ジャック - みる会図書館


検索対象: ルドルフともだちひとりだち
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1. ルドルフともだちひとりだち

た。足がよろめいている。 「おい、ジャック。だいしようぶか。」 テリーはジャックのあごを鼻さきておした。 「う、ううん。」 うなリながら、ジャックが気をとリもどす。 「い、いったいなにがどうなったんだ。」 「なにがどうなったんだしゃねえだろ、ばかやろう。 わけがわからないという顔をしてるふたリに、イツバイアッテナが、ドスのきいた声て いった。 「ドラゴンだかトラさんたか知らねえが、てめえら、いったい何者だ。ここをどこたと おも 思っていやがる。 ジャックも、やっと立ちあがったが、やつばリ足がふらついている。ふたリとも耳をね かせて、小さくなっている。 のうか いちかわまつど 「おおかた市川か松戸あたリの農家の飼いねこたろうが、橋わたって、こんなところまて かお なにもの こえ

2. ルドルフともだちひとりだち

がてきたのに、女の子なんかにあいにいくから、めったに見られない戦闘シーンを見のが しちゃうのだ。 ィッパイアッテナは、くったリしたジャックの首すしをくわえた。ねこが重い物をくわ えてひきするときには、あとすさリして運ぶのだけれど、イツバイアッテナは首をちょっ まえ じぶん へいこう と曲げて、ジャックのからだと自分のからだが平行になるようなしせいて、前むきにジャッ クを石どうろうの下まてひきすっていった。そこてのびていたテリーの上に、ジャックは おリかさなるようにほうリだされた。 「死んしゃうんしゃないかな。」 ぼくは心配になって、くったリしているジャックの顔を鼻てつついてみた。 「このていどて死ぬもんか。気をうしなっているだけだ。 かお ィッパイアッテナはそういって、ふたリの顔に、つづけさまにひらてうちをくらわした。 「うーん。」 さきに目をさましたのはテリーだった。なにが起こったのかわからないという顔をして いる。自分の上にかさなってきせっしているジャックをおしのけるようにして立ちあがっ じぶん しんばい くび かおはな せんとう おも かお もの

3. ルドルフともだちひとりだち

した。だが、こまいぬがあるところまてもにけきれなかった。タッシュしたイツバイアッ テナに追いっかれ、うしろからとびかかられてしまったのだ。 りよう とびつきさまに、イツバイアッテナは両うててジャックの首をかかえこんだ。 まえ 前のめリにジャックがたおれこむ。ィッパイアッテナはかかえた首をはなさない。二ひ ちゃいろすな きおリかさなって、そのままゴロンゴロンところがった。茶色い砂ぼこリがまいあがる。 まえ それまてぼくがなにをしていたかというと、さいせん箱の前に立って、たたかいのよう すを、ロをポカンとあけてながめていただけだった。 そうだ、ぼくもなんかしなくちゃ。そう気がついて、イツバイアッテナのそばにかけよ しろくろ ったときには、ジャックは首をしめあげられて、目を白黒させていた。ィッパイアッテナ のスリー ーホールドがしつかリきまっていたのた。 ジャックは、イツバイアッテナのうての中てしはらくもがいていたが、しばらくすると、 かたお ガクリと肩が落ちた。きせっしたのだ。 強い ! なんという強さだ。二ひきをやつつけるまて、一分もかからなかっただろう。 はなし フッチーもここにいれば見ること 話にはきいていたけど、見たのは、はしめてたった。 " つよ つよ ぶん

4. ルドルフともだちひとりだち

つつばってくるんしゃねえ。江戸川からこっちは、このタイガーさまのシマだって、きい たこたあねえのか。」 「えーっ ! タイガーだって ! ジャックはかなリおどろいたようだった。 「だ、だってステトラ、いや、タイガーさんはプルドッグにかまれて死んだっていううわ さしゃ : 「ばかやろう、だれが死んたんだ。このとおリヒンピンしてらあ。おめえら、シマとリに きて、タマとられたんしや、シャレにもならねえぞ。」 あ、またわからないことばがとび出した。タマってなんだろう。こいつら、ビー玉ても かくし持っているのかな。 かえ 「きようのところは、これてかんべんしてやる。とっとと帰れ。 ばこまえある そういうと、イツバイアッテナはさいせん箱の前に歩いていき、なにもなかったように、 ゴロリと横になってしまった。 それを見て、ジャックとテリーは、いちもくさんににげだした。まだ足がよろめくのだ引 えどがわ だま

