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検索対象: 集英社ギャラリー「世界の文学」09 -フランス4
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1. 集英社ギャラリー「世界の文学」09 -フランス4

そうだとも ! サラダだ ! グリュイエール・チ 張り、頭のふけを払い落した : 靴をこするため、羊毛のる , ーズだ ! なにもかもだ ! きれを探しに行った : 知識だ ! 蕪た 君は、自分 そうしながら、私の品定めを続け 自身の泥の中でもがいている , 転げ回っている ! 泥んこ 「君は漫然と生きてるんだろ、ちがうかね ! 君にとっちゃ、 になって汚れて ! でつぶり太って ! 央活に ! 君はなに き、亠こい そんなことはどうだっていいんだろ ? われわれの些細な行も求めちゃいない , 君は星のあいだを過ぎて行く : : : ちょ しずく だから 為、思いがけない思考がもたらすかもしれない普遍的結果な うど五月の雨の雫のあいだを過ぎるよう , フェルディナ そんなこと ど、まったく知ったことじゃないんだろ , だ ! 君はなんともはや、言いようがない は、これつばかしも気にかけちゃいないんだ ! 君はびン ! 君はこんなことがほんとにいつまでも続くと思うのか すきま ね ? ったり自分を閉ざしてるんだろ ? 隙間もないくらい 君の実体の奥に堅く締めつけられて : 君はほかの 私は星々については、そし 私はなにも答えなかった : なにとも、ちがうかね ? 食べて月についても、明確な意見は持たなかった。だが、このこ なにとも通じ合わない : : はっきりした意見を持っていた。 る ! 飲む ! 眠る ! 上の階で平穏に : ・ : 私の長椅子の上ん畜生めについちゃあ ! たつぶそしてオカマ野郎のほうでも、よくそのことを知っていた , で暖かくくるまって , 君は満ち足りてる : いかにして ? り安楽に・ 地球は運行を続けている : たんす なぜ ? 恐るべき奇跡だ ! 地球の周航 : : : 驚くべき謎に満 「機会があったら、上の階の、小さな簟笥の中を探してみて くれたまえ。手紙をみんないっしょにしまっといてくれ。私 ちた : : : 無限に予測不可能な目標に向かって : : : 彗星 : : : こ とごとく末知な彗星で、目がくらむばかりの天空の中を : : : 旋は少なくともそうした種類の手紙を、百通はどは受け取って そうた、 回に旋回を重ね : : : そして、その一秒一秒は絶頂であり、かる。とにかく、そいつが盗まれちゃ困るんだ ! 君は秩序が好きだ のつまた他の奇跡 : : : 何千という計りしれない奇跡の永遠の序そいつを分類しといてくれたまえ , うれ そうするのが嬉しいだろう : 私は、彼、、 フェルディナン ! 何百万 ! 一兆の十から , す曲でもある ! 彼はまたしても、 億倍もの年月 : だのに、君はどうだね ? 君はなにをし なにを望んでいるのかよく知っていた : 「鍵がガスのメータ てるんだね、この宇宙論的なめくるめきの真中で ? この巨私を煙に巻こうとしているのだ ! ーの上にあるから : 私はちょっといなくなるよ ! 店を 星的な大いなる驚きの真中で ? え ? 君はむさばり食って る ! 飲み込んでる ! いや、君はここに残って、誰か来た しびきをかいてる ! 飽き飽きして閉じてくれたまえ : カキ一

