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検索対象: 空飛び猫
4件見つかりました。

1. 空飛び猫

の上にばっかりと浮かんでいましたが * 、やがて下におり ると、翼を丁寧に畳み、徊埆反を食べました。少女はばかん と、ロをあけて、こんなの信じられないという顔でそれを 眺めていました。その目は満月のお月さまのようにまん丸 くなっていました。 その翌日、ハリエットとロジャーは一緒に森の中から飛 んできて、おそるおそる切り株の上に浮かんでいました。 スーザンは今度は切り株から四メートルくらい離れたとこ ろに、ハンクという十二歳のお兄さんと一緒に並んで座っ ていました。ハンクは妹が見たという空飛ぶ猫の話を笑い とばして、はなから信じなかったのです。 でも今ではハンクはこれ以上まん丸くできないというく らい目を丸くして、息をすることさえ忘れていました。 劇ラ 9

2. 空飛び猫

前足や尻尾なんかと一緒に、毎日綺麗になめて洗ってやり ました。そしてときどき、なんでしようねこれは、と頭をひ ねるのですが、食料集めや子育てにおおわらわですから、 そんなわけのわからないことをいつまでも考えている暇は ありません。 きれい

3. 空飛び猫

「あとがき」 僕はアーシュラ・ K ・ル = グウインの小説も、猫も ( もち ろん翼のはえていない猫でも ) 、どちらも大好きなのに んな絵本があることを、つい最近まで知りませんでした。 ある親切な読者の方が「村上さんなら、 ' ういうのを訳し てみたいと思われるんじゃないでしようか」という手紙と 一緒に、僕にこの本を送ってくださって、それでやっと手 に取ったような次第です。もちろん、表紙を一目見たとき から、僕はこの本を翻訳しようと決心しました。だって木 の枝にとまった四匹の猫に翼がはえているのだから、これ はどうしたってやらないわけにはいかないですよね。 ル = グウインは SF ファンタジー作家というジャンルに一 応入れられている人ですが、とてもうまい綺麗な文章を書 く人で、女生の文章家の中では僕がいちばん好きな人のひ 77

4. 空飛び猫

講談社文庫刊行の辞 二十一世紀の到来を目睫に望みながら、われわれはいま、人類史上かって例を見ない巨大な転 換期をむかえよ、つとしている 世界も、日本も、激動の予兆に対する期待とおののきを内に蔵して、未知の時代に歩み入ろう としている。このときにあたり、創業の人野間清治の「ナショナル・エデュケイター」への志を 現代に甦らせようと意図して、われわれはここに古今の文芸作品はいうまでもなく、ひろく人文・ 社会・自然の諸科学から東西の名著を網羅する、新しい綜合文庫の発刊を決意した。 激動の転換期はまた断絶の時代である。われわれは戦後二十五年間の出版文化のありかたへの 。いたすらに浮薄な 深い反省をこめて、この断絶の時代にあえて人間的な持続を求めようとする 商業主義のあだ花を追い求めることなく、長期にわたって良書に生命をあたえようとっとめると ころにしか、今後の出版文化の真の繁栄はあり得ないと信じるからである。 同時にわれわれはこの綜合文庫の刊行を通して、人文・社会・自然の諸科学が、結局人間の学 にはかならないことを立証しようと願っている。かって知識とは、「放自身を知る」ことにつきて 現代社会の瑣末な情報の氾濫のなかから、力強い知識の源泉を掘り起し、技術文明のただ なかに、生きた人間の姿を復活させること。それこそわれわれの切なる希求である。 われわれは権威に盲従せす、俗流に媚びることなく、渾然一体となって日本の「草の根」をか たちづくる若く新しい世代の人々に、心をこめてこの新しい綜合文庫をおくり届けたい。それは 知識の泉であるとともに感受性のふるさとであり、もっとも有機的に組織され、社会に開かれた 万人のための大学をめざしている。大方の支援と協力を衷心より切望してやまない 一九七一年七月 野間省一