陽子 - みる会図書館


検索対象: うわさのズッコケ株式会社
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1. うわさのズッコケ株式会社

しんすけ ハチベ工が晋助にどなる。 りし - っ力し 「ラーメン、二ちょうね。了解・ : : ・」 晋助もけいきよくこたえた。ほどなく、ゆげのたっラーメンが、つくえの上にな らんだ。 「陽子、たのむそ。」 むごん きんちょう ハチベ工のことばに、 いくぶん緊張ぎみの陽子が、無言でうなすいて、ラーメ ンをお・ほんにのせると、そろり、そろりとテーブルにはこんだ。 「おい、陽子さん。わりばしと、コショウ、わすれてるよ。」 晋助が注意した。 「あ、それ、あたしが持ってく。」 由美子と圭子が、同時にさけんで、なかよくテーブルにむかった。 あたま テーブルでは、 いがぐり頭が、なにやらしゃべりながらラーメンをすすっていた。 「おい、なんかいってたか ? 」 ようこ ゆみこ 181

2. うわさのズッコケ株式会社

しまった。 そのとき、女の子の声がした。 「ハチベ工くんが、やめたいっていうんなら、しかたないわね。解散に賛成しま あらいよ - っこ 荒井陽子だった。陽子は、 ( チベ工をちらりとながめてから、教室の株主たちに しせん 視線をむけた。 かぶ 「あたしもそうだけど、さいしよ、株を買うときは、お金をたせば、遊んでいても、 もとで はいとうきん 配当金がはいってくるって思ったわよね。でも、あたしたちのお金を元手にして はちゃ やまなか おくだ ↓なかもり しょ - つ、はい 商売してた八谷くんや、山中くん、それに奥田くんや中森くんたち、すごく苦労 したのよ。こないだあたしも二日間てつだったけど、びつくりしたわ。お金をかせ ぐって、たいへんなのよね。だから、あたしは八谷くんが、くたびれたからやめた いっていう気持ち、わかるわ。」 いけん 「あたしも、陽子さんと、おなじ意見です。」 かいさんさんせい かぶぬし 207

3. うわさのズッコケ株式会社

社長さんも、あまりの数字にあきれかえっている。 「これで、あしたもおなじくらい売れたら、最高だね。」 しんすけ 晋助が、うれしそうにさけぶ。 はちゃしようてんけい あとかたづけをすませ、ハチベ工と晋助は、ふたたび八谷商店の軽トラに便乗 した。 あらいよ - っこ 軽トラが、発車しようとしたすんぜん、荒井陽子が、助手席のまどをたたいた 「なんだい ? かお 顔をだした ( チベ工に、陽子は、ちょっとはすかしげにわらった。 いままで、会社のことに文 「あしたも、がんばりましようね。あ、それから : 句いって、ごめん。きよう一日、はたらいて、きみたちの苦労わかったわ。でも、 すつごく楽しかった。」 ゆみこ 陽子は、ハチベ工の返事も待たす、身をひるがえして、由美子たちのほうにも どっていく。 しゃちょう へんじ じよしゅせき びんじよう もん 190

4. うわさのズッコケ株式会社

ようこ ハチベ工が小声でたずねる。社長としては、やはりお客 もどってきた陽子に、 はんのう の反応が気になるのだ。 カップラーメンじゃないのかって。」 「早くできたなって : 「ちがうって、いっといたろうな。」 「あたりまえよ。」 しゃいんいちどう お客第一号が、ラーメンを食べおわるまで、社員一同、かたすをのんで見まもっ ていた。 しよっき やがてふたりは、スープをすすりこむと立ちあがった。そして、自分で食器をか かえて ( チベ工たちのほうにやってきた。 しよっけん せんでん 「けっこう、うまいじゃないか。宣伝しといてやるよ。ほら、食券は、ラーメン と引きかえにとっとかないと、なんばいでも食べられちまうそ。」 かいしゅ - っ あたま せいかく いがぐり頭は、けっこうしんせつな性格らしい。陽子が回収をわすれた食券を、 とどけてくれた。 0 しゃちょう 182

5. うわさのズッコケ株式会社

はんたいがわ こんどは反対側から、髪の長い女の子と、ショ ートカットの少女が近づいてきた。 ひっとうかぶぬしあらいようこあんどうけいこ これまた筆頭株主の荒井陽子と安藤圭子だった。 はちゃ そうだん かぶけん 「八谷くん、あたしたち相談したんたけど、株券、ひきとってもらおうかっていっ かのう てるの。それは可能なんでしよ。」 荒井陽子が、じ 0 と ( チベ = のをのそきこむ。 「そりゃあ、まあ : 。でも、まだ会社がつぶれたわけじゃないんだぜ。」 「つぶれてからじゃおそいから、いまのうちにひきあげたいの。あたしたち、わざ ゅうびんきよく ちよきん ゅうり わざ郵便局からお金をおろしてきたのよ。貯金より、こっちのほうが、有利だと ゆみ せきにん 思ったから、あたし、由美や安藤さんに、すすめた責任があるから、ちゃんとして もらわないとこまるわ。」 しんたい ハチベ工は、株主たちにかこまれて、進退きわまってしまった。こんなとき、 カセがいてくれたら助かるのに、 ハカセはまだかげもかたちも見えない。 かぶぬしそうかい 「そういやあ、 ( カセが、株主総会っていうのをひらくんだっていってたよなあ。 かみ 118

