居所を探しあてる 段落 1 縁日 段落 2 痛み 段落 3 夜明け 段落 4 夜ごとのら ) 段落 5 いて生徒たちは、なぜそれらの語にマルをつけたかを説明するように命じられた。一般的な解答 は次のようなものだった。「よくイメージがわく」「想像力に富む , 「内容をよく示している , 「適切 だー「思い出すのによい , 「記慮を呼び起こす」など。 五〇人のうちたった一人が、指導者がこれらの語を選んだ理由を理解していた。不適切な語だから 虫屋 恋に誘う 意味 丘陵 愛と死 死 学校での練習では、指導者はそれぞれの段落から一語すつを選んでマルをつけた。 正 木の戸 同し重さの金 とりついている しみわたる 恋 言田
興のスピーチ、とっさの質間など、さまざまな場合に大きな力が発揮できる。 二分間たったら、ただちに次の段階に移らなければならない。 問題提起と目標の設定 学習の課題についての自分の知識の状態をはっきりさせたら、次に、何を知りたいのかを決めるこ とが大切だ。読んでいる間に、解答を見つけるべき間題を明らかにしておくのだ。問題は学習目標に 沿ったものでなければならす、知っていることのノート作りのときと同じく、キーワードと頭脳地図 の形式で行わねばならない。数種類のカラーベンを使うとわかりやすい。また、改めて地図を作るの ではなく、すでに作った現在の知識についての地図に間題を書き足すとよい この作業も、知っていることのノート作りのときと同しように、適切な心がまえを作るためのもの だ。これも最初の五分間を超えてはならない。本を読み進むうちに、問題を直したりつけ加えたりし ていナまよ、。 この方法が有効かどうかを確かめるために、年齢、教育程度、能力がほば同じ人々を二つのグルー プに分けて実験をやってみる。ます、二つのグループに同じテキストを与える。テキストをすべて読 み終えるために十分な時間もケえられる。 < グループには、テキストに書いてあるあらゆることについてもれなくテストをするから、そのつ もりで勉強しなさいと言っておく。 157 9 頭脳地図による有機的学習法
選はれたのだ。 なぜだろうか。この小説を読んでから数年後に、内容を思い出すためにノートを見たとしよう。と ころが、友だちが書名のカードをぬきとってしまって、残りのカードから書名と著者名を思い出すよ うにと迫ったとする。どの小説についてのカードかはわからない状態で、カードだけを頼りに正確な 記慮を呼び起こさなければならないのだ。 ページに示したキーワードは、次のように結びつけられることになるだろう。「木の戸」は特に 変哲のないことばだが、「居所を探しあてる」を読むと、なんとなくあやしげな雰囲気を持ちはしめ る。続く二つのキーワード、 「同し重さの金」「縁日」は、この雰囲気を固定してしまい さらに犯罪 を思わせるような陰謀のにおいもつけ加える。次の三つのキーワード、「とりついている」「痛み」 「しみわたる」から、登場人物の一人、たぶん主人公が窮地に陥っていると思いこむかもしれない 「夜明け、は物語の緊迫感をさらに盛りあげる。明らかに、物語のなかでもサスペンスに満ちた重要 な瞬間が近づいているのだ。最後の二つのキーワード、 「恋」と「夜ごとの語ら いは、この事件に ロマンチックで色つほい雰囲気をつけ加える。かくして、よりいっそうの冒険とクライマックスを求 めて、大急ぎで残るカードをめくることになるわけだ。これではおもしろい物語を創作することには 図 地 なろうが、本来の物語はちっとも思い出せない。 頭 一見とても適切なことばのように思えても、さまざまな理由から、記慮を呼び起こすには不適切な 6 ことがわかるだろう。どうしてこのようなことが起こるのだろうか。この疑問に答えるためには、記
慮のためのキーワードと創作のためのキーワードの相違について、さらにこの二つが時間がたっとと もにどのように相互作用するかについて説明する必要がある。記應のためのキーワードとしては、次 の語が適切だった。 正 カゴ 段落 1 コオロギ 草ひはり 段落 2 キュウリのかけら 寝ている 段落 3 楽の音 恋に誘う歌の意味 段落 4 種族の記憶 段落 5 どうしてこれらの単語のはうが適切なのだろう。人間の脳がどのように情報を処理するのか、私た ちの認識について考えてみよう。 キーワードーー記憶と創作 言憶のためのキーワードには、特定のイメージがつめこまれている。そして、キーワードからその イメージを取り出すことができる。記慮のためのキーワードは印象の強い名詞ないし動詞のことが多 副
が大切だ。また、最後になってみないとノートのできあがりがどのような形になるかわからないこと も忘れてはならない。したがって、できたノートは最終的なノートではなく、完成の一歩手前だと考 えるべきだろう。講義の最初に書かれたことばは、全体のテーマがはっきりしないうちは脈絡がはっ きりしないかもしれない。 いわゆる「きたない ノートは、「きれいな」ノートよりも価値があるこ とをはっきり理解しておく必要がある。なぐり書きで矢印だらけの非直線的なノートができつつある のを目の前にすると、不安を感じる人が多いからだ。順序よく直線的な形に整えられたノートを、普 通の「きれいな」ノートと呼ぶ。「乱雑ーで「ページ一面に書かれている」のを、「きたない」ノート つ。ただし、この「きたない」ということははノートの「外見」について使われているもので、 その「内容」を示すものではない ( 前章の図芻参照 ) 。 ノートをとる際に重要なのは、内容であって外見ではない。 「きれい」にみえるノートは、情報と いう観点からみれは「きたない」のだ。鵬、ページで説明したように、カギとなる情報はつながり を切られ、不必要なことはのなかのあちこちに隠されてしまっている。外見上「きたない , は、清報という観点からははるかに「きれい」だ。重要な概念とそのつながりがたちどころにわかる のだ。ときには、線を引いて消したあと、欠点などもよくわかる。 頭 ~ 凶地図によるノートの完成品は、ほとんどどんな場合でもきれいだ。 一時間分のノートを新しい 紙にまとめあげるのに一〇分以上かかることは少ない。 学習時間が適切なら、最終版の頭脳地図を作 ることは一回目の復習に相当する有益な作業になるのだ ( 間ーページ参照 ) 。
