コリンズ毒入りチョコレート アントニー・ウイン他 月長石 中村能三訳 事件橋丿邦世界短編傑作集 3 江戸川乱歩編 チェスタトン ヒルトノ ・フラウン神父の童む トマス・ ーク他 学校の殺人 ー福田、中村訳 龍ロ直太郎世界短編傑作集 4 江戸川乱歩編 チャーリー・ チェスタトン チャンビが ・フラウン神父の知恵 ジ第ン・コリアー他 福田、中村訳 の追跡乾信一郎訳世界短編傑作集 5 江戸川乱歩編 チャーリー・ チャンビガ プラウン神父の不信チ = スタトン 福田、中村訳 の活躍佐倉潤吾訳《ホームズのライヴァルたち》 チェスタトン フ ルポツツ プラウン神父の秘密 ・オルツィ 赤毛のレドメイン家 福田、中村訳 宇野利泰訳隅の老人の事件簿 深町眞理子訳 チェスタトン プラウン神父の醜聞 フットレル 完全殺人事件プ 福田、中村訳 中村能三訳思考機械の事件簿 宇野利泰訳 チェスタトン ペントリー 録奇商クラブ トレント最後の事件 フットレル 福田恆存訳 大久保康雄訳思考機械の事件簿Ⅱ 池央耿訳 目 オットー・ペンズラー編 ソーンダイク博士フリ 魔術ミステリ傑作選 詩人と狂人たち田ル 中村能三他訳 の事件簿大久保康雄訳 チェスタトン エドワード・ホウク編 ソーンダイク博士フリー 庫ポンド氏の逆説 風味豊かな犯罪 福田恆存訳 菊池光訳 の事件簿Ⅱ大久保康雄訳 チェスタトン レイモンド・ポンド編 文木曜の男 フォーチュン氏 毒薬ミステリ傑作選 吉田健一訳 宇野利泰他訳 の事件簿永井淳訳 シャーロック・ コナン・ドイル 理 レイモンド・ポンド編 暗号ミステリ傑作選 ホームズの冒険阿部知二訳 宇野利泰他訳アブナー伯父の事件簿 菊池光訳 推 回想のシャーロック・コナン・ドイル ・、ツト・マカ マックス・カラドスプ マ ホームズ阿部知二訳探偵を捜せ , ・井上一夫訳 元 の事件簿吉田誠一訳 コナン・ドイル マ シスン ホームズの生還阿部知二訳名探偵群像 吉田誠一訳ヒ、ーイットの事件簿井上一夫訳 ホームズの最後の コナン・ドイル イ ネ ス あいさっ何部知二訳赤い館の秘密 大西尹明訳アプルビイの事件簿 大久保康雄訳 コナン・ドイル メ 緋色の研究 セイヤーズ 阿部知二訳矢の家 ビーター卿の事件簿 福永武彦訳 宇野利泰訳 コナン・ドイル ソーラー・ポンズのダ 四人の署名 レス 日、時・エーランドン 阿部知二訳 言丸谷才一訳 事件簿吉田誠一訳 レ レ コナン・ドイル ホ ナング刊 ・ ( スカヴィル家の犬何部知二訳黄色い部屋の謎 ラッフルズの事件簿 宮崎嶺雄訳 井上一夫訳近 コナン・ドイル コリンズ他 恐怖の谷 世界短編傑作集 1 / 阿部知二訳 江戸川乱歩編 ーー・トウィック リス・ルプラン他 ームズの優雅な生活榎林哲訳世界短編傑作集 2 江戸川乱歩編 イ ラ
ヴ 諜報作戦 / 峰登頂 永井淳訳 怪奇と冒険 《アトランティスの女王シリーズ》 ・ギャスケル プラックウッド他 アトランの女王 1 怪奇小説傑作集 1 深町眞理子訳 平井呈一訳 ジョン・コリアー他 ・ギャスケル アトランの女王 2 深町眞理子訳 怪奇小説傑作集 2 宇野、中村訳 —・ギャスケル ラヴクラフト他 アトランの女王 3 怪奇小説傑作集 3 深町眞理子訳 橋本、大西訳 アポリネール他 怪奇小説傑作集 4 青柳、澁澤訳 ケスト ナ ーベルス他消え失せた密画、 松太郎訳 録怪奇小説傑作集 5 田、原訳 ケストナ 雪の中の三人男、 松太郎訳 ニューヨークを侵略清水政二訳 ケスト ナ 一杯の珈琲から、 庫小鼠月世界を征服ウイ・ ( ー 松太郎訳 清水政二訳 ン = ・サ スカラム 小鼠ウォール街を攪乱 大久保康雄訳 清水政二訳 理 ヴェルヌ 