2. 集英社ギャラリー「世界の文学」09 -フランス4

にきっちりした身なりだ。 / 。しオ」こ , っしている間、サンテ 彼もまたサラマノについて「みじねると、参った、とやつよ、つこ めじゃないか ! 」といった。あれを見ていやな気がしないかスは繃帯を直していた。私は寝台に腰かけていた。「おれが 私は、しない、と答えた。 やつに因縁をつけたわけではないんだ。やつの方が、裏切っ ュと彼は尋ねたが、 たんでさ」と彼はいった。それはほんとうだ。私はそれを認 カわれわれは登った。彼に別れようとすると、「部屋に腸詰 一緒に少しばかりやらないか」とめた。すると、彼は、この事件について、あんたに意見を求 と・フドウ酒があるんだが、 私にいった。そうすれば自分で料理しないで済むと考えて、めたいのだと述べ、また、あんたは男であり、人生を知って 彼もまた一部屋しかないが、窓のない台所がおり、自分を助けることができるし、そうなればあんたの仲 私は承諾した。 , せつこう 付いている。寝台の上の方には、白と薔薇色の、石膏の天使間になるだろう、といった。私が何もいわずにいると、彼の 、 ' とちらでも同じこと 仲間になりたいかと、また私にきした。。 像や、選手の写真やらと、二、三枚の女の裸体写真やらが、 だ、というと、彼は満足したようだった。彼は腸詰を出して かかっている。部屋は汚く、べッドは乱れていた。まず石油 ほうたい ランプを灯し、それから、ポケットからきたならしい繃帯をきて、ストープで焼き、コップ、皿、フォークの類とブドウ とり出して、右手に巻した : 、 ' とうしたのかと私がいうと、彼酒二本を並べた。この間ずっと黙ったままだった。我々は席 けんか につした。食べながら、彼はそのいきさつを語り出した。最 に因縁をつけた奴と喧嘩をやった、と彼はいった。 「わかるだろうね。ムルソーさん」と彼はいった。「おれが 初は少しためらった。「ある女を知っているんだが : : : それ 、。こナ。こ。目手のやつが、つまり、情婦なんで : ・・ : 」彼がなぐり合った男は、この 悪いせいじゃない。おれはただ気が短しオレオ本 おとなし女の兄だった。彼が女を養っていたのだといった。私は何も 、、ゝ、『男なら電車から降りろ』というから、『おい、、 くしろ』といってやった。すると、『おめえは男じゃない』答えなかったので、すぐさま彼は界隈で何かいってることぐ とおれにいう。そこでおれは車を降りて、『、、 : ししカけんにしらい承知しているが、しかし、自分は公明正大だし、ほんと に倉庫係なのだ、といい足した。 ろ、その方が身のためだそ。さもないと、たつぶりお見舞い 「例のいきさつに戻れば」と彼はいった。「だまされている するそ』というと、やつは『何だと ? 』と答えた。そこで、 おれが一発くらわした。やつは倒れた。おれは起こしてやろことに気がついたんだ」彼は女にきちんと生活費を与えてい うとした。ところがやつは寝たままでおれをけり上げたんだ。 た。女の部屋代を払ってやり、毎日食費として二十フラン与 ひぎ それでおれは膝で一発やった上、面に二つくらわせてやった。えていた。「部屋代三百フラン、食費六百フラン、時々靴下 とうだ、参ったか、とおれが尋を一足、これで千フランになる。ところが、あいつは働こう やつの顔は血まみれだった。。 つら 1 11 ロ

