「おつ、これた、これた。」 てつ としよしつ やっと、図書室のかきが見つかったようた。クマ先生は、鉄のとびらに手をかけた。せ としよしつ ん " ふあくのも待ちきれす、イッパイアッテナは、図書室の中にとびこんた。ぼくも、クマ つづ あいだとお 先生の足の間を通リぬけて、イッパイアッテナに続いた。 きようしつがっきゅうぶんこ なるほど、こいつはすごい。教室の学級文庫とはくらべものにならないくらいのたくさ きよ、つしつ ひろ んの本が、きれいに、たなになら " へられている。広さも、教室のニ倍か三倍ある。大きな テー " フルがいくつもある。あそこて、子どもたちが本を読むのたろう。そのテー " フルのひ とつに、イッパイアッテナはとびのって、あたリをくるリと見まわした。ぼくも、イツバ ィアッテナのとなリにとびのって、いった。 ほんや 、、つばい本がある。」 「こリや、すごいね。町の本屋さんよリし どうぶっしよくぶっとり ずかん 「なあ、すげえたろ。おまえの好きな図鑑たって、たくさんあるんた。動物、植物、鳥、 ものずかん ずかん さかな 魚。それから、石や、邑がのってる図鑑もある。乗リ物の図鑑もな。」 ィッパイアッテナは、まわリの本を見まわして、うっとリしている。 「それしや、ぼく、鳥の図鑑をさがしてこようっと。」 とりずかん 凵 4
ちがいない。うまくいけば、足をくしくかもしれない。そのすきに、さっさとにけるん た 「おい、待てっていってるんた。」 こえ 声の大きさからさっして、もうニメートルは、はなれたたろう。いまた。ぼくは左によ けるようなかっこうをしながら、ふリむいた。 おも どっとおそいかかってくると思ったら、トラねこは、立ったままこちらを見ている。 「おまえ、なにやってるんた。そんな、よけるみたいなかっこして。ははん。おれがとび おも かかるとても思ったんたな。それておまえ、そっちによけるふリして、ほんとうはきやく によけるつもリたったんたろう。そんな手にはのらねえよ。 すっかリ見やぶられてしまった。まえに一度、この手て成功したんたけど。ぼくは ちょうし ちょっとはすかしくなリ、てれかくしに、すこしきつい調子て、 「なんたよ。またなにか用があるのかよ。 といった。 「おい、これからどこへいくんた。」 よ、つ せいこ、つ
あんない ちこちを案内してくれたのた。 はじ みせ しようてんがいとお そろそろ店しまいを始めた商店街を通リかかったとき、イツバイアッテナがいった。 さかなや 「おい、ルド。おまえ、魚屋のおやしとけんかしたんたつけな。」 さかなだいす さかなや さかな 「そうだよ。ぼくは魚は大好きたけど、魚屋のおやしは大きらいなんた。ぼくの町には魚 さかなや 屋がニけんあるけれど、どっちの魚屋のおやしも、ぼくのことを目のかたきにしてるん みせまえとお だ。店の前を通っただけて、いろんなものがとんてくるしまっさ。たから、なる " へく通ら ないようにしているんた。」 さかなや 「へえ、そうかい。それしゃあ、この町の魚屋も、おれたちのことを見たら、石かなんか な 投げてくるかな。」 ぼくは、なんてイツバイアッテナが、そんなわかリきったことをきくのか、わからな かお かった。ィッパイアッテナの顔を見ると、ニャニヤしている。 「そんなこと、きまってるしゃないか。なんて、そんなこときくんたい。 「きまってるかどうか、やってみなけリや、わからんしゃないか。どうた、これからふた さかなやまえとお リて、そこの魚屋の前を通ってみようせ。 や とお
