羅刹女 - みる会図書館


検索対象: 西遊記(下)
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1. 西遊記(下)

しようかえ このとき、旃檀仏、闘戦仏、浄壇使者、金身羅漢はともに証果を得て、本性に帰り、竜馬もま まことすがた た真の姿に立ち帰ったのであった。 さいゅうき 西遊記は、ここに至りて終わりを告げる。 せんだんぶっとうせんぶつじようだんししやこんしんらかん ほんしよう りゅうめ 6 プ 8

2. 西遊記(下)

さて、悟空と八戒が法を使って女たちを金縛りにしようとしていると、一陣の風が起こり、悟 浄がわめき騒ぐので、振り返ってみると三蔵がいない。 「何者が師匠を奪って行ったのだ」 と悟空が言、つと、 「ひとりの女が旋風を起こして、師匠をさらって行った」 ・こじよう と悟浄。悟空がさっと雲に飛び上がって、小手をかざして見ると、一陣の黒雲が風を巻いて西 北の方に飛んで行く。 きようだい おれ 「兄弟たち、はやく雲に乗って、俺といっしょに師匠を追っ駆けろ」 ・こじよう 八戒と悟浄は荷物を馬にくくりつけ、いっせいになか空に飛び上がった。 くんしん 西梁女国の君臣たちは、巻き上がる土ばこりの中にひざまずき、 しようてん とうおとうと、みとくこう 「さては、まっ昼間に昇天なさる羅漢様であったか。唐の弟君は徳行高い褝僧であられたのだ。 めくら ちゅうか われ 我ら一同あき盲で、ただの中華の男子と思いちがいをしていた」 と女王もはじめて心に恥じ、女官たちもいっせいに城に帰ったことはこれまでとする。 うんむ さて悟空ら三人は空に飛び上がり、雲霧をふんで、ひたすら追って行くと、ある高山に行き着 いた。そこで塵霧も静まり、風もやんだが、妖怪はどこに行ったかわからない。ふと彼方を見る びようぶ かがや いしびようぶ と、屏風のように切り立った、光り輝く青石がある。そこを回ると、石屏風の後ろに石の門があ じよう しいりゃん ーカし ・こくう ししよう さわ じんむ はつかい せんぶう ほう ふ ま によかん らかんさま ししよう さんぞう かなしば よ ) 力し ししよう しろ いちじん ぜんそう いちじん かなた ま 2 基 7

3. 西遊記(下)

「しめた、これで安心。すぐにその水を取って来てあげます」 第こじよう すや おおはち 一一一口うなり悟空は悟浄にあとを頼み、婆さんから素焼きの大鉢をもらうと、たちまち雲を飛ばし て去った。 老婆は空に向かって手をあわせ、 おしようさま 「なんと、あの和尚様は雲にお乗りなさる」と、女たちを呼び出して、三蔵を伏し拝み、「羅漢 とき さまぼさっさま 様、菩薩様」と呼んで、湯をわかし、斎の用意をした。 ぎんとうん いただぎあら さて悟空が、劬斗雲を飛ばして行くと、やがて山の頂が現われた。雲をとどめてよく見ると、 いなかやしき やまかげ 山陰に一軒のおおきな田舎屋敷があり、犬の鳴き声が聞こえて来る。 ろうどうし みどり 悟空が山を降りて行ってみると、一人の老道士が緑のしとねの上に座している。悟空が鉢をお あいさっ いて挨拶すると、道士は身をかがめて礼を返し、 「どこからおいでか。して、なんのご用で」 第こ、とう・こ・、 せっそう さいてんきよう 「拙僧は大唐国よりつかわされ、西天に経を取りに参るもの。師匠があやまって子母河の水を飲 なんぎ みましたため、腹が痛み、はれ出して難儀いたしております。村人に聞いたところ、これは懐妊 かいようざんはじどうらくたいせん いたしたもので、なおしようがない。ただ、解陽山破児洞の落胎泉の水だけが、胎児をとかすこ によいしんせん とができると聞きました。如意真仙にお目にかかって、泉の水をいただき、師匠を助けたいと思 って参りました。どうぞお取り次ぎを」 ろうば けん お はら よ どうし たの ばあ いすみ よ ししよう さんぞう ししよう しぼが おが はち かいにん らかん 207

