アイゲウス - みる会図書館


検索対象: ギリシア神話
5件見つかりました。

1. ギリシア神話

をめあわせられます。彼女が懐妊したことを知ると、アイゲウスは剣とサンダルを大岩の下 に隠し、男子が生まれて年ごろになったならばその岩を示し、しるしの品をとり出すことが できたなら父のもとへ来させるように、といいおいて帰国します。こうして生まれたのがテ セウスですが、別に、アイトラが神域でポセイドンの愛を受けテセウスを産んだともいわれ ます。 青年期に達したテセウスは楽々と岩をとりのけると、証拠の品をもって父の国へ向かいま す。しかし、武名を揚げたい一心から、安全な海路はとらず怪物野盗に満ちた陸路を選びま す。街道では、地面にまで曲げおろした二本の松に旅人の両足を縛りつけ、木をはね上げて 殺すことから「松曲げ男」とあだ名されたシニス、岩の上で旅人に足を洗わせ、それを蹴落 としては海の大亀に食わせていたスケイロン、旅人を無理やり寝床におさえつけ、背の低い 者はうち伸ばし、寝床に余る長身の者は切り縮めて殺していたプロクルステス、このような 無法者が暴威をふるっていましたが、テセウスはすべて相手のやり方で殺してしまいました。 アテナイでは魔女メディアがアイゲウスの妻になっていましたが、彼女は一目でテセウス す・じよ・つ の素姓を察知し、突如現われた王位継承者を亡き者にしようとします。そして、食卓で彼の 前に毒杯を置きますが、テセウスが例の剣で肉を切ろうとするのをアイゲウスが認め、危う カ : にん

2. ギリシア神話

ちいり、妻にしてつれ帰ってくれるなら援助しようとひそかに申し出ます。テセウスが誓い をたてると、彼女はダイダロスから迷宮脱出の秘策を聞きだし、糸玉をテセウスにあたえま す。彼は迷宮の入口に糸の端を結びつけ、玉をほぐしつつ十四人の先頭に立って内部に進む と、ミノタウロスと格闘の末、これをなぐり殺します。さしもの迷宮も、糸をたどって無事 脱出できたことはいうまでもありません。 ところが、テセウス一行が追手をかわしてナクソス島にたどりついた時、ディオニュソス さら がアリアドネに恋し、彼女を攫ってしまいました。テセウスは、大事を果たした喜びよりも しようぜん アリアドネを失った悲しみに白い帆を張るのも忘れ、然と故郷へ向かいます。しかし、一 じっせんしゅう 日千秋の思いで息子の帰還を待ちわびていたアイゲウスは、はるか海上に黒い帆を認めると、 ちな 絶望して崖から身を投じてしまいました。この海は彼に因んでペラゴス・アイガイオン ( 工 ーゲ海 ) とよばれるようになったのです。 この伝記には、クレタがエーゲ海の覇者として、アテナイなどにも朝貢を強いていたころ の歴史の記憶や、クレタにおける牛態神崇拝、牛態神と王妃の神聖婚の儀式などが形を変え て入りこんでいますが、一方また、黒い帆と白い帆のモチーフも、中世伝説『トリスタンと イゾルデ』などにひき継がれて不滅のものとなっています。

3. ギリシア神話

ちくでん く毒杯をたたき落とします。メディアは逐電し、あらためて父子の対面がなされます。 ところで、アテナイにはまた悲しい時期がめぐってきていました。とい、つのは、クレタ島 と四海の王者ミノスの息子アンドロゲオスがかってアテナイに遊び、この地で変死をとげる ということがありました。このためミノスは大海軍力をもってアテナイを攻め、休戦の条件 みつもの として、九年に一度、七人の少年と七人の少女を貢ぎ物としてさし出すことをアテナイに義 務づけていたのですが、いままたその年がめぐってきていたのです。そして、クレタへ送ら ・んじき ラビュリントス れた若者たちは、迷宮の奥に住むミノタウロスの餌食にされたといわれます。一度入れば 二度と出られないという迷宮は名高いエ匠ダイダロスの作で、ミノタウロスというのは、ポ きさき たね セイドンの下した罰でミノスの妃パシバエが雄牛に恋し、その胤を得て産んだ牛頭人身の怪 物なのです。 ひとみごく、つ テセウスはみずから人身御供の一員となりミノタウロスを退治することを申し出ます。彼 雄の覚悟がかたいのを見たアイゲウスはやむなくそれを許しますが、ただ、息子の無事を一刻 も早く知りたい心から、死地におもむく船につける黒い帆を、もし無事で帰還するときには 英 白い巾にかえるよ、つ命じます。 Ⅳ さて、こうしてテセウス一行はクレタ島に着きますが、王女アリアドネが彼を見て恋にお タウロス

