株券 - みる会図書館


検索対象: うわさのズッコケ株式会社
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1. うわさのズッコケ株式会社

「イワシ釣りにいかれたひとは、知ってると思うけど、木材港は、いま千人から二 千人くらいのひとが集まっています。きのうは資金がすくなくて、たくさんしいれ しようひんしゆるい られませんでしたが、商品の種類をふやせば、もっと売れると思います。たとえ か / 、じっ しゅうにゆうばいぞう はんばい ばかんビールや、ラーメンなどの販売をすれば、収入は倍増することは確実で えんじよ そうたん しよう。そこで、みなさんに相談したいのは、みなさんから資金を援助していただ ホイホイしよう かぶしきがいしやかぶけん きたいということです。株式会社の株券を買っていただいて、わが O O 商 じ 事の株主になっていただきたいんです。」 はんのう ( カセは、そこでことばをきると、みんなの反応をたしかめるように、ゆっくり と教室をながめまわした。 ねあ 「あたし、株のこと、よく知らないんだけど、株券を買ったら、それが値上がりす るわけ ? 」 あんどうけいこ トカトの女の子が、えんりよぶかげに質問した。 安藤圭子という、ショー ま、よ、 りえき 「安藤さんのいうのは、株の売買の利益のことでしよ。もちろん、 O O 商 かぶぬし しきん もくざいこう

2. うわさのズッコケ株式会社

かいしやそんぞく 「ええ、それでは、ます会社の存続について、決をとります。解散に反対のひと ( カセが、教室を見まわす。ひとり、ふたり、まよったあげく手をあげたものが いたが、すぐにおろしてしまった。 ホイホイしようじかぶしきがいしゃ 「それでは、商事株式会社は、ざんねんではありますが、本日をもち たしろ ていあんさんせい まして、解散いたします。つぎに、田代くんの提案に賛成のかた、手をあげてくだ こちらは、ます半分くらいが手をあげた。それから、しだいにふえて、三分の二 冫子 / / かぶわ かぶぬしそうかい 「株主総会のルールにしたがいまして、持ち株の割りあいで決定いたしますが、大 かけっ かぶぬし 株主のみなさんがみな賛成されていますので、この提案も可決いたしました。それ しつもん では、これで総会をおわりますが、なにか質問はありませんか。」 かぶけん 「あのね、株券は、返さなくちゃあならないの ? 」 けっ 力いさん おお 210

3. うわさのズッコケ株式会社

いかな。」 ( カセが、株券の見本をふたりにひろうする。 あみめ 横長の四角いわくの上方に、会社名の欄があり、網目もようがまわりをとりまい ている。その下に、 " 金百円 ~ と書かれ、その横に番号瀾がある。ここまではすべ て横書きで、その下に、たて書きの文章が、ごちやごちゃならんでいた。 かぶぬし 「株券のうらには、株主の名前を書けるようにしとくんだ。」 じゅうしよろく ( カセが、うらをかえす。住所録のような 欄が書きこまれていた。 「なんで、こんなにい つばいあるんだ ? 」 「株券というのは、他人にゆずることができ るのさ。そのときは、もらったひとがあたら はいと - つきん しい株主になるからね。そのひとに配当金を はらうわけ。」 かぶけん らん もて Y HOY 金百円 ・ H 叱。ド式会社

4. うわさのズッコケ株式会社

声におうじて、ハチベ工が教だんにすすんだ。こないだとうってかわって、われ いうまでもない るような拍手が起こったのは、 ハチベ工は、ふかぶかとおしぎをすると、教室をながめまわした。 ホイホイしようじかぶしきがいしゃ 「みなさんのおかげで、わが商事株式会社も、すごい大もうけをする もくざいこう しようば、 ことができました。さいしょは、木材港で、商売をしてましたが、イワシがいな おおかわ くなって、こんどは大川高校ではたらきました。そして、ラーメンをいつばい売っ カセがしゃべったように、もうけたお て、たくさんのお金がはいってきました。 ( 金は、株主のひとに、はらいます。 ところで、・ほくも社長として、これからもがんばっていきたいと思ったのですが、 この一か月間、すこしくたびれました。それで、 O O 商事は、きようを かいしゃ かいさん かぶけん もって、解散したいのです。もちろん、株券は、会社でひきとります。ですから、 そん みなさんは損はしません。みなさん、ありがとうございました。」 きょ - っ ハチベ工は、もういちど、ペこんとおじぎをして、教だんをおりてしまった。 かぶぬし は′、しゅ きよう 205

5. うわさのズッコケ株式会社

かお やがて ( カセがノートから顔をあげた。 しほんきん 「ねえ、資本金三 o 、 o o 円でやってみようか。つまり、みんなから一七、六 しゆっし 円ほど出資してもらうんだ。」 「一七、六 o 円も、友たちから借りるのか。」 かぶけんはっこう 「借りるんじゃなくて、株券を発行して、それを売るんだよ。・ほくらのは一株一 o 円にしよう。それでいいだろ。」 「ううん、 モーちゃんが、こっくりうなすく。 しゆっししやばしゅう 「よし、これで決まり。あとは、株券を発行して出資者を募集すればいいわけだ。 いんさっ 株券は、きよう印刷するとして、あしたから株主を募集しようか。」 そのときハチベ工が口をひらいた。 しょ・つ要い 「たってよ、こんどの日曜も商売するんだろ。そんなら、きようの放課後みんな せつめい を集めて、株券のことを説明したほうがいいんじゃないかなあ。そうすりゃああし かぶぬし は硺 - っカ一一

