第三者 - みる会図書館


検索対象: 合格革命行政書士基本テキスト 2017年度版
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1. 合格革命行政書士基本テキスト 2017年度版

( 2 ) 第三者に対する責任 ①責任の内容 役員等は会社以外の第三者とは直接の法律関係を持たないの で、役員等の行為によって第三者が損害を受けた場合、不法行 為責任 ( 民法 709 条 ) を追及されることはあっても、それ以外 の責任を追及される立場にはありません。 しかし、役員等の行為は第三者に重大な影響を与えることが 429 条 1 項に基づく責任 と民法 709 条に基づく 多いことから、第三者の保護を厚くする必要があります。 不法行為責任は併存す るので、第三者は、不 そこで、役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過 法行為に基づく損害賠 償請求をすることもで 失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じ きる ( 最大判昭 44.11. 26 ) 。 12 ー 34-3 た損害を賠償する責任を負うものとされ ( 429 条 1 項 ) 、特別の ※ 2 法律上の責任が課せられています。 ②要件 @役員等の 第三者に対 役員等の第三者に対する責任が認められるためには悪意・重 する損害賠 償責任は、 過失が必要ですが、それは損害についてではなく、任務懈怠に 総株主の同意によって 免除することはできな ついて存在すればよいとされています ( 最大判昭 44.1126 ) 。 いんですか ? また、役員等の行為によって、第三者が直接損害を被った場 0 役員等の 第三者に対 合 ( 直接損害 ) であろうと、会社が損害を被った結果第三者が する損害賠 償責任は、 損害を被った場合 ( 間接損害 ) であろうと、任務懈怠と第三者 総株主の同意によって 免除することはできま の損害との間に相当因果関係が認められる限り、役員等は第三 せん。なぜなら、損害 を受けたのは株主では 者に対して損害賠償責任を負います ( 最大判昭 44.11.26 ) 。 なく第三者であり、株 主が勝手に損害賠償し 12 ー 34 ー ] なくてよいとしてしま ③効果 うことは、不当に第三 者を害することになる 429 条 1 項に基づく役員等の第三者に対する損害賠償請求権 からです。 は、 1 0 年で時効により消滅します ( 民法 167 条 1 項、最判昭 49.12.17 ) 。 ] 2 ー 34 ー 2 また、履行の請求を受けた時から遅滞に陥り、年 5 分の割合 により遅延損害金を支払わなければなりません ( 最判平元 .92D 。 ] 2 ー 34 ー 5 ④責任を負う取締役 429 条 1 項に基づく損害賠償責任を負うかどうかが問題とな った取締役としては、以下のようなものがあります。 1 重要判例 ※ 2 よくある質問 642

2. 合格革命行政書士基本テキスト 2017年度版

【詐欺と強迫】 第三者が 相手方が詐欺の事実を知って 相手方が強迫の事実を知らな 詐欺・強 いたときに限り、意思表示を かったとしても、意思表示を 迫をした 取り消すことができる ( 96 条 取り消すことができる ( 96 条 2 項反対解釈 5 ) 26 ー 28 ー 3 場合 2 項 ) 詐欺による意思表示の取消し 強迫による意思表示の取消し 反対解釈 : ある事項を 善意の は、善意の第三者に対抗する は、善意の第三者に対抗する 直接に規定した法規が 第三者へ ことができない ( 96 条 3 項 ) ことができる ( 96 条 3 項反対 ない場合に、他の事項 について規定した法規 の対抗 解釈 ) 62 ー 33 ー 5 、ト 34 ー 5 、 と反対の結論を導き出 4 ー 28 ー 5 、 8 ー 27 ー 5 、ⅱー 28 ー 2 すこと。 詐欺 強迫 確認テスト 阯心裡留保は原則として有効であるが、相手方が表意者の真意を知り文 ロロロ は知ることができたときは、例外的に無効とされる。 2 虚偽表示は無効となるが、その無効は、善意の第三者に対抗すること ロロロ ができない。 3 錯誤とは、法律行為の時点における表意者の効果意思が表示行為と食 ロロロ い違っており、表意者自身がそのことに気付いている場合のことである。 0 詐欺による意思表示は無効となるが、その無効は、善意の第三者に対 ロロロ 抗することができない。 ( 93 条 ) 20 ( 94 条 1 項、 2 項 ) OX 表意者自身が気付いていない場合である。 OX 詐欺による 0 0 意思表示は「取り消すことができる」が、その取消しは、善意の第三者に対抗することができない ( 96 条 1 項、 3 項 ) 。 民法 ここまでは、法律行為 ( 契約 ) を自ら行う場合について学習してき ましたが、ここでは、法律行為 ( 契約 ) を他人に代わって行っても らう場合について学習します。 代理 第 3 節 重要度 A 学習の P 0 ー N T 第 1 章ー総則 377