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子どもはとくに、遊びと学習にそのほとんどの時間をさくことができるようにな 0 た。 ということもできます。 ( 『小学生の心とからだ』岩波書店一九八四年 ) 遊ぶことと学ぶこ と。それがこどもの仕事だ。ところが、いまでは、実際の経済が近代をこえて、マネー ゲームという呼び名がふさわしいようなものにかわってきてしまいました。商法とか会社 法というルールにしたが 0 たゲ , 、ムだったのですね、経済というのも。 ( ついでに、法律 ほっきにん しいことになっています。ただ、親権者の同意がは では株式会社の発起人は未成年者でも、 じめだけ入用なのですが。 ) 『うわさのズ〉「ケ株式会社』では、三人組だけしゃなくて、大川高校のバザーでは、 あんどうけいこ あらいよ・つこ なかもりしんすけ ラ , 、メン部長の中森晋介はもちろん、荒井陽子・安藤圭子・榎本由美子の株主連中もおそ ろいの = プロン姿で大いに働きます。いそがしすぎてお客をまたせてしかられても、 《 : : : 教室のできごとなら、たちまちふくれ 0 つらをする安藤圭子も、相手が商売のお 客さまだから、すなおにあやま 0 ている》。遊ばなくてはいけない、勉強しなくてはいけ ないというルールから、別のルールでできたゲームのなかで彼女は楽しくてしようがない のた。、もうひとりもこういう。 《「 : : : あたしたちだ 0 て、け 0 こうがんば 0 たわよ。お客さんにどなられながら、ね 榎本由美子が、陽子をふりかえった。 0 219

7. うわさのズッコケ株式会社

しゃちょう こんなにもうかったのは、社長の ( チベ工くんの決断で、あたらしくインスタン トラーメンを売りはじめたからなんですね。」 「けっこうもうかってるじゃないか。」 とうさんすんぜん 「だれだ ? 倒産寸前だっていったのは ? 」 そんな声が、あちこちからあがりはじめた。 あらいよ - っこ そのとき、荒井陽子が立ちあがった。 「たしかに、これまではもうかったかもわかんないけど、これからはどうなんです も′、ざいこ・つ かイワシは、もうつれないんでしよ。て、いうことは、木材倦では、ラーメンや ジ、ースは売れないってことでしよ。」 しんばい 「そうだよ。おれも、そのこと心配してたんだ。ラーメン、十ケースも買いこんだ んだって ? のぶひこ 信彦が、ふたたびいきおいよく口をひらいた。 ないしん ( チベ工は内むドキドキしながら、 ( カセの顔をうかがったし かお けつだん ままでは、ハチ 124

8. うわさのズッコケ株式会社

きのうのつづきを、いつでもやりそうな声でこたえる。ふだんの ( チベ工なら、 のそむところとばかり、けんかのひとつもおつばじめるのだが、いまは、 ( カセが ゆいいつのたのみなのだ。 耐えがたきを耐えて、 たしろ 「あのな、いま、田代のバカと、陽子と圭子につかまっちまってさ。あいつら、金 かぶぬしそうかい せきにんついきゅう かえせっていうんだ。そいで、株主総会をひらいて、おれたちの責任を追及する んだって。」 しゃちょう ほんとうは、社長の責任だけが追及されそうなのだが、ここはすこしばかり ( ぶんたん カセやモーちゃんにも分担してもらわないと、たまったもんじゃない。 かおいろ てつきりおどろくと思っていた ( カセは、顔色ひとっかえす、 「あ、そう。きようの放課後、株主総会をやるんだね。」 あっさり、うなすいた。 「おまえ、 しいの。金、返せっていわれても、いま、お金なんてないんだろ。どう 120

9. うわさのズッコケ株式会社

o o o 円投資してる きようの放課後、それ、やってもらおうよ。おれだって、五、 んだからな。」 しゃつよ・つ かぶぬしそうかい 「そうね、株主総会をひらいてもらいましよう。ます第一に決めることは、社長 せきにんもんだい の責任問題 : : : 」 あんどうけいこ 安藤圭子が、意地の悪そうな笑顔を見せる。 「そのあと、みんなにお金を返してもらうことね。」 ようこ 陽子がきつばりといってのけた。 やっとこさ、三人の株主から解放されて、ろうかににげだした ( チベ工の目に、 ( カセとモーちゃんが、楽しそうにしゃべりながら歩いてくるのが見えた。 「おまえたち、おそいそ。」 カセも、めがねごしにじろりとなが ハチベ工は、つい声をあらげてしまった。ハ めると、 「ほくらは、定刻どおりですよ。ねえ、モーちゃん。」 えがお とうし 119

10. うわさのズッコケ株式会社

大吾は、。 こくりとつばをのみこむと、すわりこんでしまった。 しつもん 「ええ、なにか質問はありませんか。」 はないき ハカセが、ひとわたりみんなをながめまわした。さいしょは、鼻息のあらかった たしろのぶひこあらいようこ 田代信彦や荒井陽子も、みようにおとなしくなり、ときおりとなりどうしで、こそ こそやっているだけだった。 しゃちょう 「では、社長から、ひとことごあいさっさせます。 ( チベ工社長、どうそ。」 「え ? おれ ? 」 かぶぬし しゃいん 「そうだよ。株主のみなさんに、社員はみんな、はりきってやってるから、これか ごきようりよく らも御協力をよろしくって、あいさっしたら ? 」 ホイホイしようじ 「う、うん、そうだな、ええ、いま、 , 、カセの報告したように、 O O 商事 かぶしきがいしゃ 株式会社は、けっしてつぶれません。どうか安心してください。」 ( チベ工は、ふかぶかとおじぎをしたが、株主のあいだからは、もうしわけてい どの拍手があっただけだった。 は′、しゅ 127