メルトダウン - みる会図書館


検索対象: 原発の闇を暴く
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1. 原発の闇を暴く

本当にこわいことはメディアに出ない 広瀬まことに班目春樹は筆頭責任者だ。あの男のことは次の章でとことんやりましよう。 現時点ではっきり言えることは、五月一二日に、東京電力が「一号機の原子炉圧力容器 内の水位計を点検、調整した結果、水位が燃料棒 ( 長さ四メートル ) の上部より約五メー トル低いことが分った」と発表し、燃料棒が完全に露出している計算になるので、実際に は「メルトダウンを起こして、燃料棒が原子炉の底に落下している」ことが明らかになっ た。こうして最悪のメルトダウンを認めたのだから、これまでのすべての報道は嘘だった ということです。しかしちょっと待ってくださいよ。日本では関係者やメディアが驚いた し、、、 : 私は、こんな原子炉の様子をすっと前に知っていたんだよ。明石さんも知って いたと思うけれど、「ニューヨーク・タイムズ」がその一ヶ月以上前の四月五日に、原子 炉内の状況について「メルトダウンした燃料はどこに落下し、どのような形状になってい るかが問題である。どこまで水があり、原子炉内がどのような状況にあるか不明である。 福島では、これから何があってもおかしくない」と警告していたじゃな、ゝ。 いや、もっと大変な事実が、そのあとで明らかになった。五月一五日に、ついに事実を 2 ろ第一章今ここにある危機

2. 原発の闇を暴く

つきる。 この視点から、明石さんと、まず初めに福島メルトダウン事故について、全体像を語り 合ってから、論点を明確にしばってゆきたい。

3. 原発の闇を暴く

専門家を名乗る御用学者は「水素爆発で原子炉建屋は吹き飛んでも、圧力容器は健全だ」 と解説をしていた。が、しばらくすると圧力容器「健全」説は破綻し、メルトダウンして いたことが明らかになる。環境への放射能の放出量にしても、事故発生からの数日間だけ で実に七七京べクレル ( 行 x 川の乗べクレル ) にも及んでいるのだという。住民の健康被 害が顕在化するのも時間の問題だろう。 と思う。ただし、電力会社 そんな中、おそろしい本が出来上がってしまったものだ や御用学者にとって、ではあるが。 誰が見ても最悪の状況になっているにもかかわらず、それでも「安全」「大丈夫」と叫 び続けている人々がいる。これだけの事故を起こしてもなお「それでも原発は日本に必要 うそぶ だ」と嘯き続けている人々もいる。そんな彼らの正体をここまでストレートに暴いている 書籍は他にないだろう。 なぜ彼らはことさらに「安全」を叫び、原発を擁護しなければならないのか。その背景 とインチキ満点のカラクリが分ってしまえば、怒りの感情しか湧いてこない。今回、久し ぶりに広瀬さんととことん語り合って、ます私自身が大変勉強になった。 251 あとがきにかえて

4. 原発の闇を暴く

阪神大震災が起こって以来の日本は、この通り地震の活動期に入って、今回の東日本大 震災よりはるかに大きな揺れが続発してきた。ほとんどが二〇〇〇ガルを軽く超えている。 しかもこの激動は、これから数十年続くんだよ。数十年だ。耐震性はすべてチェックを受 けている原子炉が五〇〇ガルで壊れたんだから、私が予測した通り、日本の原発は、どこ でも普通の地震が来れば終りになることが、明らかになったわけだ。今年まで大事故がな かったのは、たまたま原発が地震の直撃を受けなかっただけだ。だから私は『原子炉時限 爆弾ー大地震におびえる日本列島』 ( ダイヤモンド社 ) を書いたんです。 そして福島第一原発の今の状況ですが、燃料棒を取り出すまで、放射能の流出が続きま す。ところがメルトダウンした燃料棒がぐちゃぐちゃのかたまりになって、原子炉か格納 容器のどこかに落ちているので、放射能のかたまりを取り出せない。つまり空へ、海へと、 放射能の大量放出が続くということです。 私はね、そうした絶望的な事実をほとんど伝えすに、国民に対して気休めばかりを発信 してきたメディア、特にテレビですが、彼らの責任が最も重大だと思います。東電のウソ