4. 西遊記(下)

すがた あらあら ・こくう 悟空は顔色を変え、怒りの声も荒々しく、 「この冷酷無残なくそ坊主め。どこまで俺を馬鹿にしやがるのか」 ちやわん とののしって、鉄棒を振り回し、茶碗を投げ捨て、三蔵の背中めがけて、やっ、と打ち降ろし くろらしゃ さんぞう た。三蔵は目がくらんで地に倒れ、声も立てられない。悟空は二つの黒羅紗の包みをうばい、劬 とうん すがた 斗雲に乗って、どこかへ姿をくらましてしまった。 はち さて八戒は鉢を持って、南の山のふもとに来ると、ふと、山あいに一軒の草ぶきの家を見つけ はつかい た。八戒は心の中で、 みにくつら おれ すがた 俺のこんな醜い面つきでは、きっとこわがって、斎もくれぬだろう。こりや姿を変えて行 かねば 0 じゅもん やみ と思い、そこで秘法を行ない、呪文を唱え、身を七、八ペんもゆすって、やっと青ぶくれの病 かどぐち おしようば 和尚に化け、うんうんうなりながら門口に近づくと、 とうど さいてんきよう ししようとちゅう せしゅひんそう 「施主、貧僧は東土より西天へ経を取りに参る者。師匠が途中で飢え渇いておりまする。もしお めぐ たくなべぞこひやめし 宅に鍋底の冷飯でもありましたら、どうぞどうぞお恵みくだされ」 もともとその家では男はみな畑に出ており、ただ二人だけ女が家に残っていたが、八戒の病み 姿を見、また東土から西天へ行くという話を聞き、この坊さん病気で気がふれたかと思ったが、 あた たおじに なべぞこめしやまも 門前で倒れ死されてはと心配し、畑に運んだ残りの、鍋底の飯を山盛りにして与えた。八戒はそ れいこくむざん はつかい とうど ひほう てつぼうふ さいてん たお おればか さんぞう ・こ ~ 、う と . き せなか わ けん はつかい はつかい お や きん 286

5. 西遊記(下)

「ではどうすればよいか」 ぶっぽう むへん 「仏法は無辺でございます」 じぞう さと ・こくう そう言われて、地蔵ははやくもその意味を悟り、悟空に向かって、 すがた じんつうりき しんぎ 「おまえたち二人は姿も同じく、神通力も同じである。もし真偽を明らかにしようとするなら、 らいおんじ しやかによらい ぜびとも雷音寺の釈迦如来のところへ行くがよい」 二人はいっせいにわめいて、 「ごもっとも」 「ごもっとも」 し J 一一 = ロい ぎさまさいてんぶっそ こくびやく 「それじゃ、貴様と西天の仏祖の前に行って、黒白をつけよう」と二人いっしょに言う。 じゅうでんめいおう じぞう すいうんきゅう 十殿の冥王は二人を送り出し、地蔵に礼を言って、翠雲宮に帰し、幽鬼に冥府の門を閉ざさせ ′」くう さいてんれいしゅうざんらいおんじ 二人の悟空は、空中でたがいに戦いつつ、西天霊鷲山雷音寺に行き着いた。そこでは、四菩 さっ * だいこんごう * ぎやたい * びくに * びくそう * うばそく * うま、 せいしゅう しっぽうれんだい 薩、八大金剛、五百羅漢、三千掲諦、比丘尼、比丘僧、優婆塞、優夷などの聖衆が、七宝蓮台 によらい の下で、如来の説法を聞いている。 こ 0 せつばう らかん * み ゅうき と 311

6. 西遊記(下)