3. 合格革命行政書士基本テキスト 2017年度版

( 平成 16 年法律第 123 号 ) その他の登記に関する法律の定め るところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗する ことができない。 ( 1 ) 対抗要件とは何か A は、自己の所有する土地を B に対して売却したが、所 有権移転登記はなされなかった。その後、 A は、この土 地を C にも売却して、所有権移転登記をなした。 0 ②売却 ①売却 第一買主 上の事例では、土地が二重に売却されていますが、一物一権 主義の原則により同一の物について同一内容の物権は複数成立 しませんから、土地の所有者はどちらか 1 人になります。そこ で、この土地の所有者は B と C のどちらになるかが問題となり ます。 とくそう 民法は、不動産に関する物権の得喪及び変更は、その登記を しなければ、第三者に対抗することができないとし ( 177 条 ) 、 土地を買った者は登記をしなければ、第三者に対して自分が土 地の所有者であることを主張することができないとしていま ※ 2 したがって、登記を備えていない B は、 C に対して土地を取 対抗要件 : 成立した一 定の事項を第三者など 得したことを対抗できす、その結果、 C がこの土地の所有者と に対して主張するため の要件のこと。 なります。 ( 2 ) 「第三者」とは何か A → B → C と不動産が ①客観的要件 譲渡されたものの未だ 登記が A の下にある場 対抗要件を備えなければ物権変動があったことを主張できな 、 B は、 A に対して 移転登記請求をするこ い「第三者」とは、当事者もしくはその包括承継人以外の者で とができる ( 大判大 けんけつ 5.4.1 ) 。囮 1 た 25 ー 1 あって、不動産に関する物権の得喪・変更の登記の欠缺を主張 する正当の利益を有する者を指します ( 大連判明 41.12.15 ) 。 404 0 0 ※ 2 重要判例

4. 合格革命行政書士基本テキスト 2017年度版

②時効完成前の第三者 B が C に対して自己所有の土地を売却した後、 A がこの 土地の所有権を時効により取得した。 ①売却 時効取得者 ※ 4 重要判例 不動産の取得時効完成 元の所有者 後に第三者が当該不動 産の譲渡を受けて所有 権移転登記をした場合 において、時効取得者 不動産を時効により取得した占有者 (A) は、取得時効が完 が多年にわたり当該不 動産を占有している事 成する前に当該不動産を譲り受けた者 (c) に対して、 登記が 実を認識しており、時 効取得者の登記の欠缺 なくても時効取得をもって対抗することができます ( 最判昭 を主張することが信義 41.11.22 ) 。囮 ] 7-25 ー 3 、 25 ー 28 ー 2 則に反すると認められ る事情が存在するとき なぜなら、時効取得者 (A) が時効完成前の第三者 (c) か は、当該第三者は背信 的悪意者に当たり、時 ら不動産を譲り受けたのと同視できるからです。 効取得者は登記がなく ても時効取得をもって ③時効完成後の第三者 対抗できる ( 最判平 18.1.17 ) 。ロ 25 ー 28 ー 5 A が B の所有していた土地の所有権を時効により取得し た後、 B がこの土地を C に売却した。 ②時効取得 第三者 法 民法 ※ 5 重要判例 占有者が第三者の登記 法 後になお引き続き時効 取得に必要な期間占有 を継続した場合には、 その第三者に対し、登 記がなくても時効取得 をもって対抗できる ( 最判昭 36.7.20 ) 。ロ 25 ー 28 ー 3 ②売却 ①時効取得 時効取得者 元の所有者 不動産を時効により取得した占有者 (A) は、取得時効が完 不動産の取得時効の完 成後、占有者が登記を 成した後に当該不動産を譲り受けた者 (c) に対して、登記が しないうちに、その不 動産につき第三者のた なければ時効取得をもって対抗することができません ( 最判昭 めに抵当権設定登記が なされた場合であって 33.828 ) 。 週 12 ー 28 ーア、 25 ー 28 ー 3 も、その占有者が、そ の後さらに時効取得に なぜなら、元の所有者 ( B ) を起点とする時効取得者 ( A ) 必要な期間、占有を継 続したときは、特段の と時効完成後の第三者 (C) への二重譲渡類似の関係になり、 事情がない限り、占有 対抗関係となるからです。 者はその不動産を時効 により取得し、その結 果、抵当権は消滅する ( 最判平 24.3.16 ) 。ロ 25 ー 28-1 第 2 章ー物権 409 第三者 ※ 6 重要判例

