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検索対象: インナーマザー : あなたを責めつづけるこころの中の「お母さん」
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1. インナーマザー : あなたを責めつづけるこころの中の「お母さん」

第 2 章私の中の「私」、私の中の「母」 たくさんのきようだいがいて大家族で暮らすことは稀です。子どもはひとりかふたりという家族 か多い 子どももたくさんいれば、一人ひとりにそれほど手厚くかまっていられませんが、ひとりかふ たりなら、目が行き届きます。それだけ子どものペット化も進みやすい 昔のように「子どもは天からの授かりもの」という意識もありません。「まだ欲しくない」場 合は避妊し、人生設計のひとっとして「そろそろ子どもをつくろう」と計画して妊娠・出産する。 「そろそろ車を」「そろそろ家を」というのと同じで、子どもも、自分の生活を豊かにする人生戦 略のひとつの焦点なのです。当然、子どもに、自分を豊かにしてくれることを求めてしまいます。 もうひとつの要素は、家族の壁です。家族というのは、その家独特のカルチャ 1 を持っていま す。他の家族とも交流があって、「うちはこうだけど、他の家ではこうらしいよ」と外からの風 を自由に入れることのできる家族ならいいのですが、この壁がとても高くて厚い家族があります。 すると、家族内の空気がよどんで、そこにさまざまな問題が起こってきます。 壁が厚い家には、さまざまな家族神話がはびこっています。「うちは十何代続いた高貴な家柄 で、このへんの家は、みんなうちの小作農だったのだ」などという神話です。よその家とは違う、 自分の家のほうが格が高いと思っていたりするのです。 こうした家族が、異なった言語や文化を持った土地に移住したときには、さらに家族の壁は高 まれ

2. インナーマザー : あなたを責めつづけるこころの中の「お母さん」

プロローグーー苛酷な批判者「インナーマサー」 ことすら自分で気付かすに。そして家からでて、他の集団の中に入り、結婚して別の家の中に 入っても同じようなコンディションを保ってきた。それしか知らなかったんだと思う。 先生に指摘されたときうれしかったけど、私の中ではそれはい ) しことだと思ってきたことを 指摘されて、何か自分がまちがったことをしてしまったかんじがして、実はパニック状態にな っていて、涙目になっていたんではないかなと思う。他にどうしたらいいの ? と途方にくれ る。 なんでこんなにも緊張していなければいけないのか。書きながら考えついたのは、やはり 「もともとは自分はこの家に居てはならないものが置いてもらってるっていう思い込みが小 さい頃からあったなということです。ここに居るのは当たり前なんかではなくて、私には常に 戦いでした。常にけん制して、スキを見せす、文句を言わせないために家の権力者である父に 気に入られ、絶対に母に心を開くことはなかった。 私が家でくつろいでいた場面で思い出されるのは、学校から帰ってタ方、まだ父母が帰って くるまでの間、おばあちゃんがつくってくれる甘 5 いコ 1 ヒ 1 でパンを食べながらを見て しるところだ。 それらはたぶん、私がおばあちゃんを取り込んでいることに由来することは確かだと思う。

3. インナーマザー : あなたを責めつづけるこころの中の「お母さん」

第 2 章私の中の「私」、私の中の「母」 〃マスオさん〃が脱落するとき ササ工さん一家に問題が起こってくるとすれば、まずマスオさんの脱落が考えられます。「も といって、波平夫婦にたてついたり、サザ工さんを置いて家を出てし うこんな生活はいやだ ! まう。そのときサザ工が、あの平和な一家を捨てて、マスオを追いかけて家を出るのか、それと も家に残るのか。 サザ工さんのことはわかりませんが、どうも現代の一卵性母娘を見ていると、マスオさんを捨 ててしまう奥さんが多いような印象です。今の日本で、土地を買って、家を買って、自分たちの 新しい世帯をつくるのはたいへんなことです。そんな苦労をするくらいなら、マスオさんを捨て というわけです。 て家つき娘でいたほうがずっといし そうなると今度は、ササ工さんとタラちゃんが「母子一体化」の関係になっていくかもしれま せん。波平夫婦が亡くなった後は二人で生きていかなくてはなりませんから、サザ工さんはタラ ちゃんに依存するかもしれない。そこでタラちゃんがサザ工さんを捨てて出ていけるか、それと もサザ工さんをおんぶお化けのように背負ったまま磯野家に嫁を迎えるか、独身のまま母親と生 きていくか、という選択になってきそうです。 マスオさんが脱落せずに「良いお婿さんロポット」を続けた場合、タラちゃんがどう育っかに も興味があります。母親の力が強い一家ですから、当然、子どもにもその影響がおよびます。漫 9. 8

