責任 - みる会図書館


検索対象: 毒になる親 : 一生苦しむ子供
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1. 毒になる親 : 一生苦しむ子供

4 ー をしなかったことによって与えられた場合、その子供が大人になってから自分の人生に起き る問題と親との関連性を見抜くことは非常に難しくなる。また、そういう親を持った子供 は、もともと自分の抱える問題と親との関連性を否定する傾向が特に強いので、その作業を いっそう難しくする。 問題を複雑にしている要因のひとつに、この種の親の多くは自分が抱える問題のためにす でに救いようのない状態にあるため、他人がそれを見ると哀れを感じてしまうということが ある。これは、その子供となればなおさらで、親の救いようのなさ、あるいは無責任さを見 ると、子供はつい弁護したくなってしまうのである。それは、犯罪者をかばって被害者が謝 っているようなものだ。 そういう子供が大人になると、よく「親は悪意があってそういうことをしたわけじゃない んです」「彼らなりにできるかぎりのことはしたんです」と言って親を弁護するが、そのよ うな弁護は、親が責任を果たさなかったという事実をあやふやにしてしまう。その子供が健 康な心の発達ができずに苦しんだのは、ほかならぬその親のせいだったのである。 もしあなたが「義務を果たさない親」の子供だったなら、あなたは「親が抱えている問題 の責任は、彼ら自身にある」ということを知らないまま成長している可能性がある。もしそ うなら、あなたは親の問題に引きずられ、親の都合に踊らされているのは自分の運命のよう に思え、おそらく自分がそのように選択しているのだとは思っていない

2. 毒になる親 : 一生苦しむ子供

2 ラ 0 来へ向けてエネルギーの方向を変えるまでの時間といってもよい。大きな傷も、いずれはい くつかの小さな痛みに分かれていく。「自分が失ったものについて自分には責任がない」と 確信できた時、悲しみは癒えはじめるだろう。 自分の責任を取る 責任は負わなくてはならない人間に負わせる、つまり、子供の時の不幸は親の責任だと確 信できたとしても、だからといって、大人になった後も自分の自己破壊的な行動のすべてが 親のせいだということにはならない。子供の時のあなたにはいっさいの責任はなかったが、 その事実は、いまでは大人になっているあなたから自分に対する責任を免除するものではな いのである。 つぎにあげるリストは、現在は大人であるあなたが、親との関係において果たさなくては ならない責任について考えるのに役立つであろう。声に出して「大人である私には、 に責任があります」といってみてほしい。 親から独立したひとりの人間になること。 親との関係を正直に見つめること。 3 ・自分の子供時代について、目をそらさすに真実を見つめること。

3. 毒になる親 : 一生苦しむ子供

200 自分の身に起きたことの〃責任〃は、自分にあるかだれかほかの人にあるかのどちらかで しかない。例えば、あなたがだれかに傷つけられた時、そうなったのはあなた自身の責任 か、それともあなたを傷つけた人間の責任かのどちらかでしかないのである。そこで、親を 「許した」と言っている人たちは、無理して親の責任を免除した結果、自分がその責任を負 うことになる。そして自責の念や自己嫌悪に陥り、または抑え込まれた怒りが原因で心身に さまざまな障害を引き起こしているのである。 多くの人をカウンセリングして私が気づいたもうひとつの点は、真実を見つめて問題に取 り組むというのは非常につらい作業であるため、その苦しさから逃れるために「許し」に逃 げ込んでしまう人がいるということだった。そういう人は、あたかも親を「許し」さえすれ ばたちまち気分は回復し、元気になれるとでも思っているようだ。そしてかなりの人が「も う許したから」といってセラピ 1 を早々に切り上げてしまい、後になって以前よりひどいう つ病や不安症候群に苦しむことになるのである。 このように、心の奥では消えていない本当の感情を無視して自分をだましているかぎり、 その感情はことあるごとに噴き出してくる。「もう許した」と思った時には一時的に心が洗 われたようになって、心身の健康が急激に好転することはたまにあるが、それが長く続くと いうことはない。なぜなら、心のなかで本当に感じていることは何ひとっ変わっていないか らだ。