5. 合格革命行政書士基本テキスト 2017年度版

を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたとき に限り、その意思表示を取り消すことができます ( 96 条 2 項 ) 。 したがって、相手方 B が詐欺の事実を知らない上の事例で は、 A は、意思表示を取り消すことができません。 A が B の詐欺により自己所有の土地を B に売却し、 B が 詐欺の事実を知らない C にこの土地を転売した後、 A が B との土地の売買契約を取り消して、 C に対して土地の返還を 請求した。 ①詐欺 ③転売 ②売却 善意 ④取消し < 意 相手方 ⑤返還請求不可 一乍欺による意思表示の取消しは、善意の第三者 (C) に対抗 することができません ( 96 条 3 項 ) 。 したがって、上の事例では、 A は、土地の返還を請求するこ とができません。 なお、 96 条 3 項の趣旨は、取消しに遡及効 1 があること ( 121 条本文 ) で第三者が害されるのを防止する点にあることか 遡及効 : ある行為の効 果が、その行為がなさ ーこにいう「第三者」とは、遡及効で害される第三者、す ら、 れた時より前にさかの ぼって発生すること。 ※ 2 なわち取消前の第三者に限られます ( 大判昭 17.9.30 ) 。 ②強迫による意思表示 96 条 3 項の「第三者」 強迫とは、他人に畏怖を与え、その畏怖によって意思表示を は、対抗要件を備えた 者に限定されない ( 最 させることです。 判昭 49.9.26 ) 。 26 ー 28 ー 2 強迫の場合は詐欺の場合よりも意思形成への干渉が強いこと から、以下のように、強迫による表意者は詐欺の場合より強く 保護されています。 第三者 二一口 ※ 2 重要判例 ※ 3 具体例をイメージ 例えば、腕時計を買わ ないと命の保障はない と脅して腕時計を売っ た場合などである。 「強迫」を「脅迫」と 書かないよう注意しよ つ。 ※ 4 記述対策 376

6. 合格革命行政書士基本テキスト 2017年度版

一やー 0 取消権者は、登記をしなければ、第三者に対して所有権の復 帰を対抗することができません ( 大判昭 17.9.30 ) 。したがって、 A は、 C に対して土地の返還請求をすることが 上の事例では、 できません。目 ] ト 28 ー 3 、 20 ー 29 ー 2 なぜなら、取消しの時点で B → A の所有権の復帰があったカ A から B に不動産の売 却が行われた後に、 A のように扱うことができ、 B を起点とする A ・ C への二重譲渡 が B の詐欺を理由に売 買契約を取り消したに があったのと同視できるため、対抗問題となるからです。 もかかわらず、 B がこ の不動産を C に転売し ( 2 ) 解除と登記 てしまった場合に、 C は善意であっても登記 ①解除前の第三者 を備えなければ保護さ れない。→〇 ( 20 一四一 A が自己所有の土地を B に売却し、 B が C にこの土地を 転売した後、 A は、 B が土地の代金を支払わないため、 B との間の土地の売買契約を解除した。 ③解除 ※ 1 過去問チェック 第三者 買主 売主 原状回復義務 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、 その相手方を原状に復させる義務 ( 原状回復義務 ) を負います から ( 545 条 1 項本文 ) 、 B は、 A に対して土地を返還する義務 を負います。 もっとも、原状回復義務を理由として第三者の権利を害する ことはできませんが ( 545 条 1 項ただし書 ) 、第三者が保護を受 けるためには、その権利につき対抗要件を備えていることを要 します ( 大判大 10.5.17 、最判昭 33.6.14 ) 。・ 2 ロ 20 ー 29 ー 3 ・ 5 、 25 ー 29 ー 債務不履行に基づく解 5 、 25-3 ト工 除であっても合意解除 したがって、第三者 c は、登記を備えている場合に限り保護 であっても、同様の結 論となる。 されることになります。 法 ※ 2 参考 第 2 章ー物権 407