3. 集英社ギャラリー「世界の文学」09 -フランス4

たすねるのかね ? どうしてあんたは、わざわざわしのとこの一部分の真ん中で、いまではべンチに腰かけている彼自身 ろへきて、そんなくだらん話でわしをうんざりさせようとすのさらにもうひとつの部分が ) 、「うへえつ。こいつは央だ。 ひ るのかね ? ここじゃあ、わしはなにもいうことなんかない なにをぐずぐすしてる、か」というのを聞き、老人が足を曳 ン モわしは経営者じゃない。わしのホテルは接収されて、だれもきずりながら、小刻みな歩き方で ( 空つばの袋を捨ててまた わしの意見なんかに耳を貸しはしょ オい。だからおまえさんの子供の手をとっていたが ) 遠ざかってゆくのを眺めーーそし そのアメリカ人がどこへ行ったのかそんなに知りたいんだって彼が予想したとおり、移動する必要がなくて、影がいまは ラ たら、どうしてあの入口で銃をかかえてがんばっているやっ彼の上にさし、太陽は豪華ホテルの屋根の向こうにかくれ、 に聞かないのかね ? やっこさんの仕事ってのは、あの肘っ色あせたライラック色の円屋根のすぐ上の空は、白く、かす きの揺り椅子に坐ってからだをゆすぶって、葉巻をふかして、かに黄色みがかっていたが、顔を仰向けにしてゆくにつれ ビールをもってこさせることだけなんだ。もしかしたらそのすこしすっ青くなり、東側、港のほうでははっきりと色がっ うすもや ついでに、暇にあかせて出はいりする人間をよく見てるかもき、薄靄がかかっており、それから ( 空腹のせいではなく、 しれない、 もともとそのためにあそこにいるんだからな。だ つき」いの なぜなら相変わらす彼は自分のからだのなかに、 から、ぐずぐずしていないで、どうしてあの男に聞きに行か消化作用に逆らい、吸収することの不可能なビールの存在を ないんだ ? あの男にしろ、昨夜あそこにいた、あの男の仲感じることができたからだが ) 彼は昼食をとっていないこと 間にしろ ? なにをぐずぐすしてるのかね ? 」、それから彼を思いだし、立ちあがって、広場の向こうの端にある地下便 は男の言葉を傾聴することをすっかりやめ、それが耳にもは 所まで歩いて行って、そこで吐いて、さつばりした気分にな いらなくなり ( つまり彼自身のその一部分が、いまは全速カりたいという欲求としばらく争い ( そこへ行けばアンモニア はいせつ で縮小し、小さくなり、ちつばけになっていって、いまはも くさい臭気、排泄物と火の消えた葉巻と消毒薬のつんとする のろ けいれん はや猿みたいな服を着せたちつばけな人形、怒り狂って、呪臭いのなかで、彼はひとりばっちで、痙攣にからだをゆさぶ れんが いをかけ、害を加えようとする一寸法師的な真っ黒なマンドられながら、からだをふたつに折って、上薬をかけた煉瓦の ラゴラ ( 人間 2 形をした茄子科植物で、薬 ) ほどの大きさでしかなくな真新しい壮大な壁に両手をかけ、指で煉瓦の斜角になったっ り、そんなたわいのない声になって ) 、彼自身が大声で ( つぎ目にしがみついて、便器の上にかがみこむことだろうが、 ほうき まり広びろとした展望台という、そのまわりで小さな市電の壁ごしに、箒をもった片脚のない男が行ったり来たりしなが 永遠の輪舞が依然として継続されている彼自身のもうひとつら、水洗の音に負けずに大声でわめいて、入場料を受けとる ゅうべ

4. 集英社ギャラリー「世界の文学」09 -フランス4

セリーヌ 682 はちゅうるい それが君の狙っているものなんだ、爬虫類め ? じゃない意識してる ! まともに〈人間〉を見てみろ ! 私は、あら のか ! 飽くことを知らす ! 君は這い回っていた , かじめあらゆる危険を推しはかってた , 君をここに迎 さまざまに姿を変え : ・ : ・波のようにくねり ! 常に思いがえ入れた日 , たとえそれが私の最期の大胆さとなろうと たた 暴力 : ・ : ・愛情・・ 情勢・ : : ・カ : : : 先も ! さあ、やれ ! 叩け , 私は犯罪に立ち向かってる , だっても私は君の話を聞いた , 君にはなんでも可能な早くやれ , んだ、フェルディナン ! なんでも , かぶっている皮だけ : よそを見ていた 私は彼 こ世迷い言を続けさせておいた : が人間なんだ ! でも、私には怪物の姿が見える ! とうと ・ : 木々を・ : : ・遠くの方を、公園を : : : 芝生 : : : 乳母たち すずめ , っ ! 君は自分がどこに行こうとするのか知っているのか ? ・ : 飛び立ち、べンチのあいだを飛び回っている雀たち : そのほ 私はすでに忠告を受けていなかったか ? ああそうだ ! 忠 跳ね回る噴水の水 : : : 吹き寄せるそよ風の中で : 告にはこと欠かなかった : 悪知恵 ! 気遣い うが彼に返事をするよりましだった , 彼の顔を見るた 王 , : 暗殺者の狂乱だ , づ工自 そこへ突然、明々白々に : め振り向くよりも : 彼は自分では知らずに本当のことを た言っていた : 本能の激流 ああ ! ああ ! そいつは徴候、こ、 もうちょっとのところで、私は彼の面に文 いかづち 君 ! 絶対的な刻印だ ! 先天的な , 犯罪者の雷・ 鎮を投げつけてやるところだった : : : でつかく、 鈍重な、ヒ 生れながらの背徳者 , そいつが君だ ! そいつが私のボクラテスの像を : : : 手の中がむすむすしてきた : 目の前にいる ! 結構 ! 君 , 結構 ! 君の目の前に つは少なくとも三キロは重さがあった : 私は苦労してい ひきよう オカマ いるのは卑法者じゃない , 君は自分がうすのろを怖じ気づた : : : 自分を抑えていた : 私は立派だった : かせていると思っていたんだろ ? とんでもない , ちが野郎は話を続けていた , , っ , ・ち一が , っ , ・ 私は自己の全〈運命〉に相対している , 「今どきの青年は、人殺しの趣味がある ! だからだ、フェ 自分でそう求めたのだ , 私はとことんまでやるそ ! だか ルディナン ! ムははっきり一一一つが、しまいには、みんなア ずきん ら、できるもんなら私を殺してみろ , さあやれ ! 待ラゴ大通り ( 出。サンテ刑 ) 行きだ ! 目と口に穴のあいた頭巾 なんてこと ってるそ ! 足をしつかりふんばって ! やってみろ ! どをかぶせられて ! 頭巾をかぶせられてだ , うだ、私がはっきり見えるか ? 私は君に挑戦する、フェル だ ! やれやれ ! これも私の責任なんだろう ! ディナン ! 君を見てるとかっとなる , 聞いてるか ? 腹私だって言ってやることはたくさんあった : 私まかっ たつぶり , が立っ ! だまされてなんかいないそ ! 完全にはっきりと と血が上がってくるのを感じた : ねら 「先 ぶん