きゅ、つしょ / 、しつ 「おおかた、ニにも給食室があるとかんちがいしたんたろ。そろそろ昼た。おまえら しよくいんしつ にも、ペんとうわけてやるからな。さあ、職員室にもどろう。」 ぼくたちがろうかに出ると、クマ先生は、ドアをしめて、かきをかけようとした。さっ おば きのかきを覚えておけばいいのに、また、どれたかわからなくなって、あれてもない、こ ばん ィッパイアッテナは、なんてこのまえの晩のことを、知っているんたろう。きっと、ど こかて見ていたんた。ぼくは、しょぽんとしてしまった。 はじ 「まあ、いい。始めのうちは、たれてもそうしたがるものさ。さ、いこうせ。あんまリ、 ここにいるとあやしまれるからな。」 クマ先生のほうを見ると、クマ先生は、鉄のドアによリかかって、あくびをしている。 よう としよしつ 「ふわーい。おまえら、ねこのくせに、図書室になんの用があるんたよ。ねこにかっ " ふ ぜんだいみもん としよしつ し、ってのはきいたことがあるけど、ねこに図書室なんてのは、前代未聞た。」 にんげん しんば 「ほらな。ねこがあんまリ進歩しねえと、人間に、あんなふうにいわれるんた。」 ある ィッ。ハイアッテナは、そういって、テー " フルからとびおリ、ドアのほうに歩いていっ てつ ひる 凵 8
してくれるんだ。それても、にんしんがひとっくらいましってしまうことがある。そうい うときには、にんしんのまわリにくつついているシチューの汁たけ、きれいになめてしま しよくじ ぼくは、リエちゃんと、リエちゃんのお父さんとお母さんが食事をするテー " フルの下て じぶん 自分の " ふんを食べる。リエちゃんもにんしんがきらいて、ても、にんしんを残すとお母さ じぶん んにしかられるものたから、だれも見ていないすきに、こっそリぼくのおさらに自分のに んしんを入れてしまうんた。そうすると、ぼくが残したみたいに見えるたろ。ときどき見 つかって、お母さんに、 「リエ、だめやがね、ちゃんとせんぶ食べなあかんがね。ルドはにんしんなんか食べへん そういうとき、かならすリエちゃんは、 「ねこはええなあ。好ききらいがあっても、しかられへんのやて、ええなあ。」 かお といって、ぼくの顔をうらやましそうに見るんた。 リエちゃんは、そのほかにも、よくぼくのことをうらやましがる。夕方、宿題をやリな かあ のこ かあ しる ゅうがたしゆくだい のこ かあ
かった。それても、ステトラは、 「おれにてきる芸なら、なんてもするせ。さかたちてもするか。」 こた って、答えたんた。 " フッチーはことばをつまらせた。ぼくは先をうながすように、 " フッチーの目を見た。 ぎゅうにくた 「あいつ、おまえに、よっぽど牛肉を食べさせたかったんたろうな。そこを、デビルのや ちょうし ろう、調子にのリやがって、 「おまえのさかたちなんか、くそおもしろくもねえ。どうだ、こっちにきて、そこのハリ まえ ガネねこといっしょに、おれの前てフォークタンスてもおどってみろよ。そうしたら、食 い残しの肉をそっくリわけてやるせ。」 なんていいやがった。 こ′」え ステトラはおれをちらっと見て、小声ていった。 いっしようおん 「フッチー、一生、恩にきるから、すまねえが、おれといっしょに、おどってくれねえ か。」 おれはよ、あそこまて、ステトラががまんしてるのに、いやてすなんていえねえよ。 のこ 242
なくなるのさ。」 きゅうしよく 「あっ、わかった。給食た。シチューた。クリームシチューた。そうか。しばらく、ク た リームシチューが食 " へられなくなるのか。」 しっさい、それはこまったことたった。ぼくたちノラねこは、ほうぼうの家て、もらっ さかな たリ、ごみ箱をあさったリして、けっこう魚にはあリつけるのたけれど、肉は、なかなか さかなおも にんげん 手に入らない。人間は、ねこっていうと、すく魚を思いつくらしい。ても、ぼくたちが肉 た も食べるってこと、わすれてるんしゃないたろうか。ぼくたちが肉を食 " へることがてきる きゅうしよく のは、学校の給食のシチューたけなんた。 「ちええ、しばらく肉はおあすけか。」 そういって、ぼくはまたねっころがった。 あさ よく朝、ぼくたちは学校にてかけた。子どもたちがこないのかわかっていたから、いっ もよリ、ねぼうがてきた。 せいもんてつ 正門の鉄のさくはあいていた。 「あれ、休みしゃないのかな。門があいてるよ。」 にく もん ロ 3
