13 アシスタント まんしゅう アシスタントは、先生が後でゆっくり食べようとしてとっておいた饅頭を断りもなく食べては 、年ノよ し ~ をオし アシスタントは、先生を訪ねてきた女性客などを、美しいからという理由で事務所内に入れな いよ、つに一凹 ( 朿してはいけよ ) 。 アシスタントは、お茶を入れる際、先生には出がらしで、自分のためには一番出しで、などと い、つ差別をしてはいけよい。 アシスタントは、先生と話をする時、しゃべりはしめに「あのさー」をつけてはいけない。 アシスタントは、先生より多くの給料をもらいたがったり、先生より楽な椅子に腰かけたがっ たりしてはいナよ ) 。 アシスタントは、名刺に勝手に「社長」などの字句を印刷してはいけない。 ということなので、私は、これから先も、永遠にアシスタントをやるつもりはない。 アシスタント ass みミ ①
目次本文をお読みになる前に 村上春樹 3 アアイゼンハワー 11 アシスタント 13 アスパラがス 14 アルバイト 18 アレルギー 21 アンコール 24 アンチテーゼ 26 28 イインタヴュー インディアン 31 インテリア 36 ゥ一ウエスト・コースト 38 ット 39 工エチケ リート 41 工 エレベーター 43 オオイル・サーディン 45 オール・ナイト 46 オニオン・スープ 50 カカーベッ カーマストラ 52 カツレッ 54 キ一キャンプ・ファイア 56 58 ククイズ・ショー クールミント・カム 62 クラブ 64
ホテノレ 189 セールスマンは失敗した。自己の説得力を過信したのが敗因であろう。一時はピョビョが泣き 声になり、これはこのまま怩沼にもつれこむのではないかと懸念されたが、その直後にセールス マンが泣き声になり、ピョピョの母性的な「ね、食事に行こ」で、再び舞台空間は開かれてし まった。ドアか開いたのだ。 よかった。ありがとう、ピョピョ。君の善行は、一人の缶詰生活者の精神の危機を救ったのだ よ。私は、幕がおりたばかりの芝居のあらすしと感想を、電話でアシスタントの石井基博青年に 語ってやった。 「ホテルって、ほんまにエッチですねー」、これが彼の感想だった。 私は、私のなかの江戸川乱歩と対面しなくてすんだので、元の単なる明るい疲労気味の私に戻 ることができて、うれしかった。 ピョピョも立派だったが、考えてみればセールスマンも気の毒だ。そして、私も偉い。 本当は、前の行でこの項目はエンドマークが出ていたはすなのだが、あれから 6 時間後、大団 円をぶちこわすような事件があった。彼等が悪いわけではないが、私は二人をうらんだ。 もう江戸川乱歩化する気力もなかったので、私は鍵と小銭を持って自分の部屋を出た。 ロビー階の従業員たちは、深夜に時計を気にしながらキリもなくテレビゲームをしている私を ① 見て、何を思ったであろうか。