捜部は表向き、東京国税局や証券取引隠語で家宅捜索を意味する。容疑はま事実を初めて指摘したスクープだった。 等監視委員会が刑事告発した脱税などさに土地購人を巡る規正法違反だった。陸山会は登記手続きを行った〇五年に のこまごまとした事件の処理に終始しだが上層部はここでも「待った」をか合わせて記載したと説明し、小沢は会 ていた。激しい捜査批判を受けて意気けた。政権交代が実現した直後で、秋見で「売買と登記の時間がずれ込むこ 消沈しているかのように。だが事実はの臨時国会の日程も決まっていない段とはままある」とかわしたが、この報 全く違っていた。大久保の公判に向け階であり、民意に唾するかのごとき道を契機に市民団体が石川らを規正法 た補足捜査を装ってゼネコン関係者ら「」な打診だと受け止めたからだ。違反容疑で刑事告発したことから、検 から事情聴取を繰り返し、捜査は同八また検察は政局や国会審議に捜査が影察上層部に頭を押さえつけられていた 月の衆院選直前まで続けられていたの響を及ぼすことを嫌う傾向にもある。特捜部は捜査に「大義名分」を得たの だ。一方で「選挙前と知りながら狙いだが何よりも、取り調べの全面可視化だった。規正法違反の先に小沢の収賄 撃ちした」とする民主党の反発におの実現などを主張する民主党が政権与党や脱税の容疑を見据え、立件の可否を のいた検察上層部は、特捜部に「選挙として検察に対しどんなスタンスを取探っていた特捜部だったが、地検内部 に影響を与えるな」と「待った」や無るかがまだ見えない中、いきなりこちで同一一一月中旬、ある噂が流れた。 言の圧力をかけ続けていた。このためらから喧嘩を吹っ掛けるようなマネは「上が石川逮捕に反対したらしい」 " 上〃とは東京地検の上級庁に当たる全 特捜部は検察上層部の牽制をかわしなしたくなかったからだった。 東京高検の検事長大林宏のことを意味 がら、水面下で粛々と小沢包囲網を敷 脈 検察 2 が守る「総長の椅子」 いていったのである。 した。大林は法務省の官房審議官、保 読売新聞は〇九年一〇月一五日の朝護局長、宣房長、刑事局長、事務次官 「小沢の関連でガサを人れたい」 衆院選で民主党が歴史的大勝を収め刊で「小沢氏団体、〇四年報告書記載を歴任し、〇八年七月から検察 2 の て間もない九月の某日、特捜部の幹部に虚偽土地購人計上せず」とする見現職にある。検察内部では現場捜査派 は検察上層部にこう打診した。ガサと出しの記事を掲載した。陸山会が〇四と対峙する赤レンガ派の筆頭格で、自 は、テレビドラマでもお馴染みのよう年に購人した土地を、翌〇五年に購人民党政権が続いていれば、次期検事総 に警察や検察などの捜査当局者が使うしたように収支報告書に記載していた長は確実とされていたエリート検察官
いる「表の金」だった。特捜部が激しくて受けられないのに、碁を打っ時間こんな報告が特捜部の検事から上司に い批判にさらされた背景には、こうしはあるのかと。検察がなめられている上がったという。特捜部は年明けから た事情があったのだ。だからこそ特捜と」 胆沢ダムエ事を受注したゼネコン各社 部は不動産購人問題にこだわった。金特捜部は一月五日、弁護士を通じての担当者の一斉聴取を進めていた。一 額は一億円を遥かに超える四億円。そ小沢に事情聴取に応じるよう要請して斉聴取は〇九年の大久保逮捕後に続い して収支報告書には記載されていないた。だが小沢は当初「多忙ーを理由て二度目だったが、石川の「在宅起訴 い「裏の金」だった。刑事責任を問うにこれに応じなかった。そのくせ一月説」がマスコミで報じられていたこと には十分な条件が揃っていたからであ一〇日には、史上最年少の二〇歳で名から、ゼネコン側は検察上層部の及び る。 人位を獲得した囲碁の井山裕太と日本腰を見透かしたかのように「知らぬ」 棋院で対局していた。碁を打っ姿は新「存ぜぬ」で通して逃げ切りを図ろう 特捜部検察上層部 聞などで報じられたが、小沢はその後としていたのだ。こうした状況を打破 一一〇一〇年の年明け以降も検察上層も要請に応じる様子はみせず、特捜部するためにも強制捜査は不可欠となっ 部と捜査現場の意見対立は続いた。