だいしようふの絵本 全 3 冊 安藤由紀 1 あなたはちっともわるくない ぼくが悪い子だからぶたれるんだ、と思っていたち びくまは、やぎ先生とたろくまにはげまされて・・・ 虐待を知り、虐待をのりこえる絵本。巻末に解説と 「児童虐待防止法」を収録。 2 いいタッチわるいタッチ アミ ( 女の子 ) とラン ( 男の子 ) はふたごのきよう だい。友だちのママに「ロと水着でかくれる場所は 自分だけの大切なところ、ひとにさわらせてはだめ」 と教わる。巻末に性教育についての解説付。 3 わたしがすき すきなもの、すきなこと、うれしかったこと、にが てだけどがんばったこと、はげましてくれる家族や まわりの人を思いうかべて、まるごとの自分をすき になることの大切さを伝える。巻末に自己肯定感を もっことの大切さについての解説付。
すきなひとのそばにいると とってもあんしん。 そして、たいせつにされて じぶんがたいせつだって きがつく。 いやなことがあっても だいじようぶ。 わたしはわたしがすき。
わたしのなまえはココ。 わたしはじぶんのなまえが ながいおひげも ぶくんとしたおなかも ひょろりとしたしっぽも だいすき。 2 すき。
いいこだね すきだよ けんきだ
きようもじぶんがすきじゃないの。 おひるねのときおねしよして、 すこくはずかしかった。 14
じぶんがきらいなときも あるけど あガあさんやあとうさん すきなひとのそばにいると とってもあんしん。 いやなことがあっても だいじようぶ。 生きていく力の源となる セルフ・エスティーム 自己肯定感をもっことの大切さを 伝える絵本です。
おねしょはすきじゃないけど わたしにはすきなことがいつばいある。 すきなひとがいつばいいる。 わたしのすきなひとは おかあさん おとうさん おばあちゃん おじいちゃん あいしてる 24
朝き〉一い 0 ) すき !
子どもは、時に大人がため息をつきたくなるほど手 のかかるものですが、子どもほど大人の愛情が必要で しかも親からの影響をストレートに受けてしまう存在 はありません。 人の心は奥深く複雑です。 3 歳までの親とのかかわ とら り方は大切ですが、反対に 3 歳児神話に囚われすぎる と、親が苦しめられ、やり直しのチャンスをあきらめ る危険もあります。幼児期の心の傷がどんなに深かろ うと、その人が自分の意思で健康になりたいと決心し、 行動することにより、幸せな充実した人生を送ること は充分可能なのです。 かんべき 完璧な親など、どこにもいません。親子関係で子ど もとのかかわりに失敗したと感じても、大人はその気 づきによって、やり直しはきくものだと思います。た だし、両者の関係で歩み寄っていくことは、大人にし かできません。信頼関係に向けてリセットボタンを押 す役割は、子どものものではないからです。 ジェンダーとセルフ・エスティーム 「女の子は 12 歳を境目にしてセルフ・エスティームが 急に下がりだす。先進国のカナダでさえそうだ」 1996 年のカナダ研修の際、バンクーバーの市街地に せっしよくしようがい あるセント・ポール病院の摂食障害外来の医師団から 講義のなかでいわれたことです。 12 歳といえばまさに思春期。月経がはじまり、体型 も変化して成熟に向かう時期です。 よき母親、主婦として家事や育児をこなす 内での性による役割分業も無関係ではないと説明され このセルフ・エスティームの低下には、家族 30 それは、 ました。 また、 姿そのものが低い自己評価に結びつくというのではな く、アンペイド・ワーク ( 支払われない労働 ) と呼ば れる家事労働への低い社会的評価と、無意識の内にし みこんでいる性差別が関係しているようです。 日本でも女性の働く場所はひろがり、バスの運転や 道路工事の現場でも、若い女性たちの働く姿が見られ かくりよう るようになりました。内閣も史上最高数の女性閣僚が 新聞をにぎわしています。 けれどもまた、同じ新聞の三面の記事には、子ども ぎやくたい への性的虐待や、セクシャル・ハラスメントの事件も 絶えることがありません。一流紙といわれる新聞にさ え、月刊誌の女性の水着やセミ・ヌードが堂々と掲載 なかづ されています。電車の週刊誌の中吊り広告には、女性 の性的な行動を貶め、はすかしめるようなうたい文句 があふれています。コンビニに行けば、子どもの目の 高さにポルノグラフィーの数々。レンタル・ビデオ店 でも子どもへの影響は配慮されていません。 「いまの日本で思春期の男の子が暮らすってことは、 ざんこく とっても残酷な環境にいるってことだよ。自分の思春 期のことを考えても、性的好奇心の芽生えた時期にこ つら の環境は辛すぎる。まるで強姦してもいいよって、毎 日肩を押されているようなもんだよ」 ある夜のセミナーでの、子どもの人権運動にかか わっている男性からの発言です。 女の子は性的に成熟することが商品になることだと 刷り込まれ、男の子も、性的な暴力やゆがんだ欲望が 男性になるアイデンティティーだと刷り込まれてゆく。 このマスコミや商品媒体が、私たちの子どもにどれ ほどマイナスのメッセージを送りつづけているのか、 大人の私たちは麻痺してしまっています。 おとし
わたしはおっかいもすき。 おみせのひとは にこにこしてくれる。 「ココちゃんえらいね」って