城 - みる会図書館


検索対象: 三国志演義 2
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1. 三国志演義 2

ひきいて城外に出陣なされませ。それがし他の者をひきいてこの城を固めまする。曹操がもし将軍 に攻めかからば、それがし討って出て彼の背後を衝き、彼がもし城に寄せかからば、将軍がその背 後にお回り下されい。かくすれば十日もせすに、曹操の軍は兵粮尽きましようゆえ、ただ一揉みに て破ることもかなおうもの。すなわち掎角の勢 ( 第十一回注二参照 ) にござる」 「、、にも、もっともじゃ 呂布はただちに屋敷に帰って武装をととのえたが、時に厳寒の頃とて、従者に綿入れを十分用意 して行くよう命じていたところ、妻の厳氏がこれを耳にして奥から出て来た。 ーし 「どこにお出かけ遊ばしまするか」 鏖呂布が陳宮の計略を話すと、 兵「お殿様が、城を人にまかせ妻子を棄てて遠方へお出ましなされては、もし変事出来の時は、わ 曹たくしお殿様に二度とお逢いできなくなるのではございませんでしようか」 聰呂布は思いまどって三日間引きこもっていた。陳宮が罷り出て言った。 第「曹操の軍勢は四方から囲みにかかっております。今のうちに出陣いたさねば、出るにも出られな 回くなりましょ , っそ」 九 + 「わしは、遠方へ出陣するより城を固めた方がよいと思うのじゃが」 「近頃、曹操の軍勢は兵粮欠乏し、人を出して許都に取りにやったとか聞いておりますゆえ、早晩 着くことにございましよう。将軍は精兵をひきいてその糧道を絶たれるが宜しゅうございます。そ きかく しゆったい

2. 三国志演義 2

昭を許都へ返し、軍勢はそのまま留めて徐州の防備にあたらせることとするとともに、自ら城外に 出て離散した領民にもとの仕事にもどるよう諭して回った。 ここに朱霊・路昭が許都に立ち帰って曹操に見参し、玄徳が軍勢を離さぬ由を語ると、曹操は大 じゅんいく いに怒って、この二人を斬ろうとした。ところを荀彧から、 「劉備に軍権を与えておりましたからには、この二人ではどうしようもござらぬではありませぬ じ 論と言われて、これを赦した。荀彧から重ねて、 を だましうち しゃちゅう 雄「車胄に書面をやって騙討にさせるが宜しゅうございます」 て と一言われて、曹操これにしたがい、ひそかに人を車胄のもとにやって、命令を伝えさせた。車胄 ちんとう をはただちに陳登をまねいて協議した。 操陳登は、 「それはいと易きこと。 いま劉備は領民を呼び返すために城外に出ておりますが、間もなく帰って 回 ようじよう 一参りましよう。将軍には、あらかじめ甕城 ( 城門を守るため城外に設ける小城 ) に兵を伏せておき、 やぐら 第出迎えると見せかけて、帰参したところを一刀のもとに斬って棄てられれば、それがし櫓から後に 続く者どもを射すくめて進ぜまする。事はこれにて片づきましよう」 と言い、車胄はこれに従うこととした。

3. 三国志演義 2

かくて三軍懼れおののき、軍律を守らぬ者はなかった。彳 麦の人がこれを論じた詩に、 十万の貔貅十万の心なれば 一人の号令衆を禁じ難し 刀を抜き髪を割きて権に首と為すに はじめ そうまんさじゅっ 方て見る曹瞞の詐術深きを し さて張繍は曹操が兵をひきいてきたると知って、急ぎ劉表に書面をもって後援を頼むとともに、 らいじよちょうせん 起 雷叙・張先の二将とともに手勢をひきいて城外へ出陣した。両軍布陣を終わるや、張繍馬を乗り を 七出して曹操に指つきつけ、 はれんち 「貴様のような仁義の皮をかぶった破廉恥なやからは、鳥獣と同じだ」 きょちょ 大 と罵った。曹操大いに怒って許褶に出馬を命じた。張繍は張先に応戦を命じたが、ただ三合にし 路 てたちまち馬から斬って落とされ、張繍の軍勢が総崩れとなるところを、曹操が軍勢を励まして南 回陽城下に押し寄せた。張繍は城内に入り、門を閉ざして出ようとしない。曹操は城を取り囲んで攻 + め立てたが、壕が広く深くて急には近寄り難いのを見て、兵士どもに土を運んで来て埋め立てさせ、 やぐら また土の袋や薪・わら束などを城近くに積み上げて足場をつくらせ、さらにまた櫓を組んで城内を すみ うかがわせた。曹操は自ら騎馬で城のまわりをつぶさに見て廻っていたが、三日目に、西門の隅に つわもの おそ