小だけでなく検察上層部でも次第に「こていった。検察上層部の大半も「強制 沢逮捕を最終目標としていた特捜部はのままではいけない」という空気が支捜査は不可避」との考えに大きく傾き、 石川について「強制捜査以外の選択肢配的になっていったのである。司法試大林も是認せざるを得なくなったので全 はない」と譲らなかったが、樋渡がレ験を突破したエリートである検事たちある。そして特捜部は一月一三日、石 脈 ームダック状態のため大林の顔色を窺はそもそもプライドが高い。法治国家川の自宅や東京・赤坂にある小沢の個 う検察幹部たちは大林を代弁して任意である日本の治安は、全ての刑事事件人事務所、鹿島本社などの一斉捜索に 捜査での在宅起訴を主張した。ではなで公判を担う検察組織が支えていると着手し、一五日夜から翌一六日朝にか ぜ石川は逮捕されたのか。検察関係者いう自負も強い。 けて、石川ら三人を逮捕したのである。 が打ち明ける。 「ゼネコンの担当者のロが固い。むし特捜部の捜査は一気に進んだ。石川 「囲碁に興じる姿が報じられて組織内ろ以前より固くなっています」 は故意の虚偽記載を認め、大久保と池 の雰囲気が変わった。事情聴取は忙し 小沢が聴取要請を公然と無視する中、田も容疑を認めた。池田は取り調べの
で遺族の被害者感情に後押しされた結う田中、金丸の金権政治思想を受け継いるのは、検察であるーと述べ、トッ 果の起訴だったと検察内部でもいわれぐ小沢は、特捜検察にとってどうしてプ自らが検察一丸となって捜査に臨む ているはずである。小沢立件に向けたも摘出すべき政界の " 病巣。のはずで強い意志を示した。そして東京高検検 証拠は一〇〇パーセント有罪のレベルある。問題の本質は、小沢にゼネコン事長神谷尚男が「もし、ここで検察が ではないとしても、起訴できないレベから実質的には賄賂といえる巨額の資立ち上がらなかったら、検察は今後一一 ルとはいえないものだった。大物政治金が流れ、その背後に公共工事を巡る〇年間国民から信頼されないだろう」 家は起訴のハードルが高いというのな利権があるという疑惑である。まさにと言葉を引き取ったとされる。現在と らば、検察はアンフェアであると言わ旧態依然とした政業の癒着疑惑なのだ。はあまりにも対照的である。 ざるを得ない。西日本の元社長が捜査現場に手枷足枷をはめた上で「証今回検察が一丸となることも、捜査 無罪となっても、遺族感情に応えるこ拠が十分ではない」と言い訳した検察が尽くされることもなかった。通常国 とが出来た検察には害が及ばないが、上層部は、ロッキード事件後、政界捜会開会の直前まで特捜部におあずけを 小沢に万が一界が出れば検察組織は査に長い空白ができた悪夢の再来を恐食わせ、石川の再逮捕には逮捕許諾請 返り血を浴びるという身勝手な発想がれ、剛腕との全面衝突を避けた。だが求が必要となることからわずか一一〇日 あるのは明らかである。特捜部長佐久小沢の反検察感情は今回さらに増幅さ間で決着をつけろというのは、もはや 間達哉は会見で小沢の不起訴についてれている。検察組織も「脱官僚」の潮宿題ではなく無理難題に過ぎなかった。 「小沢捜査」が最後の最後で急激に失 「有罪判決を得るだけの証拠が無かっ流に飲み込まれるのは確実である。 た」と述べたが、その言葉には「無実沢を土俵際まで追いつめながらも政界速したのはこうした事情があったので でもない」という思いが滲んでいるよから退場させなかった検察は、判断ミある。四億円もの大金を資産報告書に も収支報告書にも記載していなかった うだった。会見に出た司法記者の中にスの代償を払うことになるだろう。 小沢の裏金問題を看過し、巨悪を眠ら ロッキード事件の捜査着手にあたり、 は、「証拠が無かった」というフレー ズも自分の一一一口葉ではなく、言わされて検察首脳会議で検事総長布施健は「真せた検察上層部の責任は、重い。 ( 本文敬称略 ) いるようにさえ感じた者もいたという。相が解明されなければ、国民は絶対に ( おかもとじゅんいち ) 「政治は数」「数はカー「カは金」とい納得しないであろう。国民が期待して