れんしゅう の練習をしていた。 「ロほどにもねえやろうた。えつ、なんだって、なにいってんた、あいつ。 ある もう歩きはしめていた " フッチーは、もう一度ふリかえった。 にんげん 「それからもうひとっ教えてやろうか。あいつはなあ、人間の字が読めるんたせー。すげ えだろう。それしゃあなあ。」 とお " フッチーは、後ろすがたを見せて、遠さかっていく。ぼくはまた、あのせリふによって した おも 「ドラえもんみてえなツラにしてやるから、そう思え ! 」 そのとき、 " ハサ " ハサと上のほうて音がした。見あげると、はとが一羽、木のてつべんに おば とまったところたった。さっそくぼくは、いま覚えたばかリのせリふをいってみた。 りようみみ 「あい、はと。ロほどにもねえやろうた。ニ度とこのへんをうろついてみろ。両耳ちょ おも んきって、ドラえもんみてえなツラにしてやるから、そう思え ! 」 そういって、はとをにらみつけたら、はとは耳た " ふがないから、はしめから、ドラえも かお んみたいな顔をしていた。
おも そういって、ぼくは、すくあることを思いついた。 しようてんがい 「ねえ、イツ。ハイアッテナ。あれはここの商店街のポスターかな。 しようてんがい かんが 「うん、おれもいま、それを考えていたところた。もしそうなら、また商店街のどこか おな に、同しポスターがはってあるかもしれない。いってみよう。」 ィッパイアッテナかそういいおわらないうちに、ふたリはもう、かけたしていた。 みせ しようてんがいみせ すみからすみまて、商店街の店さきという店さき、かべやヘいをせん " ふ見てまわったけ おな れど、あれと同しポスターは、一まいも見つからなかった。ひょっとすると、見おとして おも おな いるかもしれないと思い、同しところをなんども見た。ても、けつきよくむたたった。 しようてんがい 「ねえ、イツ。ハイアッテナ。あのポスターは、ここしゃない、べつの商店街のものしゃな いかな。」 たいふう とお しようてんがい 「うん、そうかもしれんな。ても、そう遠くの商店街のものしゃないはすた。台風の中 とお を、そんなに遠くからとんてきたものなら、とっくにピリ " ヒリにや " ふれちゃってるはすだ からな。 しようてんがい それからぼくたちは、町しゅうの商店街をあっちこっち見にいった。このあたリには、 5
おも まじよ 「ぼくたって、さっきまて、魔女がほんとにいるなんて、思ってもみなかったけれど、あ まじよ のおばあさんは、魔女にきまってる。」 ぼくがむきになってそういうと、イッパイアッテナは立ちどまって、しっとぼくを見つ めていたか、しばらくすると、とっせん、 ワッ、、、 「ギャハ ワッ、、、 ギャハ と、大わらいをはしめた。 わらいはしめたら、こんどはわらいかとまらなくなった。そのうち、立っていられなく なって、道 " はたをころけまわってわらっている。 ノハ、なるほど、そうか。た こんなにわらったのはひさしふリたせ。ニヤ、 「ニヤハ まじよ まじよ しかに魔女みたいに見えなくもねえ。それに、魔女ってやつは、ねことか、こうもリと か、ヘびなんかを子分にしてるっていうからなあ。こいつはけっさくた。けどな、おま え、えーと、なんてったつけな、マドしゃなかった、えーと、ヌドてもなかった、えー と。」 みち こぶん " キャニヤハ まじよ 魔女 ? 魔女たって、あの " はあさんが魔女 ? まじよ