4. 三国志演義 2

258 いたのか」 と喜んだ関公は、前もって孫乾を知らせにやり、二人の嫂を迎えに来るよう伝えさせた。 ばうとう さて張飛は芒陽山中にひと月あまり住んでいたが、玄徳の消息をさぐろうとして山を出、たまた ま古城を通りかかったので、兵粮を借用しようと思って城にはいった。ところが県の役人が承知し なかったので、怒った張飛は役人どもを追い払い、県令の印を奪いとって城を乗っとり、ひとます 腰を落ち着けていたものである。その日、孫乾は関公の命を受けて城に入り、張飛に会って挨拶し えんしよう てからこれまでの事をつぶさに物語り、玄徳が袁紹の許を立ち退いて汝南に向かったこと、また、 きよと いま雲長が許都から二人の夫人を守ってここまで来ているから出迎えるようにと言った。張飛はこ れを聞くや、返事もせずに。をつけ矛を取 0 て馬にまたがるなり、千人余りの同勢を引き連れて北 門から駆けて出た。孫乾はあっけにとられたが、尋ねることも憚られたので、そのまま後について 城を出た。関公は張飛の来るのを眺めて喜びをおさえかね、薙刀を周倉に持たすと、馬を躍らせて 迎えに出た。ところが、張飛は丸い眼をさらに丸くし、虎のような鬚を逆立てて、雷のようなおめ き声とともに矛先を関公に向けて突っかかって来た。 関公は仰天して飛びのき、 とうえん 「弟、何をするか。桃園の誓いを忘れたか」 「なにが、義理を知らぬ野郎め、どの面さげてここへ来た」 「なに、わしが義理を知らぬと」 そんけん つら

5. 三国志演義 2

「それがし、下郵城にたとえ二十万の兵ありとも、立ち所に破ってのける計がございます」 じゅんいく 荀彧が、 「沂水、泗水の水を切って落とすのではござらぬか」 と一一 = ロうと、郭嘉笑って、 「おお、いかにも」 曹操は大いに喜び、すぐさま兵士に命じて両河の水を決壊させた。曹操の軍勢がみな高原に陣取 あま って、下郵の城が水に囲まれるありさまを目の下に眺めていれば、城はただ一カ所東門を剰して、 他の各門はすべて水につかった。兵士らがこの由を知らせに駆けつければ、呂布は、 「わしには、水中も平地を行く如き赤兎馬がある。それくらい何でもないわ」 と、連日妻妾をはべらせて美酒にふけっていた。しかし、酒色が過ぎて、衰えの色は次第に相貌 にも現われて来た。一日、鏡を手にして己の顔を見た呂布は、驚いて、 「わしは酒色に身をあやまった。今日から、断じて手を触れぬそ」 と言い、酒を口にした者は斬って棄てると城内に触れた。 うまや 一、うせい さて侯成は馬十五頭を持っていたが、これを廐の小者が盗み出して玄徳に献上しようとした。侯 か - も 成はこれを追いかけて斬り殺し、馬を奪いかえした。諸将が祝いに来たので、酒を五、六石醸し、 やかた かめ 一同と酒盛をしようとしたが、呂布の達しもあることなので、まず酒五甕をたすさえて呂布を館に 訪ね、 ぎ

