人 - みる会図書館


検索対象: 絶望名人カフカの人生論
215件見つかりました。

1. 絶望名人カフカの人生論

シャイな人は、人といっしょにいると、だんだんつらくなってきます。人の気持ちが 気になって、自分が恥ずかしくて、息をするのが苦しくなってきます。 では、そういう人は、人づきあいが嫌いでしようか ? 絶もちろん、苦しいので避けたくはなります。でも、基本的には社交的な人も少なくな いのです。 あ づ シャイと社交性は、まったく独立した、別の性質であることがわかっています。 人 ですから、シャイであり、同時に社交性もある、という組みあわせの人もいるのです。 章 そ一ついう人は、いちばんつらい思いをしてしまいます。 十 第 なぜなら、人といっしょこ ( いたいのに、人といっしょにいると苦しいからです。 カフカはまさにそういう人であったように思われます。 185

2. 絶望名人カフカの人生論

論二人でいると、 生 人彼は一人のときよりも孤独を感じる。 フ誰かと二人でいると、相手が彼につかみかかり、彼はなすすべもない 一人でいると、全人類が彼につかみかかりはするが、 絶その無数の腕がからまって、誰の手も彼に届かない。 二人でいるほうが、もっと孤独 一三ロ

3. 絶望名人カフカの人生論

第十一章人づきあいに絶望した , 人とっきあうことの圧迫感 人といると、自分の存在が消えていく 二人でいるほうが、もっと孤独 友人との関わりに希望はない 第十二章真実に絶望したー 真実の道には、人をつまずかせる綱が 嫌がっても迫ってくる、受け入れがたい真実 2 目の前の現実はすべて幻影 193 183 つな

4. 絶望名人カフカの人生論

他の人はやすやすとやってのけることを、自分はできない こういうことは、よくあるものです。 たとえば、異性に自然に爽やかに話しかけることができる人もいれば、どうしてもで しきない人もいます。頑張って話しかけても、ぎこちなく不自然になってしまって、さら 絶に絶望することに。 来 話しかけることができる人にとってみれば、そんなことくらいかなぜできないのか不 章思議です。そしてさらに、仲良くなって、恋人どうしになって、とステップアップして 第いきます。 話しかけることができない人は、いつまでも最初の段階のままです。 そうした状況を、カフカは見事に表現していると思います。 さわ

5. 絶望名人カフカの人生論

実際ばくは、人と交際するということから、見放されていると思っています。 の 見知らぬ家で、見知らぬ人たち、 あるいは親しみを感じられない人たちの間にいると、 望部屋全体がぼくの胸の上にのしかかってきて、ばくは身動きができません。 フェリーツェへの手紙 人とっきあうことの圧迫感

6. 絶望名人カフカの人生論

仕事をなまけているのではなく、怖れている 彼はなまけ者なのだ、と言う人がいる 彼は仕事を怖れているのだ、と言う人もいる。 後者のほうが、彼を正しく評価している。 皮よ仕事を怖れているのだ。 論アイ ( 人仕事に行こうとすると、 故郷を去らねばならない人のような悲しさにおそわれる。 人好ましい故郷ではないとしても、 安心できる場所を出て行くのだ 絶住みなれ、知りぬいた、 都会の路地をひきずられてい おくびようこいぬ 生まれて間もない臆病な仔大と、かわりない 仕事のあとは、疲れきって、また故郷へ戻る。 灰色のおぞましい故郷へ、よろめきながら戻って行くしかないのだ ーーー断片 130 おそ

7. 絶望名人カフカの人生論

あとがき誰よりも弱い人 237 「大多数の人たちとは言わないが、多くの人たちが無力なのだ。しかしカフカは己が ~ 力をたえず意識していて、他の人たちがまだ安全だと思っているところでそれを感 じていた」 言い方はちょっと難しいですが、じつに見事にカフカを表していると思います。 カフカは誰よりも弱い人でした。 強ければ気づかないことに、弱ければ気づけます。 足が弱ければ、ちょっとした段差にも気づけます。 - 手が弱ければ、ちょっとした持ちにくさにもな貳づけます。 もっともこういう観点からすれば、じつは巨大な力なのだが 八つ折り判ノート 「こういう観点」というのは、現実のネガティブな面を掘り起こすということです。 「ばくの弱さ おの

8. 絶望名人カフカの人生論

という夢を持ちながら、それでは生活ができないために、「パンの 「〇〇になりたい ための職業」 ( カフカの言い方 ) に就いている人は、少なくないかもしれません。 べつに夢はなくても、大半の人にとって仕事は、生活のためのものであり、自分がや りたくて仕方ない仕事をしている幸運な人はあまりいないでしよう。 それでも、仕事をしていくうちに、その苦楽の中に、それなりの喜びややりがいを見 うれ 望出していくものです。評価されて嬉しかったり、うまくいかなくてくやしかったり。 「仕事がイヤだ。辞めたい」と口にする人は少なくありませんが、かといって、本当に 仕 早期退職したりすると、たいていの人は、さびしくなったり、つらくなったりするもの 章 七です。 のろ しかし、カフカの場合はちがいます。彼は仕事を呪い続けます。決して受け入れませ ん。 そういうところは妥協がなく、徹底しています。 のちに病気で辞めることになったときにも、とても喜んでいます。 125 み

9. 絶望名人カフカの人生論

他の人たちは話が通じ、心が通い合っているのに、自分だけはそうなれない。 望そこにいるのに、 いないかのような、自分の存在が消えてしまったかのような、心も 絶 となさ。 そがいかん あ 大勢の集まる場で、そんな疎外感を味わったことがあるのは、カフカだけではないで 人ーレよ一つ。 章そんなムダな晩を過ごしても、またしばらくすればそんな晩を過ごしてしまうのです。 十 人といればひとりでいたくなり、ひとりでいれば人といたくなるものだから。 第 187

10. 絶望名人カフカの人生論

ひどく落ち込んでいる人でも、カフカがあまりにも極端に絶望的なので、「いや、 自分はここまでは絶望していないんだけど」という気持ちになってくるでしよう。 カフカほど絶望できる人は、まずいないのではないかと思います。カフカは絶望の 名人なのです。誰よりも落ち込み、誰よりも弱音をはき、誰よりも前に進もうとしま せん。 生 しかし、だからこそ、私たちは彼の一言葉に素直に耳を傾けることができます。成功 人 の 者が上からものを言っているのではないのです。 フ カ 人 望ネガテイプを代表する作家 絶 カフカは自分のことを小さな虫のように思っていましたが、小説家としてのカフカ は巨人です。二〇世紀最大の作家と称されることもあります。 絵画で言えばビカソのように、その後の作家たちに決定的な影響を与えました。 受けずにすんでいる人は、ほとんど カフカ以降の作家で、カフカの影響をまったく いないと一言っていいでしよ、フ。