4. 毒になる親 : 一生苦しむ子供

236 やすくはないからである。 くり返すが、子供時代に親によってもたらされたつらくて悲しい出来事について、子供だ ったあなたには責任がない。あなたはそのことをはっきりと認識し、もしまだ自分に責任が あるように感じているなら、責任は負わなければならない人間が負うべきものであることを 心の底から理解しなければならない。つぎに示すのは、そのための練習である。 静かにひとりだけになれる時間を作り、子供時代の自分を心に思い描いて話しかけてみて ほしい。当時の自分の写真があれば、それを見ながら対話すればさらに効果的かもしれな : についての責任はない」と語りかける。この そして声に出して、「きみには : ・ : 」の部分には以下のような文章がくる。自分にあった文章を当てはめてみてほしい。 かえり 親がきみのことを顧みす、放置して粗末に扱ったこと。 親がきみのことを愛する価値がない人間のように扱ったこと。きみが親に愛されていな いと感じたこと。 親から残酷な言葉や思いやりのない言葉でからかわれたこと。 4 ・親からひどい言葉でロ汚くののしられたこと。 5 ・親自身の不幸。 6 ・親が自分で抱えている間題。

5. 毒になる親 : 一生苦しむ子供

らない子供だった時に大人からされたことに対して、あなたに責任はないのである。幼い子 供に対して親がしたことに関するかぎり、すべての責任はその親が負わなければならない。 もちろん、私たちは、大人になってから後の人生については自分に責任がある。だが、そ の人間がどのような大人に成長するかということは、成長の過程において自分のカではコン トロ 1 ルできない家庭環境というものによって大きく影響され、それによってその後の人生 の多くが決定されてしまうということも忘れてはならない。 大人としてのあなたの責任とは、現在自分が抱えている問題に対していますぐ建設的な対 策を講じ、問題を解決する努力をすることなのである。 本書にできること これからあなたが出発する旅は、嘘のない、そして発見のためのとても重要な旅だ。この 旅が終わった時、あなたはいままでなかったほど自分の人生を自分の意思で生きていること を実感するだろう。ただし、本書を読んだからといって、あなたの抱えている問題が魔法の ゝ。サれども、もしあなた ようにたちまち消え失せるなどというようなことは約束できなしし め じに、本書に書かれていることを学び、行動する勇気と強さがあれば、あなたはひとりの人間 として本来与えられているべきにもかかわらず親に奪われてしまった「カ」や、人間として 本来備えているべき尊厳のほとんどを取り戻すことができるようになるだろう。

6. 毒になる親 : 一生苦しむ子供

6 ラ第二章義務を果たさない親 だが、真実を一言えば、あなたはそうではない道を自分で選択することはできるのである。 まずはじめに、自分にはどうして楽しい子供時代がなかったのか、と考えてみることからは じめるとよい。そして負わなくてもいい責任を負わされたことによって、自分はどれほどの エネルギーを消耗してきたかという事実を受け入れるといし このことが理解できれば、あなたは生まれてはじめて、もう自分にはないと思っていたエ ネルギーがわき起こってくるのを感じるだろう。それは、これまでの人生の大部分において 親のために費やしてきたエネルギーであり、本来なら自分をもっと愛し、自分に対してもっ と責任が取れるようになるために使うことができるエネルギーなのである。

7. 毒になる親 : 一生苦しむ子供

204 めなければならない。人は簡単に「許して忘れなさい」と一一一一口うかもしれないが、それは「そ んなことは何も起きなかったというフリをしていなさい」と言っているのと同じである。 もうひとつ、「許し」とは、許される側の人間がそれに値するなんらかの具体的な行動を 取った時にはじめて適切なことと言えるのではないか、と私は思うのだ。子供に害悪を与え た親は、自分の行ったことがなんであったかを認め、その責任が自分にあることを認め、自 分を改める意思を見せなければならない。 被害者のほうが一方的に加害者を許して責任を免除し、一方、加害者である親は相変わら ず事実を否定し、被害者の気持ちを踏みにじってひどいことを言い続けるのでは、被害者の 心の回復は起こり得ないのである。もし問題の親がすでに死亡していて、責任を取ることが できない場合は、被害者は怒りを抱いている自分を許すことによって、心身の健康に大きな 影響を与えていた親の心理的支配から自己を解放し、傷ついた心を癒すことができる ( 詳し くは第十三章を参照のこと ) 。 ここまで読んでも、なお「しかし、もし相手を許さなかったら、苦渋に満ちた人生はその 後も変わらないのでは」と思っている方もいることだろう。その疑問はよくわかるが、事実 はその正反対である。 私は長年にわたって多くの被害者をカウンセリングし、観察してきたが、「毒になる親」 の支配から自己を解放した者は、必ずしも親を許さなくても心の健康と平和を取り戻すこと

