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検索対象: インナーマザー : あなたを責めつづけるこころの中の「お母さん」
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1. インナーマザー : あなたを責めつづけるこころの中の「お母さん」

第 4 章「親教」のマインドコントロールを解く ください。「怒る」のはよくないことのようにいわれますが、そんなことはありません。むしろ、 怒りを抑圧していると、自分が何に怒っているのかわからないままに、自分自身や周囲を傷つけ ることになります。 腹のたっことがあれば怒りがわいてくるのは当然で、お腹にガスがたまれば出てくるのと同じ くらい健康です。怒りを認めるのも自己肯定のひとつです。 怒りがわいてきたら、すぐに消そうとしないで、何に怒っているのか考えてみる。人間は言語 を持っているので、自分の怒りを相手に伝えることができます。 「私はこれこれについて不満である」 「はに変えたほうがいし ) と思う」 「私はこういうふうに生きたいんだ とロでいったり、文章に書いたりといった一一一一口語活動に変える。 それには、衝動的なものを遅延すること、我慢することも必要です。「頭にきた」といきなり 相手を殴ってしまうのではなく、まず考えてみる。「やつばりおまえのほうがおかしいじゃない か , と思えば言語活動で伝える。「よく考えてから行動しよう」ということで、これができるの にも自己肯定感、自尊心が必要になってきます。 自尊心があれば、相手の主張にも聞く耳が持てる。小さなことは我慢し、もう少し大きく自己

2. インナーマザー : あなたを責めつづけるこころの中の「お母さん」

異性のパ 1 トナーが欲しい、もう少し自分の自由になる場所を広げたい、 こんな仕事がしてみた ハソコンを買いたい、と欲望はふくらんできます。生きる意味を考えたり、精神的な活動に 時間を費やすヒマや経済力もあります。 けれども、自分自身の欲望を追求できる条件が整っているはずなのに、同時にその欲望を抑え まんえん つける「親教」も蔓延しています。通勤ラッシュの電車に毎日乗って耐えられるというのは、快 適への欲望を我慢しなければとてもできないことです。ある程度、自分の欲望を抑えることを学 ばなければ、今の世の中には適応できない。 これだけ人口密度の高いところで、自分のやりたい放題やっていたら、あっという間に社会か らはじき飛ばされてしまう。「こんなのイヤた、やってられない」と、どこかに身をひそめてし まったのでは、今度は自分の欲望を追求する選択肢を失ってしまいます。 かといって、「これが人生た、しかたないのだ」と自分の欲望をすべて「世間様、に明け渡し てあきらめてしまっては、生き生きしたインナーチャイルドが死んでしまい、ロポットの自分し か残りません。 この葛藤におちいって打開策が見出せす、インナーチャイルドが生き残りをかけて「オギャ と泣き叫んでいる状態が、病気や問題行動なのです。もっと上手にインナーチャイルドを 養って、欲望を満たしてあげられればいいのですが、それが難しいので、ただ赤ん坊が泣き叫ぶ 170

3. インナーマザー : あなたを責めつづけるこころの中の「お母さん」

第 3 章「親教」の信者たち 「親教」信者の特徴 1 〕行動が周囲の期待に縛られる むしば 「親教にはまり、「インナーマザ 1 」に蝕まれた人がどのような感情を持っているか、その特 徴を述べてみましよう。 まず、親教の信者たちは、自分自身が「こうしたい と思う行動ではなく、周囲が自分に期待 しているようにふるまお , っとします。 「良い子にしていなければ、うちの子じゃありませんよ 「人並みにしないと社会から落ちこばれて、生きていけませんよ という親教の教義に従って、世間の期待する「良い子」の自分を演じます。良い子であろうと する以外の自分を出せないので、息苦しく、行動が制限される束縛感を常に抱いています。「世 の期待といっても、本人が「こう期待されている , と心の中で思い込んでいる「インナー世 間様の期待」です。現実の、本当の周囲の期待とはズレている場合も多いのです。 親教にはまっていない人とっき合うときには、親教の教義が通用しません。相手に対する必死 の努力は空回りしてしまいます。 相手が期待する自分を演しなければ見捨てられると思うので、相手がどんなサービスをすれば 喜ぶかを読みとろうとするのですが、親教に支配されていない人は、相手に「ああしろ、こうし ろ」という強い要求がない。そこではたと困ってしまうのです。 1 2 3

