グループには、テキストを貫く主要なテーマのいくつかについてテストをするから、そのつもり で勉強しなさいと言っておく。 実は、どちらのグループでもテストの間題はテキスト全体から出題される。だから、主要テーマに 関してだけテストすると言われたグループは不利なように思える。 またこのような状況では、グループは与えられたテーマについての間題では優れており、 <t グル ープはそのほかの問題では優れていて、結局は同じような点をとるとも考えられる。 ところが驚くべきことに、グループは与えられたテーマに関するものだけでなく、その他の間題 にも高い得点を上げたため、総合点でもグループを上回ったのだ。 このような結果は、主要なテーマが引っかけかぎのように作用して、あらゆる知識を結びつけてい るために生じる。言い換えれば、主要なテーマに関する疑問と目標が、概念を連想し結びつけるため の中心として働くため、これにほかの知識が容易に結びついていくのだ。 あらゆる事柄についてテストすると言われたグループでは、新しい知識を結びつける中心がなかっ たため、知識をひっかけるための基礎がない状態だったのだ。これは、たくさんの選択肢を与えられ たため結局決心がっかないという状況によく似ている。何でもかんでも得ようとすれは何も得られな いという逆説なのだ。 背後に隠れている理論を理解していくにつれ、間題を提起し目標を立てることの重要性がますます はっきりすることだろう。これは、準備の段階全体についても同様だ。正確に間題を提起し目標を立 158
興のスピーチ、とっさの質間など、さまざまな場合に大きな力が発揮できる。 二分間たったら、ただちに次の段階に移らなければならない。 問題提起と目標の設定 学習の課題についての自分の知識の状態をはっきりさせたら、次に、何を知りたいのかを決めるこ とが大切だ。読んでいる間に、解答を見つけるべき間題を明らかにしておくのだ。問題は学習目標に 沿ったものでなければならす、知っていることのノート作りのときと同じく、キーワードと頭脳地図 の形式で行わねばならない。数種類のカラーベンを使うとわかりやすい。また、改めて地図を作るの ではなく、すでに作った現在の知識についての地図に間題を書き足すとよい この作業も、知っていることのノート作りのときと同しように、適切な心がまえを作るためのもの だ。これも最初の五分間を超えてはならない。本を読み進むうちに、問題を直したりつけ加えたりし ていナまよ、。 この方法が有効かどうかを確かめるために、年齢、教育程度、能力がほば同じ人々を二つのグルー プに分けて実験をやってみる。ます、二つのグループに同じテキストを与える。テキストをすべて読 み終えるために十分な時間もケえられる。 < グループには、テキストに書いてあるあらゆることについてもれなくテストをするから、そのつ もりで勉強しなさいと言っておく。 157 9 頭脳地図による有機的学習法
100 % 75 % 50 % 25 % 記憶された量 △ △ △ 4 か月後 1 週間後 1 日後 学習を終えた時間 B この人は , しばらくの間は記憶は一定しているが , その後急速に 落ち込むと考えている 100 % 1 カ明後 75 % 記憶された量 50 % 25 % △ △ 4 か月後 1 日後 1 週間後 学習を終えた時間 この人は , しばらくの間は記憶は一定で , その後ゆっくりと下降 C し , あるところまて落ちるとふたたび一定になると考えている 61 5 記憶
造を含む。 この定義には、ページのリストにあげた間題の大部分が考慮されている。除外されているのは、 環境に対する私たちの反応の影響、時間帯、エネルギーのレベル、関心の有無、動機づけ、年齢や健 康状態などの、いわは読む過程に直接かかわらない問題だけだ。 どうして問題か生じるのか なぜ、これほど多くの人がこうした間題にぶつかるのか。当然このような疑問が生しることだろう。 私たちが脳についての知識を欠いていたということに加えて、そもそもどのようにして読み方を教 わったかを探っていけば、この疑間の答えが得られるはすだ。イギリスでは二五歳以上の人のほとん どは、おそらく「音声法」あるいは「アルファベット法」と呼ばれる方法で教わってきただろう。そ れ以外の人たちのなかには、「視覚・発音法」で教えられた人もいるはすだ。 もっとも単純な「音声法」では、子どもにますアルファベットを教えこむ。次に、各文字のさまざ まな音を教え、さらに音を組み合わせて音節を作ることを教え、最後に音節を組み合わせて単語を構 成することを教える。ここからは、普通は一から一〇までの段階のシリ ーズになった本がケえられ る。これらの本は徐々に難しくなっており、子どもが自分なりの速度で進んでいけるようにできてい る。この過程で「黙読」ができるようになる。
直面した問題点 話すこと、書くことの直線的な性質 過去数百年の間、人間の頭脳は直線的、つまり項目のリストのような働き方をするものと広く考え られてきた。話すこと、書くことによるコミュニケーションに人間がますます依存するようになって きたことか、このような考え方を支えてきた。 ) っときに一つのことはしか話した 話すとき、私たちは時間的にも空間的にも制約を受けている。 り聞いたりすることができないのだ。こうして話すことは直線的、または線のような過程であると考 えられてきた ( 図間参照 ) 。 書くことはさらに直線的だ。書かれたものは一行ごとに順序よく並んでおり、この順序どおりに読 108