4. インナーマザー : あなたを責めつづけるこころの中の「お母さん」

私の見ている限り、「出ていったら戻ってくるな」という親より、「おまえはうちの子どもだよ、 いっ戻ってきてもいいんだよ」という親のほうが、子どもが早く親離れします。前者の家の子ど もは、いつまでも親にしがみつこうとします。親の愛情を十分に受けたと感じられない子どもは、 家を離れると親に見捨てられるように思えて、親のそばを離れられなくなるのです。早く家を出 ていってもらいたかったら、子どもの頃は十分に関心を持って、子どものしたことをほめてあげ ることです。 親は、子どもの世界ができあがり、子どもが大人へと脱皮する時期がきたら、適当なところで 距離を置き、子どもの判断を尊重するように切り替えます。そして子どもが出ていく時期がきた ら、「いつでも帰っておいで」といって部屋を用意しておくと、安心してサッサと出ていきます。 いつでも帰れると思うから帰ってこないわけで、健康な親離れ、子別れができている証拠です。 しのにどうして出ていくの , と子どもを引き止 子別れできない親は、ここで「うちにいればいゝ ししが、帰ってきてはいけよい という。これでは子どもはいっ める。あるいは「出ていってもゝ までたっても親離れできないままです。親は、寂しいのは当然だ、子どもが出ていってせいせい しのです。 した、やっと自分のやりたいことができる、と思っていればいゝ ただ、焦って早すぎる家離れをして、かえって失敗する場合もあります。悪い仲間を頼って家 出して非行を繰り返したり、早すぎる結婚で家を出ようとしたりする。こういう場合、たいてい 2 10

5. インナーマザー : あなたを責めつづけるこころの中の「お母さん」

なかったので、現在は男さんの父親が家を継いでいます。 自殺した伯父の上には姉がひとりいましたが、亡くなっています。こちらも自殺らしいのです が、家族内ではこのことを話すのはタブ 1 となっており、男さんもはっきりとは知りません。 父親はある宗教の熱心な信者で、男さんも子どもの頃からその宗教の教義を話して聞かされ たといし ゝます。»-a 男さんは、この宗教に反発し、入信していません。父親との関係はあまりよく ありません。 *-a 男さんは長男ということで、家の商売を継ぐことを期待されていますが、拒否し ています。父親は、 *-a 男さんの妹をたいへんかわいがっており、男さん自身は、母親に溺愛さ れて育ちました。 男さんには婚約者がいるのですが、彼女の父親はアルコール依存症で、母親は数年前に自殺 しています。この婚約者は、アルコール依存の父親をひとり残して家を出ることができず、いま も面倒をみています。 *-Ä男さんは、この婚約者以外の女性とも数多くの情事を繰り返しています。 こうして見てくると、まず、周辺に「自殺」という不自然な死が多いことに気がっきます。そ れから、このジェノグラムに出てくる夫婦関係はすべてうまくいっていません。また、この家に は「家柄、「旧家」という家族神話があり、周囲の家とは違うという家族の厚い壁ができていま す。家族の中に「しゃべってはいけない」秘密があります。父親は宗教という「イズム」にも支 配されていて、家族をこのイズムでも支配しようとしています。 160

6. インナーマザー : あなたを責めつづけるこころの中の「お母さん」

親批判は父方の祖母から譲り受けたもののようでした。子さんの家は両親とも公務員で共働き でしたから、このお祖母さんが幼い <t 子さんの面倒をみてきたのです。面倒をみながら、お祖母 さんは嫁、つまりお母さんへの愚痴を子さんにたれ流していたのでしよう。よくある話です。 おび 父親が死んだとき、お祖母さんは「嫁に家を追い出される」と脅えていました。実際、数年後に は老人ホームに移り、現在もそこで暮らしています。 私との対話が繰り返されるうちに、子さんは、父親の死がいまたに実感されていない自分に 気づくようになりました。 あの日、お父さんは元気に家を出て、職場で倒れ、午後には病院で死んでいたのです。子さ んは学校から病室へ行きました。父の枕元にいる母、取りすがって泣いている祖母を見ながら、 子さんは、少し前に知り合った男の子のことを考えていました。彼の家は牧場をやっていて、 「夏休みになったら家に遊びにおいでーといってくれたのです。その楽しみのことを考えながら、 目の前の光景をばんやりと見ていました。魂が自分から抜けていく感じがしました。実際、子 さんは今でも、自分の体の内部にあるもうひとつの自分が、頭ひとっ分だけ体から浮き上がって いる感覚をはっきりと覚えています。病室を出るとき、 << 子さんはお父さんの足に触ってみまし た。生きているように温かかったそうです。 りじんしよう 子さんは、このときの放心状態 ( 離人症性障害 ) をずっと引きずって生き続けてきたので

