羊男のクリスマス - みる会図書館


検索対象: 空飛び猫
39件見つかりました。

1. 空飛び猫

イ〉号堙 39 空飛び佃 CATWINGS 1 膸 str 郎 16 by : 第 0. 日、 INDVÉ第 I S B N 4 ー 0 6 ー 2 6 5 2 1 0 - 1 C 0 1 9 7 \ 6 0 2 E ( 0 ) アーシュラ・ K•ル = グウイン 村上春樹 = 訳 S. D. シンドラー = 絵 9 7 8 4 0 6 2 6 5 2 1 0 2 1 9 2 0 1 9 7 0 0 6 0 2 1 ノルウェイの森上下 風の歌を聴け ダンス・ダンス・ダンス上下 1973 年のピンホール 遠い太鼓 庫羊をめぐる冒険上下 社夢て会いましよう ( 糸井重里と共著 ) 国境の南、太陽の西 空飛び猫 ( 訳 ) 上カンガルー日和 一三ロ 帰ってきた空飛び猫 ( 訳 ) 村回転木馬のデッド・ヒート やがて哀しき外国語 羊男のクリスマス よし四兄弟、セルマ、ロジャー イエームス、ハリ ェットは、お母さん もため息をついたくらい、翼をはやして 生まれてきた猫たちです。荒れた町から 森へ飛んでいった彼らはハンクとスーザ ンの心やさしい兄妺に出会うのですが ルグウインの世界を村上春樹さんが美 しい日本語に翻訳した素敵な童話です。 空飛び猫 アーシュラ・ K ・ル = グウイン | 村上春樹訳 S. D. シンドラー絵 定価 : 本体 602 円※消費税が別に加算されます。 カバー装画・・シンドラー カバーデザイン坂川栄治 = : ロニ = ロ十・ 社立庫 火火 一三ロ Y602 む 6 ヨ 5

2. 空飛び猫

「そいつはあなたのことを蹴飛ばした ? 」 「そいつは何か投げてきたかい ? 」 「いいえ、私が空を飛んでいるのをただじっと見ていただ け。目をまん丸くしていたわ。まるで猫みたいに」 「お母さんがいつも言っていたわ」とセルマが大人びた声 で言いました。「もしお前が良い『手』をみつけたら、もう 自分で耳を探す必要はなくなるんだよ。でもそれがいけな い『手』だったら、それは犬よりもたちが悪いって」 「あれは良い方だったと思うな」とハリエットは言いまし 0 「どうしてお前はそう思うの ? 」とロジャーが、まるでお 母さんみたいな口調でききました。

3. 空飛び猫

「『手』のことは覚えてるかい ? 」とロジャーが尋ねまし 0 「ええ、覚えているわ」とセルマが答えました。「一度それ が私を持ち上げたことがあるの。まだほんの子猫のときだ ったけれど」 「それでどんな目にあったの ? 」とハリエットがききまし 「それは私をぎゅうっと握りしめたの。痛かったわよ。そ してその『手』の持ちぬしはこう叫んだのよ。『翼だ ! 翼 こいつには翼がついている ! 』、そいつはずっと、馬 鹿みたいな声でそう叫びつづけていたのよ。私のことを掴 んだまま」

4. 空飛び猫

他のアライグマたちもみんなそれに仲間入りして、金切 り声をあげ、ひっかきあい、汚い言葉をまき散らしていま 0 「ああいうのが聞こえると、昔住んでいた路地のことを思 い出すね」とジェームズが言いました。 「『靴』のことを覚えている ? 」とハリエットがなんとなく 懐かしそうに言いました。彼女は丸々と太っているように 見えましたが、それはたぶん体つきが小さいせいでしよう。 それに比べると、他の兄弟たちはみんな痩せこけて、なん だかみすばらしく見えました。 「うん、覚えているよ」とジェームズが言いました。「あい つらに一度追いかけられたことがある」 劇 5 。

