フェリックス - みる会図書館


検索対象: チャイナ・オレンジの秘密
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1. チャイナ・オレンジの秘密

登場人物 ヒュー・カーク・・ ドナルド・カーク・・・ マーセラ・カーク・・ グレン・マクゴアン・・ ジェイムズ・オズボーン・・ フェリックス・バーン・・ ショー・テンプル・ アイリン・リューズ・・ ミス・・ディ′ヾシー シェーン夫人・・ プラマー プラウティ・・ トマス・ヴェリー ジューナ・ 工ラリイ・クイーン・・ リチャード・クイーン・・ ・・ヒューの息子。出版社の経営者。 切手と宝石の収集家 ・ドナルドの妹 ・・マーセラの婚約者 ・ドナルドの助手 ・・ドナルドの共同経営者 ・・・作家 ・・・旅行家 ・・・看護婦 ・・・・執事兼従僕 ・・ホテルの事務員 ・・ホテルの支配人 ・・ホテル付きの探偵 ・・・検死官補 ・・・部長刑事 ・・クイーン家の召使い ・・・犯罪研究家 ・・・エラリイの父。警視

2. チャイナ・オレンジの秘密

ともわしには一向かかわりないね。まあね、フェリックス君、こりやどうもオード・フル後の話題 にふさわしくないね」 ・リューズが小声でいった。「スリルがあってい 「あたしには賛成できませんわ、博士」とミス 「あなたはねーとエラリイは左わきの小柄な女がささやいたのを聞いた。「そうでしようとも」 と。だが、ほかの人たちは誰も聞いていなかった。 ューズや・ほくはこのようなことに 1 ンは冷やかな笑いを浮べていった。「おそらくミス・ ュ 1 ズ ? 現状 対して大陸的な気構えがあるんでしよう : : : あまり潔癖過ぎない。え、 では、クイーンさん、まことに残念だが何のお手伝いもできません。・ほくにもあの男はまったく 見知らぬ人間です」 「いや」とエラリイはにやりとして、「みんな同じですよ」 沈黙の間があった。ホテルの給仕たちがスー。フ皿を片づけた。 : この事件に職 やがて。ーンがおだやかにいった。「察するところ、クイ 1 ンさんあなたは : 業的な興味がおありのようですな ? 」 「まあ多少ね、いつもは一向につまらんことで日を送ってますがね、殺人となるとなかなか刺激 的ですからね」 「妙な趣味だ」とカ 1 ク博士がたたきつけるようにいった。 冫しった。「クイーンさん、あなたの刺激趣味に 「あたしも」とミス・テンプルがつぶやくようこ、 は賛成できませんわ」とちょっと身震いして、「あたしはやつばり死に対しては西欧流の嫌悪を 感じます。あたしの友人の中国人ならあなたの態度を評価するでしようけどね」

3. チャイナ・オレンジの秘密

らないんですもの」と彼女がつぶやいた。「でも、中国ではもっともっと奇妙なことをのみこま されるんですよ」 「中国であなたはりつばな天性の知性をさらに磨きあげられましたね」とエラリイがにつこりし ていった。「ミス・テンプル、・ほくが考えていたこととあなたのおっしやったこととはびったり なんですよ」 1 ンがくすくす笑った。「いやこれはア 1 ブルからいやな航海をしてきただけのことはあっ たですな。親愛なるミス・テン。フル、あなたの中国に関する著書がその半分ほども難解だったら、 残念ながらわれわれは批評家どもと面倒な楽しい時を過さねばなりますまいよ」 「おいフェリックス」カ 1 クがいった。「そんなことをいうもんじゃない」 「テンプルさんはねーとミス・ 丿ュ 1 ズがなめらかな声でいった。「はっきりわかっていて話し ていらっしやるんですわ。すごくお頭がよろしいわ ! でもいったいどうしてそんなことがおわ かりになったのか、あたしにはふしぎですわ、テンプルさん」 小柄な女は顔色をなくし、ワイングラスの柄に置いたその小さな手はふるえていた。 するとバ 1 ンがまたしても同じ冷たい気まぐれな調子でいった。「ねえドナルド、きみは新し レ . 、ツ クを発見したつもりだろうが、しかし掘り出したのはただの女シャ 1 ロック・ホ 1 ムズぐらいのところだね」 「なんだと ! 」とカ 1 クはどたどたと立ち上ってどなった。「フェリックス、きみの言葉にしち やひど過ぎるそ ! 取り消せ : : : 」 、ドナル・トフ 「英雄気どりかい、 ーンが眉をあげていった。 「これドナルド ! 」カ 1 ク博士がわめいた取り乱した背の高い若者はいすへ身を落したがぶる