5. ルドルフともだちひとりだち

テナがいきなリ立ちあがリ、あっというまもあらはこそ、目にもとまらぬはやさて、三 ちゃくち メ 4 トルも ) ンヤンプしただろうか。着地したときには、ジャックは、イツバイアッテナの ハンチを受けて、地面にたおれてうなっていた。 それを見て、にげ腰になったテリーに、イツ。ハイアッテナは体あたリをして、頭つきを いしあたまず くらわした。あの石頭て頭つきをされたのてはたまらない。しかもイツバイアッテナは、 よろよろっとよろめいたテリーの首すしにガブリとかみついた。かみついたまま、一一、 くうちゅうたか ぜんしん 度あごをふったかとおもうと、全身の力をこめ、えいとばかリに、テリーを空中高く、ほ うリたした。 にんげん たか 人間のおとなの背たけくらいの高さまて飛はされたたろうか。それてもイツバイアッテ かた ナはようしやしなかった。落ちてくるところを、肩からドーンとぶつかリ、こんどは横む きにつきとばした。 あたま つきとばされたテリーは、石のとうろうのかどに頭をしたたかにうちつけ、ロからあわ をふいてのびてしまった。 そのあいだにジャックは立ちあがリ、たおれそうになリながらも、鳥居のほうににげた引 じめん とりい

6. ルドルフともだちひとりだち

なっとくした。 「てめえ、プルドッグとわたリあって、勝ったことがあるか。」 おも ほくはデビルとけんかをしたことをほこリに思っているけど、それはいぬに勝ったから というんしゃなくて、たましうちにされたイツバイアッテナのかたきがとれたからだ。て も、その話はたれにもしていない。 ぼくはうなすいた。 「やつばリそうか。おれたちゃな、川のむこうのドラゴン兄弟た。おれはジャック。ここ あにき にいるのがテリーだ。もうひとリ、プラッドっていう兄貴がいる。」 「へえ、それて。」 こいつら、ここて自己しようかいなんかはしめて、いったいどうしようっていうんだろ とも かん う。友たちになリにきたっていう感してもないし。ィッパイアッテナは、すっとねたふリ をしている。 あにき かお 「そこの小学校のグラウンドまて、ちょっと顔かしてほしいんだがよ。うちの兄貴がな、 おめえにあいさつがしてえっていってんた。」 きようだい

7. ルドルフともだちひとりだち

はなし ぼくは、なんの話かわからないという顔をした。 「とぼけるんしゃない。おまえ、ブッチーにきのうのことをおおげさに話したろ。」 「おおけさって : : : 。」 「きのうきたねこは、おれよリてつかかったかよ。」 「あれえ、イツバイアッテナよリ小さかったつけ。 ジャックとテリーのふたリ組は、しっさいには、ぼくよリちょっと大きかっただけだけ ど、話をおもしろくするために、イツバイアッテナよリ大きかったことにして、ブッチー ー = = ロたのた。 「このやろう。とことんとぼける気たな。 きんじよ 「ま、まあいいしゃないか、そのくらい。おれだって、さっき近所のねこにその話をした びよう ときには、タイガーがブルドッグくらいのねこを三びき、五秒てやつつけたっていったん たからよ。 , いってしまってから、ブッチーは、しまったという顔をした。ィッパイアッテナはそう バーにったえるのが好きてはないのた。 やって、話をオー はなし はなし ぐみ す かお かお

8. ルドルフともだちひとりだち

「あいさっ ? 」 「そうさ。いやなら、こなくったってかまわねえせ。そのかわリ、てめえのシマをそっく リおいて、いますくこの町を出ていきな。」 「シマ ? シマってなんだろう。あいさっとかシマとか、なにいってんだろう、こいつら。 いのち たす 「さっさとシマおいて、出ていきゃあ、命だけは助けてやろうってこった。」 とっせんやってきて、すいぶんなことをいうやつらだ。だいたい、ぼくは島なんか持っ せとないかし てない。島を持っているねこってどういうねこだろう。瀬戸内海を地図て見ると、小さな 島がたくさんある。ああいうとこにひとリて住んているねこなんか、島を持っているって いうことになるのかな。 ぼくがだまっていると、ジャックと名のったそのトラねこは、 「出てくんなら、そこにのびてる、てめえの子分もつれてけよ。」 と、イツバイアッテナのほうに鼻をしやくリあけた。 そのしやくリあげた鼻をもとにもどさないうちだった。それまてねていたイツバイアッ しまも はな こぶん