5. 集英社ギャラリー「世界の文学」09 -フランス4

かもまあまあのものを : : : たつぶりと : 彼はなにも文句き彼女らを事務所に入れてやった : 彼女らは書類の山の を一一一口えないのを感じていた : 中に隠れ、埃を吸っていた : ポリたちが遠ざかるのを待 夜、私は炊事はやらす、一人でリヴォリ街の角の《自動販っていた : われわれは《出資者コーナー》で愉快な馬鹿 売の店》に出かけて行った : 私は立ったまま、わすかば 騒ぎをやった : 私はどの尻とでもやる権利があった : セ かりの食い物をばくついた : いつでもそのほうがよかった完全にただで、というのは、危険なとき私は中二階から奴ら ・ : 手早くすませられた : それからぶらっきに出かけた が近づいてくるのをよく見張っていたからだ : : : ポリどもが モンマルトル街のあたりを一回りした : 〈郵便局〉現れるのを見ると : 彼女らは全員小さな戸口からすらか : エチェンヌⅡマルセル街 : : : ヴィクトワール広場の彫像った・ 私は一族の《見張り役》だった ! 誰にも見られ のところで、タバコを吸うため足をとめた : そいつはす ! : : : 知られてもいない・ ポリが現れるのは真夜中少 堂々とした四つ辻だった : 私はそこが気に入っていた し前だと予想されていた : 私はかなりしよっちゅう一ダ そいつは考え事をするのにい、、 ごく静かな場所だっ ースはどの若い女たちを二階のがらくた置場に入れてやった ろうそく 私はその当時はど、『ジェニトロン』に満足してい ちょっとでも口をきいちゃならな 蝦燭を消した : るときはなかった・ 末来の計画は立てていなかった ポリどもの《四十三》サイズの靴が、敷石の上 だが、現在をそんなに不愉快でもないと思っていたのを行ったり来たりしているのを聞いていた : 恐怖の一瞬 ねずみ である : ・ 私は九時ごろ帰宅した : 女たちは隅っこで鼠みたいにちぢこまっていた まだ、たくさんする仕事があった : それからみんなのびのびした : 相変らず《熱狂 一番おもしろいの 号》の繕いが : 遅れている小包 : : : そして地方への手紙は話だった : 彼女らは〈ガルリー〉で起ってることをな そんなふうにして十一時頃になると、私はまたアー : たくらまれていること、こっそり行わ んでも知っていた : ケードの下に出かけた : そいつはおもしろい時刻だったれていることをみんな : : : アーチの下 : : : 屋根裏部屋 : : : 店 われわれの近辺は売春婦でいつよ、。こっこ 。しオオ : : : 二十フの奥の部屋で : 私は商人たちのことをみんな知った : ランで客をとった : それ以下でも : 柱の三本か四本オカマを掘られてる連中 : : : 流産 : : : 近辺の寝とられ男たち おきに二、三人の客を相手にしている女がいた : : : 彼女たのことを全部 : そんなふうにして、十一時から十二時の ちはしよっちゅう見かけるので、私のことを知っていたあいだに : デ・ペレールのこともみんな聞いた、不潔な : ほとんど《フランセー》 彼女たちはしばしば陽気だった : 私は手入れのと野郎がどうやって向いの小道 :