8. 毒になる親 : 一生苦しむ子供

親が自分の間題について何もしなかったこと。 親がアルコール中毒であること。 親が酔ってしたこと。 親がきみに暴力を振るったこと。 親がきみに対して性的な行為をしたこと。 このほかにも、くり返し体験した苦痛に満ちた出来事があれば、リストにつけ加えてみて 61 レゝ 0 み し これを十分行ったら、つぎは本当に責任がある人間はだれなのかをはっきりと認識する練 習をする。それには「私の親は : : に責任がある」とはっきり声に出して言う。この ・ : 」の部分に、同じリストの文章から自分に当てはまるものを入れてみてほしい。まゝ 怒 にも自分に当てはまることがあればつけ加えるのは同様である。 なぜこのようなことをするのかというと、このことは頭ではわかっていても、その理解に 章 二対して感情的にも抵抗がなくなるまでになるには時間がかかるからである。したがって、心 第の底から抵抗なくこの事実がいえるようになるまで、この練習は何度もくり返す必要があ る。 11 10 9 8 7

9. 毒になる親 : 一生苦しむ子供

子供にも、だれも奪ってはならない基本的な人権がある。それは、食事を与えられ、服を 与えられ、住む場所を与えられ、危険から守られるということだ。だが、単に体の生存に必 要なものさえ与えられればそれでいいということではない。、 心の面でも健康に育てられるこ とは基本的な権利である。そうでなければ、生まれてきたことに価値を見いだせる人間には 成長できないからだ。 親 子供はまた、していいことといけないことの違いを親から適切に教えられ、失敗を許さ さ れ、しつけられることが必要だ。だがそこで大切なのは、〃しつける〃ことと肉体的あるい 果は精神的に " 傷つける。ことは、まったく違うということである。 務 さらにつけ加えるなら、子供は子供らしく生きる権利がある。小さいうちは無邪気に遊び 義 回り、のびのびとして自然なのがよく、何事にも子供には責任はない。しつかりとした愛情 章 一一のある親なら、子供が育つにつれ少しずつ責任を与え、家事を手伝うことも教え、心の成長 をはぐくみ、子供からほのばのとした楽しい子供時代を奪ってしまうようなことはない。 第ニ章義務を果たさない親

10. 毒になる親 : 一生苦しむ子供

234 すべての人間が幸せな子供時代を過ごせていたら素晴らしいことだ。だが、もしあなたが そうでなかったとしても、すでに過ぎ去った過去を変えることはできない。カウンセラーと しての私にできることは、苦痛に満ちた子供時代を送ることを余儀なくされながらその責任 の所在について誤解している人に、真実に目を向け、認識を転換できるようお手伝いをする ことだけだ。この認識の転換は、そのような人が人生を自分の手に取り戻すためにはどうし ても行わなくてはならない必須のことである。なぜなら、子供時代に起きた出来事の責任が だれにあるのかという事実について正直に認識することができないかぎり、その人の心が本 しゅうち 当に晴れることは一生ないからである。そして、その状態が続くかぎり、羞恥と自己嫌悪が 消えることはなく、その人は永久に自分を罰し続けることになってしまう。 自分に合ったペースで 第十章と第十一章で取り扱ってきたことは、主に頭で考えることが中心で、新しい考えを 探索し、真実を読みとり、理解することが目的だった。この第十一一章と第十三章では、直接 第十ニ章「怒り」と「悲しみ」