小さな細胞が集まってできています。この小さな細胞がすべて 健康であれば、それが集まった人間本体も健康なはすです。 どんなに大きな会社組織であっても、小さな単位に分解され た仕事と、一人ひとりの社員でできています。社員一人ひとり が、自分でコントロール可能な各々の担当業務をできる限り楽 にこなせるように工夫すれば、それが集まった企業体の活動は、 より楽にまわるようになるに違いありません。 会社の業務は「結果」と 3 「プロセス」とに分けられる いい結果はいいプロセスから さて、担当業務といってもさまざまです。営業の外回りもあ れば内勤の事務処理もあることでしよう。まず何に着目すれば よいでしようか あなたが担当している「業務」は、会社にとって欠かすことの できない重要なものです。しかし、そういった「業務」も、必 ず「結果」と、その結果を生み出すために必要な「プロセス」 とに分けることができます 新規のお客さまを獲得する、という結果を生み出すためには、 潜在顧客リストを整理して可能性の高い顧客を複数抽出後、顧 ②章まとめデスクワークの生産性を考える 客ごとに対応策を練る、というプロセスが必要です。また、お 211

6 浮いた時間を ″おもしろい″業務にまわす この本を読んでいただいた皆さんには、 し、打ち破っていたたきたいと思います。 このカラクリを理解 今まで 3 時間かかっていた集計業務を、ピボットテープルを 使って 30 分でできるようになれば、浮いた 2 時間半という時 間を「結果」に直結する " おもしろい " 仕事にまわせるように なります。 今まで 3 日かかっていた単票集計業務を、 CSV を組み合わ せたリンク式を使って半日でできるようになれば、残業がなく なり、浮いた 2 日半という時間を自由なプライベートにまわせ るようになります。 " 使い捨てマクロ " を使いこなして、繰り返し業務をェクセ ルに任せられるようになれば、あなたがスタバでコーヒーを飲 んでいる間にも仕事は進んでいきます。 そんな「楽に」を体感していたたき、より「楽しく」、より 「楽観的に」あなたのビジネスライフを発展させていたたきた く、この本が少しでも貢献できれば、著者としてこれほどうれ しいことはありません。 ②章まとめデスクワークの生産性を考える 215

客さまにプレゼンテーションをして好評価を得る、という結果 を生み出すためには、しつかりとした数値の裏付けのある資料 を作成する、というプロセスが必要です。 ここでも、「自分のできる範囲で最大限楽にする」考え方が 重要になってきます。自分一人でコントロールしやすいのは、 「結果」ではなく「プロセス」の方です。まずは「プロセス」 に着目し、そこから改善の手をつけるべきだと考えます。 利益を増やす、売上を上げる、など、結果を出すことは当然 大切ではありますが、お客さまの都合や景気の変動、流行等に 大きな影響を受けるため、結果そのものを直接コントロールす るのはなかなか難しいものです。だから結果は後回しです。そ もそもいい結果を出すためには、いいプロセスを踏まなければ なりません。 4 自分自身でコントロールできる 「プロセス」に目を向けよう 「プロセス」業務とは、たとえば、書類作成、メール対応、 PC 入力・転記作業などの業務です。そして、これらの業務を 遂行するとき、あなたはたいてい PC の前に座り、その大部分 の時間をェクセルの操作に費やしています。そして、たいてい この種の業務はあまりおもしろくありません。 212

別の売上・利益」を毎週別々に更新しているが、もっとうま い方法はないか 一度使用したフォーマットの、計算式が入っていないセルを クリアして、新しいフォーマットとして何度も使いたい これらはほんの一例ですが、すべて、左ページ円グラフの① から③で解決できます。つまり、よくある質問の半分以上を解 決できる「 VLOOKUP 関数」、「ヒ。ポットテーブル」、「マク ロ」の 3 つがポイントとなります。 本書では、この 3 つの機能にフォーカスしてその活用の仕方 を紹介し、そのプロセスの中で、「この機能 ( 関数 ) はこうい った使い方もできるのか ! 」という気づきを与え、汎用的に使 用できるスキルとして身につけてもらうことで、あなたのデス クワークの効率を飛躍的に向上させることが狙いです。 それでは、どのように使っていくのか、これから一つひとつ ご紹介していきますが、その前に一点だけお願いしたいことが あります。 それは、これから本書を読み進めていただくにあたり、書い てある字面を追って読まないでくたさい、ということです。 「本を読むのにいきなり何をいい出すんだ ? 」と思われるか もしれませんが、字面を追って読んでしまうと、たとえば、 「この例は営業事務の例だから自分の業務とは関係ないや」と 思って読み飛ばしてしまったり、「 " 条件付き書式 " は知ってる ②章たった 3 つの機能で、仕事のスヒ。ードは飛躍的に加速する 031

り方は、ときと場合によっては、必すしも最適な方法とは限ら ない、ということです。 014 上でデータを加工し、インポート用データを作成しています。 また、業務システムにデータを取り込む際にも、結局ェクセル トし、工クセル上で加工したものであるケースがほとんどです。 内で流通しているファイルは、いったん工クセルに工クスポー も、部門間のデータのやりとりに使うファイルや、実際に部門 そして、そういった業務システムを扱っている場合であって います。 にも何らかのシステムを使わないとできない場合が多くなって 特に、近年、企業への IT の導入が進み、どんな業務をする せん。 事を何時間も、あるいは何日もかけてやっているのかもしれま もしかすると、最適な方法でやれば IO 分で終わるような仕 さか」と思うかもしれませんが、れつきとした事実なのです。 ついても同様のことがいえます。このようにいうと「えつ、ま このことは電車の経路だけではなく、日常の生活や、仕事に 10 分で終わるかもしれません 2 何時間もかけている仕事が、