6. 集英社ギャラリー「世界の文学」09 -フランス4

: もちろん、ど いつもなにか新しいものを ! ほんと ! なんて扱いを受けるでしよう ! 、耐えてきたってのに , 彼に向いてるの のかしら , どんなに怒ったって足りないわ : : : 怒ったれひとっ成功しないに決まってるわ ! あいつは私たちは気球よ ! 私は絶対意見を変えたためしがないわ ! たえ ってなんにもならないんですからね , 軽気球 追っ払っちゃおうと ! 文字ずあいつに言ってやったわ ! 《クールシアル , を売ろうとしてるのよ , よー クールシアル , 軽気球よ ! それがあんたにできる あいつは自分のシャツだって売るでしようよ , 通り , よ唯一のことなんですからね ! 他のことじゃ、失敗するに決 あなたのシャツだって売っちゃうわ、フェルディナン ! オ まってるわ ! 無理にやろうったって駄目よ ! あんたの仕 なにかを変えようという気違い んでも売っちゃうわ , : あんなのはもう人間じや事は空に昇ることよ ! それしか私たちを救えることはない じみた考えに取り憑かれたら , ないわ、本物の馬鹿な太鼓よ ! 縁日のお陰で頭がおかしくんだから ! 他の仕事に夢中になったら、大しくじりをする 私たち、しまいにはムランの留置 に決まってるんだから , なったのよ ! 年をとればとるほど、狂ってきたわ ! 気違 場行きょ ! 造花作りをさせられて ! 》私はあいつに千回も 私はちゃんと気づいてるわ ! だまされちゃい フェルディナン , 言ってやったわ、予言したわ、繰り返したわ ! でも、よそ ないわよ ! あいつは〈悪魔〉よ , の男とでも同棲してこい、糞婆あ ! 気球だと、ですって , あいつの場合は病気なんてものじゃない ! 破滅よー あいつはもう、私がその話をするのを嫌がるんだからね、 まったく , 最初、あい もうついていけないわ , 《あんったん頭がおかしくなるとそれほど怖がって ! 嘘じゃな、 つがこの仕掛の話をしたとき、言ってやったわ : ご主人様は《作家》だっ わ ! それを私は耐えてるのよ , たはいつでも自分に関係ないことばっかりやるのね ! クー ご主人様 私はなんだかさつばりわからなかった , ルシアル , 農業だなんて、あんたはなんにも知らない エレベーターや、ピアノエ場のこととおは《学者》で、《使徒》ですって ! その他なんでもだわ ! じゃないの ! ) ) くつぶ めすっと 本物の盗人よ ! 穀潰し ・ : 》でも、あいつはいつでもなんでも知りた本物の《馬鹿》の権化よ , のんなじで , くず 浮浪者よ、ほんとです 軽禾師よー よ ! 屑よ , すがるのよ ! それがまず第一に、あいつの欠点よ : しらみ とも ! 良心もなければ、金もない ! 虱だらけの本物の乞 もかも知るだって ! あらゆる割れ目に鼻を突っこむのよ , じき 本物の《なんでも屋》よ ! あいつの破滅は、自惚れが強い食、あいつはちょうど、そのくらいのもんだわ ! きっとそ うなるわ ! あげくの果てはそうなるに決まってるわよ , その翌 ことよー ある日帰って来れば、化学だ , てんさい いたるところで垂 日は、ミシンたー あさっては、甜菜だってことになるええ ! じっさいにそうなったわ , っ うめぼ