3 内統合 基本的な理解。読みとった情報すべてを相互に適切に結びつけること。 4 外統合 分析、批判、鑑賞、情報の選択および棄却を含む。読む前の知識すべてを、読みとった新しい知識 と適切に結びつける過程。 5 記憶の保持 情報を蓄えること。これ自体が間題となりうる。試験会場に入って試験を受けている二時間だけ知 識を蓄えておくことは、だれでも経験していることだろう。情報を蓄えるだけでは十分でなく、この 情報を思い出すことが必要だ。 6 想起 情報の蓄えから必要な情報を、できることならば必要なときに引き出す能力。 7 コミュニケーション 情報を即座に、ないしはあとになってから、この目的のために使用する。思考という重要な下部構 39 4 もっと速く能率よく読む方法
適切な復習の技術が必要だ。 記憶力ーー復習の技術と理論 系統だった復習を適切に行えば、 図のグラフを改善して、学習直後 の高い記慮水準を維持することがで きる。そのためには復習をうまくプ ログラムして、記應力が落ちはじめ る直前に復習をするようにしなけれ はならない。たとえは一時間学習し たあとで、一回目の復習は一〇分後 に一〇分間行う。これによってほほ 一日は記慮力が高く保たれる。そし て一日後に二回目の復習を行う。こ れは二分から四分間でよし ) 。記應カ % はその後一週間ほどにわたって維持 される。ここでまた二分間の復習を 75 % 記憶された量 50 % 25 % △ △ △ 2 日後 1 週間後 1 カ明後 4 か月後 図 23 グラフから , 人間の記憶力は学習が終わったあとしばらくすると上 昇し , それから急速に下降することがわかる ( 24 時間以内に 80 % を忘 れてしまう )
おかげで記慮力がいっそう上昇しているわけだ。 この効果をさらに高めるために、学習時間のはしめと終わりに、今まで読んだことを簡単に復習 し、これから読むところにもさっと目を通して要点をつかんでおくとよい 勉強する時間と量を決めることの必要性を説明するのにすいぶん多くのページを費やしてきたが、 覚えておいてはしいのは、時間と量を決めるのはごく簡単だということだ。ひろい読みが終わるころ には自動的にできるようになるはすなのだ。これを決定したら、続いて次の段階に移る。 主題について知っていることの頭脳地図の作成 学習する量を決めたら、次に、学習しようとする課題についてすでに知っていることを、できるだ けたくさん、できるだけ速く書きとめる。これに二分以上を費やしてはならない。ノートは、キーワ 法 習 ードを用いた頭脳地図の形式をとらなけれはならない。 学 これは、集中力を高め、迷いをなくし、「適切な心がまえ」を作るためのものだ。適切な心がまえ機 る とは、頭脳を不必要な知識ではなく必要な知識で満たす用意をすることだ。この二分間に記慮のなか から課題に関連した知識を選び出せは、テキストにすっとうまく同調することになる。学習を終えた邯 ら食べようと考えているイチゴやアイスクリームについて考えることは少なくなる。 この作業に二分間の時間制限があることからも明らかなように、頭脳地図を作るのに、持っている 知識がすべて必要なわけではない。 二分間の作業は、純粋に記憶力の働きを作動させて頭脳を正しい
ことばは多元的だ。つまり , たくさんの「カギ」をもっているの ことばの意味が少し変わる。た だ。カギが他のことばとくつつくと , とえば , 「なめる」ということばが文脈によってどのように変化する 図 28 かを考えてみよう 多い。創作のためのことばは特にそうだ ことばは多元的なので , 脳は間違った結合をたどってしまうことが 適切な記憶のためのキーワードを使えば , 脳は正しい結合をする 101 6 頭脳地図ーー序論
を受け入れるか、勉強しないで別の結果を招くかのどちらかだ。勉強してもその結果がよくないと、 「バカだ , 「のろまだ」など、その時々にあてはまる否定的な評 自分は「能力がない」「知性がない , 価を自覚する。もちろんこれは正しくない。制度のはうが生徒を適切にテストできないのであって、 生徒が学習に向いていないために「失敗」しているのではないのだ。 勉強しない場合には状況はまったく異なる。テストに失敗するとすぐに、「勉強しなかったのだか ら失敗したのは当たり前だ。いすれにせよ、こういった勉強にはまったく興味がなかった , などと言 うものだ。 このように、生徒はさまざまな方法を用いて間題に直面しないようにつとめる。 1 テストのための勉強をさばり、勉強した結果自尊心が傷ついてしまうのを避けようとする。 失敗したときのために完璧な言い訳を用意する。 3 生徒たち全員をおびやかしている制度に大胆にも挑戦したということで、ほかの生徒の信頼を得 ーダーとなる。 る。このよ、つな生徒がよくリ 勉強しようと決心した生徒にも、勉強を放棄した生徒と同じような傾向が部分的にせよみられる。 八〇点から九〇点をとる生徒も、百点をとれなかったことについて、勉強しない生徒の言い訳と同し ような理屈を持ち出すのだ。 144