グル・リンポチェ - みる会図書館


検索対象: 改稿虹の階梯 : チベット密教の瞑想修行
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1. 改稿虹の階梯 : チベット密教の瞑想修行

500 多くのダーキニーに囲まれた 稀有の成就者パドマサン・ハヴァ あなたに依って私は成就を得よう 神秘の力をさずけるべくここにおいでください グル・ペマ・シッディ・フーム 「フームーは空性の法界がこの現象界にあらわれでる状態を純粋な音で模したものだか ら、ここではグル・リンポチェの浄土が今ここにたちあらわれたという意味がこめられ ている。ウッディャナは北西インド ( 現在のスワット地方にあたる ) 地方の呼び名で、か ってはこの地方にべンガル、オリッサと並ぶタントラ仏教の華がひらいたのである。こ のウッディャナのさらに北西の辺境地帯にあるダナコーシャ湖に咲きいでた蓮の花の上 ハドマサンバヴァは生まれた。 ・リンポチ工と、ヴァジュラ・ヨーギニーであるあなた いまや頭上に観想されたグル ・リンポチェ は、まるで水に水をそそぐようにしつくりと溶けあっている。もはやグル はたんなる幻像などではなく、あなたに祝福にみちた神秘の力をさずけてくれる、まこ との智者として頭上に光を放っている。「グル・ペマ・シッディ・フーム」はグル・リ ンポチェ自身の胸で鳴りわたっている基本真言の一つである。

2. 改稿虹の階梯 : チベット密教の瞑想修行

たのラマがグル・リンポチェの姿をして、ゆったりと坐している。童児のように白い膚 の顔には赤味がさし、一面二臂 ( 普通の人間と同じ一つの顔と二本の手 ) で、二本の足を軽 く組み、そのさまは王者のくつろぐ様子を思わせる。右手には黄金の五鈷の金剛を上に 向けて握り、ひざにのせた左手には不死の甘露をなみなみとみたした頭蓋骨の器が支え られている。この甘露から花が咲きだしているが、柔和なグル ・リンポチェを観想する 時はこの花の色は白、忿怒のグル・リンポチェを観想する時はこの花は青い色に変えな グル・リンポチェが身にまとっている三枚の衣のうち、一番下には白の衣、その上は 青い衣で、どちらもタントリスト ( 密教行者 ) を象徴する色である。そして一番上には 金でふちどりされた赤の法衣をまとい、グル・リンポチェが顕密あわせて仏教の全体系 を一身に集めていることを示している。グル・リンポチェはひざに明妃イェシェ・ツォ ギャルをのせ、いだいている。イェシェ・ツォギャルは、グル・リンポチェのチベット における最もすぐれた密教の弟子の一人であり、修行の伴侶でもあった。 , 彼女は白く輝 依くダーキニーの裸体、右手に曲刀、左手に骨の器をのせている。 二人の頭上の空間には、 いくつもの蓮花の台座がたてに並んで、そこにはゾクチェ 帰 ン・ニンティク相承のラマたちの姿があらわれる。一番上から法身クンツ・サンボ、報 身ドルジェ・セン。ハ ( 金剛薩垣 ) 、応身ガラップ・ドルジェ、さらにその下にはインドの

3. 改稿虹の階梯 : チベット密教の瞑想修行

496 骸骨の器を静かにのせている。左肩で支えているのは三叉のカダムである。これには明 妃であるイェシェ・ツォギャルのもっ恐るべき力がこめられている。てつべんの三叉は 本性・自性・慈悲を表わし、その下の三つの人頭骨はブッダの三身を示している。仏教 全体を構成する九つの乗を象徴する九つの飾りをつけ、そこにはまた人間の毛髪などを 編んだ五本のひもも結ばれている。ブッダにそなわる五つの根源的智慧の意味をもっこ の五本のひもは、かってグル・リンポチェが八つの墓地であらゆる恐怖をのりこえる瞑 想修行をおこなった時、そこにあらわれたダーキニーや母の力を集めたものである。観 想をおこなう際には、このような凝縮された象徴的な意味についても想いおこす必要が ある。 さて、グル ・リンポチェのまわりは、あざやかな光彩につつまれ、そこをインドの八 人の持明者、チベットの二十五人の高弟をはじめとするラマ、守護神、ダーキニーたち がとりかこんでいる。 ( 帰依の集会樹では、グル ・リンポチェの頭上に相承のラマたち が集まっていたけれど ) グル・ヨーガの場合は、ゾクチェンの相承系譜に立っラマと、 その教えを守る守護神やダーキニーが、グル・リンポチェをとりかこむようにして、そ のまわりにつどっている様子を観想しなさい。そうしてつぎのように唱えなさい。 エマホー マモ