4. ギリシア神話

悩を見かねて火をつけてやります。ヘラクレスはその礼に彼に弓をあたえ、彼は後年その弓 でトロイア城攻略の立役者となるのです。 天より黒雲が舞いおり、稲妻が天地の間を ところが、火葬壇に火が燃え上ると見る間に、 走ったかと思うと、ゼウスがヘラクレスを天上に運び上げました。ヘラの怒りもようやくと け、ヘラクレスは彼女の娘へべ ( 青春 ) を妻として、神の列に加えられたといわれます。 ヘラクレスは十二の難業を果たした後にも数々の遠征をおこない、またそれらの途中にも 数多くの手柄を樹てたのですが、ここではすべて省略し、いきなり英雄の死と神化を述べま ふばっ した。英雄の生涯の意味を問うには、これだけで十分と思えたからです。不抜の意志とあり あや きょ・つだ あまる力をもちながら怯懦な君主に仕え、われとわが手に息子を危め、愛情から出た妻の行 為によって命を落とす。このような生涯に不条理な、それゆえ人間的な苦のみを見るか、最 後には天界に迎えられて、地上では報われることの少なかった彼の苦悩の一生にも救いが用 雄意されていたと考えるか、それは人それぞれでしよう。 ◆テセウスーー英雄の晩年′ 英 テセウスの伝説はヘラクレス伝記の焼き直しと考えられるところが多分にあります。 Ⅳ アテナイ王アイゲウスは旅の途中にトロイゼンのピッテウス王の客となり、王女アイトラ ふじよ・つり

5. ギリシア神話

索引 ( 神名・人名・事項 ) 太字は主要箇所を示す ア行 アイギュプトス 72 アイゲウス 89 ー 92 アイスキュロス「縛られたプロ メテウス』 18 ー 20 アイソボス ( イソップ ) 99 アイティオロギア ( 縁起ばなし ) 9 , 130 , 142 , 177 , 190 , 192 アウゲイアスの家畜小屋 86 アガメデスとトロポニオス アムピトリュオン 84 天目一箇神 ( アメノマヒトッノ 32 , 62 アラクネ 125 ー 132 , 136 , 146 , 176 ー 178 , 192 アリアドネ アルクメネ アルゴス アルゴ船 アルタイア アルテミス 91 ー 93 41 , 84 11 , 182 , 187 ー 190 54 , 81 , 93 , 95 80, 82 60-61 , 81 , 136 ー 118 アガメムノン アキレウス 120 アクタイオン アクリシオス アスカラボス アスクレピオス アダムとエバ アタランテ 108 81 , 95 , 106 , 110 , 144 , 146 , 195 81 ー 82 17 60, 110 , 116 47 72 , 76 アテナ 40 , 54 ー 56 , 73 , 77 , 107 , 125 ー 132 , 他 アドニス アドメトス アトラス 53 ー 54 116 6 , 41 アプロディテ 29 , 52 ー 54 , 107 , 153 , 162 , 他 136 ー 138 , 140 , 155 ー 160 , 他 アポロン 56 ー 60 , 112 , 115 , 146 アポロドロス『ギリシア神話』 アマゾン アムピオン 61 , 78 , 86 , 93 133 , 140 138 , 141 , 143 ー 146 , 他 アレス 61 , 80 , 155 , 他 アンタイオス 50 アンドロメダ 74 イアソン 81 , 95 イオ 71 , 179 ー 194 , 199 ー 202 異人歓待 ( ホスピタリティ ) 47 , 148 イナコス河神 71 , 98 , 179 , 187 ウラノス 27-33 , 36 , 40 英雄 48 , 70 , 95 , 103 工イレイテュイア 41 , 56 , 84 エウリピデス 『バッコスの信女たち』 146 「アルケスティス』 117 『ヒッポリュトス』 154 『アウリスのイピゲネイア』 エウリュステウス 84 ー 87 エウリュデイケ 112 ー 113 エウロペ 166 ー 170 158 7