5. 原発の闇を暴く

彦先生に協力していただき書き上げたもので、単なる「作り話」ではないのです。浜岡原 発の近くでマグニチュード八クラスの大地震と津波が発生し、炉心の冷却に失敗したこと で核燃料の約半分が溶融落下 ( メルトダウン ) して水蒸気爆発を起こし、大量の放射能が 格納容器を突き破って環境中に放出される そういう設定でのシミュレーションでし たが、福島ではまだ水蒸気爆発こそ起こってはいないものの、まさにこのシミュレーショ ン結果に近いことが「現実の話」になっています。 広瀬いや、今回の事故を予測する正確なシミュレーションでした。つまり、小出さん、 明石さんが指摘していたことが、目の前の現実になったわけです。 明石一方の更田は、この連載記事が「誤情報」だとして、「発生確率が極めて小さい事 せんどう 故の被害を極めて過大に推測し意図的に国民の不安を煽動するもの」と一方的に決め付け てくれました。しかし、どれだけ勇ましく豪語しようと、彼がそう判断した肝心の科学的 根拠を示すことができないのです。これでは、大人の読者を説得することはできません。 ひばう 御用学者の彼らに共通しているのは、勇ましい言葉を語りながら誹謗してくるわりに、 僕の書いた記事に対して何一つ誤りを指摘できないことです。「科学者」を名乗るくせに、 116

6. 原発の闇を暴く

隠せなくなって、東京電力の関係者が「一号機では津波より前に、地震の揺れで圧力容器 や配管に損傷があった」ことを初めて認めたのです。福島第一原発の元設計技術者で、サ イエンスライターの田中三彦さんが指摘していた通りの重大事です。そして翌一六日には、 「二号機・三号機もメルトダウンを起こしていた」ことを明らかにしました。さらに一六 日、東京電力は一号機の非常用復水器が本震直後、つまり津波が来襲する前から三時間停 止していたことを公表しました。運転員が停止したと言うが、実はこれも嘘で、地震の衝 撃で破損していた疑いが濃厚です。五月二四日には、三号機でも ( 非常用炉心冷 却装置 ) の高圧注水系配管が、わすか五〇七ガルの地震の一撃で破損していたことが判明 した。最高ランクの耐震性を持っ機器が、この程度の揺れで壊れてしまうのだ。さらに東 京電力の公開資料を追跡したところ、一号機と二号機でも、地震で配管が破損していたこ とが明らかになった。要するに、この一連の事実は、「原発は地震の揺れには耐えたが、 津波によって事故が起こった」という、これまでの東京電力の発表が、すべてデタラメだ ったということです。なんと、爆発した一・二・三号機とも、地震の揺れでぶつ壊れてい たんだ。津波じゃない。 しかもその揺れというのが、ほんの五〇〇ガル前後だよ。

7. 原発の闇を暴く

このとき衣笠の上に立っていたのが、所長だった垣見俊弘だ。ほとんどすべての電力会 社の原発立地に関わり、原子力委員会の原子炉安全専門審査会の委員や通産省の顧問をつ とめ、全国で「 " 地質は安全。の保証人」と批判されてきた人物です。衣笠はその垣見と る 一緒に、柏崎刈羽原発の断層についての安全審査に関わって、東京電力が活断層を無視し す 弾 ていることを放任していた。これが、新潟県中越沖地震で大事故につながったのだ。 明石柏崎刈羽原発は、二〇〇七年七月一六日に起こったマグニチュード六・ 八の中越沖 者 地震で被災して、三号機では火災まで起こっています。僕も事故後三日目に取材で現地に 任 乗り込んだのですが、現場を見てゾッとしました。運よく暴走事故にまでつながらなかっ の 故 たからよかったものの、もしチェルノブイリのような暴走事故にまで至っていたら : 事 発 原 広瀬ひどい事故だった。あれが福島第一メルトダウンの予行演習だ。二〇〇四年にもマ 章 グニチュード六・ 八の新潟県中越地震が内陸で起こっていますが、あの時、観測史上最大 第 の二五一五ガルを記録した大地震でも、柏崎刈羽原発はタカをくくって運転を止めなかっ た。三年後の二〇〇七年の中越沖地震は内陸ではなく海側で、震源が原発からわずか一一三