4. 改稿虹の階梯 : チベット密教の瞑想修行

520 グル・リンポチェの胸に溶けこんで、分かちがたく一つになる ヴァジ、ラ・ヨーギニーであるあなたの胸に赤い光が触れたとたん、あなたはケシ粒 のような小さな赤い光の玉に変わって、一気にグルの胸に飛びこんで、グルの心と溶け こみ、一体となってしまうのだ。このケシ粒のような赤い光の玉には、あなたの《風》 と心が分かちがたく融合している。グル ・リンポチェも虹が空に消えゆくようにしだい に消え去っていき、あなたの心も《風》もこの空の状態に溶けいってしまう。 この状態にできるだけ長くとどまりなさい。瞑想からさめる時には、いつものように、 ここに現出したことはラマの心の戯れがつくりだした幻影にすぎないのたという考えを 忘れてはいけない。 深い瞑想からさめたら、つぎのような祈りをささげて、このセッションをしめくくり なさい。 ゃんごとなきラマ ・リンポチェ 私の胸の蓮花の台座にお坐りください 限りない優しさでわたしを見守り 身ロ意の達成をおあたえください

5. 改稿虹の階梯 : チベット密教の瞑想修行

494 赤の三重の衣をまとっている。その頭には、かってサホール国 ( 北インド ) の王がグ ル・リンポチェに賜わったパンデイタの帽子をかぶっている。 ・リンポチェを恐れて、捕えて大きな釜の中で焼き殺そうとした。 サホールの王はグル だが、王が灼熱する釜をのそぎこむと、金剛の身体に変身したグル・リンポチェは、美 ・リンポチ しい蓮の花の上に心地よげに坐っていた。これを見た王は大いに驚き、グル 工にたいする深い信頼をいだくようになり、身にまとっていた衣と帽子をさしあげたの である。この帽子は「ペマ・トン・ドウル ( それを見るだけで解脱を得る蓮花 ) 」とも呼ば れている。 この帽子は二段の折りかえしがついていて、生起次第と究竟次第という二つの瞑想プ ロセスが分かちがたく結ばれていることを象徴している。てつべんの三叉はブッダの三 身 ( 法身、報身、応身 ) を、さらに五つの色が仏陀の五身 ( 法身、報身、応身、金剛身、本性 身 ) を象徴するようになっている。帽子の前面には方便と智慧を象徴する月と太陽が輝 き、ふちどりの青は固いサマヤ戒を表わしている。頂きには金剛ものっていて、これは サマーディ 不動の三昧を、そのまわりの羽根は、グル・リンポチェの見解がさえぎるものもなく この帽子には密教的な象徴がどっさ 高く飛翔していることの印である。こんな具合に、 りつめこまれている。 右手につかんだ金剛を胸のあたりにあて、左手には不死の甘露をなみなみとたたえた

6. 改稿虹の階梯 : チベット密教の瞑想修行

495 グノレ・ヨ ーガ ヴァジュラ・ヨーギニーのユムカ 密教体系には、それそれ独自のダーキニーがいる。ロンチェン・ イクのダーキニーはユムカ ( 母 ) と呼ばれ、グル・リンポチェの明妃イ ェシェ・ツォギャルの密教的象徴化である。グル・ヨーガの場合、観想 の詞章どおりではなく、この図のユムカの姿に観想するのがよい、とケ ツン・リンポチェは教えている。

7. 改稿虹の階梯 : チベット密教の瞑想修行

37 はじめに ヴィマラミトラ (VimaIamitra) ニンティク体系は、グ ル・リンポチェの口頭伝 授によるものと、ヴィマ ラミトラの口頭伝授によ るものとの、二系列でで きている。ゾクチェン・ タントラのもっとも重要 な 17 タントラ (rgyud- bcu-bdun) のほとんど は、彼によって翻訳され グル・リンポチェ (Padmasambhava) チベットに仏教を定着さ せるのに決定的な役割を はたしたウッディヤナの ニンマ派、カギュ グル。 派ではチベット仏教の祖 として、敬われている。 0