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司祭ってのはなにを飲むんだろ が好きか知らんがね , 彼女はむしろ不機嫌な顔をしてい せはしなかった , あいつは なんでも飲むことを希望するね ! た ! それ以上先へ進む前に、司祭に会いたがった : 私は、いから、フェルディナン ! 以後 祝いたがってた : いうわけでじりじりしながらその木曜日を待っていた : ああ、そうだ われわれは〈王道〉を進むのだと思うよ : 一時間に十回も、司祭の姿が見えないかと私に尋ねた ? ・ はっきり描かれて またしてとも , もうその前兆が現れてる : そして社長は ? ・ 〈ガルリー〉の端に ? ・ また る , ああ ! 私は今朝、図面を見たがね ! 遊び回っているにちがいない ? もどこに一打ったのか : : じゃあ ? ・ 彼は朝から逃してもどっと着いたやつだ ! アイディアの奔流だよ、君 ! 地下室にはいない ? ・ 私は選別する いったん雪崩がすぎたら : : : そう , げ出していた : 四方八方から、人が会いに来た なんとかなりそうなのと : 忘れちゃったほう 私は婆さんに言った、「待つよ , かなり心配になってきた : あの男にはそれはできん : 私はあ がいいやっとを : ててください ! ひとっ走り、《暴動》まで行って来ますか ら : いつが私に白紙委任状を渡すことを望むね ! 経験主義じゃ 私は〈旦那〉がぶら : 」戸口を出かけたところで : 知識がいる ! 今日の午後から議論しよう , 乳母駄目だ ! ぶらと、公園をゆっくり横切ってるのを見つけた : それに、わかるかね、それだけじゃないよ ! 保証人 たちを横目で眺めながら : : : 彼はこれつばかしも心配して やみくも はどうなる ? 私は闇雲に首を突っ込むことはできんから 、な、か , つわ」 軽く口笛を吹いていた、糞野郎 ! 両腕にし それじゃあまりに安易すぎる ! 私 私は跳び上がった : : : すっ飛んね ! とんでもない , つばい酒瓶をかかえて : ああ ! 駄目だ駄目だ ! の年でやることじゃな、 で行った : ・ : ・彼に近づいた : まずもって ! 第一 , いやに苛々した顔を銀行に預金をつくるんだ , 「やあ ! フェルディナン ! ゃあ , うまそして二百枚の札を机の上に積み上げて ! 共同署名 ! 彼 してるな : うちが火事にでもなったのかね ? ・ 死 発注す と私で ! それから造船技師たちを召集するー・ くいかないことがあるのかね ? ・ 彼は来たかね ? 」 の る , ちゃんと筋道の通った 話し合ってもいし 「来てません ! しし , ん ! 」と、私 . は一一一一口った : ず われわれはもうものを知らない子供じ : 」と、彼はしごく落ち着いて答話をするんだ , 「じゃも , っすぐ・米るさ , オしからね ! 」とはいうものの、軽い疑いが彼をかすめた えた : 「ほら、いつもの通りバニュルス酒だ : : : それやよ、 アニゼット酒 からアメーレビコン・アメール ( 苦いビコ ずれもリキ 「君は、そういうのがあの男の気に入ると思うかね ? ・ 私は司祭がなに ) ! それにビスケット , ュールの一種