7. 合格革命行政書士基本テキスト 2017年度版

5 不動産物権変動②ー登記を対抗要件とする物権変動 ( 1 ) 取消しと登記 ①取消前の第三者 A が自己所有の土地を B に売却し、所有権移転登記をし た。その後、 B がこの土地を C に転売した後に、 A は A B 間の売買契約を取り消した。 ③取消し ①売却 0 ②転売 買主 登記 制限行為能力・強迫を理由として取り消した者は、取消前の 第三者が善意であったとしても、登記なくして対抗することが できます。 62 ー 33 ー 5 、ト 34 ー 5 、 4 ー 28 ー 4 ・ 5 、 8 ー 27 ー 5 、 ] ト 28 ー 2 これに対して、詐欺を理由として取り消した者は、善意の第 三者に対して対抗することができません ( 96 条 3 項 ) 。 62-33 ー ] 2 ー 28 ーウ、 20 ー 29 ー ] 4 、ト 34 ー ] 、 したがって、上の事例では、登記の有無で土地の所有権が決 定されるわけではありません。 ②取消後の第三者 A は、 B の詐欺により自己所有の土地を B に売却し、所 有権移転登記をした。その後、 A は騙されたことに気付 き、 AB 間の売買契約を取り消したが、また登記が B のところ にある間に、 B はこの土地を C に転売した。 第三者 0 ①詐欺 ②売却 ④転売 ③取消し 主 主記 買登 第三者 ⑤返還請求不可 406

8. 合格革命行政書士基本テキスト 2017年度版

す。しかし、それに加えて、②法定された手続の適正、③実体 規定の法定 ( 罪刑法定主義※ 2 ) 、④法定された実体規定の適 正をも要求していると考えるのが通説的見解です。 ロ 罪刑法定主義 : 犯罪と 刑罰は、議会が定めた 法律によってあらかじ ] 9 ー 7 ー 4 め規定しておかなけれ ちょうもん ( 2 ) 告知と聴聞 は法的に成立しないと いうこと。 上記②の手続の適正の中でも特に重要とされるのが、告知と 聴聞の手続です。 告知と聴聞の手続とは、公権力が国民に刑罰その他の不利益 を科す場合、あらかじめ当事者に対してその内容を告知し、当 事者に弁解と防御の機会を与えるというものです。この手続を 経ることで、不利益を受ける個人の権利を保護し、公権力によ る不利益処分が適正になされることになります。 最重要判例。、第三者所有物没収事件 ( 最大判昭 37.11.28 ) 貨物の密輸を企てた被告人が有罪判決を受けた際に、その付加 刑※ 5 として密輸した貨物の没収判決を受けたが、この貨物には被 告人以外の第三者の所有する貨物が交じっていた。そこで、所有者 である第三者に事前に財産権擁護の機会を与えないで没収すること が違憲ではないかが争われた。 ①第三者所有物の没収の合憲性 第三者の所有物の没収は、被告人に対する付加刑として言い渡さ れ、その刑事処分の効果が第三者に及ぶものであるから、所有物を 没収される第三者についても、告知・弁解・防御の機会を与えるこ とが必要であって、これなくして第三者の所有物を没収すること は、適正な法律手続によらないで、財産権を侵害する制裁を科すこ とにほかならない。囮 14-5 ー 4 浦 ②当事者適格※ 7 第三者の所有物を没収 没収の言渡しを受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する する場合において、そ 場合であっても、被告人に対する付加刑である以上、没収の裁判の の没収に関して当該所 第 違憲を理由として上告をなしうることは当然である。 有者に対し、何ら告 知、弁解、防御の機会 を与えることなく、そ ( 3 ) 行政手続との関係 の所有権を奪ってはな らない。→〇 ( 14 ー 5 ー 31 条は、「刑罰を科せられない」と規定していることから、 4 ) 直接的には刑事手続に関する規定です。そのため、この規定が 行政手続にも適用されるのかが問題となります。 ※ 3 参考 日本国憲法は、 31 条と は別に罪刑法定主義の 条文をもっているわけ ではない。ロ 19 ーた 2 憲法 ※ 4 参考 アメリカの学説である 手続的デュープロセス 論 (due process Of law) とは、手続を単 に法律で定めるだけで はなく、その内容も適 正でなければならない 民 とするものであり、 31 条は、手続的デュープ ロセス論と同様のこと を述べたものといえ る。ロ 19 ーた 5 一一政亠ハ 結論 法 付加刑 : 独立して科す ことができる主刑に対 する用語で、主刑に付 加してのみ科すること ができる刑罰のこと。 礎 法 - 子 ※ 6 過去問チェック 五ロ 当事者適格 : 訴訟の当 事者となることができ る資格のこと。 第 2 章一人権 81

