自分も相手も傷ついて悲しくなる 言葉はむずかしい けれど毎日使うもの 大切に使って 言葉ともっとなかよくなりたい 母のないさみしさを友の前で語ってから、彼は変わりました。 言葉となかよくなれれば、自分を開放し、人ともなかよくなれます。 世間とも、うまくやっていけるはず。 きみの思い、ちゃんと伝わってるよ ! 言葉で。
おれは「強さ」の意味をはぎちがえ 夜中まで街をうろついたよね あなたは黙っておれの帰りを待っててくれた 拝啓オカンへホンマごめんなありがとう いままで何度迷惑かけたかわからんのに あなたはやさしく包んでくれた 拝啓オカンへホンマごめんなありがとう おれあなたの子どもでよかった 129
日本の大学進学率は五十パーセント。 大学へ行かなければ、落ちこぼれのように扱われることもしばしばです。 しかし、大卒でも好きな仕事につけるわけではありません。 それぞれが、好きな仕事でイキイキできれば、 それに越したことはないではありませんか。 と呼ばれるような仕事は、 実は誰にでもできるものではなく、 知恵と力と熟練が必要なことも、たくさんあるのです。 もっともっと、敬意を払われていい仕事です。 みんなが、誇りを持って仕事ができる世の中になりますようにー
「太郎ちゃんよね、と声をかけられた と言われた 、と思ったが ど、つで , もいし 太郎はとりあえず「会う」と答えた 待ち合わせの駅前 母というものは十年間会っていなくても 子どもの顔がすぐにわかるらしい うんとうなずくと母は泣き崩れた 十三歳のとき一恵からいきなり電話があった 「会いたしー ししカわからなかった 太郎はどうして、、、 「ごめんね、と何度もくりかえす 140
「無理すんなよ、と教官に声をかけられ、 少年は、はずかしそうにうつむきました。 格言や標語のような立派なことばかり書いてくる子に限って、 肩に力が入り、表情も硬く、のびやかさがありません。 完全主義者であるがゆえに、不完全な自分に我慢できなくて、 ハランスを崩し、犯罪に至るケースも。 もっと楽にしていいんだよ。 自分の弱さを認められたら、きっと人生はもっと楽になる。
いままで何度迷惑かけたかわからんのに あなたはやさしく包んでくれた おれがまだガキだったころ おやじ あなたを置いて親父は出てったよね 泣きくすれるあなたの姿 ほんまメッチャ心配したんやで あん時からおれの家は裕福じゃなくて ツレのおもちやをせびっては泣いたよな そんなおれを見て 「ごめん , と悲しそうな顔をしてたあなた 128
硬くなり重くなる だからぼくがその鎧をおろしてあげよう こんどはぼくが戦士だ おかんもうちょっとだけ待っててね 門を潜って世間に戻ったら、新たな戦いのはじまりです。 「おかえり」とあたたかく受けいれる世間があってこそ、 彼らの史生は果たされます。 世の中は、敵ばっかりじゃないよ。手を携えて、生きていこうね。 そういえる人が、一人でも多いほど、社会の安全にもつながるのです。 鎧を脱いでもやっていける世界を、ともに作っていきましよう。 くぐ 156
いつの日か働く喜びわいてぎて おおもう 最後はみんなで大儲け そんなことができるかな いっか夢を叶えたい 刑務所では、受刑者の誰もが、規則正しい生活をします。 そんななかで、はじめて基本的な生活習慣を身につけ、 それまでの自分を振りかえることができるようになります。 メリハリのある日々が生活に張りを与え、くんのように、 前向きになって、明るい夢さえ見られるようになるのです。 ()5 くんは刑期を終え、張りきって門の外へ出ていきました。 かな
母の日に一度はしたい肩たたき 体が大きな 0 くんは、話すのが苦手。 それをカバーするように、し 、つも威圧的な態度で通してきました。 けれど、それでは通用しなかったから、刑務所に来てしまった。 そんな O くんのなかに、こんな言葉の結品があったとはー みんなもびつくりして、ほめちぎりました。 すると、 O くん、いままで足を開き、ふんぞり返っていたのが、 姿勢がよくなって、やがて前のめりに体を乗りだし、 みんなの言葉に耳を傾けるようになったのです。 評価されること、共感してもらえること。 それは、人間にとって、とても大切なことなのだと感じました。 101
待ってくれる人がいる、というのは、何よりもの励みになります。 しかし、問題のある家族から問題行動が生まれた、というケースも多く、 出所後待ちうける家庭環境は、必ずしも理想的なものではありません。 それでも、人所をきっかけに家族がそれに気づき、学んで、反省し、 関係を再構築していくことも多いのです。 奈良少年刑務所では「保護者会」を実施しています。 罪を犯した子どもにどう対処したらいいのか、 家族の多くは、途方に暮れています。 教官は、そんな家族の相談冫 こ乗ったり、指導をしたり、 なかなか本音で話せない受刑者と家族の橋渡しをしたり、 家族ぐるみで更生に取り組めるよう、環境作りをしています。