6. 三国志演義 2

130 陳登が帰宅して父陳珪にこの由を話すと、陳珪から前もって玄徳に知らせておくよう命じられ、 すぐさま馬を飛ばすところ、関・張が帰って来るのに出会ったので、かくかくしかじかと告げた。 もともと関・張は玄徳より一足先に帰って来たものであったが、張飛はこれを聞くなり、ただちに 城へ攻めかかろうとした。ところを雲長に 「向うが甕城に待ちうけているというからには、行けば必ずやられる。わしに車胄を殺す手がある。 あざむ おび 夜にまぎれて曹操の軍勢が徐州に着いたように騙き、車胄を誘き出して殺すのだ」 と言われて、いかにももっともと思いとどまった。おりもよし彼らの部下は曹操の旗じるしを よろい 前々から持っており、軍衣や鎧もすべて同じであったので、その夜の三更に城下に行って門を開け ちょうぶんえんちょうりよう すいか ろと叫んだ。城壁の上から誰何されると口々に曹丞相より派遣されて来た張文遠 ( 張遼 ) の軍勢 だと答えた。知らせを受けて車胄が、急いで陳登を呼んでこれを諮り、 「迎えに出ねば、疑いをかけられる恐れがあるし、またうかつに出て企みにかかるのも困る」 と言って櫓に上り、 「この闇夜では見分けがっきかねる。夜の明け次第お目にかかろう」 と一言ったところ、下からは、 「劉備に知られては一大事。早く開けて下されい」 との答え。なお心を決めかねているところへ、城外の開門開門の声しきりに起こったので、えい ままよと車胄、鎧を着、馬にまたがり、兵一千をひきいて城門を駆けて出、吊り橋を一気に渡って、

7. 三国志演義 2

122 「それは、なにとぞ詳しくお話し下されい」 とい , っと、 えきけい 「公孫璟は袁紹との数度の合戦に敗れて「冀州に退き〕城を築き、城壁を固めて、その上に易京楼 ろうじよう と名づける高さ十丈の楼閣を建て、粟三十万石を城内に貯えて籠城に備えたうえ、しきりに軍勢 を出して戦わせておりましたるところ、一隊が袁紹の軍に取り囲まれ、城内の者どもがこれを救い に討って出たいと願い出ました。しかるに公孫環が『一人を救えば、この先誰も救援ばかり当てに いっしゅう して命がけの戦いをしようとしなくなろう』とそれを一蹴したので、袁紹の軍が攻め寄せたおり に、多くの者が降参いたしてしまいました。公孫璟は無勢となったので、許都へ加勢を求めるべく ちょうえん 使者を出しましたるに、はからすもその使者は袁紹の軍に取りおさえられ、次には張燕へ使者を やって、火の手を合図に内と外から攻めかかる旨を申し送ったところ、これまた袁紹の手に落ちて、 袁紹の軍勢が城外に火の手をあげましてございます。かくして公孫璟が自ら出陣したところ、伏勢 第一も に四方から討って出られ、軍勢の大半を失ったのでございます。そこで城中に立て籠ったところ、 袁紹の軍勢が公孫環の本陣とした楼閣の下まで坑道を掘りぬいて火を掛けましたため、公孫環は逃 げるすべもなく、妻子を殺した上で自ら縊れて果て、一家ことごとく灰となりました。かくて今や 袁紹は公孫環の軍勢をも配下に収め、大いに威勢をふるっておりまする。一方、袁紹の弟袁術は淮 南にあって栄耀栄華をきわめ、兵士や人民のことを忘れ果てておったため、人心ことごとく離れる ぎよくじ ありさま。よって袁術は人を袁紹のもとにつかわして帝号を譲りましたるに、袁紹から玉璽を所望 くび きよと