9. 合格革命行政書士基本テキスト 2017年度版

( 3 ) 瑕疵ある意思表示 第 96 条 ( 詐欺又は強迫 ) 1 詐欺文は強迫による意思表示は、取り消すことができ る。 2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行っ た場合においては、相手方がその事実を知っていたとき に限り、その意思表示を取り消すことができる。囮 8 ー 2 た 4 、 22 ー 27 ー 3 、 26 ー 28 ー 4 3 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、 善意の第三者に対抗することができない。 62 ー 33 ー 4 、 1 ー 34 ー 1 、 12 ー 28 ーウ、 20 ー 29-1 ※ 6 参考 電子消費者契約法 3 条 は、インターネットを 用いた契約などにおけ る消費者の操作ミスに よる錯誤について、消 費者保護の観点から、 重大な過失がある場合 には無効を主張できな いとする民法 95 条ただ し書を修正している。 ロ 2 ト 56 ー 5 一三 0 第三者が錯誤による無 効を主張するための要 件は、書けるようにし ておこう。 一了・十ム 瑕疵ある意思表示とは、効果意思と表示行為は一致している ものの、効果意思の形成過程に瑕疵がある場合のことです。例 きようはく えば、詐欺・強迫による意思表示です。 ] 4 ー 27 ー 2 瑕疵ある意思表示は、無効とはならず、取り消しうるものと されています ( 96 条 1 項 ) 。なぜなら、効果意思そのものは存 在しており、その形成過程に他人の不当な干渉が加わるという 欠陥があるにすぎないからです。 ①詐欺による意思表示 ぎもうこうい 詐欺とは、欺罔行為により他人を錯誤に陥れ、それによって 意思表示させることです。 A は、 C の詐欺により、自己所有の土地を B に売った が、 B は詐欺の事実を知らなかった。 民法 法 例えば、近くに鉄道の 駅ができるから地価が 値上がりするとウソを 言って荒れ地を高値で 売った場合などであ る。 ※ 8 具体例をイメージ ①詐欺 第三者 ②売却 善意 相手方 表意者 取消し不可 相手方 (B) に対する意思表示について第三者 (C) が詐欺 第 1 章ー総則 375

10. 合格革命行政書士基本テキスト 2017年度版

ため、双方とも保護する必要がないからです。 A は、自己所有の土地に強制執行 1 がなされることを 察知したが、この土地を他人に渡したくないので、 B に 強制執行 : 国家権力の 頼んで B がこの土地を買ったことにして登記を移転した。 行使として執行機関が その 私法上の請求権の強制 後、 B は、善意の C に対してこの土地を売った。 的実現を図る手続のこ と。 0 虚偽表示 0 善意 冗 却 表意者 第三者 虚偽表示の無効は、善意の第三者 (C) に対抗することがで きません ( 94 条 2 項 ) 。なぜなら、虚偽表示を行った者は権利 を失ったとしても自業自得といえますし、第三者の信頼を保護 しないと取引の安全が害されるからです。 なお、 94 条 2 項の「第三者」とは、虚偽表示の当事者又はそ 94 条 2 項にいう「善意」 とは、過失の有無を問 の一般承継人※ 4 以外の者であって、その表示の目的につき法 わない ( 大判昭 12.8.10 ) 。 22 ー 2 た 5 律上利害関係を有するに至った者をいいます ( 最判昭 45.724 ) 。 【 94 条 2 項の「第三者」】 94 条 2 項は、善意の第 「第三者」に該当する 「第三者」に該当しない 三者の側から無効を主 張することを否定する ①虚偽表示により目的物を譲り受け ①虚偽表示により債権を譲り受け ものではない。ロ 20 ー た者からその目的物について抵 た者から、取立てのために当 2 たア 当権の設定を受けた者 ( 大判昭 該債権を譲り受けた者 ( 大決 6.10.24 ) 20 ー 27 ーエ 大 9.10. ] 8 ) ②虚偽表示により債権を作出した者 ②土地の賃借人が所有する地上建 一般承継人 : 他の者の 権利義務のすべてを一 から当該仮装債権を譲り受けた 物を他に仮装譲渡した場合の 体として受け継いだ者 者 ( 大判昭 ] 3. ] 2. ] 7 ) 27 ー 28 ー 土地賃貸人 ( 最判昭 38. ⅱ . 28 ) のこと。例えば、相続 ③土地の仮装譲受人から当該土地 人などである。 ③虚偽表示により目的物を譲り受け 上の建物を賃借した者 ( 最判 た者からさらに目的物を譲り受 昭 57.6.8 ) 囮 27 ー 28 ー 3 けた転得者 ( 最判昭 45.7.24 ) 囮 ⅱー 28 ー ] ④虚偽表示により譲り受けた目的物 を差し押さえた仮装譲受人の一 般債権者 ( 最判昭 48.6.28 ) 相手方 ※ 2 重要判例 ※ 3 参考 五ロ ※ 5 参考 虚偽表示により譲り受 けた目的物を差し押さ えていない仮装譲受人 の一般債権者は、「第 三者」に当たらない。 20 ー 27- オ 372