4. インナーマザー : あなたを責めつづけるこころの中の「お母さん」

第 5 章子どもの領域、親の領域 しようとするのです。 子どもとの密着度が高いうえに、親自身の個別化が十分でないと、自分の子どもをひとりの個 人として生きられない「親教」の信者に仕立てあげてしまいます。これは、親と子、ふたつの餅 がべったりとくつついてしまっている状態といえます。いったんこうなってしまうと、分けるの がたいへん難しい。なんとかして別れようというところから、家庭内暴力や病気やさまざまな問 題行動が起こってきます。 ゆが 家族の中で何かの問題が起こっているとすれば、その問題が、家族関係の歪みを表していると 考えられます。とくに子どもが起こす問題は、そのほとんどが親の歪みを背負っています。逆に いえば、子どもは体を張って親の歪みを明らかにし、個別化を遂げよう、親から脱皮して大人へ と成長しよう、親の個別化にも協力しようとしているといえるのです。 子どもの問題行動は、それ自体が家族関係を変えていきます。今までの夫婦関係、親子関係の 歪みを修正していくきっかけなのです。子どもは体当たりで、親に問題行動をプレゼントしてい るのです。ですから、問題を起こす子どもはとても親孝行だといえます。こういう子どもが、年 とった父親、母親の面倒をみる場合も多い。結婚し、子どもが生まれて忙しい娘がこられないと しつまでもフラフラして金のかかっていた息子や娘がやってきて親のおむつを換えてくれ る。そういう話も多いのです。 195

5. インナーマザー : あなたを責めつづけるこころの中の「お母さん」

斎藤学 精神科医・家族機能研究所代表 第 5 章子どもの領域、親の領域 第 4 章「親教」のマインドコントロヨレを解く 第 3 章「親教」の信者たち 第 2 章私の中の「私」、私の中の「母」 第 1 章あなたのお母さんは「聖母」ではない プロローグ苛酷な批判者インナーマサ曰 ナるこころの二 あカ ' を責め ィー -- マサ - ー 新講社 中の母さん ⅧⅢⅢⅧⅧ刪 II 1 9 2 0 0 9 5 01 5 0 0 2 I S B N 4 ー 8 6 0 8 1 ー 0 2 9 ー 5 C 0 0 9 5 \ 1 5 0 0 E 新講社定価 : 本体 1500 円 + 税 斎藤学 さいとう・さとる 1941 年、東京都生まれ。慶應義塾大学医学部卒業。 アライアント国際大学・臨床心理学大学院教授。 家族機能研究所代表。アルコール・薬物依存、児童虐待、 過食・拒食症など嗜癖研究の第一人者。 日本嗜癖行動学会理事長、『アディクションと家族』編集主幹、 」 UST ( 特定非営利活動法人日本トラウマ・サバイバーズ・ユニオン ) 理事長。 著書に『家族依存症』『子供の愛し方がわからない親たぢ 『「家族」という名の孤独』『アダルト・チルドレンと家族』 『「自分のために生きていける」ということ』「「家族」はこわい』 訳書に『嗜癖する社会』『買い物しすぎる女たぢ 内なる子どもを癒す』など多数。