8. 三国志演義 2

さて簡雍は許都に着いて曹操に見え、事情をつぶさに説明した。曹操はただちに幕僚一同を呼び 集めて協議した。 「わしは呂布を討とうと思うが、袁紹の手出しはさておき、劉表・張繍が留守を狙いはせぬか気が かりなのじゃが」 じゅんゅう と曹操が言うと、荀攸が、 えん 「かの二人は敗れたばかりのこととて、まだ軽々しくは動きますまい。呂布は勇猛な男。もし袁 し じゅっ わい 術と結んで淮水・泗水一帯に羽根をのばされては、ますます面倒な事になりましようぞ」 し と言い、郭嘉も、 決 むはん を「このたび初めて謀反いたし、まだ人心をつかまぬいまのうち、早々に攻めるが宜しいかと存じま て かこうとんかこうえんりよけんりてん を曹操はこれに同意して、すぐさま夏侯厚と夏侯淵・呂虔・李典らに兵五万を与えて先行させ、自 和ら大軍をひきいて陸続と打ち立った。簡雍はこれに随行した。この事を早くも物見の者が高順に知 ・一うせい かくぼうそうせい 賈らせ、高順は呂布に早馬を飛ばせた。呂布は取敢えず侯成・邦萌・曹性らに二百騎を差し添えて高 回順の加勢に向け、ト / 沛城から三十里のところで曹操の軍勢を迎えさせるとともに、自らも大軍をひ + きいてその後詰をした。玄徳は小沛城内より高順が退去して行くのを眺めて、曹操の軍勢が来たこ とを知ったので、孫乾に城を、糜竺・糜芳に家族をまかせて、己は関・張二公とともに城内の全軍 をひきいて城を出、曹操の軍に呼応すべく、左右に開いて陣を取った。 まみ

9. 三国志演義 2

「皇叔はいずれにおわす」 と訊くと、劉辟の言うのに、 えんはんしょ 「皇叔はここに数日おられましたが、われらの軍勢が少ないので、ふたたび河北の袁本初のところ へ相談。 , こ帰られました」 関公が暗い顔をすると、孫乾が 「気を落とされることはありませぬぞ。もう一度河北へ出直して皇叔にお知らせし、古城にお迎え きすればよいではござりませぬか」 を と言うので、関公もげにもとうなすき、劉辟・襲都と別れて古城にとって返し、張飛にこの由を 疑 弟伝えた。すると張飛が河北へ同行しようと言うので、関公がそれを止めた。 て「われらが落ち着いておれるのは、この城ただ一つなのだから、軽々しく棄てたりはできぬ。わし 斬がもう一度、孫乾といっしょに袁紹のところへ行き、兄者にお会いしてこちらにお迎えすることに 陽しよう。そなたはこの城をしつかり守っておれ」 がんりようぶんしゅう 「兄貴は顔良や文醜を斬っている。行っては危い」 回 「いや大丈夫じゃ。向うへ行ったら様子を見てうまくやる」 十 と関公は、周倉を呼んだ。 第 はいげんしよう 「臥牛山の裴元紹のところには、都合どれくらいおるか」 「四、五百もおりましようか」

10. 三国志演義 2

「ご厚恩のほど、厚く厚くお礼申し上げます」 たまもの 3 「今日こうしてそなたに会うことのできたのは、天の賜物じゃ。今宵、わしの伽をしてくれれば、 都へ連れ帰って思いのままの暮しをさせてもやろうが、どうじゃ」 鄒氏はひれ伏して礼を述べ、ともに幕中に一夜を送った。 「このまま城内におりましては、張繍が疑いをもちましようし、ほかの者がとやかく申すのではご ざいませんでしようか」 「明日、そなたを城外の陣屋へ連れて行ってやる」 翌る日、曹操は城外に移り、典韋を本陣に呼んで幕外に宿直させ、余人は呼ばれぬ限りみだりに 立ち入ることを禁じた。よって、内外の出入はとだえ、曹操は連日鄒氏との歓楽に耽って、帰京の ことも忘れ果てていた。 張繍の家人がひそかにこの旨を告げたので、張繍は、 「おのれ曹操、馬鹿にするにもほどがある」 と怒り、賈訒を呼ぶと、賈訒は言った。 「これは外に洩らすことなりませぬ。明日、曹操が軍務を見に出た時、かくかくしかじかになさい ませ」 次の日、曹操が幕中にいるところへ、張繍が罷り出て、 「このたび降参いたしましたそれがしの配下にしきりに脱走する者が出ております故、本陣のそば てん とのい とぎ ふけ