~ 、よう ぼさっさま したら、それは猿の化け物でございました。そこで、菩薩様のところへ行ってうったえましたが、 ほうこく やはり見分けがっかず、手助けもできないので、先にご報告にもどりました」 三蔵はそれを聞いて色を失った。そのとき、不意に空中からやかましくののしりあう声が聞こ ・こ ~ 、う えた。驚いて一同が出てみると、二人の悟空が打ちあいながらやって来る。 はつかい 八戒はたまりかねて空中に飛び上がり、 あにき ちょはつかいさますけだち 「兄貴、まあ、さわぐな。猪八戒様が助太刀だ」 すると二人の悟空はいっせいに、 ぎようだいば 「兄弟、化け物をやつつけろ」 きようだいば 「兄弟、化け物をやつつけろ」 、いっそう三蔵らを と言う。家の者たちは、こうして雲にのばり、霧に乗る羅漢様たちと知り んしん せっそう 供養した。三蔵が、ご安心ください、拙僧がきっと弟子を捕え、善心にかえらせます、と言って ・こじよう 、ると、届旧浄が、 . し 「師匠はここにおいでください。わたくしは八戒といっしょに行って、一人ずつ連れて来ますか ら。師匠はあの呪文を唱えてください。痛がる方が本物、痛まないのは偽者ですから」 そう言って空に飛び上がり、 しんぎ 「しばらく、しばらく。二人とも 、いっしょに師匠のところへ行って、真偽を見分けてもらおう さんぞう ししよう ししよう おどろ さんぞう さるば じゅもん はつかい ふ ししよう きり らかんさま とら にせもの さんぞう 308

7. 西遊記(下)

「弟君様、おめでとうございます」 さんぞう 三蔵、 「わたしは出家の身で、なんのおめでたなどありましよう」 えきじよう きゅうこん そこで駅丞はかようしかじかと、女王からの求婚を申し人れると、三蔵あきれはて、うつむい さんぞう て黙っている。大臣がすすめればすすめるほど、三蔵はますます唖か聾のよう。 八戒はそばから、ロをとがらせて叫んオ しゅぎよう だ、じん 「大臣さん、おまえさん、女王にこう返事してくれ。俺の師匠は長らく修行した羅漢様だ。けっ さいてん つうかんてがた とみ して国中の富も、傾国の容もほしくないとおっしやる。はやく通関の手形を出して、西天へ行か せちまって、俺を残して婿にしたらどうだねと」 大臣は聞いて、 「あなたは男ではあっても、その顔では、とても女王様のお気に入りますまい」 はつかい わら 八戒は笑いながら、 ますあらみ 「細かい升も荒い箕も、編んだは同じ柳の枝。男であれば同じこと、と言うではないか」 ・こ / 、う 悟空がそばから、 あほう 「阿呆、馬鹿なこと言うな。こりや行くもとまるもお師匠様のお考えしだいだ」 さんぞう 三蔵、 はつかい おとうとぎみさま だいじん しゆっけ おれ だいじん けいこく すがた むこ あ さけ ゃなぎえだ おれししよう ししようさま さんぞう おしつんぼ らかんさま 228

8. 西遊記(下)

「それぞれの重さは、どれほどか」とたずねると、 ほうじよう きんぎゅうし きんこ・ほう 「金箍棒は千斤、九歯のまぐわと宝杖は、それぞれ八百斤ございます」と答える。 「よかろう」 ・こ ~ 、ノ ぶき 悟空は三人の王子を呼び、めいめい武器をとらせた。 ねん ほうじゅっでんじゅ 悟空ら三人が念を入れて法術を伝授すると、王子たちは四、五日で、その操法にも熟練し、七 かたえとく 十二通りの型も会得することができたのである。 だいえん力い ぎよくかおう しおんしゃ 玉華王はおお喜びで、またも大宴会を開き、師恩を謝し、大盆に金銀をのせて差し出した。 ・こ ~ 、う 悟空は笑って、 そっこく 「即刻、おさげください。我ら出家には、無用の品だ」 と言うと、そばから八戒が口を出して、 「金銀はもらうわけにはいかねえが、俺の着物が、あの獅子に破られちまったんで、俺たちに着 がえを恵んでくれるなら、ありがてえ」 したてや ぎよくかおう あおあかちゃ 玉華王は、さ「そく仕立屋を呼び、それぞれの色と同じに、青、紅、茶の三枚の錦の法を作 おく らせて、贈り物とした。 三人は喜んでそれを受けると、おのおの身につけ、荷物をまとめて出発した。 らかんさま わか じようないがいお 城内外の老いも若きも、みな口々に、羅漢様よ、生仏様よと、たたえぬ者はなく、鼓楽の音、 わら はつかい よ われしゆっけ よ おれ むよう いきぼとけさま ぎん おおぼん ゃぶ そうほう にしきほう、 こが / 、 おれ じゅくれん 529