件やリクルート事件ではこの方式がとていない検察官僚によって引導を渡さらボタンの掛け違いがあったのである。 られた。だから検察上層部は否認のまれることへの強い反発心が窺える。こ特捜部の捜査は、その後も検察上層部 ま小沢を在宅起訴する可能性には理解の考え方が、民主党の「脱官僚」にもから「選挙前はだめー「新政権が発足 を示した。ただし、「了承ではだめだ」大きな影響を与えているのである。金したばかりだから」「国会会期中はだ として「指示を受けた」という小沢の丸が東京佐川急便から五億円の闇献金め」と繰り返しストップがかかった。 積極的関与についての供述を宿題にしを受け取った規正法違反事件で九一一年、検察関係者は「捜査能力の低下と最近 たのだ。そして、そうした供述はわず金丸本人の事情聴取を見送り上申書のよく言われるが、捜索すべきところを か二〇日間の取り調べでは得ることが提出だけで略式起訴とすることをしないで証拠が集まるわけもなく、事 出来なかったのである。 「了」とした検察の判断に「大物政治件ができるわけがない」と嘆く。ある 家に腰が引けた」と国民の批判が沸き検察幹部が小沢を起訴した場合の裁判 政界のク病巣 起こった。このため咼検、東京高検、官について「一〇人中九人は有罪を出 捜査は小沢には届かないまま収束が東京地検などが人る東京・霞が関の中すかもしれない。しかし、一〇年後、 図られた。その原因は検察上層部によ央合同庁舎前の「検察庁」と書かれた裁判で万が一無罪が出た時に取り返し る政治的配慮だった。小沢の反検察感プレートに、ペンキ人りの瓶が投げつがっかない」と発言したとされるが、 情はもちろん、師事した田中と金丸がけられたのはあまりにも有名である。 これは詭弁である。一〇〇。ハーセント全 検察に政治生命を絶たれた体験による検察上層部が常に政界との距離に神経有罪が得られなければ起訴しないなど 脈 ものだ。特捜部は七六年、田中をロツを尖らせ、時に政治的配慮を行ってきということはあり得ないからである。 キード事件で逮捕し、九三年には金丸た事実がある。 宝塚 ( 福知山 ) 線脱線事故では を巨額脱税事件で逮捕した。小沢は金西松事件の際、小沢の資金管理団体西日本の元社長が在宅起訴された 丸逮捕について「検察の裁量権の拡大を巡る事件にもかかわらず、小沢の自が、法律家の間でも「強引な起訴」と察 であり、非常に良くない」とその後繰宅はおろか事務所の捜索も行わず、参の意見が多く「一〇〇。 ( ーセント有 り返し憤りを述べている。国民から直考人聴取さえも見送った。これも政治罪」などと口にする検察関係者はほぼ四 接負託を受けた政治家が、負託を受け的配慮だった。小沢捜査はスタートかいない。近年の被害者救済の流れの中
僚である。だが「脱官僚」を掲げる民部が石川について在宅のまま刑事処分小沢本人には絶対に手が届かないと考 主党の政権奪取によって、確約されてを出す方向で検討しているというもの。えたからだ。〇九年の大久保逮捕では、 いたはずの総長ポスト ( の道程は、僅逮捕はなく、在宅起訴か起訴猶予にな一二〇〇万円の虚偽記載という規正法 るという方向性を示唆したものだ。刑違反の容疑について「金額が低すぎ衂 かながら雲行きが怪しくなっている。 一一〇一〇年八月が定年の現総長樋渡利事訴追されない可能性にまで踏み込んる」「立件の基準額を勝手に下げた」 秋の後任に、民主党が民間人の起用をだ記事が出たことについて、逮捕を主と批判を浴びた。〇三年三月、特捜部 ちらっかせ、検事総長を国会同意人事張する特捜部を牽制するため、東京高に逮捕された衆議院議員 ( 当時 ) 坂井 にする可能性を示唆しているからだ。検側がリ 1 クしたとの憶測も検察内部隆憲は、自身の資金管理団体が収支報 地検内部での噂は、大林が民主党のごでは流れた。追い打ちをかけるように、告書に約一億六八〇〇万円を記載して 機嫌を損ねて総長の椅子をフィにした朝日新聞は翌三〇日の朝刊一面で「石いなかったとして罪に問われた。