ーマクロード - みる会図書館


検索対象: 警部マクロード 殺し
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1. 警部マクロード 殺し

クリフォードは目をこすった。 「こっちは何千ドルもかけて、強盗に出会ったらよく相手を見ておくようにと、市民にちらし をくばっているのに、わたしの部下が、相手の人相については透明人間にでもぶつかった程度 しかいえんのだからな」 「部長、それよりジェームズ。ギャングに似てますよー・フロードハーストがいった 、力し、フ 「いや、ワイルド : ハンチ強盗団のほうが似ているそーマクロード・、 いずれにしてもカウポーイだぜ」 「どう違うんだ ? ハンチのほうがずっと新しい強盗団なんだ」マクロードはやりかえ 「違うんだよ、ワイルド・ した。 「マクロード ! 」クリフォード部長が鋭くいう。「よく聞け。わたしがいいたいのは、二番街 で西部劇のサーカスみたいなものが起こったということより、もっと実のあることがいえるよ うになるまで、この部屋のそとで二度とそんなことを口にするなということだ。それでなくて も、新聞の一面に面を出されているんだぞ。そいつを、仮装舞踏会みたいなものに節ることは ないんだ」 「もうだれにもしゃべりません」マクロードがしオ 「よし、ところで、よかったらしばらくひとりにしておいてもらいたいー つら

2. 警部マクロード 殺し

クリフォードにとって、これはいちばん望ましくないことだった。 あきらめたように彼はいった。 「何だね、マクロード ? 「部長、まったく部長のおっしやるとおりだと思いますー 「ありがとう、マクロ 1 ド、 そういってもらえて助かるよ 「つまり、ふたつの強盗は、ひと組の同じギャングの仕業だということです」 「マクロード、きみは天才だな 「それに、やつらは今世紀のはじめに暴れまわった、同じギャング団かもしれないということ です。ただ、、 しまでは彼らもすっと年よりになっていますが」 「もう一度いおう、きみは天才だよ 「ただ、こんどのやつは追いつめるにはもっとずっと手こずりそうに思えるんです・ クリフォード部長はうんざりしたようにうなずいていった。 「よろしい、きみは自分があんなに世間に吹聴したがっていた、例の″ワイルド・ 説をいってるんだ」 「違うんですーマクロードは神妙にいった。 「あたしが考えてるのは、その正反対なんです。あたしには、おかしな服を着ておかしな帽子 ハンチ団〃 巧 8

3. 警部マクロード 殺し

マクロードは考えこんだような顔をした。 1 ト・ルロイ・ / ーカ ート・ルロイ・パーカーね」ひとりごとのようにいう。「ロ。 は、バッチ・キャシディの本名だ」 「当たり , サマンサはいった。「それで、エッタ・。フレースについて歴史の本にどう書いてあ るか覚えている ? 「エッタ・。フレース ? 。ハッチ・キャシディのガール・フレンドか何かだった」 ・ロングボ ート・ルロイ・ / ーカーとハリ 「これもまた当たり。そう、とにかく彼女はロバ ーが最後の活躍をしているころに、コランビアを出て : : : こんども″当たり″といきたい ? ー・ロングボーかーマクロードはゆっくりいった。「サンダンス・キッドの名前のほう がとおっていた」 「大当たり、ごほうびのごちそうをさしあげます。ところで、彼女はコランビアを出たとき、 妊娠していたという説があるのよ。サム、わからない ? すっかり辻褄があうわ。彼女は。 ( ッ チ・キャシディの子をみごもっていたのよ。しかも、ニ = ーヨークに帰ってきて、息子といっ しょに死ぬまでここで暮した」 このころには、マクロードも本心から釣られていた。 「コン。ヒューターが、それをすっかり洗い出したのか ? 」 170