9. 西遊記(下)

しこう し、前後を知り、万物に明らかなるもの。この四猴は、先の十類の中に入らず、また二類の間に ろくじみこう もない。わしが観るところ、偽悟空は、この六耳獺猴じゃ。この猿は居ながらにして千里の外を さっ ことば 知り、人の語る言葉を知る。だから、よく音を聞き、よく理を察し、前後を知り、万物ことご ろくじみこう すがた とく明らか、と言ったのじゃ。真の悟空と姿も声も同じくするのは、すなわちこの六耳獺猴じ みこ ) によらい かの瀰猴は如来が自分の正体を説き明かされるのを聞き、おののき恐れ、急に身を躍らせて逃 げ出した。 だいぼさっ 如来はそれと見て、ただちに「捕えよ、」と命じたまえば、はやくも四大菩薩、八大金剛、五 かんのんえがん 第ノば、 ~ 、 びくに ぎやたい びくそう 百羅漢、三千掲諦、比丘僧、比丘尼、優婆塞、優夷、観音、恵岸がい 0 せいに取り囲む。悟空 によらい も飛び出そうとしたが、如来は、 「悟空、手出しは無用、わしがとりこにしてやろう」 のが みこう かの獵猴はふるえあがって、もはや逃れがたしと見るや、身をゆすって一匹の蜜蜂となって空 はち に飛び上が 0 た。如来はすかさず金の鉢を投げると、ば「とその蜂にかぶさ 0 て落ちて来た。一 によらい 同はそれと知らず、逃げられたと思「ていると、如来は笑いながら、 「みなの者、妖精は逃げてはおらぬ。この鉢の下にいる」 一同ど「と近寄「て鉢をおこして見ると、はたしてそこに正体を現わしていた。見ればいかに ようせい むよう はち にせごくう まこと・こくう とら はち わら さる はち あら びぎみつばち おど こん・こう ・こ ~ 、第ノ 314

10. 西遊記(下)

ばんとうえ ちよどの ) てんがすいじんてんぼうげんすい 猪悟能。そちはもと、天河の水神、元蓬元帥なるが、幡桃会のおり、酒によいて仙娥にたわむ きえ ちくるい れしため、下界に落として、畜類に生まれ変わらしめた。さいわい教えに帰依し、わが門に入り、 しきじよう がんしん せいそうまも 聖僧を護りつつも、頑心すこぶるあり、色情いまだ収まらず。しかしながら、道中、荷をにない じようだんししゃ し功によって、職を加え、浄壇使者となすであろう」 すると八戒は、ぶつぶつ不平を鳴らした。 ほとけ 「ほかの者は、みな仏になったのに、俺だけ、浄壇使者にしたのは、どういうこったい」 によらい 如来はにつこりして、 したが 、。いま、天下四大州、わが教えに従う者 「そちは、ロはよく動くが体はのろまで、胃袋は大き はきわめて多い故、およそ仏事供養のあるときには、そちに壇を浄めさせるのであるから、供養 の品々を味わうことができるのだ。どうして悪い。 ばんとうえ はりさかずき さどじよう けんれんたいしよう 沙悟浄。そちはもと、捲簾大将であったが、蟠桃会のおり、玻璃の杯をこわしたため、下界に きえ せいそう りゆさが せっしよう 落としたところ、流沙河において殺生をつづけていたが、さいわいわが教えに帰依し、聖僧を保 こんしんらかん 護して、山をのばり馬を引きし功により、大職を加え、金身羅漢となすであろう」 によらい 如来はまた白馬に言われた。 こうしんりゅうおうむすこ 「そちはもと、西洋大海の広晋竜王の息子。父の命にそむき、不幸の罪を犯したが、さいわいわ ぶつもんぎえ が仏門に帰依し、聖僧を乗せて西天に来たり、また、聖経を負いて東土に帰った。その功により、 こう はつかい しよく ゆえ せいそう ぶつじくよう さいてん こう おれ たいしよく いぶくろ じようだんししゃ おさ せいきようお だんぎよ ふこうつみおか とうど せんが こう ~ 、よう 616