米国 - みる会図書館


検索対象: 太平洋戦争 (下) (中公文庫)
69件見つかりました。

1. 太平洋戦争 (下) (中公文庫)

126 しかし、やがて中国大陸から四を発進させる計画がある。補給ルートとして北ビルマ、とくに 、、チナ攻略は必要である。ミチナは昆明に通ずる旧ビルマロード チナロード の基点で、レド ~ ミ を手に入れ、道路沿いに送油管を敷設すれば、ミチナを一大軍需物資中継地にできる。そのため、 米国側の強硬な主張で、レド ~ フーコン峡谷 ~ ミチナを攻める〃アルバコア〃作戦の実施が決ま ったが、困難な立場に立たされたのがジョセフ・スチルウエル陸軍中将だった。 スチルウ = ル中将は、蒋介石大元帥が、アーケディア会談 ( 四一年十一一月 ) の結果、中国方面連 合総司令官になると、四二年三月、その参謀長として着任した。同時に中将は on— ( 中国、ビ ルマ、インド ) 方面米軍司令官、南東アジア方面副司令官の肩書を持った。その任務は中国軍を再 訓練、組織して、北ビルマを攻略するにある。中将は、米国人らしい能率的仕事ぶりで任務に邁 進したが、ことごとに中国側とテンポが合わず、蒋介石大元帥とも意見が対立した。とくに中将 にとって不愉快だったのは、積極的に日本軍と戦おうとしないくせに、なにかといえば援助を要 求する中国側の態度だった。中将は、蒋介石大元帥に″南京豆〃 ( ビーナツツ ) というアダ名をつ けて、日記に憤懣をぶちまけた。 「″南京豆〃は、偏屈で恩知らずの小さなガラガラへびだ : ・ : ・ ( 中国政府は ) 自分たちだけのこ としか考えないならず者の集団だ。指導者たちの興味は、ただただ金、権力、そして地位だ ″インテ けだ : : : 手に入るものには何でも頭を下げ、自分は戦わないように心がける : リれと金持ちは子供を米国に送り、農民の子弟が戦争にかりだされるが、注意も訓練も指示

2. 太平洋戦争 (下) (中公文庫)

232 夕食に招待した。食事が終ると、ルーズベルト大統領は紙にフィリビン南部の地図を描き、レイ テ島を押えて、マッカーサー大将にたずねた。 「それで、ダグラス。われわれはここからどこへ進むべきかね」 マッカーサー大将は、びつくりした。戦略問題が話題になるとは予想していなかったからであ る。たが、次の瞬間には、大将はとうとうと論じたてていた。戦略的にみて、いかにフィリ。ヒン が重要であるか、かりに台湾、中国沿岸に進むにしても、フィリ。ヒンという前進基地は絶対に必 要である。さらに重要なことは、フィリピン奪回には米国の威信がかかっていることだ。 「フィリビンには、忠良なる米国兵士が、米国市民が、そして忠実なフィリ。ヒン市民が、日 本軍に捕えられている。もし米国が彼らを見捨てるならば、激しい心理的反応を招くに違い よい。米国はフィリビン解放に道義的責任を負っている。その責任を果たさないとわかれば、 極東諸国民にたいする米国の威信は長く失われるだろうー ノドをならし、声をふるわせて大将は弁じ、ついに大統領が「本日はこれまで。おやすみ , と 宣言するまで、誰一人口をはさめなかった。 ( ワイ会談は、たたマッカーサー大将にあくことを 知らぬ長広舌の機会を与えただけで終った。 統合参謀本部は不満だった。とくにキング作戦部長は、即時台湾攻略論を強く主張した。しか し、 = ミツツ、マッカーサー両大将のほかに、 ( ルゼー大将も「日本のやわらかい下腹であるフ ィリピン攻略は、必要かっ有意義だ」と進言した。太平洋戦線で主役をつとめる三人の指揮官の

3. 太平洋戦争 (下) (中公文庫)