元参 くないための実話であると、多くの検川議員、在宅起訴へ」と報じた。実は議院議長で当時埼玉県知事だった土屋 察関係者には理解された。現実には民石川は聴取の翌日も特捜部から聴取要義彦の資金管理団体が同年七月に摘発 間人起用はないとしても、民主党を敵請を受けていたが、これを拒否していされた容疑は約一億一六〇〇万円の不 に回せば同期や後輩に出し抜かれる可た。特捜部がまだ十分に石川から話を記載である。また〇四年の日歯連事件 能性はある。だから噂には尾鰭がっき、聴けていないと考えていたにもかかわで元官房長官村岡兼造が在宅起訴され 大林が「石川は在宅起訴で十分。小沢らず、マスコミ内部でも「検察に強た自民党の「平成研究会」による不記 の逮捕なんてもってのほかだ」と周囲い」といわれる朝日新聞が早々と「在載額は一億円だった。だから虚偽記載 に語ったともいわれた。 宅起訴へ」と書いた背景には、「逮捕の立件基準は一億円が一つの目安だと 一二月二七日、特捜部は石川の聴取は許さない」という検察上層部の強い考えられてきたのである。またそれま に踏み切ったが、聴取からわずか二日亠心が感じられた。 での虚偽記載は故意に記載しない不記 後の同一一九日、日本経済新聞は朝刊一 だが特捜部は石川の逮捕にこだわっ載であり、「裏の金」だった。だが西 面で「石川議員在宅処分へーとする見た。それは石川と大久保という小沢の松事件は寄付者を偽った虚偽記載で、 出しの記事を掲載した。内容は、特捜「秘書軍団ーを完全攻略しなければ、金額そのものは収支報告書に記されて
。特捜検察が迫った を、示沢金脈」の全貌 闇の金脈のとば口に立ちながら、一敗地に塗れた特捜部 「小沢捜査ーとは一体何だったのか 岡本純一 二〇〇九年三月、準大手ゼネコン 小沢の「政治と金」を巡る今回の事 「日本最強捜査機関」の敗北 「西松建設」からの違法献金事件で、件の全体像を振り返る。登場する小沢 「検察の捜査に勝るものはない。捜査公設第一秘書で陸山会の元会計責任者関連の政治団体は、現職の国会議員の で全て調べて頂いて、不正をしていな大久保隆規が逮捕されて以降、検察の資金管理団体としては唯一、土地を購 いことが明らかになった」 捜査を「不公正な権力行使」と繰り返人している陸山会のほか、「小沢一郎 小沢一郎は一一月一四日、記者団にこし批判してきた小沢がいけしゃあしや政経研究会」「小沢一郎東京後援会」 う述べて胸を張った。小沢の資金管理あと言い放ったこの言葉に、特捜部の「誠山会」、旧自由党や民主党の「岩手 団体「陸山会」の土地購人を巡る政治検事たちは地団駄を踏んだという。石県第四区総支部」の計五団体である。西 資金規正法違反事件で、東京地検特捜川は現職代議士であるとはいえ、問わ松事件では、陸山会と共に四区支部が、 部がその一〇日前の一一月四日、衆議院れた罪は陸山会の会計事務担当者といダミーの一一つの政治団体「新政治問題 議員石川知裕ら小沢の現・元秘書三人う末席だった時代の罪だ。まさにトカ研究会」「未来産業研究会」からの違法 を起訴する一方、小沢本人についてはゲの尻尾切りである。特捜部は小沢に献金の受け皿だったと認定されている。 不起訴処分としたことを受けての発一一一口敗北し、「最強の捜査機関ーの看板を特捜部が最も重要視した問題は、陸 である。 下ろさざるを得なくなったのである。山会が〇四年一〇月に購人した東京都 ジャーナリスト 「小沢一郎」研究 190