8. 改稿虹の階梯 : チベット密教の瞑想修行

40 ロンチェンパ (kLong-chen-rab-'byams-pa 1308 ~ 1363 ) ゾクチェンはさまざまなテルマ (gter-ma 埋蔵体系 ) をつうじて相 承されてきた。「北のテルマ (byang-gter) 」「南のテルマ (lho-gter) 」 などと並んで、ロンチェンパの確立したニンティクの体系がその中でも とりわけ有名である。ニンティクの歴史はグル・リンポチェにまでさか のぼる。 8 世紀チソンデウッェン王の招きでチベットを訪れ、密教の移植に決 定的な役割を果たしたグル・リンポチェは、年若くして死んだ王の娘ペ マサルをョーガのカで蘇生させ、のちに彼女に密教「ダーキニーの心滴 (man-ngag-mkha'-'gro'i-snying-thig) 」の灌頂をさずけた。こののち、 グル・リンポチェはこのニンティクの教えを人々の目から隠して、埋蔵 ーで人の世界におけるニンティクの相承はとだえてし の教えとした その間、この教えは「ダーキニーの象徴による相承」をとおして、ダ ーキニーたちに守られてきた。一時、テルトン・べマ・レデル (Padma-Ias-'bral) によって再発見されたものの、完全には伝えられず、 ふたたびダーキニーの世界に閉ざされてしまう。 これを完全に再発見したのが、ロンチェンパである。神秘の霊感の中 で、ダーキニ ドルジェ・パクモ (rDo-rje-phag-mo) カ : 彼にニンテ イク体系の灌頂をあたえたのである。 うしてロンチェンパによって確 立されたニンティクの体系が、 18 世紀ふたたびジグメ・リンパの宗教的 霊感をつうじて新たなよみがえりをおこなって、「ロンチェン・ニンテ イク」の体系として広く知られるようになったのである。 ドウンジョン・リンポチェ「ニンマ派史」から

9. 改稿虹の階梯 : チベット密教の瞑想修行

493 グル・ヨーガ 集会の観想 想像力で、あなたのまわりを蓮花の光にみち、すべてが清浄で汚れ一つない空間 ( 浄 土 ) につくり変えなさい。その広大な空間のまんなかに、あなたは神秘の灌頂を受ける にふさわしくヴァジュラ・ヨーギニー ( ダーキニーの別名 ) に変身して立っている。グ ル・ヨーガにあらわれるヴァジュラ・ヨーギニーの本性は、グル・リンポチェの明妃イ ェシェ・ツォギャルと同じだといわれる。そこで、その心は空性のもたらす大いなる楽 にみち、三つの目に激しい純粋な欲望をこめて、グル・リンポチェの心を追い求めてい る。右手には愚かさと無明に眠りこけた心をたたき起こす骸骨の太鼓をもって空にさし あげ、左手には三つの毒を根元から断ち切る曲刀を握っている。まっ赤な身体は八つの 宝飾に飾られ、まるで空にかかる虹のように輝きわたっている。 ヴァジュラ・ヨーギニーであるあなたの頭上、四〇—五〇センチほど上の空間には、 さまざまな宝石をちりばめた十万花弁をもっ蓮の花があざやかに咲きいでている。この 蓮の花の上には太陽と月のクッションがのり、さらにその上に、あらゆる・フッダたちを 一身に集め、深い慈悲にあふれるあなた自身のラマが、グル・リンポチェの姿をして坐 っている。白い膚には童児のような赤味がさしていて、いかにも若々しい姿である。王 者がくつろいでいるように楽に足を組んで坐り ( 帰依の集会樹の時と同じように ) 、白、青、

10. 改稿虹の階梯 : チベット密教の瞑想修行

509 グル・ヨーガ るようラマに懇願し、つぎのように唱えなさい。 聖なるグル・リンポチェ あなたはすべてのブッダたちの 慈悲と加持力を一身に集めた栄えあるお方 生き物すべての唯一の守護者 私の身体、富、知、心、胸を おしみなくあなたにささげます 今より覚醒を得るその時まで 喜びも苦しみも、善きことも悪しきことも 高きことも低きこともすべてを 大聖パドマサイハヴァよ、見守りたまえ オーム・アー・ フーム・ヴァジュラ・グル・ペマ・シッディ・フーム この詞章を三回唱えなさい。ただし一回ごとに最後のグル・リンポチェの根本真言を 百回、心をこめて唱えなさい。「オーム・ア ー・フームーの真言は空性を体験する三つ の状態に対応している。すなわち「オームーで法界への扉が開かれ、「アー」でその世 ダルマダーツ