「明らかに命令違反である。よろしいか。貴下の第三十八師団は、全中国軍の中でとびぬけ て優良な兵器、弾薬、糧食の補給を受けている。足りないというなら、迫撃砲も、火炎放射 器も、米兵だって差しあげる。だが、命令に従うのが条件だ : : : もし自分の使命が達せられ ないようなら、辞職してワシントンに報告せざるをえない」 二月十九日、フランク・メリル代将指揮の第五三〇七混成連隊二八三二人が、戦場に到着した。 暗号名″ガラ ( ド〃、または″メリルの略奪者たち〃と通称されたこの部隊は、ウインゲート長 距離挺進隊に刺激されて、米国で編成されたものである。トリニダッドのゲリラ訓練部隊、ガダ ルカナル、ニューギニアの実戦部隊、あるいは本国から志願兵をつのって、特殊訓練をほどこし た部隊で、第一大隊 ( ・オズボーン中佐 ) 、第二大隊 ( ・マギー中佐 ) 、第三大隊 ( o ・ビーチ中佐 ) はそれそれ二つの戦闘チームから成り、カービン銃、機銃、迫 戦闘チームの央器 —ライフル銃 三 9 一撃砲、。ハズーカ砲で装備され、ロバ七〇〇頭に資材を積んで運 戦 作 カービン銃 八六んだ ( 上表参照 ) 。 自動小銃 スチルウエル中将は、同国人部隊の到着を喜び、″ガラハド〃 四 八一ミリ曲射砲 イ 六〇ミリ曲射砲 四連隊を中心にマインカン攻撃を下令した。航空部隊の銃爆撃の の 重機関銃 劇 二援護のもとに、三月三日、戦車を先頭にマインカン郊外に接近 悲軽機関銃 した。″ガラハド〃部隊には二世兵士が配属されていた。その ハズーカ砲 一人、第二大隊のロイ・マッモト軍曹は、日本軍の電話線を盗

4. 太平洋戦争 (下) (中公文庫)

124 宣戦した。大東亜会議に現われると、自由インド政府の領土を求めた。東条首相がアンダマン、 ニコパル諸島を将来帰属させる措置をとると、ポース首班は、島ではなくインド領内の土地が欲 しいと答え、イン 。 ( ール作戦計画の存在を知るや、インパールを自由政府の本拠にしたい、みず から自由インド義勇軍を率いて参加すると、強硬に作戦実施を要求した。 とにかく、戦争に積極的に協力する態度を示したのは、大東亜指導者の中でこのポース首班た けである。東条首相は、大東亜政略の見地からポース首班の希望に耳を傾け、さらに南方軍にイ ンパール作戦の確度を念を押したうえで、四四年一月七日、作戦の認可を与えたのである。 かくて、イン。 ( ールは、たんに戦略地点としてだけではなく、政戦略二様の複雑な性格をおび ることになったが、複雑さという点では、連合軍のビルマ作戦は、むしろ、イン。 ( 1 ル作戦以上 のものがあった。 スチルウエル中将の憤懣 すでに指摘したように、ビルマ作戦については、英軍が主体となるにかかわらず、英国側の 意は薄かった。英国参謀本部をはじめ南東アジア方面総司令官ルイス・マウント・ハッテン海軍中 将も、大戦略の立場からはビルマよりも、蘭印、シンガポールを奪って南シナ海を制圧し、さら に中国大陸沿岸を確保するのが得策だと判断していた。蒋介石大元帥も、中国軍のビルマ進出に は消極的だった。ただ、米国が主張する中国大陸の飛行基地設定、その補給ルート確保のための

5. 太平洋戦争 (下) (中公文庫)