6. うわさのズッコケ株式会社

イワシ釣りのひとがたくさんいた日と、まったくかわらない利益がはいってくる ことは、ますまちがいありません。」 かお じしん ( カセは、自信まんまんといった顔つきで、株主たちをながめまわした。 株主たちは、しばらく声もなく、たがいに顔を見あわせていた。 「ええと、それで、ちょっときいてみるんだけど、ぼくが持っている株券。もし、 いまお金にかえてくたさいって、たのんだら、かえてくれるんですか。」 にいむらたいご 新村大吾という、名前のとおり、大がらな少年が、かしこまってたすねた。この 少年は、いわゆる一株株主である。 ハカセは、大きくうなすいた。 ばあい 「もちろんです。ただ、会社がひきとる場合は、額面どおりの値だんですから、だ はいとう、ひ れかに売られたほうが得ですよ。来月の配当日には、一株五円くらいの配当金が つくのは、まちがいないんですからね。毎月五円すっ、お金がはいる株券なんだ から、だれだって、高く買ってくれるんじゃないかなあ。」 ひとかぶ おお かぶぬし がくめん かぶけん はいと - つきん 126

7. うわさのズッコケ株式会社

ちゃくせき ハタンとノートをとじて着席した。 ハカセは、 カブといったって、おれの家で売ってるやっとちがうんだぜ。毎月、 「どうだい、 かつ。ほがつ。ほとお金がはいるんだもの。こいつを見のがす手はないと思うなあ。」 しん ( チベ工のことばに、集まった子どもたちは、なかば信じられないというふうに、 かお きようみ 冫たがいに顔を見あわせるのであった。 さりとて興味なくもないというようこ、 ホイホイしようじかぶしきがいしやせつりつ とにもかくにも、 O O 商事株式会社は設立された。はたして、みんなが いんさっ かぶけん すんなりお金をだしてくれるかどうかは、わからないけど、株券だけは印刷してお かなくてはならない ずあん 株券の図案は、手まわしの良い ( カセが、ちゃんと見本を作ってきていたので、 ねんがじよう いんさっき あとは、 ( チベ工の家の年賀状用の印刷機ですればいし 「株券にも、いろいろあるらしいけど、・ほくたちのは、こんなものでいいんじゃな みほん 、 0

8. うわさのズッコケ株式会社

いれられるし、そうだな、カップラーメンなんかも売れるんじゃないの ? 。しいな。ぜったい売れるよ。」 「カップラーメンよ、 した モーちゃんが、さっそく舌なめすりをする。 ットにいれて持ってくのか ? 」 「お湯はどうするんだ ? ポ しきたくじよう みなとじむしょ 「ポンべ式の卓上コンロがあるじゃない。水は港の事務所のそばに水道があった から、あれをつかわせてもらえばいし 、もの。」 かぶしきがいしゃ 「ううん : : : 。株式会社ねえ。」 うで ハチベ工は、腕ぐみをした。 カ 「いま ( チベ工くんの借りているお金も、株券にしてもらったら ? そいで配当金 をはらえばいいんだよ。」 「配当金て ? モーちゃんがおうかがいをたてる。 りえき しやっきんりし ぶんばい 「もうかった利益を、株券の額におうじて分配するわけ。ま、借金の利子みたい かぶけん はいとうきん

9. うわさのズッコケ株式会社

もんく ハカセのことばで、ハチベ工もそれ以上モーちゃんに文句をいうのはやめにした。 「さて、このお金を、これからどうするかってことだけどね。いろいろ考えたんだ じぎようかくたい けど、もうすこしお金を借りて、事業を拡大してみないか。」 ハカセは、めがねのおくの小さな目でハチベ工とモーちゃんをながめやった。 れんちゅう 「金を借りるって、クラスの連中からかい ? 」 さんせい しいよ。・ほくらの事業に賛成してくれる人物な 「べつにクラスの子どもでなくても、 ら、だれでもいいさ。つまりね : ハカセは、えへんとせきばらいした。 かぶしきがいしゃ 「株式会社をつくったらどうかなあ。」 「カ、、フシキガイシャ : さすがの ( チベ工も、これにはあぜんとしてしまった。 「株式会社って、あの株式会社 ? 」 かぶけんはっこう 「そうさ、株券を発行して、みんなからお金を集めるのさ。そうすればビールもし じんぶつ

10. うわさのズッコケ株式会社

うで ( カセも、もっともらしく腕にあごをのせる。 しゃちょう しよう・は、 「あのな、なんどもいうけど、商売のことがわかってないと、社長はっとまらな いぜ。商売のへたくそなやつを社長にしたら、会社がつぶれちまうもの。」 くち ハチベ工が、し 、くぶんロごもりながら発言したとき、ハカセが、にんまりうなす はちやりようへい ホイホイしようじかぶしきがいしゃ 「しかたないな。 O O 商事株式会社の社長は、八谷良平くんにしよう。」 三百株の株券がすりあがったのは、それから二時間後であった。これに一まいす っナイハ ーリングで番号を打ちこみ、四角いはんことまるいはんこをおす。まるい はんこは、ハチベ工の家の印かんでまにあったが、四角なはんこというのが見あた がしようかくいんだいよう ねんがじよう らない。しかたがないので年賀状におす賀正の角印で代用することになった。 かんせい 三百まいの株券が完成したときには、もう秋の日がとっぷり暮れていた。 しゆっしきん このなかから、ます三人の出資金におうじて、モーちゃんは四、 0 0 円分、 ( かぶけん