8. 原発の闇を暴く

三月二六日に運転四〇年の寿命を迎えようとしていた福島第一原発一号機について「最長 六〇年の運転可能」という報告書を提出した、張本人が関村ですよ。ところがその福島第 一原発一号機でメルトダウン事故が起こると、 Z テレビにコメンテーターとして出ず つばりで「原子炉は冷やされている。冷静な対応を」などと見当違いの発言をくり返した。 ほかにも関村は、経産省管轄の原子炉安全小委員会 ( 通称・炉小委。原子力安全委員会委員長 る の班目春樹が、この炉小委の委員長も二〇一〇年六月まで兼任。委員メンバーは東大教授陣が多数け を占める ) の委員を務めるなど、原子力政策を率先して推進してきた人物だから原発に不を ち 利なことを一言うわけがない。 この炉小委が、公式資料として原子炉の安全設計について検 者 任 討課題を出しているけれど、そのほとんどの条項に「耐震設計を除く」と書いてあるので 責 の 故 すよ。耐震性を考慮しない案のどこが安全設計なのだ。 事 発 それにしても、関村の″解析能力〃しし こま呆れたね。三月一四日に >OX 燃料を使用した 原 章 三号機が水素爆発を起こし、建屋の鉄骨がグニャグニヤになるほど破壊されたというのに、 第 二七日には 翌日の Z 「ニュースウォッチ 9 」では「炉心溶融はありえない」と言い 冷却水漏れの可能性を聞かれて「その可能性はきわめて低い」と言い、高濃度の汚染水が

9. 原発の闇を暴く

原発の闇を暴く広瀬隆・明石昇一一郎 原発の闇を暴く 広瀬隆・明石昇二郎 広瀬隆 ( ひろせたかし ) 一九四三年生まれ。作家。著書に『二酸化炭素温暖化説の崩壊』 ( 集英社新書 ) 、 『福島原発メルトダウン』 ( 朝日新書 ) など。 明石昇一一郎 ( あかししようじろう ) 一九六一一年生まれ。ルボライター。著書に『原発崩壊』 ( 金曜日 ) 、『グーグルに異 議あり ! 』 ( 集英社新書 ) など。 H 一「 0 胃 Takashi Akashi Sho ) 一「 0 集英社新書〕好評既刊 ◎一一酸化炭素温暖化説の崩壊 ◎資本主義崩壊の首謀者たち ◎アメリカの経済支配者たち ◎アメリカの巨大軍需産業 ◎アメリカの保守本流 ◎グーグルに異議あり , ◎原発列島を行く ◎狂気の核武装大国アメリカ ◎イランの核問題 ◎携帯電磁波の人体影響 、まだ収束への見通しがたたない福島第一原発事故。根拠な しき安全・安心神話を振り撒き、リスクと利権を天秤にかけ て後者を選択した「原子力関係者」たちの所業が招いた「人災」は、 いまも被害を拡大し、汚染を進行させ、人々の暮らしを破壊し ている。 原発震災の危機をかねてから予測し、警鐘を鳴らし続けてき た作家とルボライターが、事故を招いた構造とその責任の所在 を、徹底的に白日の下にさらす。危機にある国民が「原発」につい て真摯に考えるための、必読の一冊ー 9 7 8 4 0 8 7 2 0 6 0 2 9 1 9 2 0 2 5 6 0 0 7 6 0 6 I S B N 9 7 8 ー 4 ー 0 8 ー 7 2 0 6 0 2 ー 9 ヘレン・カルディコット テレーズ・テルペシュ 矢部武 鎌田慧 広瀬隆 広瀬隆 広瀬隆 広瀬隆 広瀬隆 明石昇一一郎 C 0 2 3 6 \ 7 6 0 E 定価ー 0 0 1i5d0n1 ・ pilOt 集英社新書 集英社新書

10. 原発の闇を暴く

き小 , ん、がキ、 広瀬隆 明石昇二郎さんとは、絶えず連絡を取り合ってきた仲だが、再会するのは久しぶりであ る。集英社で二人の対談書を出すことになったが、このように悲惨な福島第一原発事故を 前にして再会することは、互いに無念でならない。私自身はすでに『福島原発メルトダウ ン』 ( 朝日新書 ) を緊急出版し、また書店には、反原発の書がかなりの数、出ている。色々 な立場の人が発言することに意味はあるが、本を買う読者にとってみれば、「明石と広瀬 がつくる本」であるなら、やはり原子力を推進してきた連中を、実名を挙げて徹底的に糾 弾する、特徴ある内容にしなければならない。何しろ明石氏はすっと、「責任者出て来い」 という論法で、胸のすくような記事を書いてきた変り者だ。二人で、原子力の闇を暴きた なぜ福島第一原発で炉心溶融の大事故を起こして、子供たちが苦しむような世界を日本 7 まえがき