296 いして、マッカーサー元帥は、陸軍作戦部参謀ポ 1 ル・フリマン大佐を通して、ソ連参戦は必要 だと主張した。 「日本を降伏させるためには、絶対に本土上陸を必要とする。そのさい日本は、満州、中国 にある軍隊を本土に移動させる可能性がある。したがって、ソ連に満州を確保させ、アジア 大陸の日本軍を釘づけにする必要がある。九州、北海道などにまず上陸するよりも、ソ連の 満州攻撃とタイミングを合わせて関東平野に上陸する戦略的奇襲を、ねらうべきである」 は日本軍の満州脱出を恐れ、マッカーサー元帥は関東軍の本土移動を懸念するという相 違はあるが、ソ連参戦が対日勝利に有効と認める点では同じである。統合参謀本部の任務は、最 小の被害で最大の勝利をあげる戦略の決定にある。統合参謀本部は、ソ連参戦を必要と判断した。 二月四日から十一日まで、ソ連領クリミャ半島ャルタでルーズベルト、チャーチル、スターリ 三首脳が会談した。会談終了後、米代表団は " 最上の満悦感を抱いてャ ~ タを去 0 たが、 タ 1 リン首相はそれ以上に満足たったに違いない。会談ではトイツ降伏後のヨーロッパ処理、国 際連合機構などが中心議題たったが、非公式にルーズベルト大統領はソ連参戦を交渉した。 ソ連参戦を、日本は恐れ、米国は望んでいる。米国は日本軍とくに関東軍が強力だと考えてい る。だが、ソ連は、関東軍が相次ぐ麾下師団の南方転出 ( 四四年二月 ~ 四五年一月に十三個師団 ) で、 ほとんど無力化していることを知っている。スターリン首相は、この有利な立場をフルに利用し た。外蒙古の独立、南樺太、千島の回復その他の条件をすべてルーズベルト大統領にのませ、か

6. 太平洋戦争 (下) (中公文庫)

295 最後の戦闘 解を、″総合的〃方策として並列したのは、日本の戦力はなお強大だと判断していたからである。 戦略諜報局、経済戦争局、作戦分析委員会 (00<) 、外国経済局など、 日本の経済分析の衝にある部局のほとんどが、日本の生産能力は大きく、かっ生産能力をフルに 活用していると報告しつづけていた。外国経済局が、四四年十二月の日本船舶量を二五〇万トン ( 実際は八九・六万トン ) 、十一月の鋼塊生産一三六九万トン ( 実際八八三・八万トン ) と報告している など、その一例である。さらに、日本は十分な兵力を持っていると信じられていた。したがって、 統合参謀本部としては、日本を無条件降伏させるためには、結局は本土上陸を行なわねばなるま いが、その前に海空封鎖によって日本の戦力をできるだけ減少させておくことも必要だ、と考え たのである。 さらに統合参謀本部が考慮していたのは、対日戦の勝利に、ソ連参戦が不可欠か否かであった。 統合戦争計画部長会議は次のように進言していた。 ①日本打倒は、ソ連の参戦なしで成就できる。ソ連は、その極東にたいする関心、戦後政策 の必要から、シベリアの補給態勢整備と米国の対日戦勝利が確実となれば、必ず参戦する 、、こプつ、つ - 0 ②一方、ソ連が満州、北支を確保すれば、同地方からの物資の日本移動、および日本本土軍 の満州への脱出を阻止できる。 つまり、米軍独力で勝利を得られるが、ソ連参戦は大いに役立っという意見である。これにた

7. 太平洋戦争 (下) (中公文庫)

北ビルマ攻略は、 中国にとっても有 利と考えていた。 だから、カイロ会 談ではビルマ作戦 を支持したが、米 英がスターリン首 相の対日戦参加の 0 意思表明によって ア ビルマ作戦の規模ス 縮小を決定しても、 戦 琲あえて強い反対は 示さず、代りに一 ン イ 〇億ドルの援助を の 劇 ルーズベルト大統 悲 領に要請した。 米国側としては、 ビルマ要図 シンン ロンキン一 ーカマイ冫 ハウンヾ 0 モガウ 方 , クフ勺し十ビ冫ボウ / ホマリンアバティーン 0 ハイラカノジインヾール 0 ビ。・ = 冫プールカホワイトシー全 ナ冫シャン ララガット マウル全力ードウェイー イ冫ドウ カーサ 々ピ兄プ ョウリンギー / / トイタ云 0 ワ / ワントウォ ト冫ザン どンガインチギャ、 タ 霽マフしル コヒマを / こチナ ノ レワ ・イン ) モ メイこョウ ンタレー バレトワ ナ ポエマインヤン カウバドン シャン高原

8. 太平洋戦争 (下) (中公文庫)