である。もとよりこんなものは理念な党の求心力が憎悪や欲望といった情念通し、闘っていく決意だ」だのと叫ん どとは到底いえるものではない。 でしかないのだとすると、その情念をでいた同一人物が、今度はシレッとし 掻き立て続けることが、政党を存続さて「検察の捜査に勝るものはない」 全体主義国家・組織 せる唯一の要因ということになる。と「このことをもって国民は理解してく 昭和十五年、ヒットラーの『我が闘ころが、「反自民」なる情念は、自民れると思う」と、検察のご威光を楯に 争』を一読した小林秀雄は、「僕には党の自滅によって有効性を失ってしま政治倫理審査会出席を拒む姿は、滑稽 ナチズムといふものが、はっきり解っつた。そこで、小沢氏及び民主党は次であり醜悪である。そして「お前たち た気がした。それは組織とか制度とかなる求心軸を設定する必要に迫られた。が悪口を書くから支持率が下がるん むし いふ様なものではないのだ。寧ろ燃え一つは引き続き官僚を叩いて「脱官だ」と、今度はメディア批判である。 上る欲望なのである」「ナチズムの中僚」を訴えることだったが、「政治主常に外部に敵を設定しなければ、紐帯 核は、ヒットラアといふ人物の憎悪の導」が実は「素人主導」にすぎず、官を保てないというのは全体主義国家・ うちにあるのだ」「ヒットラアといふ僚の手助けがなければ何もできないこ組織の特徴の一つである。 男の方法は、他人の模倣なぞ全く許さとがバレると、折しも小沢・鳩山両氏 小沢一郎幹事長及び民主党は、理念 ない」と喝破した ( 「ヒットラアのの政治資金疑惑が明るみに出たことも的正統性とは無縁の指導者であり組織 『我が闘争』」 ) 。つまりナチズムの本質あって、今度は的を「反検察」に絞るである。そこで何かというと外部に敵 がヒットラーという人間の憎悪や欲望、ことにした。 を見出して組織を結束させようとして すなわち情念にあることを、その出現しかし検察官僚との暗黙の取引が成きたわけだが、これにもおのずと限界 と同時に小林は見抜いたのである。 立するや、「不起訴」という決定は両があるから、もう一つ、小沢氏の最も 沢氏及び民主党の「反自民」や「政権交氏にとって護符となり、ここで検察批得意な手段に訴えることとなる。資在 代ーも、政権獲得という「燃え上る欲判はピタリと止まった。少し前まで声金・ポストの配分によって恭順者を固 沢 望」ないし自民党に対する「憎悪」であ高に検察批判を繰り広げ、「日本の民め、反対者を弾圧するという内部統制 って、理念的要請によるものではない。主主義は暗澹たるものになってしまである。これを今までも、そして現在 理念を持たぬ指導者に率いられる政うーだの「毅然として、自らの信念をも、小沢氏は必死で行っている。
で、秘書や元秘書の議員ら 3 人が逮捕抹消するまで捺印はしなかった。私が「日本を変えたと思う歴代総理大臣ラ された。石川とか大久保とか、私は会検事にしゃべって田中に迷惑をかけたンキング」でも、 1 位は田中角栄。 ったことも見たこともないけれど、秘ことは何ひとつない。政治家に迷惑を「現代の日本を立て直して欲しい昔の研 書というのはずいぶん変わったなと思かけないこと、それが秘書の当然の職偉人」では、 1 位が坂本龍馬、 2 位が 責と思うのだが、イツちゃんの秘書た織田信長、 3 位が聖徳太子で、 4 位に ロッキード事件の時、東京地検の事ちを見ていると、そうではないように田中角栄。昭和以降の政治家で川位以 情聴取を受けたことがある。港区にあ思えてくる。 内に人っているのは田中だけ。 る検察の寮で、検事は越山会の台帳を今の秘書さんたちは、何だかみんなたしかにリーマン・ショック以降、 いきなり。ハッと開いて聞いてくる。 偉くなっている。政治家になりたい秘働きたくても働く場所さえない。田中 「この 3000 万円は何のお金でしょ書が多くなったせいか、第一秘書がが総理の時にオイルショックが起こり、 うか。貯金通帳に人っていますが、台「先生」と呼ばれたり、秘書の分際でインフレ退治で福田赳夫蔵相が総需要 帳には載っていませんね」 やたら威張っていたり。そういえば、抑制の強化を打ち出した。その頃、田 田中の政治団体はあり、それぞれ田中もよく言っていた。 中は何度もこう言っていた。 に金銭出納帳、仕訳帳、収支報告書、「実印を任せられる秘書は要るけれど、「おまえインフレ、インフレって言う 銀行通帳などがある。それが検事の前政治家になりたい秘書は要らないよ」けれど、彼らは東大だとか恵まれたと に、ダーツと積み上げられていた。私 ころで勉強してきた人たちだよ。