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検索対象: 「身体(からだ)を売る彼女たち」の事情 : 自立と依存の性風俗
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1. 「身体(からだ)を売る彼女たち」の事情 : 自立と依存の性風俗

す相手の立場を考えたコミュニケーション それから岡村さんの働き方は変わった。短期的な利益の追求だけでなく、女性が働きや すい環境づくりにも意識して取り組むようになった。 遅刻や当日欠勤を繰り返す女性に対しては、以前は「なんで自分で決めたことを守れな ジに上がっているんだから、お客さんもお店も困るんだ いの ? 」「出勤情報がホームペー よ ? 」と頭ごなしに叱っていた。 由 だが最近は、まず本人に遅刻した理由、当日欠勤した理由を丁寧に尋ねた上で、「 x x 理 ちゃんの出勤を楽しみにしているお客さんもいるから、遅れる場合や休む場合は、必ずお 地 店に電話してね」と伝えるようになった。 居 の へ 「恋人や家族とのトラブルでメンタルが落ちてしまったり、ダブルワークでどうしても遅 デ 刻が多くなってしまう女性もいるので、まず遅刻した理由を聞いた上で、余裕を持って出 章 勤できる日を確認したり、追加や臨時の出勤にも対応できるような態勢を整えていきま第

2. 「身体(からだ)を売る彼女たち」の事情 : 自立と依存の性風俗

まず課題や困難の多重化という原因があっ 「性風俗で働く」はあくまで結果に過ぎない。 て、そこから事後的に「性風俗で働く」という状態が生み出されるのだ。 彼女たちに性風俗で働くことをやめさせたいのであれば、そして女性が性風俗で働かず に済む社会にしたいのであれば、道徳的な説教や啓発、興味本位の潜人ルボの生産に終始 するではなく、彼女たちを性風俗の世界に引き込んだ原因である困難の多重化に目を向け、 それらを一つ一つ解消していくための仕組みを構築していく。へきであろう。 す福祉でカバーできない「グレーな困難」 れ 彼女たちが多重化した困難に絡めとられてしまう過程には、決して劇的なドラマがある生 わけではない。 「突然の解雇」「身内の急逝」「難病の発症」といった分かりやすい不幸ではなく、日常の 嬢 小さなすれ違いやいざこざ、家族との不協和など、誰にでも起こりうる些細なことが積も 風 り積もって・ : ・ : というケースが多い 章 第 住まいを失う理由や家を出る理由も、失業による家賃滞納や家族からの虐待・ Q> とい った理由ばかりではなく、「ケンカした彼氏に対する当てつけ」「弟とケンカしたから」な

3. 「身体(からだ)を売る彼女たち」の事情 : 自立と依存の性風俗

' 第一 = 章デリへルの居地がよい理由 高取人

4. 「身体(からだ)を売る彼女たち」の事情 : 自立と依存の性風俗

ホテルの裏で泣いている子や、客に怒られて泣いている子に出会ったこともある。この 前は、隣のレンタルルームで怒鳴り声が聞こえてきた。女性と客が「お金を抜いた」「抜 いていない」という理由でケンカを始めて、「痛い ! 」という声も聞こえてきた。怖くな ったので、すぐにその場を離れた。 トラブルがあった時に相談できる相手はいない。その理由は、誰かに相談しても自己責 任だと言われそうだから。 あからさまに不潔な客が来た場合も「何とか頑張る」という。でも終わった後に愚痴を こぼせる相手が欲しい。「嫌な客に当たった後、— Z をしたら「頑張ったね」と五分 以内に返信してくれるような相手がほしい・ リフレで働いていることは、学校の友人には絶対に言えない。一緒に働いている友人も もナ / も 丿フレで働く女性はツィッターを活用している人が多い。あかりさんも使っているが、 自己は苦手だそうだ。出勤情報などのつぶやきはお店が拡散してくれるが、嫌がらせ やセクハラのようなリプライが飛んでくることも多い。基本は無視しているが、一度返事 をしてしまうと、どんどんリプライが飛んでくるようになってしまう。 028

