目をあばきだし、 いまはその目が、一種の苛立ち、冷ややか 、、、「それだけさ。それだ ことだけでね、それだけさ」としし おり な、無一言の激怒みたいなものをこめて、目に見えない檻の目けじゃないかね ? 」とくりかえし、それから前触れもなしに、 に見えない鉄柵ごしに彼の顔を見つめ、チンパンジーじみた だしぬけに、およそなにも沈黙を予告するものなどなかった 突きでた唇、薄っぺらな唇が、巨大な顎の上でほんのかすかのに、ちょうど彼がしゃべりだすことを予告するものもなに もなかったのとおなじように、けだものの唐突さ、急に吠え 「アメリカ人 ? 」としし ) 、それからそのしやがれた、咽喉にるのをやめる犬の唐突さでふつつり黙りこみ、学生がしゃべ ひっかかる ( まさしく猿の声みたいな ) 声もやみ、いまはた っているあいだも、黒ガラスか炭みたいな残忍な小さな目が、 いや 。こ、ほとんどないといっていいくらいの鼻の両側の、もしゃ 相変わらす彼の顔に突きささって、冷ややかな、癒しがたい、 もしやに密生した眉にかくれた、怒りに燃えた、炭みたいに浮きうきした贈悪で燃えあがっていたが、またもや例の声 黒い、ちつばけで野蛮な目だけが光り、その上の平べったい ( 吠え声、げつぶ ) が学生の言葉を遮り、学生がだまりこみ ずがい 頭蓋にはひと房の黒い毛が油つばいぎらぎら光る絵の具を使もしないうちから、ふたたびしゃべりはじめ、その声もやは