フッチー - みる会図書館


検索対象: ルドルフともだちひとりだち
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1. ルドルフともだちひとりだち

「いってくればいいしゃないか。 おも 「おまえもそう思うか。」 「うん。」 「しゃあ、いっしょにいこうせ。」 フッチーはひとリていくのがいやだから、ぼくをさそいにきたんだ。 やつばリそうだ。 " ーしこうって、ヘビを見に ? 」 「いっしょこ、 こた ぼくは、いかにもいやそうに答えた。 かお 「そんないやな顔するなよ。友だちだろ。おれひとリしや気持ちわるくってよ。あいつの くさ かたち はなし 話しや、草むらに、五メートルくらいの、ミミズみたいな形をしたのがいたっていうんだ。 バーだから、ほんとは二メートルくらいかもしれねえけど、それにし あいつは話がオー ある たって、そんなもんがグネグネ歩いていたら気持ちわるいしゃないか。それによ、もしか して、とびかかられたら、どうするんだよ。」 くる そうぞう ぼくは、五メートルもあるミミズに首をしめられるのを想像して、首のあたリが苦しく なってきてしまった。

2. ルドルフともだちひとりだち

だってわけしゃないんた。それはわかるた ぼくは、うなすいた。 「ようするに、おまえは、リエちゃんのこと おも ぬし を飼い主たと思ってるから、日野さんの家に いることが、スッキリしないんたろ。それて、 せいかっ 丿ラねこ生活もなかなかのもんだ、なんて、 おも 思っちゃってるんしゃねえか ? そんなこん なて、丿ラねこがどうの、飼いねこがどう のって、おかしなことを考えてるんた。 いや、これだって、タイガーがそういった おも ことなんたけど、おれもそう思うよ。」 、、フッチーは ぼくは、たまって下をした。 " つづ ことばを続けた。 かんが ひの

3. ルドルフともだちひとりだち

13 ぼくにもいろいろ考えるところかある , ということ カサツ。 ものおと ねいリばなの耳に、なにか物音がきこえたような気が した。 じんじゃ 神社のえんの下は、入リ口がせまくて、ねこよリ大き い動物は入ってこれない。丿ラねこのすみかとしては、 せつこうの場所た。それても、ねこは入ってこれるのだ あんぜん から、せったいに安全というわけしゃない。 カサツ。 気のせいしゃない。やつばリ、だれか入ってきたのだ。 お み そとでんとう ぼくは、サッと、とび起き、身がまえた。外の電灯のあ せ かリを背にして、ねこの、ンルエットがうかびあがる。 「おれだよ。おれ。」 「なんだ。 " フッチーか。」 ぼくはほっと息をつき、えんの下の地面に腰をおろし どうぶつ じめんこし 2

4. ルドルフともだちひとりだち

の車か見えたはすた。あいつ、どうしてこっちにこないて、反対がわにいったんだろう。 あっちににげても、川があるだけしゃないか。 もしかすると、あいつ。ぼくをにがすために、いぬをひきつけようとして、わさとあぶ ないほうへ : おも ほくがそう思ったときだった。 「ギャーン。」 土手の上のほうて、さけび声がした。 ブッチーがやられたー フッチーをほっておくわけにはいかない。 ぼくは車の下から走リ出た。 " おも ても、土手のとちゅうまてかけあがったぼくは、思わす立ちどまってしまった。目に入 こ、つけい おも った光景は、思ってもみないものだったのた。 もうぜん くさリをひきすったデビルが、ポインターに猛然とおそいかかっている。三びきのうち の一びきはデビルに首ねっこをかまれ、足をばたはたさせるばかリた。ほかの二ひきもデ ビルのいきおいにあっとうされ、ガウガウほえながら、まわリをグルグルまわるほか、な硯 ごえ はんたい

5. ルドルフともだちひとりだち

のか。」 しつは、このあいたから、ぼくもそれを考えていた。 " フッチーもいるし、デビルとも友 かえ と、つきよ、つ だちになったから、イツバイアッテナがアメリカから帰るまて、東京にいてもいいんだけ ぎふ かえ おも ど、リエちゃんも心配しているだろうから、一度、岐阜に帰ろうかと思う。ぼくがそうい おうとしたら、それよリさきに、イツバイアッテナがいった。 「なにをくだらねえこといってやがるんだ、ブッチー。ルドは、おれといっしょに、アメ リカにいくにきまってるしゃねえか。そんなこと知らなかったのか。 これには、ブッチーよリも、ぼくのほうがびつくリした。 ぎふ かえ 「どうもな、ルドはすくに岐阜に帰リたそうてもないから、いっしょにアメリカにつれて いくことにした。なんなら、ブッチー、おまえもいっしょにいくか。」 とお 「おれは、そんな遠いところはごめんだせ。それしや、ふたリがいないあいだ、タイガー あんしん のなわばリは、このブッチーさまが、しつかリ守ってやるから、安心していってきな。な ようじんばう に、強いやつがせめてきても、いさとなリや、この庭ににげこめば、用心棒のデビルもい るしな。」 つよ しんばい かんが

6. ルドルフともだちひとりだち

別れの宴会とニ度のびつくり 「それしゃあ、もう一曲、この二十世紀最大の天才ねこ うた 歌手、ブッチーが、タイガーのかどてのために、歌わせ ていたたきます。」 「ちょっと待った。おめえ、これて三曲ぶつつづけしゃ ねえか。こんどはおれの番た。」 きよくうたお おんど 「フッチー音頭』、『ブチねこプルース』と二曲歌い終わ き【よく、った リ、ブッチーがもう一曲歌おうとしたとき、デビルがも んくをつけた。 おんど 「だいたい、ブッチー音頭とか、プチねこプルースなん うた てのは、タイガーのための歌しゃねえしゃねえか。 さいしょ きよくれんしゅう 「そんなこといったって、最初の二曲は練習みたいなも きよく ほんばん んだから、こんどのが本番なんだせ。あと一曲だから、 もうちょっとがまんしてろよ。これが終わったら、おま うた えにも歌わせてやるからさ。 , かしゅ きよく きょ′、 てんさい