《プラク・シリーズ》 海底二万里 荒川浩充訳 推 ジェイクス ヴェルヌ ( ①戦士・フラク 対謎の神殿一 / 瀬直二訳 湧訳 一兀サ ( ラ砂漠の秘密石 ジェイクス ヴェルヌ②戦士プラク 創必死の逃亡者 対女錬金術師一ノ瀬直二訳 湧訳 石 ジェイクス ヴェルヌ③戦士プラク 対吸血双生児一ノ瀬直二訳 八十日間世界一周田辺貞之助訳 ヴェルヌ 動く人工島三輪秀彦訳 ・エイメ・・ジェイムズ・・ジ = イムズ 第二の顔 傑作集紀田順一郎訳 生田耕作訳 シェラ・、 エフレーモフ アレクサンドロス 虚栄の神 西村孝次訳 の王冠 ( 上 ) 飯田規和訳 ストー エフレーモフ アレクサンドロス 吸血鬼ドラキ = ラ平井呈一訳 の王冠 ( 下 ) 飯田規和訳 マ 、、・オルノイ 黒いチ = ーリップ・デ へ西村孝次訳 マ 王妃の首飾り ( 上 ) 大久保和郎訳 マ ・デュ 王妃の首飾り ( 下 ) 大久保和郎訳 コナン・ドイル 勇将ジェラールの回想 ・上野景福訳 コナン・ドイル 勇将ジ = ラールの冒険上野景福訳 マーク・トウェイン アーサー王宮廷の ャンキー龍ロ直太郎訳 ・・ハガー ソロモン王の洞窟大久保康雄訳 ・・ハガー 洞窟の女王 大久保康雄訳 ・・ハガー 二人の女王 大久保康雄訳 ・・ハガード 女王の復活大久保康雄訳 ・・ハカード 黄金の守護精霊 菊池光訳 ズ》 《コナン・シリー ①コナンと髑髏の都宇野利泰訳 ・・ハワード ②コナンと石碑の呪、 し宇野利泰訳 ・・ハワード ③コナンと荒鷲の道宇野利泰訳 ④コナンと焔の短剣宇野利泰訳 ・・ハワード ⑤コナンと黒い予言者 宇野利泰訳 ・・ハワード ⑥コナンと毒蛇の王冠宇野利泰訳 ・・ハワード ⑦コナンと 古代王国の秘宝宇野利泰訳
中島河太郎 「クロフッ短編集、の収められた本文庫に、アガサ・クリスチイの全短編が五冊に分けて集録さ れることになった。 ひところ海外作品の紹介は系統的に、知名作家のものは、佳作を洩らさず網羅するように心掛 けられていたが、近ごろは売れ行きだけを気にする出版傾向が強まった。海外でも正統派のすぐ れた作品に恵まれないのだからやむを得ないともいえるが、それだけにクリスチイ女史の全短編 を集めて刊行する企ては、推理小説の愛好者にとってうれしい贈物であり、また一般の読者も女 史のショート・ストーリー作家としての豊かな才能に魅せられることだろう。 世界推理小説史に巨大な足跡を遺したクリスチイ女史の業績については、推理小説の読者なら 周知のことである。ポオ、ドイル、チェスタトン、クロフツ、ヴァン・ダイン、チャンドラー シムノン、クイーン、カーに伍する巨匠であり、四十五年間の文筆活動にいささかの衰えも示さ ない。純粋の推理作家として驚嘆すべき才能に恵まれている。 解 一三ロ 333
その壺を囲んでみんなが、霊の啓示を受けようとして、まんまと一杯かつがれる。発端と結末の 照応する気の利いた作品となっている。 「アーサー・カーマイクル卿の奇妙な事件ーは、記憶喪失する青年がその間、猫と同様の動作をす る。精神病を専門とする心理学者が招かれ、青年の継母で東洋人の血を承けた女性の魔性に注目 する。次々に起こる怪異と危険を切りぬけたのは、学者の適切な措置と青年の婚約者の愛情のお 蔭であって、人間を動物に変える魔力の正体については、別に説かれていない。 「翼のまねき」は肉体を愛し精神を否定する男が、翼にひつばられるような幻覚を生じ、霊と肉 との闘争に疲れはてて、全財産を貧民救済のために寄付する話であり、「最後の降霊術」は霊媒 よみがえら と結婚しようとする技師が、子供を亡くした夫人に同情するの余り、子供を甦せる術を婚約者 に勧めて、とり返しのつかない憂き目をみる話である。 