4. チャイナ・オレンジの秘密

エラリイは徐々に彼女に興味を持ち始めたらしく、じっと彼女を見ていた。「あなたの友人の 中国人ですか ? あ、そうそう、これは・ほくがまぬけだった。すっかり忘れてましたよ。あなた は中国生活の方が多かったんでしたね ? 」 「ええ。父がアメリカの外交官だったものですから」 「中国の人はまったくそのとおりなんですね。東洋の考え方には運命論的な気風があって、人の 死に対してはそれがまずあきらめとなり、次にその当然の発展として人命軽視になるんですね」 「ばかばかしい ! 」とカ 1 ク博士がかんしやく声を出した。「ばかばかしいにもほどがある , クイ 1 ン君、きみが言語学者だったらわかるはずだが、漢字の起原というものからして : : : 」 「どうもどうも博士、講義は困りますねーフェリックス・ ーンがつぶやくようこ 冫いった。「話 がわきへそれてしまいそうです。ドナルド君、あの男はきみを名指しで訪ねてきたそうだね」カ ークがびくんとした。「へんだね」 「へんだろう ? 」カ 1 クがそわそわしていった。「だがねフェリックス、ぼくは絶対 : : : 」 「おいおい」とテ 1 ブルの向う端からグレン・マクゴアンが荒々しい声でいった。「・ほくらはど うやら針ほどのことを棒みたいにしてるようだな。クイーンさん、あなたは犯罪問題解決にはな かなかの理論家とうかがってるんだが」 「なかなかのとは恐れいりましたね」とエラリイはにこりとした。 冫℃ナ「つま 「とすると、これは明白じゃないですかね」とマクゴアンがたたきつけるようこ、つこ。 り、この男はわれわれの誰もが知らない男である以上、彼が殺されていることはわれわれの誰と も関係ないってことじゃないですか ? この男がここで殺されていたということは単なる偶然か、 あるいは事故ともいえる」

5. チャイナ・オレンジの秘密

やくしやに丸めると、上着のポケットへ押しこんだ。 「何かよくないことでもあったのかね、カ 1 ク君 ? 」エラリイがゆっくりときいた。 「うん ? あ、いやいや。なにちょっと : : : 」としまいまでいわずに、「オズボ 1 ン、もうい、 閉めて帰ってくれ」 わかりました。それから申し忘れるところでしたが、バ ーン様からつい数分前に電話が ありまして、少し遅れるといっておられました。抜けられないことがあってとのことでした」 「自分の夕食会だってのに遅れるってのか」カ 1 クはにが笑いをして、「いかにもフェリックス らしいよ。よし、オズボ 1 ン。クイーン君、じゃ、あちらへ。待たせてすまなかったな」 二人は廊下へ出たが、その時、オズボ 1 ンの大きな声で立ちどまらされた。カークは後ろへ首 をねじむけて、「一体全体、何ごとだ ? 」 ォズボーンは当惑そうな顔をして、「どうもまことに相すみません。すっかり忘れておりまし て。実は、そちらの控室の方でもうずいぶん長いことお待ちになってるお方がございましたんで。 もう一時間ほども前においでになりました。名前もご用件もおっしゃいませんので、あちらでお 待ち願いました」 「誰だろうな ? 」とカークはじれったそうだった。エラリイもその友カークと一緒に部屋へ戻っ こ 0 ォズボーンは両手を上へ振り上けるようにして、「さあわかりませんです。一度もお見かけし たことのないお方で。こちらの事務所へ何かの用でおいでになったこともたしかにありません。 まったく何もおっしゃいません。何でもたいへん内密のことだとのことで」 「何という名の男だ ? 今ぼくはよけいなおしゃべりなそでぐずぐずしちゃいられないんだよ。

6. チャイナ・オレンジの秘密

133 「残念ですが」とエラリイは嘆くようにいった。「あなたは昨日以上に今日はたいへんばくがお きらいになられたようですね」 「利ロな女だな」と吐き出すようこ ~ いった声に二人ともばっとふり返った。そこには玄関ホール 1 ンがいた。そのうしろにはドナル 入口から二人を冷やかにじろじろ見ているフェリックス・ 、ド・カ 1 ク、力しー ドナルド・カ 1 クは服を着たままで寝たのかと思われるような姿だった。昨日のと同じくたび れたツィ 1 ドの服、それもひどくしわくちゃになっており、ネクタイはよじれているし、髪は乱 れて目の上にかぶさりそうだし、その目の縁は赤くなっているし、不精ひげも汚ならしかった。 1 ンのすらりとした姿には一分のすきもない感じだったが、その首のポーズにどこか不安定な ところがあった。 「やあ」と〒ラリイはステッキを取り上けると、「今帰るところだったんですよ」 「いつものきみのロぐせらしいね」とパ ーンは冷酷な徴笑を浮べ、とけのある目つきでエラリイ を見ていた。 いうのを控えてしま エラリイも何かいおうとしたが、ふとドナルド・カ 1 クの目を見入ると、 っこ 0 「おいフェリックス、きみは黙っていてくれ」とドナルドはしわがれ声でいって前へ出てきた。 「クイーン君、ここで会えてよかったよ。昨夜は父がとんでもない失礼をしてしまってほんとに 悪かったな、かんべんしてくれ」