5. 空飛び猫

初夏のある夜に、タビー兄弟たちは巣の中で丸くなって 寝ていました。みんないささか疲れて、気落ちしていまし けんか た。隣の木に住んでいるアライグマの一家は大声で暄嘩を していました。セルマは一日かけてトガリネズミー匹を捕 まえるのがやっとでしたし、それを食べたおかげで消化不 良になっているようなありさまでした。ロジャーといえば、 その午後はもう少しでモリネズミを捕まえられるところだ ったのに、コヨーテに追い払われてしまったのです。ジェ ームズの魚釣りもあまりうまくいきませんでした。フクロ ウが羽ばたきの音も立てずに、黙りこくったままずっとそ の辺を飛び回っています。 隣の木の上で、二匹の若いアライグマたちが喧嘩を始め ました。相手を罵ったり、侮辱したりしていました。 ののし

6. 空飛び猫

フクロウはそんなに素早く物ごとを呑み込むことができ ないのです。ゆっくりと時間をかけて物を考える性格なの です。それは春の終わりごろでした。フクロウが、生まれ たばかりの二羽の子フクロウを優しい目でじっと見守って いると、そのそばをジェームズがコウモリを追いかけなが らすいすいと飛びすぎていったのです。そしてフクロウは ゆっくりと考えました。「そんなことは、まったく、いけな そしてフクロウはふわっと大きな灰色の羽を広げ、ジェ かぎづめ ームズのあとを追っていきました。その鋭い鉤爪をぐっと 開いて。

7. 空飛び猫

小川の魚は何も言いませんでした。魚は決して口をきか ないのです。不公平だとか、そういった問題に対して魚が どんな意見を持っているかなんて、これはまず誰にもわか りません。 「今朝のことなんだけどね、僕は小枝をくわえて巣に向か っていたんだ。すると我が家の樫の木のてっぺんからだ ね、猫が舞い降りてきて・・・・・・いいかい、猫が舞い降りてき たんだよ、空中に浮かんだまま僕にむかってにやっと笑い かけたんだ ! 」とッグミは言いました。他の小鳥たちは一 斉に叫び声を上げました。「とんでもない ! 無茶苦茶 だ ! 許せない ! 」 36

8. 空飛び猫

「こんな不公平な話ってあるものか」とッグミが叫びまし 0 「世の中間違ってるよ ! 」とヒワも言いました。 * 「わたし、我慢できませんわ ! 」と青カケスも声をあげま 「あっしにはわからんですなあ」とネズミが言いました。 「あんたがたは前からずっと翼を持っておった。そして今で はあの猫らも翼を持っておる。それのいったいどこが不公 平なんですかな ? 」

9. 空飛び猫

子猫たちは風に乗る方法を覚えました。ばたばたと無闇 に翼を動かすのではなく、からだをうまく風に乗せればい いのです。でもハリエットにはなかなかうまくコツを呑み 込むことができません。すぐにはたはたと空中でよろめい てしまいます。 一時間かそこら飛んでから、子猫たちは大きな工場の屋 根に降りたちました。あたりの空気はひどい臭いがしまし たが、それでも子猫たちはもうくたくただったから、しば らくのあいだ、みんなで折り重なるようにしてぐっすりと 眠りました。夕暮れどきになって、とてもお腹がすいてき 28 のです一一子猫たちは目を覚まし、また空に飛び立ちまし なにしろ空を飛ぶくらいお腹のすくことはない たので

10. 空飛び猫

ようじゃないか」とジェームズが言って、みんなはもう一 度飛び立ちました。子猫たちは鳩のように、疲れも知らず に楽々と飛んでいくというわけにはいきませんでした。タ ビーお母さんが子猫たちに食べ物の不自由だけはさせるま いと心がけていたせいで、みんなは丸々と太っていて、そ れだけの体重を空に浮かせるためにはずいぶん一生懸命翼 を羽ばたかせなくてはならなかったからです。 劇 2 フ