昭和 「田中角栄以上の政治家に」 は質問に答え、 初期の恐慌の、あのひどさを知らない 「これは、すべて私の筆跡です。全部今、世の中がとんでもない不景気にから、そんなことが言えるんだ。大学 私がお答えしますから、ほかの者を呼なって、また田中待望論が高まっていを出ても就職口がなかった昭和初期の るそうだ。 んだって無駄ですよ」 恐慌と、今の経済状態を一緒にできる と言い、田中のたの字も口にしなか昨年行われた「戦後歴代人気首相一フものか。当時は食うに食えなかったん ったし、検事の誘導尋問に対しても、 ンキング」では、 1 位が田中角栄、 2 だよ」 私が納得するまで文言訂正を求めて、位が吉田茂、 3 位が小泉純一郎。 今はその昭和恐慌の再来とも言われ
中で「小沢先生に五つの政治団体の収題となった〇七年一一月、会見で購人費の物証とみていたのだ。そして石川が 支表を見せていた」とも明かした。五の原資を「献金してくれた皆さまのお重大な供述を行った。 つの団体とは既に述べた小沢関連の五金」と説明した。だが〇九年一〇月に「小沢先生の了承を得て虚偽を記載し 団体を指し、池田は団体ごとに総収人読売新聞のスクープが出ると、「銀行た」 小沢の関与を示唆する石川の供述に、尺 と総支出、翌年への繰越額を記した表融資だった」と変更。さらに石川逮捕 を作成し小沢に見せていたという。〇の翌日、小沢の弁護士は「相続遺産」特捜部は色めき立った。小沢は虚偽記 七年分の陸山会の収支報告書の支出総と述べ、小沢本人の聴取後の会見では載への関与について一回目の任音取 額は約一億一五〇〇万円だけで、前述「事務所に保管していた四億数千万円。に「秘書が勝手にやった」と全面否認 のように小沢に対する四億円の支出は自宅を売却した金や家族名義の口座かしており、「否認である以上逮捕だ」 記載されていない。小沢が陸山会の収ら以前下ろした金」と再び変わったのと特捜部は主張した。だが小沢が所属 支表を見たのであれば、四億円もの大だ。また四億円もの不必要な融資を受する衆議院で過半数を優に超える議席 金を受け取っていた以上、支出総額がけた際、小沢は融資の関連書類に自らを持っ民主党を相手に逮捕許諾請求が 全く足りない事実に当然気付いたはず署名していたが、弁明会見では「秘書議決される見通しは立たないことから、 だと特捜部は考えたのである。また特に頼まれた」と述べるにとどめた。特検察上層部はまず逮捕に「ノー」を突 捜部は石川の事務所の家宅捜索で水谷捜部は、水谷建設が提供したとされるきつけた。検察はロッキード事件後、 建設一兀社長の名刺を押収し、山崎建設五〇〇〇万円が土地購人費の一部に充元首相田中角栄が牛耳っていた政界へ てられたと睨み、銀行融資や記載のズの配慮から一〇年間も政治家を摘発で と宮本組にも捜索に人った。 レはそれを隠蔽するための工作だったきなかった。このため検察が政界との まさに外濠を埋められた形だった小 沢は、特捜部から一回目の事情聴取をと考えた。土地購人のために四億円を摩擦を減らす苦肉の策として編み出し 受けた一月二三日の夜、会見を開いて自ら提供したにもかかわらず、別に四たのが、政治家については否認でも逮 弁明した。だがその説明は国民が十分億円もの融資を受ける手続きにかかわ捕を避け、在宅起訴するという方式だ に納得できるものではなかった。小沢った小沢が「何も知らないーでは済まった。逮捕されなければ国民には罪が は陸山会による不動産取得が最初に問ず、特捜部は融資関連書類を小沢関与軽い印象を与えるからだ。撚糸工連事
。小沢さん、あなたはそれで よいのですか 渡辺喜美 囲小沢郎・政界 4 年「我が闘争」の軌跡岩見隆謇 , 。 , 上 〔ノンフィクション作家〕 保阪正康 天皇 屋山太郎〔政治評論家〕 みつワ 田中角栄 月読 3 一 阿比留瑠比〔産経新聞記者〕 キ 親中反米 特捜検察が迫った示沢金脈」の全貌岡本純一 0 与謝野馨元官房長官、依田九段が解析 ! 石井妙子〔囲碁観戦記者〕 「囲碁」で分かる戦略家の力量 巻頭言 編集長 対談 櫻井よしこ 〔ジャーナリスト〕