7. チャイナ・オレンジの秘密

女とは明白に初対面であったと思われる。彼女がニ、ーヨークの人間でないことは確実とエラリ イはみている。どこか″大陸〃のにおいがある。彼女はカンヌやウィーン、カプ・ダンチビーズ、 ・フル 1 ・グロット、フィエソレなどといった所のことをよくしゃべる。 エラリイはつやのある化粧をした彼女の顔とカ 1 クの顔とを眺めてひそかに楽しんでいた。カ 1 クはひどく落ちつきがなかった。父親からほとんど目を離せないふうだった。 そしてエラリイの左わきでは、ミス・テンプルがしとやかに食事をしていて、その長い黒いま っ毛の陰になった目の表情はうかがえなかった。 長いこと、誰一人殺人事件のことを口にするものはなかった。夕食の大部分がおもしろくない ものだった。 1 ンはありきたりの、たが粉飾なしのわび言を述べていた。「や 夕食の前、フェリックス・ むを得ないことに手間どってしまい、申し訳ない」というのだった。彼はその日の朝に上陸した ばかりらしく、″個人的なこと〃で″終日〃忙殺されていたというのだった。彼はミス・テン。フ ルに対しては冷やかでもなくまた丁重親切な態度もとらなかったーーー彼女はドナルド・カ 1 クの 発見した女だというわけだ。一度も会ったこともなければ彼女の原稿を読んだこともないし、彼 は共同経営者のカ 1 クにその鑑定責任の一切を皮肉をこめて喜んで背負わせようというようだっ こ 0 だがスープの途中で・ハ 1 ンが突然いやな話を持ち出した。「みなさんはどうしてあの廊下の向 うのひどい事件のことをまるでロにしないんですか ? ええドナルド、なぜ秘密にするんだ ? ・ほくはこの階にエレベ 1 ターから降りたとたん、引き止められてばかなおまわり連中からひどく

8. チャイナ・オレンジの秘密

ろだった。彼は自分だけが普段の外出着のままでいることにも気がついていないらしい : : : 他の 三人の男たちは白と黒のきりつとした夜会服なのに、彼はくたくたのツィ 1 ド服なのでよけいだ らしなくみえた。 ハッペルの姿がみえなくなった。 やがてドアが開くと、クイ 1 ン警視のほっそりした姿が現われ、その前には外国仕立ての夜会 服を着た色の浅黒いがっしりした体格の男がいた。この新来の男はいたずらっぽそうな黒い目、 ねずみ色のロひげの下には薄い唇がぐっと結ばれていた。 「失礼します」と警視は飲んでいる連中をふしぎそうに見まわしていった。「こちらがフェリッ クス ・・ハ 1 ンさんですね、そうじゃないですか ? 」 色の浅黒い男は怒った様子でいった。「ずっとそういってるしゃないか。おいカーク , ばかものにぼくが何者だかいってやってくれよ ! 」 警視のすばしこい目がカ 1 クからエラリイへとまわっていったが、エラリイの目に何か非難の 色をみつけると、ひとつまばたきをしてみせて、来た時同様あっという間に次の瞬間姿を消し、 ーンが突っ立っていた。 あとには何かもっと罵言を吐きかけようと口を開けたままのバ 冫した。「ミス・テン。フル、紹介しましょ 「やあお帰り、フェリックス」とカークがだるそうこ、 う、こちらは : : : 」 「食卓の用意ができましてございます」と英本国調の色つやのない声が聞え、みんなが振りむい てみるとハッペルが食堂への出入口にしゃちこばって立っていた。 この