6. インナーマザー : あなたを責めつづけるこころの中の「お母さん」

突然仕事を辞めてしまったり、何日も家に閉じこもったり、他人から見たら理解できない行動 をとる人がいますが、その裏にあるのは、「親教ーのマインドコントロ 1 ルなのです。常に内心 の批判の声に怯えているので、他人のちょっとした言葉がきっかけになって、極端な行動を起こ してしまいます。自殺を図ったり、普段はおとなしそうな人が、突発的に暴力事件を起こすこと もあります。 逆に、非常に尊大で威張っていて、誇大妄想を持つ人もいます。これもじつは、健全な自己評 価、健全な自信のなさに由来します。 彼らは、自分の中の「親ーとセットになった「幼児」です。幼児はナルシシスティックで、自 分の限界を知らず、自分にはなんでも可能で、すべてが自分の思いどおりにいくものだと信じて います。けれども、成長するにつれ、近所のガキ大将にケンカで負けたり、成績で評価されたり、 女の子にふられたりして、適度な挫折を経験しながら、現実の自分が万能ではないことを学習し ていきます。そんな自分でも十分生きていけるし、そんな自分でも十分愛されることがわかって くのです。 ところが親教の信者は、まだ自己愛にひたった幼児のままでありたい人たちです。大人として の自分が、そうたいしたことはないとは認めたくありません。他人に、たいしたことのない自分 を知られてしまうのが怖いので、必要以上に自分を高く見せようと高慢にふるまいます。

7. インナーマザー : あなたを責めつづけるこころの中の「お母さん」

第 1 章あなたのお母さんは「聖母」ではない とうつ、フ 系、消化器系の障害、生理痛や不正出血、性交疼痛などの生殖器系の障害、月経前緊張症、慢性 ぜんそく の頭痛、思春期・成人期にまで引き続くアトピー性皮膚炎や喘息などの頻度が高し ) 。パニック発 きよ、つ」、つ 作と呼ばれるような、呼吸不全や心拍数増加、あるいは呼吸不全をともなう恐慌状態を頻回に 起こす人々もいます。 サバイバ 1 と呼ばれる人々は概して怒っています。当然のことでしようが、親への怒りがあら わで、そのことをしきりにロにします。他人への不信感も強く、治療者に対しても怒りや不信を ぶつけやすいので、扱いやすい人々ではない。 この怒りは自分自身にも向けられていますから、 ちょうばっ 自己懲罰的で、自殺や自傷と結びつきやすい、といった人々です。自己不信と著しく低い自己 評価も特徴のひとっとしてよいでしよう。サバイバーとしての自己に気づくまでは、この低い自 己評価が、他人への過度な迎合、従順さ、そして仕事依存的な完璧主義になっていたのです。 親を憎んでいるくせに、親とよく似た行動をとってしまうことも特徴のひとつです。子どもを かつぼう 持てば親と同じように虐待する親を演じてしまう。力への渇望の強い、マッチョな男になったり、 やたらに暴力で他人を支配しようとしたり、そのような男に仕える従順な女性をやっていたりし ます。 大人としての自分の行動の中に、子ども時代の自分が顔を出してしまうのもこの人々の特徴で す。サバイバーは、情緒的な発達に停滞を起こしていますから、かってのトラウマ状況によく似 2