7. インナーマザー : あなたを責めつづけるこころの中の「お母さん」

いることを当然と思えます。現実を生き生きと楽しむ自信が持てるのです。 自信の根本は「たつぶり愛された」という確信 これきょ ・二六事件で暗殺された高橋是清という大蔵大臣がいました。日本の大蔵行政の中心になっ た人です。 あしがる 彼は、江戸幕府のお抱え絵師と侍女との間に生まれた私生児で、足軽の高橋家に里子に出され、 この家の祖母にとてもかわいがられました。赤ん坊の頃に、かなり大きな菓子屋から養子にとい う話もあったのですが、この祖母は是清がかわいくてしかたなく、手離せすについに高橋家の実 子として届け出たといいます。 彼は終生にこにこした明るい楽観的な人物で、人に憎まれない性格でした。その性格を形づく ったのは、子どもの頃のこんなエピソードにあるらしいのです。 三—四歳の頃、稲荷で遊んでいると、藩主の奥方が参詣にきました。そこへ是清が這い出して しいべべだ」といったというのです。奥方が「かわ きて、奥方の着物をつかんで、「おばさん、 いい子だね , というと、是清は奥方の膝の上に這い上がってしまった。その夜、奥方が、「明日、 しいます。 あの子を連れてくるようにと ) 周囲の人は、何かお咎めでもあるのではないかとビクビクし、決して裕福ではない高橋家では 226

8. インナーマザー : あなたを責めつづけるこころの中の「お母さん」

第 5 章子どもの領域、親の領域 感じたら、子どもを子ども扱いするのはやめて、「それくらい自分でやれ」「自分で稼いで自分で 決めろ , という方向性を与える。 と 親の趣味の問題もあって、「私はいくらでもお金があるから、金も出すけどロも出したい いう人もいるかもしれません。その場合は、今度は子どものほうの問題になってきます。「ロを 出されるのを我慢して、金を出してもらう」のか、「ロを出されるのはイヤだから、金も拒否す る」のか、子ども自身が決めればいいわけです。 と思一つの 私は、「金は出すが、ロも出す」より「金は出さないが、ロも出さない」ほうがいい ですが。 家離れと自分の在り方、家族の在り方 次に物理的な距離の問題があります。ある程度の年齢になったら、家離れをするのはいいこと でしよう。それまで食事の世話も洗濯も掃除も、何もかも親にやってもらっていたのが、すべて 自分でやることになります。自分の世話を自分ですることを覚えるのは、親離れにつながります。 家を出て、ロうるさい親から逃れてせいせいして、だんだん家に寄りつかなくなり、親は寂し い思いをしながら置き捨てられていく。「たまには帰ってきておくれ」「たまには親に顔を見せて やるか」とやっているほうがいいわけです。 209

9. インナーマザー : あなたを責めつづけるこころの中の「お母さん」

えていました。肥大化していた自分がスッと等身大になれる、自分の身体の重さを感じられる、 いかに家にいて自分が緊張 そんな安ど感がやってきました。その感覚がもどってきてやっと、 しているのかがわかったというような状態です。 麻布に来ると、皆が自分のことを考えている、ここにはたしかにつらい体験をし、現在も苦 しい思いや生きづらさをかかえながら生きている人がつどっているはすなのに、他のどこにい るときよりもホッとしている自分がいる ここにいる人達は、自分のためにここにきているというだけで、とても自分にやさしい人達 だと思う。他人に過度に世話を焼く人はいす、さらりと一見冷たいようにも見えるけれど、外 しし。他人の世 にいてべタベタとした人間関係を経験している人にしてみるとなんともここち ) 話を焼かないかわりに、他人に自分の責任をとってもらおうとするようなこともないのだ。こ こでは素に戻れる。ということは、家では再び望まれているであろう自分を演じていたのだと 気づく 去年麻布に通いたてのころ、ピギナーズミーティングで先生に「ここでは周囲にのぞまれる ようにハイテンションでいる必要はありません」と開口一番、指摘されたことを思いだします。 まさに家の中でわたしのとっている姿はハイバーテンションそのものです。きっとこの家にす ごした二〇年近い年月、私はすっとそんな状態だったんだろうな、と思います。そうしている

10. インナーマザー : あなたを責めつづけるこころの中の「お母さん」

第 5 章子どもの領域、親の領域 親が過干渉で息苦しいのです。親の価値観を押しつけてきて、「このままでは自分らしさが窒息 してしまう」という危機感があるときに、子どもは無理してでも家を出ようとします。 けれども、まだ未熟で、自分で稼ぐ能力がなければ、親から離れても結局、他の者に依存する しかありません。それが悪い仲間や悪い大人であれば、またそこでも傷つくことになります。自 分で生計を成り立たせていく力がない状態での家離れは、たいへん危険なのです。 子どもが早すぎる家離れをしたいというのは、「こんな家はイヤだ」「ここには私が安心できる というサインです。親は、子どもに安全な家庭を提供できていないことに気づか 居場所がない。 なければなりません。 親と同居したままでも、精神的に自立することはもちろんできます。今まで述べてきたように、 親の領域と子どもの領域を分けて守ることです。親子といえども、きちんと「ノー」をいえる関 係をつくっておかないと、距離が近くなり過ぎてしまう。 たとえば、同居していても、そのうち子どもに配偶者がやってきます。孫が生まれれば子育て の援助の問題も出てきます。親が子どもに侵入するのではなくて、子どもが親に侵人する状況も 出てきます。 せつかく子育ても終わったと思って、自分の趣味や旅行を楽しんでいたのに、「お母さん、お 願いします」などといわれ、孫の保育所代わり、世話係にされて、不満がうつ積してしまう。 2 1 1