9. チャイナ・オレンジの秘密

りとなってくれないのでした。いったいあのあべこべ仕事をやったのは犯人自身なのだろうか ? 殺人現場を偶然にも目撃した人間なのだろうか ? しかし仮に犯人が誰かを指摘しようとしたの なら、その誰かは虚構に陥れられることになる。これはまことに無慈悲な悪企みで、実に不得要 領、つかみどころがなく、不可解なことです。もしまた仮に犯行を目撃した人間があのようにす べてのものをあべこべにしたのだとしたら、なぜその目撃者は率直に知っていることを申し出ず に、あのようにひどく込みいった方法で殺害者の何者であるかを示すような手がかりを残したの か ? みなさんにはわたしがどんなものにぶつかっていたかおわかりと思う。わたしはどちらを 向いても暗やみでした」 「ところが」とエラリイがつぶやくようこ 冫いった。「わたしはこれがたいへん簡単なことで、な んと単純にもまどわされていたことか、それに気がっきました。わたしは一つの間違いをやって いた。事実を誤認していた。わたしの論理は不完全だった。このあべこべ事実については、一つ ではなしに二通りの一般的な解釈ができるという驚くべきことに考え及ばなかったのです ! 」 1 ンが口を出した。 「どうもぼくにはこの大演説がよくわからないな」と突然フェリックス・ 「いったいこれは本質的にわけのわからん話なのかね、それともきみ自身しゃべってることの意 味がわかってるのかね ? 」 「マンダリン書房の紳士」エラリイがいった。「どうか礼儀を守って静粛にお願いしたい。今に すべておわかりになりましよう。 1 ンさん : : : と申しますのはわたしが再考しました結果、こ の謎には二通りの解答を発見したからです。その一つはすでに述べましたとおり、すべてのもの をあべこべにしておくことによって、この事件に関係ある誰かのあべこべな事柄を指摘しようと したことです。そしてわたしが考え落ちをしていたもう一つのことは」エラリイは前へ身体を乗

10. チャイナ・オレンジの秘密

H M ②ー 31 チャイナ・オレンジの秘密 工ラリイ・クイーン チャイナ・オレンジの秘密豸リイ・クイ↓ 何もかもあべこべだ ! 死体の着衣や絨 緞は裏返し、本棚は壁を向いている・・ その男が殺されていたチャンセラー テルの密室状態になった一室では、何と 動かせるものがすべてあべこべになって いた。現場に来合せたエラリイは、部屋 の主である友人ドナルドの頼みでさっそ く調査を始めた。しかし、被害者の身元 を示すものは全くない。わざわざ面倒な 細工を施した犯人の意図とは ? また捜 査線上に浮かぶ、、あべこべの国〃中国と のつながりは ? 発表されるやいなやそ の卓抜な着想と奇抜なトリックで激賞を 浴びた、国名シリーズ中の一大傑作 ! クイーンの作品 登場人物 ヒュー・カーク・ ドナルド・カーク・ マーセラ・カーク・ クレン・マクゴアン・ ジェイムス・オスホーン・ フェリックス・ノく一ン・ 、ンヨー・テンフ。ノレ アイリン・リューズ ス・・テーイノ、シー シェーン夫人 フラマ・ プラウティ トマス・ヴェリ ジューナ 工ラリイ・クイーン・ リチャード・クイーン・・ 既刊 ・占日吾・ - 者・ ・・ヒューの息子。出版社の経 営者。切手と宝石の収集家 ・ドナルドの妹 ・・マーセラの婚約者 ・ドナルドの助手 ・ドナルドの共同経営者 ・・・作家 ・・方代行・ ' 家 ・・石・護婦 ・・・執兼従僕 ・・ホテルの務員 ・・ホテルの支配人 ・・ホテル付きの探偵 ・・検死官補 ・・部長刑事 ・クイーン家の召使い ・・犯罪研究家 ・・エラリイの父。警視 十日問の不思議 緋文字 最後の女 クイーン警視自身の事件 ダブル・ダブル 一第八の日 盤面の敵 一ガラスの村 悪の起源 恐怖の研究 クイーン検察局 災厄の町 帝王死す 左 ) フレデリック・ダネイ 右 ) マンフレッド・リ 写真 ( 転 ) 0 SCOtt Meredith Literary Agency. lnc. 0 Hayakawa Publishing. lnc. 最後の一撃 真鍮の家 エジフト十字架の秘密 シャム双生児の秘密 九尾の猫 途中の家 ニ百万ドルの死者 悪魔の報酬 孤独の島 三角形の第四辺 大富豪殺人事件 クイーン犯罪実験室 TOK 、 ( ) 朋 / Ⅲ ドラゴンの歯 クイーンのフルハウス 黄金の / 現代篇 ギリシャ棺の秘密 チャイナ・オレンジの秘密 ハヤカワ・ミステリ文庫 THE CHINESE ORANGE MYSTERY Y380