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の濃密な暗がりへ姿を消し、いまとなっては彼に見えるものを通過しようとするコーヒーの臭いをかぐことができ ) 、「し かしあの階段のせいなのだ。すぐにおさまるさ。こんなにせ といえば、時どきごそごそ動く羽毛の白っぱい色ぐらいだっ た。そしてどこかほかの鐘楼でーーというかどこかほかの大わしく動悸が打っているのもそのせいなのさ。あるいはもし かしたらやつらは、要するに、ほんとにほんもののコーヒー 時計でーー・時を告げる鐘がゆっくりと鳴りはじめ、そこで彼 ははっとして、いまは十時なのだということに気がっき、たを使っているのかもしれない。コーヒーでなくてもとにかく、 いつ。へんに動悸をはげしくすることのできるようななにかを とえこの国でも、たとえ革命の最中でも、またたとえ女がい たという特別の事情を考慮に入れたとしても、十時というのな」と、くりかえしながらうつむき、彼の目は足もとのリノ リウムばりの廊下、砂利石道みたいなものを模したモザイツ は、たしかにアメリカ人が明日の朝と呼ぶことのできたもの の限界を越えているにちがいなかったので ( ただし彼が十時クふうの、ねすみ色、黄色、青、白の小さい正方形が組みあ しかし彼は明日の朝といったのでわさり、両側をギリシャ雷紋の装飾図案のはいった二本の細 と指定したのなら別だが、 い帯でふちどったリノリウムを見つめたが、そのリノリウム ありーーーそれについては学生にも自信があったから ) 、いま へり はいくらか息をはすませ、階段を四段ずつよじのばり、廊下の縁はすり切れ、ぎざぎざになって、ちょうど彼の両方の靴 を走りぬけ、それからドアの前で、まだノックする決心がつのあいだのところで、まるでねずみにかじられでもしたみた いな深い切り傷がっき、粗織りの麻布の、その赤つばくばっ かないで、じっと身動きせすに立ちつくし、呼吸を整えよう ふ著、べめ・ と懸命になりながらその一方では、それはあんまり急いで階てりした横糸の糸目がはみだし、ちょうど総縁飾りになった 段をのばりすぎたせいなのだということを、自分自身に向かみたいで、彼はじっとそれを見据え、糸目をかそえながら、 「さあ、まわれ右して立ちさるんだ。さあ、すらかるんだ ! 」 って「砒明してみせよ , っとし、とい、つかとにかノ、 , っ十 ( ノ、「砒明し と考え、それと同時にまた、「しかしそれができないんだ。 てみせることができるにちがいないと信じるよう努力し ( と いってももしかしたら眠れなかった夜のせいかもしれず、おどうしてもできないんだ」とも考え、その間も彼の手が、彼 ス のかわりに決定をくだして、いうなれば決定を強要して、彼 まけに、けつきよく彼が、最後にあきらめて注文してしまっ 一フ がまだその命令をくだしさえしないうちに、自分からすすん たコーヒーのせいもあったが、 コーヒーですら油みたいな、 油の腐ったみたいな味がし、彼にはくすんだ栗色でべとべとでノックし、しかしそれもいわば気休めにすぎす、なぜなら どうにも吸収できそうにないそのコーヒー、洗面台のその手は返事も待たすに把つ手をつかんで、めったやたらに いまは逆の方向にもう一度彼の咽喉乱暴にまわしはじめ、めちゃくちゃに押したり引いたりした なまぬるい水みたいに、 どうき

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125 水いらす 「なにもかも」とアンリーに接吻して、「 リュリュは自 5 がっきるかと田 5 , つほどはげしく ~ いた。も , っ は、あんただけ」 やがて夜が白む。人間はけっしてけっして、望むとおりのこ アンリーのパジャマの下へ手を入れて、からだじゅうを、 とはできやしない。人間はただ流されるのだ。 あいぶ いつまでもいつまでも愛撫した。氷のように冷たい手に彼は 「あんなにして出て行くなんてひどいじゃないか」とアンリ +f 、つこ。 身ぶるいしたが、するままに任せてただひとこと、「苦しく なりそうだ」といった。 リュリュは溜め息をついて、 彼のなかには、たしかになにか壊れたものがあった。 「わたし、ずいぶんあなたを愛していたわ、アンリー 「今はもう愛していないというのか」 七時にリュリュは目を泣きはらして起きあがり、物憂そう 「同じじゃないわ」 「だれと行くんだ」 「向こうへ帰らなきゃならないわ」 「あなたの知らない人たちと」 「・回こ , つってどこ ? 」 「どうしておれの知らない人たちを知ってるんだ」とアンリ 「わたし、ヴァンダム通りの劇場前ホテルにいるの。きたな ーは腹を立てて、「どこで会ったんだ」 いホテルよ」 「そんなこと、 しいじゃないの、ガリヴァーさん。今となって 「おれといっしょにいてノ、れ」 亭主ぶることないでしよう」 んアノリー、後生だからしつこくいわないで。それ 「男と行くんだな ! 」アンリーは泣く泣くいっこ。 「聞いてちょうだい、アンリー、誓ってそうじゃないの。おはできないことだと、わたしいったでしよう ? 」 「浪が人を運んでゆく。それが人生だ。判断することも理解 かあさんのいのちにかけてわたし誓うわ。今は男なんて大き することもできない、ただ身をまかせるばかりなのだ。あす らい。わたしはあるご夫婦のかたといっしょに行くのよ。リ レットの知り合いで年をとったかた。わたしはひとりで暮らはニースにいるだろう」。、冫面所へ行って目をぬるま湯で洗 ガタガタふるえながらマントを着た。「宿命みたいなも したいの。そのかたが仕事を見つけてくださるんですって、 しししが、さもないとニースへ着い ねえアンリー 、わたしほんとにひとりで暮らしたいのよ、あんだ。今晩汽車で眠れれ、 たら参ってしまう。きっと一等を買ってくれたろうな。一等 んなこといやでたまらないのよ」 旅行はこれがはじめてだ。万事はすべてこうしたもので、わ なにが ? なにがたまらないのさ」 いやでないの