1 記慮とは関係ないことばを書くことで時間をむだにしている ( 約九〇パーセントのむだ ) 。 2 不必要なことばを読み直すことで時間をむだにしている ( 約九〇パーセントのむだ ) 。 3 キーワードをノートのなかから探すのに時間をむだにしている。キーワードに特に印をつけてい るわけではないため、記慮とは関係ないことばに埋もれてしまっている。 4 キーワードの間にほかのことはが入りこんで、つながりをわかりにくくしている。私たちはこと はのつながりによって記憶するのだが、記慮と関係ないことはが間に入ることで、このつながりか 弱くなってしま、つ。 5 キーワードは、間にはさまったことばによって時間的にも隔てられている。一個のキーワードを 読んだあと、次のキーワードを読むまでに少なくても数秒かかってしまう。時間がかかるはど、適 切なつながりを見つけることが難しくなる。 6 キーワードとキーワードがページの上でも離れている。時間的に離れている場合と同しように、 ことばとことはの間隔が離れているほど、適切なつながりを見つけることが難しくなる。 これまでに学習中に作ったノートを見直して、キーワードを選んでみるとよい この章を、キーワ ードによるノート法でまとめてみるのも役立つだろう。 さらに、記應のためのキーワードと創作のためのキーワードを、記憶の章、特に記憶術を扱った章 に照らして見直してみよう。同しように、記應の章もこの章に照らして見直してみるとよい。やは 田 4
しかし、驚くべきことに、実際は休憩をとるのがもっともよい。記慮の章を参照すれはその理由は 理解する力は高い水準を保つ 明らかだろう。学習時間中の記應力の変化について思い出してはしい。 ていても、記慮される量は休憩をとらないとだんだん少なくなってくるのだ。図のグラフは、この ことをはっきりと示している。学習時間はどんな場合でも二〇分から五〇分間の時間に分けて、間に こく普通の学生がテストに備えて五時間も休みなしに頑 短い休憩をとることが重要だ ( 図幻参照 ) 。。 このようにしてテストに失敗する生 張るなどということは、もう過去のことにしなければならない 徒があまりにも多いことから明らかなように、理解することは記億とは別のことなのだ。 休憩をとるということはそれ自体、多くの理由からも大切なことだ。 1 体を休養させ、緊張をときはぐす。たまった緊張を解放するのは学習にも効果的だ。 2 休憩をとることで、理解力と記慮力がよく調和して働くようになる。 3 短い休憩時間の間に、今学んだ知識を相互に結びつけてまとめることができる。内統合を行うの だ ( 図参照 ) 。 最後の点は、記慮に関する章と時間の経過にともなう記慮力の低下のグラフにも関係している。休 憩の間に、今学んだ部分からすぐに思い出せる知識の量が上昇し、ふたたび学習にとりかかるころに 最高点に達する。学習時間が最適であったためよく記慮されていることに加えて、休憩時間をとった 154
視覚的な補助を用いる方法 子どもが読み方を習っていると き、よく指で読んでいる語句をな ぞることがある。私たちは長い間 これ阜」間ったことだと田心い み、子どもたちに指をベージから 離すように教えてきた。今では、 間違っていたのは子どもたちでは なく私たちのほうであることがは つきりしている。指を離しなさい と命するかわりに、その指をもっ と速く動かしてごらんと言うべき なのだ。手のせいで目の動きが鈍 ることなどまったくない。それど ころか、手で補助することによっ てすらすらとリズミカルに読む習 慣が身につくのだから、その付加 図 1 4 視覚の補助なしに円周を描こうと目を動かしたときの目の動きのパ 図 1 5 視覚を補助しつつ円を描いたときの目の動きのパターン 49 4 もっと速く能率よく読む方法
このよ、つに頁 ~ 凶也図は、鴨、 ページに概説した標準的なノート法の欠点をすべて解消していると 考えられる。 この頭脳地図の法則を使って、Ⅲページの空欄に、図芻を見本にして「わたし」に関する講演のた めのノートを作りなさい さあ、練習を始めよう。 はじめての地図作りは ) しくらか難しかったかもしれない。 しかし、最初の練習のときとはまったく 違った印象も受けたことだろう。そして直面した問題点もまた、まったく異なったものだったはす 最初の練習では、次のような間題がしばしば生じる。 順序 組織化 論理的なつながり 時間の配分 はし亠まり 概念の強調 終わり 心理的な障害 これらの間題は、見出しゃ概念を一つすっ選び、これを並べながら進めようとするために生しる。 117 7 頭脳地図 - ー・ - 法則
読書による学習を指導している教師の間では、ここ一五年ばかり、どの学級でもまったく同し問題 の生しることが注目されてきた。ここに、 ごく普通にみられる間題点のリストをあげておこう。読者 はこのリストを自分で作ったリストと照らしあわせ、足りないものがあったら補っておいてほしい。 おそらく、かなりたくさん補うものがあるだろう。 記慮 視覚 疲労 速度 怠情 短気 理解 退屈 語彙 読書時間 興味 ー一三ロ 読書量 分析 字体 批判 文体 環境 ノートのとり方 情報の選別 動機づけ 棄却 記慮の保持 鑑賞 年齢 集中力 系統化 ↓めと。も ) り・ 恐れ 読み終わったところに目がとぶこと このリストにあげられている問題はとても深刻なものばかりだ。・ との問題もそれ一つが原因で、読 37 4 もっと速く能率よく読む方法