7. ルドルフともだちひとりだち

「そ、そうた。 といったが、その声はかすれていた。 」も 「き、気持ちわるかったな。」 ブッチーのいうとおリ、それはほんとに気持ちのわるい動物だった。あれても動物なの きも たろうか。図鑑て見るのよリも、本物はすっと気持ちがわるい。 かえ 「か、帰ろうか。」 ぼくがそういうと、ブッチーは、だまってうなすいた。 ぼくたちは、土手にむかって歩きたしたが、そのへんにまだヘビがいるんしゃないかと おも 思い、下をむいて、足もとばかリに気をとられていた。こういう見はらしのいい坦戸 ました こ、つど、つ そういうのって、あまリほめられる行動しゃないのた。土手の真下にたどリつき、ふと顔 くろ きけん をあげたときには、危険はまぢかにせまっていた。左のほうの土手の下て、白地に黒のは ちゅうがた んてんがある中形のいぬが三びき、こちらを見ている。そばに人がひとリいるけど、人と いぬのきょリから見て、どうやらつながれていないようだ。 「フッチー。ポインターだ。」 ずかん こえ ある ほんもの どうぶつ しろじ どうぶつ かお 4 一

8. ルドルフともだちひとりだち

した。だが、こまいぬがあるところまてもにけきれなかった。タッシュしたイツバイアッ テナに追いっかれ、うしろからとびかかられてしまったのだ。 りよう とびつきさまに、イツバイアッテナは両うててジャックの首をかかえこんだ。 まえ 前のめリにジャックがたおれこむ。ィッパイアッテナはかかえた首をはなさない。二ひ ちゃいろすな きおリかさなって、そのままゴロンゴロンところがった。茶色い砂ぼこリがまいあがる。 まえ それまてぼくがなにをしていたかというと、さいせん箱の前に立って、たたかいのよう すを、ロをポカンとあけてながめていただけだった。 そうだ、ぼくもなんかしなくちゃ。そう気がついて、イツバイアッテナのそばにかけよ しろくろ ったときには、ジャックは首をしめあげられて、目を白黒させていた。ィッパイアッテナ のスリー ーホールドがしつかリきまっていたのた。 ジャックは、イツバイアッテナのうての中てしはらくもがいていたが、しばらくすると、 かたお ガクリと肩が落ちた。きせっしたのだ。 強い ! なんという強さだ。二ひきをやつつけるまて、一分もかからなかっただろう。 はなし フッチーもここにいれば見ること 話にはきいていたけど、見たのは、はしめてたった。 " つよ つよ ぶん

9. ルドルフともだちひとりだち

おな 「いや、イツバイアッテナも同しこといってたから。」 「そうか。ま、おとなの考えってのは、そのへんたな。」 ブッチーは、ぼくと年があまリちがわないくせに、ときどきぼくを子どもあっかいにす る。線路のむこうの薬屋のねことっきあうようになってからた。ぼくが不服そうな顔をし ていると、ブッチーは左足て耳のうしろをかいてから、 かんが 「おれもよ、きのうひと晩、ねないて考えたんだけどな。ああしゃねえか、こうしゃねえ そうぞう かって、だいたいの想像はつくんだが、はっきリしたことはわからなかったな。」 といい、たらいの上に、ゴロンと横になった。 「そういうことは、けつきよく、本人にしか、わかんねえんしゃねえかな。 そうつけくわえると、ブッチーは目をとしてしまった。 ためた、こリや。ぼくは立ち去ることにした。 ある おも 二、三歩、歩いてから、ぼくは思い出して立ちどまリ、ふリかえった。 「あ、そうた。 " フッチー。きのうはあリがとう。ぼくを車のあるほうににがして、自分は おとリになってくれたんたろ。」 せんろ くすりや かんが ふふく かお じぶん

10. ルドルフともだちひとりだち

川さんの家のとなリのあき地というのは、むかし、イツバイアッテナが飼いねこだっ たころすんていた家があったところだ。ィッパイアッテナのむかしの飼い主は、アメリカ はな にいっちゃって、家もとリこわされてしまったのだ。まえに、イツバイアッテナがそう話 してくれた。 あしば とお ほねぐ 「さっき、ひさしぶリに通リかかったらよ、足場が組んてあって、家も、もう材木て骨組 おも みがてきあがっててな。なかなかてつかい家になるんしゃないかと思うんだ。」 「へえ、だれがすむんだろ。」 さいきん かねも 「なんてもあの土地は、最近、とてつもない金持ちが買ったそうだからな。 . かねも ブッチーは、自分がその金持ちになったみたいに、いばっていった。 かねも 「とてつもない金持ちたと ? すっとたまっていたイツバイアッテナが、あいかわらす、ねっころがってむこうをむい たまま、ロをはさんだ。 " フッチーはイツバイアッテナのほうに顔をむけた。 きや′、はな 「そうなんだよ。うちのオヤジが客と話しているのをきいたんたけどよ。あの土地を買っ かいしゃ たやつはな、会社をいくつも持っている、ものすげえ金持ちなんだって。 とち じぶん かねも かお ざいもく とち