8. インナーマザー : あなたを責めつづけるこころの中の「お母さん」

斎藤学 Satoru Saitoh 1941 年、東京都生まれ。慶應義塾大学医学部卒業。アライアント国際大学・臨 床心理学大学院教授。家族機能研究所代表。アルコール・薬物依存、児童虐 待、過食・拒食症など嗜癖研究の第一人者。日本嗜癖行動学会理事長、「ア ディクションと家族」編集主幹、 JUST ( 特定非営利活動法人日本トラウマ・ サバイバーズ・ユニオン ) 理事長。著書に「家族依存症」「子供の愛し方がわ からない親たち」「「家族」という名の孤独」「アダルト・チルドレンと家族」 「「自分のために生きていける」ということ」「「家族」はこわい」、訳書に「嗜 癖する社会」「買い物しすぎる女たち」「内なる子どもを癒す」など多数。 連絡先 : 家族機能研究所 〒 106 ー 0045 東京都港区麻布十番 2 ー 14 ー 6 イイダビル 2 F 電話 ( 03 ) 5476 ー 6041 インナーマザー ーあなたを責めつづけるこころの中の「お母さん」一 著者・・・ 2004 年 2 月 10 日第 1 刷発行 2004 年 5 月 9 日第 7 刷発行 ・・斎藤学⑥ Satoru Saitoh, 2004 企画・編集・・ ・・・株式会社波乗社 ( 0 NaminoriSha, 2004 発行者・・ 発行所・・・ ・・・大谷松雄 ・・・株式会社新講社 東京都千代田区飯田橋 4 ー 4 ー 9 ー 410 〒 102 ー 0072 電話 ( 0 め 52 ろ 4 ー 2 ろ 9 ろ・ FAX ( 0 めう 2 ろ 4 ー 2 ろ 92 振替・ 00170 ー 6 ー 615246 印刷所・・・ 製本所・・・ ・・・萩原印刷株式会社 ・・・ナショナル製本協同組合 乱丁・落丁本はお取替えいたします。 定価はカバーに表示してあります。 ISBN4 ー 86081 ー 029 ー 5 Printed ⅲ Japan.

9. インナーマザー : あなたを責めつづけるこころの中の「お母さん」

「あなたはあなたで好きなようにしててくれればいゝ などといわれると、もうどうしていいかわからす、「この人は自分を必要としていないのでは ないか」と不安になる。自分が他人にどう思われているか、他人の評価をとても気にしますし、 評価されないと傷つきやすいのです。 彼らの行動は、自分自身の欲望や好き嫌いの感情、倫理観にもとづいたものではなく、世間が し」し、周りの雰囲気を見て「おもしろくなさそう」なら「おもしろくな いだろう」というものです。 その結果、何が正当かという確信が持てず、いつも「これでいいのだろうか」という漠然とし た不安を抱えています。見逃されているうちは「これでもいいのだ」と思うのですが、「それで はダメだ」といわれるのが怖くてビクビクしています。何がよくて何が悪いのか、自分はどうし たいのか、したくないのか、自分で決められないのです。 また、親ならこういうだろう、周囲はこう思っているのではないかという恐れと不安を自分の 中に取り込んでいるので、自分で自分を責めます。非常にまじめで、心の中では情け容赦ないほ どの自己批判をしています。けれども、その情け容赦のない批判は他人にも向けられています。 いってみれば、自分にも他人にも厳しいのです。 い」といえば「い ) 124

10. インナーマザー : あなたを責めつづけるこころの中の「お母さん」

第 1 章あなたのお母さんは「聖母」ではない ば、子どもも本当の自分を窒息させてロポット化します。あるいは、ロポット化に反抗して、 ッド・チャイルドとなって吹き荒れます。家庭内暴力や問題行動を起こす子どもは、このような 家庭から生まれるものです。 さて、振り返ってみて、あなたが子どもの頃のお母さんは、どんなお母さんだったでしようか。 あなたにつくし、あなたを期待の目で縛りあげる母親だったでしようか。それとも、始終あなた に八つ当たりしたり、きようだい間で比較したり、ロうるさい母親たったでしようか。 「お母さんが、もっとこんなお母さんだったらよかったのに」 「あのとき、お母さんにいわれた一言葉が今でも忘れられない。私は傷ついたのよ」 「あんなお母さんでなければ、私もこんなふうにはならなかったのに」 と思ったこともあるかもしれません。 自分が親から傷を受けているので、自分の子どもに同じことをして仕返ししている人もいるで しよう。母親とは正反対の「良い母」になろうと必死の努力をしている女性もいるかもしれませ ん。 けれども、「聖母」のイメージは、みんなでつくりあげた幻想であり、イメージでしかないの です。現実のお母さんは、聖母ではありません。あなたのお母さんも聖母ではないのです。お母 さんが聖母でなかったからといって、がっかりする必要もなければ、どこか別のところに聖母を