5. 「身体(からだ)を売る彼女たち」の事情 : 自立と依存の性風俗

ど、客観的に見れば「なぜそんなことで」と言いたくなるような理由だったりする。 ホストに多額のお金を貢いだり、美容整形を繰り返したり、パチンコやスロットなどの ギャンプルで散財してしまうなど、世間的に見れば「どう考えても自己責任」という理由 も多い また激安店と呼ばれる低価格帯の店で働く女性の中には、過度の肥満体型の人が少なく ない。「ぜいたくのしすぎだろう」と思われるかもしれないが、経済的に困窮している人 は魚や野菜などの生鮮食品ではなく、糖質や脂質にまみれた栄養バランスの悪い高カロリ ー食品を食べ続けざるを得ないため、結果的に肥満してしまう傾向がある。 過度の肥満体型の人の中には、歯がポロボロになっていたり、糖尿病であるにもかかわ らずお金がないため通院して治療を受けることができていないという人もいる。病院に 「行かない」のではなく「行けない」のだ。 そんな彼女たちからは、「借金のために国民年金保険料を滞納していたら、役所から差 押予告通知書が届きました。どうしたらいいのでしようか ? 」という相談が来ることがあ 滞納が続けば、保険証を失うことになる。保険証がなければ医療からの排除が起こり、 116

6. 「身体(からだ)を売る彼女たち」の事情 : 自立と依存の性風俗

女の子たちと時間をすごして、エレベーターに乗り込む。 エレベーターのドアが開くとき、可愛くて、意地悪な目をしたあの子が立っている。 そんなデジャプにくらくらする。 173 第三章デリへルの居心地がよい理由

7. 「身体(からだ)を売る彼女たち」の事情 : 自立と依存の性風俗

はじめに 第一章「リフレ」という駆け引きの世界 「いくらで」「どこまで」やるかは、私が決める 2 「少女」と「大人」の狭間にある金脈 6 3 リフレ嬢の実態 4 「楽屋」に集う彼女たち 子ども・若者支援と性風俗安井飛鳥 第ニ章「風俗嬢」はこうして生まれる 生活保護はデリへルに勝てない ? 2 家族から逃れるために 3 「寮完備」「即日人居可能」に惹かれる理由 コラム 007 082 017 018 063

8. 「身体(からだ)を売る彼女たち」の事情 : 自立と依存の性風俗

4 昼の仕事からこばれおちる 5 働くから病むのか ? 病んだから働くのか ? 6 すべてを解決してくれる仕事 風テラス相談員で得た気づきと変化木下大生 地域福祉との差異鈴木晶子 第三章デリへルの居心地がよい理由 彼女たちを守る「見えない」事務所 2 「助け合い」の果てに つながりぬるく橋本久美子 第四章 性風俗で働くことの本当の怖さ 共助の中で生みだされる落とし穴 2 自分も外の世界も透明になる 3 「すべて現金化できる」という魔カ コラム コラム コラム 181 リ 2 131 170 175 122

9. 「身体(からだ)を売る彼女たち」の事情 : 自立と依存の性風俗

「お客様もお分かり頂けていると思いますが、りおちゃんは新人の女の子なので、紳士的 な対応をお願い致します」 「はい、淫語プレイは基本料金の中に人っております」 「それでは、ホテルに到着してお部屋に入られましたら、改めてお電話で部屋番号をお知 らせください。お待ちしております」 静かに受話器を置くと、女性スタッフは椅子から身を乗り出して、ソファーに座ってス マホをいじっている女性に話しかけた。 「りおちゃん、 x x さんから指名が人ったよ。手マンが激しかったので、もえちゃんは先 週にした客だけど、りおちゃんは行けそう ? いやだったら断っていいよ」 133 第三章デリへルの居心地がよい理由

10. 「身体(からだ)を売る彼女たち」の事情 : 自立と依存の性風俗

あとか医 「デリへルを経営していた頃は、人権なんて全く考えたこともありませんでした。自分が ということが身に染みて 当事者になってはじめて、風俗に関わる人たちには人権がない、 分かりました」 私の目をまっすぐ見ながら、佐藤博也さんは落ち着いた口調で語った。緑色の作業着の 胸には「第 x 工場・ 7 8 x x 」と記されたバッジがつけられている。 目の前にいるにもかかわらず、佐藤さんの声は分厚いアクリル板にさえぎられて、 もって聞こえる。隣の席では、年配の刑務官が無言で会話を記録している。 ンのフランチャイズオーナーだっ そう、ここは刑務所の面会室である。デリへルチェ た佐藤さんは、店で働いていた女性が本番行為を行っていたという理由で警察に逮捕され 、 ) 0 273 あとがき