悪化する内外情勢 カートホイール こうしてニューギニア、ソロモンは、次第に米軍反攻の″車輪〃に蹂躙される形勢となった が、加えて日本をめぐる内外の情勢は急ビッチで悪化していた。とくに参謀本部に深刻なショッ クを与えたのは、外におけるイタリア降伏、内における船舶の再度の消耗たった。 八月二十五日のべニト・ムッソリーニの退陣によって、イタリアの降伏は予想されたものの、 九月五日、いざその現実に直面すると、事態は予想以上に重大だった。イタリアの枢軸脱落で、 ドイツはその下腹から連合軍の脅威を受ける形となり、日本が期待したドイツによる英国打倒、 その結果にもとづく米国の戦意喪失という場面は、もはや望むべくもなくなった。イタリアの敗 北は、地中海の制海権、制空権が、連合軍の掌中に落ちたことを意味する。ここに日本とドイツ は、たた″精神的枢軸〃にとどまり、両国ははるかに互いの健闘を祈るだけになった。さらに地 中海で不要となった連合国艦隊、とくに英艦隊のインド洋回航が見込まれ、イタリアの降伏は、 中部太平洋の戦い

9. 太平洋戦争 (下) (中公文庫)

避け、北方におけるどのような米ソ共同作戦にも熱意を示さなかった。ソ連としては対日戦の意 志はなく、したがってアリューシャンを通ずる米ソ連絡路にも関心を持っていないということだ った。そこで米国は、日ソ戦はないと考え、アツツ、キスカ占領に関する限り、米国が考慮すべ き点は、日本のアラスカ進攻の可能性だけとなったが、マーシャル参謀総長は、その危険も少な いと判断した。アリューシャンは夏は濃霧にとじこめられ、冬は暴風雪が荒れ狂う。およそ、世 界中で最も軍事行動に不向きな場所のひとつである。おそらく、空襲で押えつけておけば、日本 の作戦活動を封ずることができるはずである。 中将は、アツツ、キスカを経由する北 だが、アラスカの西部防衛軍司令官ジョン・デウィット 方からの日本進撃を主張した。そして、その提案が否決されると、せめてアツツ、キスカを奪回 すべきだと強調した。マーシャル参謀総長は、それにも気乗り薄な態度を示したが、デウィット 転中将は、つぎつぎに新計画を立てては作戦を要求した。デウィット中将が執拗にアリューシャン 争作戦を求めた裏には、自分も対日戦に一役買いたいという願望と同時に、米国民感情も背景にし 一ていた。ア ' ツ、キスカは、歴とした米国領である。たとえキツネと密漁者以外は関心を持たな 年い土地だとしても、日本人を住まわせる必要はない。ルーズベルト大統領も、「戦艦を動員して、 十キスカの″ジャップ〃を吹きとばしてはどうか」と、キング作戦部長に示唆したことがある。 昭 マーシャル参謀総長も、米国領から日本人を追い払えという世論に異議はなかった。ただ、ヨ ーロツ。ハ、南太平洋に優先的に兵力を投入する関係上、アリューシャンまでは手が回らないので

10. 太平洋戦争 (下) (中公文庫)

とすることを決めた。 ア ジ 米国内には、日本本土 ア 南 進攻の構想もあった ( 統合戦争計画委員会 ) 国 中 が、それが不必要とさ 西バ フ攻つか襲岸プ 洋 れ、中部太平洋第一主 ンラ , 区・ア空北ッ ャ地・リ印アラ 義がとられた背景には、 丿領化 ジ湾一ラ蘭ニゲむ 太カ占カ ントトのギホ含 近い将来登場が予想さ ラルス四一 ( を 西一全無 ュ完ル 一ポい一始 = 進島 れた長距離爆撃機 南ニ部ウ ホン略 - オら開ニ西半 四 ) があった。米陸軍 四開 洋島ク 攻 区 ら空航空部隊総司令官ア 1 平諸む 略 地 か土 ク ナ本ノルド大将ら空軍関係 ッ ペ 部シ一イ ア本 ナ リ日者の意見を入れ、「総 中 マ略ク マの始 合計画」は、四四年の 了 日日日日日日日日日日日日日 日 日 、 1 一 0 -0 終 作戦としてマリアナ諸 月 月月月月月月月月月月月明節明 島 ( グアム、テニアン、 サイバン ) 、あるいは中 北部ビルマ , アラ カン地区 , 中国作 戦 ハンサ湾地区占領 カビエン攻略 マスス島攻略 ( ア ドミラルティ諸 中国基地から B29 の日本本土空襲開 始 グアムおよびマリ アナ攻略 東南アジア地区の 作戦強化