10. 集英社ギャラリー「世界の文学」09 -フランス4

彼女の言葉にうっとりするだけで、その意味を記憶にとどめ ばくは、彼女も立って、壇上で聴衆のほうを向いているも なかったのだ。そのくせ自分の今後の仕事について、もっと のと想像する。教室でのように、彼女の前にテー。フルがある詳しく知りたいなどとうそぶいていたとは , 工 のたろうか ? それに、。 シンはどんな服装をしているのだろ と、この時、ジンが不意にだまりこんでしまう。彼女は、 相変わらずレインコートを着て、ソフトをかぶってい要するになんの話をしたのだ ? ばくはそれを思い出そうと ロるんだろうか ? それともこの集会のためにそれは脱いできするが、うまくいかない。漠然とばくは、組織に参加したこ あいさっ たか ? 黒のサングラスをいまもかけているだろうか ? とにたいする歓迎の挨拶だけで、いちばん重要な話はこれか はじめてばくは、ばく自身のサングラスをはすしたくてうららしいと考える。だけど彼女は、なぜだまりこんでしまっ ずうすする。けれども、誰もまだばくにそれを許可してはい たのか ? そしてその間、ほかの聞き手たちはなにをしてる ない。それに、まわりの連中がみんなばくを見ることができのか ? ばくのまわりでは誰も動かず、驚きも表明していな るのだから、とにかく、まだその時期ではない。おまけにジ しつ。よ、つ ンその人にしたって : : : だからばくは、提供されたものだけ、 感動したせいかどうか知らないが、 執拗にちりちりする感 なまり つまり、かすかにアメリカ訛のまじったこの甘美な声だけで覚が右目をいらだたせる。思いきり瞼を収縮させてもそれを 我慢しなければならない。 追い払うことができない。。 ほくはこっそりと指で掻く手段を 「 : : : 国際的地下組織として : : : 任務の分業化を : : : 人道的捜す。左手は少年の手のなかに収まったままで、放してくれ な大事業であり : そうにないし、右手はステッキが邪魔だ。とはいえ我慢でき どんな人道的大事業というのか ? なんの話をしているのなくなったので、ばくはこの右手でせめて目の周りでもこす 不意にばくは、自分の浅薄さを自覚する。彼女の言うろうとしてみる。 ことを聞いてさえいないのだ ! 彼女のエキゾチックな抑揚 ステッキの折れ曲がった柄がっかえて、ばくはぎこちない くちもと びきゅう に魅了され、それが出てくる顔とロ許を想像することにすっ仕草をし、それで眼鏡のぶ厚い縁が眉弓の上のほうへすれる。 かり気をとられて ( 彼女は微笑を浮かべているだろうか ? 実際には、レンズはほんのわすかしか移動しなかったが、そ すきま それともギャングの首領向きのあの突っぱった様子をしてい れでも皮膚とゴムの端の間にできた隙間は、ばくのすぐ右に かんじん のぞ るのか ? ) 、肝腎のことをなおざりにした。すなわち、彼女あるものをちらと覗き見するのに十分である : あぜん の言葉に含まれている情報に関、いをもっということ。ばくは ばくはしばらく唖然となる。まさかそんなこととは予想も まぶた