4. 警部マクロード 殺し

「しかし、その褐色砂岩のアパートと、姿を消した当のロイ・。ハーカーはどうだったんだ ? 」 ーいオ「西部の歴史の専門家なんです 「あの男は、悪いことはしてませんよーマクロードよっこ。 よ。彼のアパートのガラクタは本人のものだったんですが、新聞の切抜きはエルロイのでした。 エルロイは友だちの。ハーカ 1 が二週間ばかりニューヨークを留守にするのを知って、この絶好 のチャンスは見すごせないと思ったんですよー グローヴァーゞ カこの話のところに来て口を出した。 「マスコミの連中が来てますよ、部長。何か発表が欲しいって プンヤ 「フロードハースト、記者相手のグローヴァーの手伝いをしてやれクリフォードは命じた。 サム・マクロード保安官に向きなおる。 、忘れて 「マクロード、あしたの朝、きみがあらゆる規則を破ったことで叱言をいうとき、いし しまうといかんから、いまいっておこうー彼は深く息をついた。「よくやったー 「そ , フら、 ってくれた ! , マクロードはうれしそうにいうと、ふりかえってそこに立ってい たサマンサを見た。彼を見るとサマンサは、鉛筆とメモ帳をパッグにつつこんで、大きく両腕 をひろげた。 彼もサマンサに抱きっかれるように、その腕のなかにはいっていったが、あまり急のことだ ったので、彼女が腕をひろげるためにレインコートの前がはだけて、下の短い寝巻が見えてし 22 ラ

5. 警部マクロード 殺し

「咳払いしただけだ」 「ああ、失礼しました」 やっとクリフォード が窓から向きなおり、デスクに向って腰をおろした。彼は参っていたし、 柄になくしおれていた。 「できるだけの手は尽したようだ」 部長はしょんばりいった。 「もう一度やりなおすこともできますよー フロード、 ノ 1 ース・、かし、フ 「そうですよ」サム・マクロード・ゝ 力しった。「こっちは構いませんよ。本当のところ、これは わたしたちの責任ですからねー 「しい、もうたくさんだ。事実をおさらいしたかったら通信室にいえばすむ。すべてビデオ・ テープにとってあるんだからな。この国の半分に、そのビデオ・テープがいってるんだ。シカ ゴ、デンヴァー シアトルにも直接電送しちまったんだ。配送経費の節約のためにな」 彼はうつろな笑い声を立てた。 「わたしはただ、三本足の洗い熊みたいに恐縮するばかりですよーマクロードがしう 「その泥臭い譬えは、いい加減にしろ」 がら

6. 警部マクロード 殺し

「おっしやるとおりです、部長ーマクロードはいった。 「そんなこと、わかっとる。それに、きみのそのちょっとした思いっきというのの欠点もそこ なんだ」 「いや、あたしにはそうは思えませんね。あたしには、ここがとくに面白いところなんですよ」 クリフォードは彼を見つめた。 「きみは何を考えてるんだ ? 」 「自信はありませんが、もう少しつづけさせてもらえれば : これは銀行でのへまのすぐあとでいったのと同じせりふだった。しかしこんどは、クリフォ ード部長は機嫌がよかった。 短くうなずいて、「よかろう」という。そこで片手を上げていう。「好きにしたまえ、マク ード。ただ、ひとつだけわかっておいてもらいたい」 「何でしよう ? 」 「仕事の進捗状況はわたしに報告するんだぞ。新聞やテレビにではないぞー 「そりや、もちろんマクロードはいった。 プリンクマン警備保障社のコン。ヒ = ーター室では、特殊タイ。フライターがいまでは六フィー 163

7. 警部マクロード 殺し

「しかし、それにしても指紋と人間の性質や何かとは違いますよ。そうでしょ ? ーマクロード 、カ」し十 / 「蒐集して、資料を集めるという科学という点で、どこが違う ? 」 「だって、機械の前にこんなふうに人間やその考えを大の字にひろげて調べるなんて、個人の 自由というのにぶつかるようなことがあるでしょ ? ギリスは不思議そうに彼を見た。 「きみは個人の自由というものを、どういうふうに考えている ? 「あたしにだって、暗誦していることがいくらかありますよ。ちゃんと書いてある 「書いてある ? どこに ? 「合衆国憲法というやつだったと思いますがね」 もしそんなことをいって、相手に何かショックを与えられると思っているのだとしたら、こ キリスはにやにやしていた。 れは大外れだった。・ 「マクロード君、あんたは何か忘れてるよー 「あたしが ? 」 「そう。驚くくらい大勢の人が忘れていることだ。ねえきみ、合衆国憲法は変化に応じられる ように考えられている。現在もわれわれは、ある種の自由を犠牲にして、かわりに保護を与え 9