その結果、必然的に、多くの社員について、一日の業務の中 でェクセルを操作している時間が長くなります。そして、多く の社員が多くの時間を費やすェクセルを、うまく使いこなせる 場合と、そうでない場合との生産性格差は、業務システムの使 い方の巧拙以上に大きく広がっています。業務システムを導入 せす、すべて工クセルで処理している企業についてはいうまで もありません。 3 手作業で集計表をつくる ? 時間がもったいない ! 私は、大小さまざまな規模の会社、さまざまな業種の会社で 人事部長、プレイングマネージャーなどを 10 年以上歴任し、 そこで、部員やその他の社員の工クセルを使った仕事のやり方 を数多く見てきました。 みんな一所懸命仕事をしているのですが、残念ながらたいて いの場合、こんな具合で、あまり生産的とはいえませんでした。 ・データのコピー・アンド・ペーストを延々と繰り返している ・手作業で転記している ・表や表示形式を毎回整えている等 015 ①章あなたは工クセルで、こんな非効率なことをしていませんか ? どうですか ? あなたもこうした作業に多くの時間を費やし

②章 デスクワークの生産性を考える 何事も「楽しく、楽に、楽観的に」の 三楽主義 " が大切 「うまくやる」ためには 「自分のできる範囲で最大限楽にする」 会社の「業務」は 3 「結果」と「プロセス」とに分けられる いい結果はいいプロセスから 自分自身でコントロールできる 「プロセス」に目を向けよう 個人が工クセルをどのように 使っているかは誰にもわからない 浮いた時間を ″おもしろい″業務にまわす まとめ 1 2 4 5 6 202 208 ・一 211 212 214 215 カバーデザイン◎新田由起子 本文 DTP ◎ムープ

で、一連の作業が順番通りに全部再現できてしまうのです。 口を呼び出すだけで一瞬にしてできてしまいます ( 【図 52 】参 へのコピー→グラフ化の一連の業務は、「ポップ」というマク 付けたとしましよう。次回から、この、データ抽出→別シート このマクロ ( パッケージ ) に、仮に「ポップ」という名前を てしまうことを「マクロ」といいます。 に順番通りに一箱にまとめて入れて、ひとつのパッケージにし ション、と対応させてみます。この 3 種類を D ーポップのよう ーするのをココナッチョコレート、グラフ化をオールドファッ 各支社のデータの抽出をエンゼルクリーム、別シートにコピ 週していると仮定しましよう。 トにコピーし、個人別の売上をグラフ化する、という業務を毎 たとえば、一覧表から各支社のデータだけを抽出して別シー 照 ) 。 【図 52 】 マクロ「ポップ」 グラフ化 各支社の データの抽出 。コピーする 3 章 ー連の作業をあっという間にパッケージ化 ! 「使い捨てマクロ」の活用法 1 1 3

だけおさえます。 3 速く動かそうとする必要はない マクロはプログラムがきれいに記述されていなくても十分速 く動きます。よって、自動的に記述される無駄なスクリプトを 探して修正したりしません。またきれいに記述しようとする必 要もありません。今取り組んでいるその仕事が終わればマクロ も捨ててしまうつもりでつくりましよう。 ④できるだけ短くつくる 業務としてはボリュームのあるものであっても、何がやりた いのかをはっきりさせ、その業務をできるだけ小さい単位に細 分化します。長いマクロを作成するのではなく、短いマクロを 複数作成するようにします。ひとつのマクロの中で、別のマク 口を複数走らせることもできます。 3 工ラーが発生してもかまわない 工ラーが発生したとしても、アウトブットが目的通りのもの になっていれば、プログラム自体をいちいち修正する必要はあ りません。また、「あ、間違えた」と思っても焦る必要はあり ません。プログラミングは、何度も修正を加えて ( 「デバッグ」 といいます ) 動くようになっていくものです。無限ループに陥 って止まらなくなった場合でも、 CESC] キーでいつでも止め ることができます。 0 章 ー連の作業をあっという間にパッケージ化 ! 「使い捨てマクロ」の活用法 1 1 7

2 ( ' 使い捨てマクロ " の 7 つの考え方を知ろう ここでいう“使い捨てマクロ”の条件は次の 7 つです。 ①自動記述機能を使って手順通りに作成 自動記述 + で作成します。作成手順はこんなイメージにな ります。 (1) 業務の手順を決め、自動記述機能で対応できる範囲とそう でない範囲を明確化する ② (l) で決めた手順に従って、自動記述機能を使ってマクロ を作成する ( 3 ) ( 2 ) で作成したマクロが思い通りに動くか動作確認をする ( 思い通りに動かなければ、 (1) か②に戻って修正する ) ( 4 ) 自動記述機能で対応できない部分 ( 「 + 」の部分 ) を、 手入力で記述する ( 5 ) 作成したマクロが思い通りに動くか動作確認をする ( 思い 通りに動かなければ、 ( 4 ) に戻って修正する ) ( 6 ) 思い通りに動けば、 " 使い捨てマクロ " の完成 ( この時点 で、マクロでやろうとしていた業務も完了しているはす ) ②覚えるコマンドは数個のみに限定 自動記述機能を使うのが基本ですので、必要最低限のコマン ドだけ覚えれば OK です。「自動記述 + 心の、「 + 」の部分