「」は神秘学の研究者が、車の故障と風雨に難渋し、厄介になった荒地の一軒家の雰囲気 に奇妙さを覚える。しかも埃の中に書かれた TOØの文字に気づく。衝動的に書かれたこの文字 の意図から、邪悪な犯罪計画を摘発する。 「死の猟大ーでは、大戦中ドイツ軍を爆薬でふっとばすという奇跡を起こした尼僧を訪ねて、そ の幻覚と超自然能力の理念を知ったが、同時にそれを利用しようとした者への報償に思い当たる 話である。 ドイルが心霊学の信奉者であったことはよく知られているが、英米の知識人には超自然現象に 関心を寄せる者がすくなくない。クリスチイ女史もここでは、神秘な事象をそ・のまま素材にした
「そうでしようねーシモーヌは、ものうげにうなずいた。 突然、彼女が手にしていた小さな陶器の花瓶が指からすべりおち、暖炉のタイルの上で粉みじ んになった。彼女はさっとラウールへ向きなおってつぶやいた。 「おわかりでしよ、わたくし、どうかしているの。ラウール、もし、きようは仕事ができないと 断わったら、わたくしをとてもーー、ーとっても臆病だとお思いになる ? 」 感情を害した彼の驚きの表情を見て、シモーヌは顔を赤らめた。 「約束したじゃないか、シモーヌーーー彼はおだやかに言いかけた。 彼女は壁のほうにあとずさった。 「やりたくないのよ、ラウール、やりたくないのー ふたたび優しい、とがめるようなまなざしを受けて、シモーヌはひるんだ。 「ぼくが考えているのは金のことではないんだよ、シモーヌ。でも、前回、あの夫人が払ってく れた謝礼は、莫大なものだということを、忘れちゃいけないよーーーまったく莫大な金額だ」 彼女は反抗的にその言葉をさえぎった。 術 「世の中には、お金よりも大切なものがあってよ」 「確かにある , 力をこめて彼は認めた。「それは、まさしく、ぼくが言おうとしていたことなん降 だ。考えてみたまえーーあの女性は母親、それも一粒種の子供を失った母親なんだ。もしきみが後 本当は病気なんかじゃなくて、たんなる気の迷いだとしたらーー金持ち女の気まぐれをこばむの ま、 ー > いが、自分の子供の姿を最後に一目見たいという母親をこばめるかい ? ー
しの シャーロットは答えなかったが、かすかにからだをふるわせた。篠つく雨が窓ガラスに激しく あたった。ディンズミード夫人はガチャッと音をたてて、スプーンを皿の上に落としてしまった。 2 「神経過敏になっているんじゃあるまいね、かあさん ? 」ディンズミード氏が言った。「嵐の晩 ちんにゆう というだけのことさ、気にすることはない。ここの炉ばたにいれば安全なんだし、外から闖入し て来る人間は、一人だっていやせんよ。まあ、誰かそうする者があったとしたら奇跡だね。それ に奇跡なんか起こりつこないんだ。そうとも , 彼は一種奇妙な満足の情で、自分に言いきかせで もするようにつけ加えた。「奇跡なんぞ起こらんよ , その言葉を口にしたとたん、だしぬけにドアをノックする音が聞こえた。ディンズミード氏は 化石になったみたいに動かなくなってしまった。 「あれはなんだ ? 」とつぶやいた。その顎がだらんとさがる。 ディンズミード夫人は、小さなすすり泣くような叫びをあげて、肩掛けを自分のまわりに引っ ばりあげた。マグダレンの頬に血の気がさし、彼女は前にのりだして父親に言った。 「奇跡が起きたわ。誰にしろ、入れてあげたほうがよくてよー それより二十分前、モーティマー・クリープランドは、どしゃ降りの雨と靄の中に立ちつくし て車を調べていた。まったく、ついてない。十分間に交互に。ハンクが二回、そして夜が迫り、避 難場所を見つけられそうな見込みもないというのに、どこからも何マイルも離れた、このウイル