8. 警部マクロード 殺し

彼はジェンキンズのほうを見た。 「どうやらこいつは、事件に蓋をする手のひとつらしい」彼はいった。 「保安官、わたしにいってるのかね ? 」ジェンキンズが眉をひそめていった。 「ここにはおたがいふたりしかいないよーマクロードはいう。「なあ、わたしの勘違いならい いと思ってたんだがねー 「何が ? 「あんたが例の強盗の片棒かついでいるということさ」サム・マクロードはいった。 ジェンキンズはデスクの前から立ち上ると、両手をポケットにいれ、ゆっくりとコンビュー ター室に出てきた。 「なあエルロイ、おれはあんたに好意みたいなものを持ってたんだよ。あんたがなぜこんなこ とをしたかも、わかってるような気がするんだ」 「ほう ? それで、ここでわたしが恐れいって白状するというのかね ? デイダクション 「その必要はない。すべてここに出てるんだ。単純な引算の問題だな」 ジェンキンズは大して取り乱しもしないようだった。たぶん、コンビューターの報告書には、 自分を現実に有罪にするものは何もないと知っていたからだろう。それとも、ほかの何かかも しれない。たが、老人のロのいたずらつばい輝きは消えなかった。

9. 警部マクロード 殺し

「やつらが銀行でのわれわれの計画を知っていたことは認めよう。だが、あの場合はこっちも それなりに、だれにも負けず突飛なことをやってたんだ。つまりだ、どこの警察がテレビで銀 行強盗をやって見せたりする ? 」 「それにしても、やつらはそれを知ってたんですよーマクロードはいった。 「そうだ、しかし、それがわれわれにどんな実害を与える ? 」 「とにかく、だれかが情報を流しているんだとすると : : : 」 クリフォードは首をふった。 「わかっとらんのだな。問題は、あの企画は前例のないものだったということだ。きみは、情。 わたしの 報がもれたのだから、次の場合にそなえて気をつけろというんだろう。マクロード、 考えでは、次の場合なんてことは起こらん。あれは一発勝負だったんだ。もちろん、こっちも いずれは突きとめてやりたいし、どういうことだったのか洗い出したいが、わたしがそうした いのは、それをしなければわれわれの今後の日常の仕事が危くなることを恐れるからなんだ。 わたしのいっとることがわかるか ? 」 「わかるような気もしますが、それだったらなぜ : : : 」 「なぜか話してやろう。きはこれまでにやったことより、五倍もまずいことをやってしまっ たからだ。気違いの一団のやったことをニュースにもらしちまったのはきみだぞ。あれさえ秘

10. 警部マクロード 殺し

若い女の技手がなかの一台に資料をいれていたし、若い男ー上着をぬいで白いワイシャッ にネクタイをしめた男が、ほかの一台から出る—タイプで打った報告を検討していた。 「これが未来の警察だ」ギリス氏がいった。 「パトカーに積むには窮屈だな」マクロードがしう 「そんな心配はしとらんよ」 ギリスはマクロ 1 ドの言葉を真に受けていった。 「いまもいったように、人間の個性というものをすっかり読みとれるように整理しちまうんだ からね。この機械の個々の人間を索引に分類する力は、まだうちでも試験的な段階にはいった ばかりだ。だが、いずれは、機械がきみたちのことも、きみたち以上によく知っているという ことになるよ 「そんなに役に立つんですか ? ーマクロードがしオ 「役に立っ ? 役に立つなんてもんじゃない、なくてはならないものなんだよ。現在、それが ないから困っているんだ。結局、きみたちだって仕事の成果の資料を角度を変えて検討してい るだろう ? 人間の指紋だって、検索できるように索引をつけて整理してなければ何の役にも 立たないだろ ? わたしがいってるのも、そういう技術を論理的にひろげたものだ。ほら、技 術は進歩させることができる。道具を手にいれたいまだからねー